白む空に燻る紫煙 ---〆

白む空に燻る紫煙 ---〆

刑事A  2022-01-18 14:27:13 
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  • No.4189 by ベル・ミラー  2024-04-20 12:14:48 





( __事件の捜査は考えていたより何倍も難航したものの、後一歩の所まで迫れる状態にあった。それは勿論の事喜ばしい状況であるのだがどうしても引っ掛かるのはレイクウッド署で連絡の取れなくなっているエバンズの事。昨晩サラから連絡があり“警部補が戻って来ない”と言われたばかりなのだ。一日の有給では職場に復帰出来ない程に調子が悪いのか、最悪何処かで倒れている可能性もあるのではないか。考えれば考える程ネガティブな事しか浮かばない状況に本日何度目かの溜め息が重たく吐き出されたその時。ふいにスマートフォンが着信を知らせ、手に取れば画面にはクレアの名前が表示されていて。こんな時間に急に話したい事とは__何だか無性に胸の奥がザワザワと揺れる。「…勿論、今ホテルだから問題ありません。」と言葉を返しつつ、ベッドの縁へと腰を下ろし話を聞く体勢を )



  • No.4190 by アルバート・エバンズ  2024-04-20 17:00:58 

 




クレア・ジョーンズ




( 出張先での捜査に対する焦燥感や彼の状況が分からない不安もあるのか相手の口調は普段のように明るいものではなく、自分の言葉を待つ様子からも少しの不安が伝わった。『今レイクウッドに来てるの。ダンフォードさんにも久しぶりに会ったわ。』と、明るい声色を心掛けつつ状況を語ったものの、早く本題に入るべきだろう。『______実は、アルバートの容態が良くないの。事件の前の日、夜に署内で倒れたのをダンフォードさんが見つけて、搬送されてそのまま入院になったんですって。ベルちゃんには言わないよう、アルバートから固く口止めされていたみたい。…でも、肺炎を併発して高度治療室に移る事になったって今日ダンフォードさんから電話を貰って。私たちも面会が出来ないんだけど…状況だけでも貴女に伝えた方が良いと思ったの。今は私たちが見てるから心配はいらない。捜査が終わったら、病院に来て欲しいの。』と、此処に至るまでの状況を説明して。エバンズの許可を得て連絡している訳ではなく、あくまで自分の判断で連絡したのだと告げつつあまり不安を煽らないように言葉を選びながら。 )







 

  • No.4191 by ベル・ミラー  2024-04-20 20:06:49 





( 話し始めた相手の声は明るさを滲ませ、元上司との久し振りになるのだろう再会を喜んでいるものだったのだが。その前の切り出しの言葉の端に滲んでいた少しの重たさを見逃した訳では無いのだ。だからこそ相手の口から“アルバート”の名前が出た事に息を飲み、続いた“容態が良くない”に絶句する事となった。“どれくらい?”そう問い掛けるよりも先に、署内で倒れた、入院、肺炎、高度集中治療室、面会が出来ない…と。畳み掛ける様な“最悪”に思考が全く追い付かないとはこの事だ。そりゃあ連絡も取れないしサラが署に来ないと言う訳だ。加えて自分には連絡しないようにと口止めされていたなんて。「ッ、」きっと派遣先で事件捜査をしている己に余計な心配を掛けない様にと、ちゃんと集中出来るようにと、そう考えた配慮なのだろうが。例え命令だったとしても“こんな時”に何故彼の元を離れてしまったのかと思わず視界が歪む。スマートフォンを持つ手にも、シーツを握る手にも力が篭もりやるせなさに暫く言葉を紡ぐ事が出来なかった。一度深く深呼吸をして、“心配はいらない”の言葉だけを頭にも心にも残す努力をする。2人が側に居るのなら、きっと、きっと、大丈夫。「___事件解決次第…直ぐに行きます。だから……私が言うのも違うけど、エバンズさんの事をよろしくお願いします…っ、」一度ぎゅ、と瞳を閉じて“行きたい”を閉じ込める。けれども人の気持ちとはそんな簡単に割り切れないもの。堪えた言葉の代わりに涙が頬を伝い、雫が床へと落ちる前に拭っては「…クレアさん、本当はエバンズさんの傍に居たい…。」と、相手にだからこそ言えた本当の気持ちを震える息と共に溢して )



  • No.4192 by アルバート・エバンズ  2024-04-20 23:56:01 

 




クレア・ジョーンズ




( 電話の向こうで相手が息を飲むのが分かった。僅かに吐き出された息で涙を我慢しているのであろう事も。そして全ての気持ちを押し殺して、相手は“捜査が終わったら”直ぐに病院に向かうと答えた。『…大丈夫、きちんと私たちが着いてるから。何も心配しないで。』と、安心させるように告げて。しかし暫しの沈黙の後に涙ながらに紡がれた言葉こそ、相手が心から願う事だろう。大切な人が苦しんでいる時、何を差し置いてでも側に居たいと願うのは可笑しな事ではない。『______そうよね、気持ちは分かるわ。…だけど貴女が悩みながらも出張に行ったのも、事件の日に帰って来る事を選ばなかったのも、アルバートの側に居たいと感じるのと同じくらい、あの人に近付きたい、失望させたくないって言う気持ちがあるからだと思うの。其れは正しい事。焦らなくて良いの、アルバートは貴女が全力で捜査に取り組む事を望んで、自分なりに努力した過程を評価する筈よ。その上で、戻って来たらたくさん支えてあげて。』---未だ病院に来てから目を覚ましている彼の様子を見る事は出来ていない。其れでも苦しんでいる彼が、相手が側にいる事で救われると分かっているからこそ焦りを生まないよう相手に語りかけて。 )







 

  • No.4193 by ベル・ミラー  2024-04-21 00:28:34 





( 涙ながらに溢した本音を相手は否定しなかった。“気持ちは分かる”と今にも張り裂けてしまいそうな心に寄り添い、それでいて焦燥に駆られる不安定さを優しく包み込み大切な事を思い出させてくれる。__誰よりも尊敬出来て信頼の出来る上司に少しでも近付きたくて、彼の様な警察官になりたくて、此処まで来た。何時だって真っ直ぐに目の前の事件と向き合い遺族に寄り添う、そんな彼に指導された自分が“今出来るベスト”を放棄してどんな顔で彼の前に立てると言うのか。“良くやった”_ふ、と時折彼が掛けてくれる労いの言葉が鮮明に思い出され、涙が止まらなくなった。電話の向こうの相手には見えていないとわかりつつも、何度も何度も頭を縦に振る。「…きちんと事件を解決して、胸を張って、っ…戻って来ます、」彼にも、彼を支えてくれる相手やダンフォードにも、恥ずかしい姿は見せないと涙に邪魔されながらも強い意志の元でそう返事をしては、一度だけ小さく鼻を啜った後「クレアさん、ありがとうございます。」とお礼を紡ぎ )



  • No.4194 by アルバート・エバンズ  2024-04-21 01:03:46 

 







( 相手の決意が籠った言葉に、クレアは微笑みつつ頷くと同時に『何かあったらいつでも電話して、』と元気付けるように告げつつ、彼女なら大丈夫だと確信していた。---エバンズは精神的なものも重なっているのか、肺の炎症が落ち着くのに通常の患者よりも時間を要し高度集中治療室を出る事ができたのは今朝の事だった。その間に彼自身の人格を否定するような______無理矢理事件とこじ付けたような内容の新たな記事が週刊誌に掲載されたものの、世間の関心を引き付け続ける程の掴みはなく、レイクウッド署の前からは少しずつ記者が減り始めて。一般の入院病棟に戻りはしたものの、酸素マスクは未だ外れず微熱も残っている状態。安定剤によって酷い発作は抑えられているものの、ダンフォードにもクレアにも多くを語らず、事件の幻影に苦しんでいる事は手に取るように分かった。 )







 

  • No.4195 by ベル・ミラー  2024-04-21 01:33:21 





ルイス・ダンフォード



( __高度集中治療室から一般病棟に戻ったのは喜ばしい事だったが、だからと言ってエバンズの肺炎が治った訳でも退院が出来るまでに回復した訳でも無い。それでもガラス越しなどでは無く手の届く距離で相手の側に居られる状況は酷く安心出来るもので。事件から12年目は相手の心を傷付けるだけ傷付けて静かに過ぎ去り、けれどもまだその余韻を確りと残している。例え事件の報道がされなくなり世間が再び日常に戻ろうとも、相手の時間はあの時から止まったままだ。酸素マスクを付けて静かに呼吸を繰り返し、まるで遠くの過去を見ているような瞳を覗き込み『コーヒー買いに行って来るが、お前は何がいい?』と問い掛ける。その際目にかかる前髪の束を軽く払ってやり )



  • No.4196 by アルバート・エバンズ  2024-04-21 12:05:20 

 






( 此方を覗き込むダンフォードと視線が重なると、自分は要らないと小さく首を振り。定期的に病室を訪れる2人に余計な苦労を掛けていることもやるせない、休みが長引き仕事に復帰出来ずにいる不甲斐なさや、重たく沈んだままの気持ちを抱えたままでいて。相手がコーヒーを買いに部屋を出た後、廊下を歩く革靴の音が聞こえた。其れは入院患者の見舞客か、回診の医師のものだったのだろうが思い出されるのはひとつ。ルーカスの分も苦しめと言った彼の顔が思い出されて、思わず喉元に息が引っかかる。僅かに身体を横向きに、ベッドの手すりを握り締めると上擦り始める呼吸に耐えながら苦しげに表情を歪めて。 )







 

  • No.4197 by ベル・ミラー  2024-04-21 12:37:20 





ルイス・ダンフォード



( 何も要らない、と首を振った相手に『わかった。』とだけ答えて部屋を出る。同じ階の奥にある休憩室の自販機で温かいカップコーヒーを買いその場で立ったまま一口啜れば、喉を通り胃に落ちた苦味が僅かに曇る心を晴らした__ような気がした。それからもう一口飲み、まだ半分以上中身の残るそれと共に廊下を進み再び相手の居る病室に戻ったのだが。数分前までベッドに静かに横たわって居た筈の相手は、手すりを握り締めゼェゼェと荒い呼吸を繰り返しているではないか。不味い、と小走りに駆け寄りベッド脇の台にカップを置けば『エバンズ、大丈夫だ。』と、声を掛け背中を擦り。その際外れてしまわないようにと相手の口元にある酸素マスクを軽く押えて )



  • No.4198 by アルバート・エバンズ  2024-04-21 13:36:25 

 






( 事件の日の光景が脳裏に焼き付きて離れない。いつか見せられた血の気のない妹の写真と、床に倒れた子どもたちの姿が鮮明に思い出され、思わず縋るように相手の手を掴んでいた。未だに肺に引っ掛かるような重たい痛みは幾らか残っていて、背中を摩られる感覚を感じながら懸命に呼吸を繰り返す。酸素マスクを抑えられるさりげない動作によって思い出されたのは、苦痛を与えようと胸を押さえつけた“彼”の動作。そして楽になる資格などないと酸素マスクを外された事。「_____ッ、」僅かに表情に恐怖心が滲み、掴んでいた相手の片手を離すとマスクを抑える方の相手の手を退かそうと、喘ぐような呼吸ながら力を込めて。 )






 

  • No.4199 by ベル・ミラー  2024-04-21 14:13:46 





ルイス・ダンフォード



( 小刻みに上下する背中を何度も擦る中で一瞬褪せた碧眼と視線が交わった。しかしその瞳には何故か恐怖の色が浮かんでいて、続け様に酸素マスクを押える此方の手を外そうと力を込められるものだから、思わず背を摩る手が止まる。少しの驚きを含んだ声色で『エバンズ?』と、呼び掛けた所で“誰か”と勘違いしている可能性が浮かぶと、一先ず何に対してなのかわからぬ恐怖心を取り払う事が先だろうと抗う事をせずに静かに酸素マスクから手を離し。『大丈夫だ。…俺が誰かちゃんとわかるな?』背中に添えた手は相手の身体を支える為に、もう片方の手で次は酸素マスクでは無くコメカミ付近を緩く撫で、その瞳に自身の姿を映す為に少しだけ顔を近付けつつ落ち着かせるように、宥めるように、話し掛けて )



  • No.4200 by アルバート・エバンズ  2024-04-22 04:03:11 

 






( 相手の手が離れた事で張り詰めていた恐怖は僅かばかり緩み、同時に促されるようにして視線が重なった相手の顔を認識すると問い掛けに小さく頷いて。上擦った呼吸は直ぐに落ち着く事はなかったものの、宥めるようにこめかみ辺りを緩く撫でる相手の優しい手に自分の手を重ねると、緩く握りしめて。週刊誌の記事のこと、事件のこと、クラークのこと______思い出すだけでどうしようもなく苦しくなる。相手の手を握り締めたまま、浅い呼吸を懸命に繰り返し苦しさを逃そうとして。 )







 

  • No.4201 by ベル・ミラー  2024-04-22 08:50:05 





ルイス・ダンフォード



( 再び瞳が重なった相手が静かに頷くのを見て、それで良いとばかり軽く微笑む。髪を梳く様な動きでコメカミ付近を撫で続けながら、恐怖心が僅か薄まったのを感じて反対側の手で軽く酸素マスクの端に触れると『__これは、お前が付けてていい…必要なものだ。』と告げる。あの一瞬見せた恐怖の色が何処から来たものか、何に対してのものなのかはわからないが、背に触れた事に関してでは無いと直感的に感じたのだ。だからこその言葉を選び、後は未だ呼吸の安定しない相手が一秒でも早く楽になるのを待つ為に、頭から手を離し再び背を緩く擦ってやり )



  • No.4202 by アルバート・エバンズ  2024-04-25 09:52:31 

 






( 言い聞かせるように紡がれた言葉に少しばかり怯えたような色が薄れると、背中を摩る手に意識を向ける。苦痛を取り除くために手を貸してくれている相手に促されるようにして、少しずつ気持ちが落ち着くと、今は楽になっても良いのかもしれないと思えた。やがて上擦っていた呼吸は酷い発作を引き起こすまでに悪化することはなく、少し掠れた正常なものへと戻り。 )






 

  • No.4203 by ベル・ミラー  2024-04-25 16:11:03 





ルイス・ダンフォード



( 一度呼吸が正常に戻れば、後はよっぽどの事が無い限り今直ぐ再び狂う事は無いだろうと安堵する。安定剤や解熱剤がその効果を発揮し、相手の苦しみを一時でも落ち着かせてくれるのも近いだろうか。背中を擦る手は止めぬままに『少し休め。』と一言声を掛け。_それにしてもあの瞳に浮かんだ恐怖の色は何だったのかと思案する。過去の記憶に苦しむ姿を見るのは決して初めての事では無いが、あそこまで目に見えてわかる“恐怖”を宿した瞳は初めて見たように思うのだ。考えている内に背を擦る手が止まり、ただ黙したままに相手を見詰めて )



  • No.4204 by アルバート・エバンズ  2024-05-01 22:09:04 

 






( クラークの一件について、誰かに話す事はしなかった。それはいつか、妄言だと決めつけた医者が居たからか、或いは彼の存在自体を口にする事に言い知れぬ恐怖を感じるからか、話すまでの事ではないと思ったからか。自分でも理由は分からないが、ダンフォードにもその話をする事は選ばず、やがて再び眠りに落ちていて。---あと数日もすれば酸素マスクがなくても正常に呼吸が出来るようになるだろうと考えていたアダムス医師だったが、そもそも当初は此処まで重い症状が長引くとは想定していなかった。勿論日常的な揺らぎや捜査に追われて体調を崩す事も多々あるが、ミラーの存在がエバンズを主に”精神的に“支えていたのだと言うことを改めて知る結果となった。 )






 

  • No.4205 by ベル・ミラー  2024-05-01 22:37:17 





( 相手が眠りに落ちたのを見届けたダンフォードは、心に巣食った僅かな疑念を残したままに一先ず残して来た仕事を片付ける為に病室を出、署へと戻り。__時刻は午後16時を少し過ぎた頃。難航していた事件が漸く揺るぎない犯人逮捕の証拠を見付けた事で解決する事が出来たミラーは、派遣先の署員達に挨拶を済ませるや否や警視正にメールを送り、レイクウッド署に戻るよりも先に車を飛ばしエバンズが入院していると聞かされた病院へと来ていた。駐車場に車を停め、助手席に上着を放り投げたまま鞄だけを引っ掴み、長い髪を後ろ一つで纏めたその姿は捜査終わりそのもの。駐車場から正面玄関までは全速力で、院内へと足を踏み入れれば早足で。入院病棟の詰所で看護師から、“エバンズは高度集中治療室から一般の病室に戻った”という旨の話を聞き、泣きたくなる程の安堵を胸に教えられた病室へと向かえば扉の横の壁には相手の名前があり。やや乱れた呼吸を落ち着かせ、扉を二度ノックする。「…失礼します。」と声を掛けて扉を開け病室へと入れば、真っ白なベッドの上に横になる相手の姿が視界に飛び込んで来たものだから、安堵も、やるせなさも、後悔も、何もかもの気持ちがごちゃ混ぜに「__…エバンズ、さん、」呼んだ名前は詰まり、情けなく震えて )




  • No.4206 by アルバート・エバンズ  2024-05-01 23:06:42 

 






( 相手が病室に来た時は、浅い眠りの中にいた。胸は普段よりも僅かに浅く上下し、マスクの中に籠った呼吸音が響く。ふと、声が聞こえた気がして目を開いたのは相手が呼び掛けてから数十秒後の事。褪せたブルーの瞳に窓から差し込む光を受けて、やがて隣へと視線を向ける。相手に最後に会った日と比べれば、だいぶ窶れた印象を与えるだろう。白い肌は肉が落ちた事で薄く、目元のクマを濃く見せる。相手と視線が重なり少しして「_____ミラー、」と相手の名前を呼んだ。相手が此処に居る事に対する僅かな驚きが含まれた、ここ最近では少しばかりはっきりした声色。入院している事を相手に知られていた事への疑問や弁明よりも、何よりも先に出て来たのは「…事件は、解決したのか、?」という言葉だった。 )







 

  • No.4207 by ベル・ミラー  2024-05-01 23:36:06 





( 真っ白の壁、真っ白の天井、真っ白の布団。その中で眠る相手を出会ってから何度見て来ただろう。その度に心臓に無遠慮に冷たい氷を押し付けられた様な痛みと恐怖を覚えるのだ。けれど相手は何時だって必ずその褪せた碧眼に光を通す。今だって。それを見て、今度は泣き崩れたくなる程の安堵を覚える。__繰り返し、繰り返し、そうやって時間は進むのだろうか。緑と碧が交わり相手の薄い唇が僅かに開き、そこから漏れた声に何度も首を縦に振る。“ミラー”の名前に応える様に、そうして続けられた問いに答える様に。一歩小さく踏み出された片足を切っ掛けに、後は心に従うまま小走りで駆け寄れば、途中相手の輪郭が歪み涙を堪えられなかった事を自覚する。その涙が頬を伝う事は無いが、たっぷりと濡れた瞳のまま腰を折り相手の頭を抱く様に腕を回し、「…ちゃんと、終わらせて来ました。」一度小さく鼻を啜って言葉にしたのは上司である相手に対する報告。行動と言葉のアンバランスさはそのままに震える息を僅かに吐き出しては「…間に合わなくて…大事な時に、エバンズさんの近くに居たかったのに…、…ごめんなさいっ、」事件から12年目の日、セシリアの命日、己が相手の側に居たからと言って相手の苦しみが無くなる訳では無く、あくまでも此方の勝手で、エゴだとわかって居るが間に合わせたかったのだと謝罪を口にして )




  • No.4208 by アルバート・エバンズ  2024-05-02 00:40:23 

 






( 初めての1人での出張、捜査の進捗が思わしくなく帰る事が出来ないという電話を受けた時もその後も、不安定になるあの日に自分の側に居て欲しいと願うよりも相手の事がずっと気掛かりだった。だからこそ、例え時間を要したとしても相手が事件に区切りを付けて戻ってきた事は喜ばしい事だった。相手からの報告に「_____よくやった、」とひと言答える。上司らしい威厳もない状態ながら、相手の働きを労う必要があると思った。---あまりにも苦しい時間だった。追い詰められ、妹に想いを馳せる事も出来ないままに過ぎてしまった節目の日。謝る事はないと小さく首を振るも「……セシリアに、悪い事をした。墓参りにも行ってやれずに…」と言葉を紡ぎ、あの日の事を、そしてその夜の事を思い出し喉の奥がぎゅっと苦しくなるのを感じて浅く息を吐き。 )







 

  • No.4209 by ベル・ミラー  2024-05-02 01:24:20 





( 酸素マスクに阻まれやや籠った声だったが、聞き逃す筈が無い。1人出張に行き時間こそ掛れど事件を解決してこの場に戻って来た己に対する最大級の労いの言葉。腕を解き、思わず弾かれた様に顔を上げ間近で相手の顔を見る。こんなにも窶れ、絶望の中に居ても心配し気に掛けてくれていたと言うのか。__“アルバートは貴女が全力で捜査に取り組む事を望んで、自分なりに努力した過程を評価する筈よ。”__ふ、と今度はクレアの言葉が脳裏を過ぎった。再び緩む涙腺を落ち着かせる為に一度深呼吸をして、それから少しだけ態とらしくも見えただろうか、誇らしい笑顔で「エバンズさんの部下だからね。」と、答え。__相手の苦しげに吐き出された言葉でハッとした。ずっと入院していた相手は大切な日にお墓の前に居る事すらも出来なかったのだ。それに気が付いた時、次に脳裏を過ぎったのは誰かの言葉では無く鮮明に浮かんだ“腕時計”。後は考えるよりも先に身体は動き、「エバンズさん、少しの間待ってて。…鍵借りるね、」ベッド脇の台の下、置かれている相手の鞄の中から家の鍵を取り出すと、相手が何かを言うよりも先に足早に病室を出て行き。___それから凡そ30分。次に病室の扉を開けた時、その手には“セシリアの腕時計”があり「……勝手に持って来ちゃってごめんなさい。でもこれ、今はエバンズさんの側にあるべきだと思って。」少しばかり切なさを含んだ柔らかな笑顔で、宝物を手渡す様に、その時計を静かに相手の掌へと移動させ。「少しくらい遅れても、きっと許してくれる。…折角会うなら少しでも元気なエバンズさんの方が、セシリアさんも安心する筈だよ。」ベッド脇の椅子に腰掛けつつ、まるで“お墓”では無く“生きている妹”に会いに行く話の様に、言葉を続けて )




  • No.4210 by アルバート・エバンズ  2024-05-02 07:13:19 

 






( 泣き出しそうな表情から、少しばかり得意げな表情へと変わるのを見てほんの少し口角を持ち上げる。相手は少し前の”何もできない新人“とは違う。1人でも立派に事件を解決へと導ける刑事に成長したのだと思えば心強さも感じ。---鍵を持って病室を出て行った相手が戻って来たのは数十分後の事だった。相手の手にしている物が何かを理解し、其れが掌に乗せられた時、言いようのない感情が一気に込み上がって来るのを感じた。週刊誌の報道で身に覚えのない遺族の証言により一方的に罵られやるせなさを抱えた事、一挙手一投足を悪印象に繋げようと嫌な言葉を投げ掛けて来た記者たちの事、妹の命日に墓参りをしてやる事もできない悔しさ、事件で被害者たちを見殺しにした以上苦しむのが当然だと冷たい目を向けてきたクラークへの恐怖心______ずっとそれらを1人で抱え、苦しくて堪らなかったのだ。報道は、同じく被害者である妹にも申し訳ない内容だった。腕時計を握り締め、抑えきれない涙が溢れるとあっという間に呼吸は浅く喘ぐようなものに変わる。押さえ込んでいた感情が溢れたような、子どもが泣きじゃくるような息遣い。「…っ、セシリア……!」妹の名前を紡ぐのが精一杯だったが、腕時計は握り締めたままで。 )








  

  • No.4211 by ベル・ミラー  2024-05-02 10:00:57 





( 相手の“こう言う泣き方”を見たのは物凄く久し振りだったように思う。瞳を潤ませ、静かに涙を溢す事は多々あれど此処まで感情を前面に出し嗚咽に邪魔される泣きじゃくり方は滅多に無い。それ程までに辛かったのだろう。苦しかったのだろう。相手の心は既に限界を超えていた筈だ。心無い記者の言葉や記事の内容に心を殺したった1人で耐え、妹の命日に彼女と向き合う事も出来ずそのやるせなさを抱え、ただ真っ白のベッドの上で点滴に繋がれる__こんな時の過ごし方を相手自身が一番望んで居なかった筈。セシリアの名前を何度も呼びながら泣きじゃくる相手に“大丈夫”の言葉は掛けなかった。涙を流す事で後に襲い来る披露や呼吸の苦しさはあるだろうが、それよりも今は閉じ込めた感情を吐き出す事の方が大切だと思ったから。借りた鍵を鞄に戻し、腕時計を握り締める相手の手を包み込む。それから余計な言葉は何も無く、相手の肩を優しく擦り、流れる大粒の涙に構う事無く頬を撫で、相手が此処数日間抱え続けた痛みも苦しみも恐怖も、負と呼べる何もかもの感情が流れ出るその時まで隣で寄り添う事を決めて )




  • No.4212 by アルバート・エバンズ  2024-05-02 12:48:39 

 






( 人目も憚らずに、というのはこういう事だろうか。声を上げて泣くことこそしないものの、抑えきれない嗚咽が漏れ涙が枕を濡らす。ずっと鉛のように重たいものが喉の奥にあるような感覚だった。週刊誌の報道は全て嘘だと訴えたかった、それでも話をした遺族にも何かしらの抱え切れぬ苦しい思いがあったのだとしたら、自分が声を大にして其れを否定する事は正しい事ではないかもしれないとも思ったのだ。1人で耐え切るはずだったのに無様にも署内で倒れ、妹の墓参りにさえ行けなかった事も、気持ちを暗く沈ませた。それでも今、妹の形見を手にして、相手が側にいる事で言いようのない安堵感を感じていた。 )







 

  • No.4213 by ベル・ミラー  2024-05-02 13:14:57 





( 涙で濡れ仄かに赤みを帯びた目元を親指の腹で優しく撫でながら、相手の手の中にある形見の腕時計を一瞥する。既に壊れ秒針を刻む事の無いそれは無機質な物の筈なのに酷く優しい温かさを放つ様に思えて、強い強い想いのある人の魂は物にも宿り、その人を静かに護り寄り添う様な、そんな事が本当にあるような気持ちになるのだ。「__言いたい事ある?」何度も何度も喉元まで出掛かった、音として訴えたかった事が、それでも懸命に飲み込み抱え込んだ言葉と気持ちが、膨れ上がり今にも爆発してしまいそうな思いが相手にはある筈だと思えば、それをもう1人我慢する必要は無いのだと言い聞かせる。感情を吐き出せる様にとさり気無く導きながら全てを聞き届けると )




  • No.4214 by アルバート・エバンズ  2024-05-02 19:41:08 

 






( 葛藤しながら、何度も何度も抑え込んだ思い。「_____週刊誌の報道は全部嘘だ。…遺族にあんな心無い言葉は浴びせていない、…あの時も自分なりに、事件と、遺族に誠実に向き合ったつもりだ…っ刑事を続けているのは、事件を踏み台にしてのし上がる為じゃない。あの事件の犠牲者と遺族に、報いる為だ。俺の気持ちも知らず好き勝手言われて_____白い目で見られて、揚げ足を取られて、悪者に仕立て上げられる、」マスクが白く曇るのも気にせず、初めはゆっくりと紡いでいた言葉は徐々に苦しげな色を含んで強い語気に変わって行く。「……どうしようもなく、苦しかった、」相手の目ではなく、天井を見つめてその言葉を紡いだのは情けない姿を見せている相手に対する精一杯の強がりか。 )







 

  • No.4215 by ベル・ミラー  2024-05-02 20:27:36 





( 静かな病室の中で確かに吐露されていく相手の思い。__あの事件の犯人は罪を償う事無くまるで残された者に全てを背負わせるかの如く自害し、何年、何十年と癒えぬ絶望を知らぬ顔。大切な者を喪った遺族達は怒りも憎しみも悔しさもぶつける相手を無くし、結果的にあの事件に関わりのある今唯一生きている相手へとその憎悪を向ける。行き場を失った遣り場の無い思いをどうやったって消化出来ない気持ちが少しも理解出来ないとは言わない。言わないが。世間が傷付ける相手もまた、刑事であると同時に同じ痛みを知る“遺族”なのだ。「……わかってる。報道の全てが嘘だって事も、エバンズさんの気持ちも。」世間が信じた全てが嘘である事をちゃんとわかっていると、相手を信じていると伝えつつ、“苦しかった”には否定する事無く頭を縦に動かし。これだけの気持ちを吐露して尚、瞳を合わせないのは相手の心に残る最後の強がりか。無理にその顔を覗き込む事をせずに椅子の背凭れへと体重を掛ければ、目元から静かに手を離し。「__セシリアさんと2人で話す?」今此処に在るのは妹では無く腕時計。セシリアでは無いし、微笑む事も言葉を返してくれる事も無い。けれど、それをわかっていて時計に視線を落とせば、“彼女”に言いたかった事があるのならば、2人きりで居たいのならば、と微笑んで )




  • No.4216 by アルバート・エバンズ  2024-05-02 21:14:19 

 






( ダンフォードさんも相手と同じように、分かっていると受け止めてくれた。近しい人はきちんと分かってくれているのだという安堵感は静かに胸に落ち、少しばかり気持ちを落ち着かせた。2人で話すか、という問いには暫しの間を空けた後に「…退院したら、セシリアの墓参りに行きたい、」と答えて。今病室で想いを馳せるよりも、彼女の一番近くで対話をしたいと思っての事。意識が靄掛かっている期間もあり、思っている以上に長い時間病院に居るような気がする。早く身体を回復させ、退院したその時には霊園まで連れて行って欲しいと。 )






 

  • No.4217 by ベル・ミラー  2024-05-02 21:50:13 





( 形見である腕時計と共に想いを馳せるより、お墓参りに行きたいのだと言う要望を聞き届けて腰を上げる事を辞めた。“行く”では無く“行きたい”との言葉で1人で行くのでは無く自分も共に行っても良いのだとわかればそれだけで思わず破顔し。「何よりも優先して行こう。」と、頷いて。__それから数日後。クレアとダンフォードに見送られ無事に退院した相手と共にセシリアのお墓の前に居た。雲一つ無い晴天の下、優しい風が頬を撫でる様に吹き抜け木々の葉が音を奏でる。真っ白の野薔薇がまるで彼女を護る様に墓石に絡むのを見詰めながらしゃがみこみ、備えたのは何時かの日、彼女への贈り物として買ったリップグロス。相手が妹に一番似合う色だと選び、それ決めたのだ )




  • No.4218 by アルバート・エバンズ  2024-05-03 04:02:57 

 






( 吹き抜ける風、木の葉が擦れる音、鳥の囀り。何度来てもこの霊園はとても静かで、まるで此処だけ時間が止まっているかのような錯覚に陥る。白い野薔薇の絡んだ墓石の前に供えられたリップグロスを見て、もし妹と相手が顔を合わせていたらどうなっていただろうかと思う。2人で化粧品の話にでも花を咲かせるのだろうか。そんな事を考えている間、事件の記憶は遠くに押しやられる。今想像の中にいるのは、明るい笑顔を湛えた生前の妹、其処に悲壮は感じられない。一切乱れのない幸せそうな妹の姿を鮮明に思い出せる事は多くはなかったと言うのに。墓の前で手を合わせ、静かに祈りを捧げる。命日に来られなかったことへの謝罪、刑事を辞める道は選ばないという決意、相手が供えたリップグロスの事。ずっと望んでいたように、きちんと妹と向き合って報告する事が出来たという安堵感が胸に落ち。 )







 

  • No.4219 by ベル・ミラー  2024-05-03 09:57:29 





( 静かに手を合わせ祈りを捧げる相手を一瞥する。その表情に今は後悔や苦しみは見られず穏やかなもののように思え安堵が胸に落ちた。再び墓石と向き合い瞳を閉じれば野薔薇の優しい香りや、小鳥の囀り、頬を撫でる風の柔らかさが鮮明に感じられて切なさを感じる場所の筈なのに不思議と温かな気持ちになるのだ。相手も、少しでもそうであったらいい。__静かに瞳を開け視線をまた隣の相手に。妹とどんな話をしているのだろうか。きっと一番初めに来るのが遅れてしまった謝罪をして、もしかしたら日々の生活の中にあった他愛無い出来事を共有したりしているかもしれない。今だけは、この場所でだけは、何もかもの苦しみから一番遠い所に相手の心が在って欲しいと、そう思わずには居られないのだ )




  • No.4220 by アルバート・エバンズ  2024-05-03 14:03:26 

 





( 仕事に復帰したのは、相手と共に墓参りに行った日から1週間ほど経ってからだった。新たな事件捜査を担当する事になったのは、其れからさらに数ヶ月後の事。---19歳の女子学生が失踪し、彼女の乗っていた車だけが発見されたという。当初強盗誘拐事件と睨んでいたが、要求の電話なども無いため殺人事件に切り替えて捜査をする事になったと話が降りて来たのが今朝の事。執務室にやって来て状況を説明すると、君に捜査を引き継いで欲しいと言った警視正だったが、近頃は“ミラーと2人で行ってくれ”と言うまでもなく資料を2部渡すようになり、此方もまた其れに特段の疑問を感じる事もなくなっていた。「______ミラー、出掛けるぞ。女子大生が失踪、殺人事件として捜査を引き継ぐ。」執務室の扉を開けてフロアの自席に居る相手へと声を掛けると、コートに袖を通しつつ必要最低限の説明を。 )







 

  • No.4221 by ベル・ミラー  2024-05-03 14:42:22 





( __相手から声を掛けられたのは、自席にて証拠品の纏めを打ち込みそれに丁度一段落が着いた時だった。手渡された資料に目を通し、聞かされた必要最低限の説明と共に今回の事件の概要を頭に叩き込む。強盗誘拐事件から殺人事件へと切り替わっての引き継ぎ捜査と言う事は、既に被疑者として浮上している人も居るだろう。今わかっている人達にもう一度直接話を聞くのと、失踪した女子大生の家族にも会う必要があると思いつつ頷けば「先に彼女の家に行きますね。」と、相手と共に署を出て )




  • No.4222 by アルバート・エバンズ  2024-05-03 15:51:46 

 






( 相手と共に女子大生の家へと向かうと、両親は憔悴した様子で自分たちを家の中へと迎えた。『どうか娘を見つけてください!何処かで1人閉じ込められているかもしれない…監禁されて助けを求めているかもしれないでしょう?!』此れから自分たちが捜査に当たる旨を伝えると、母親はそう語気を強めた。捜査は殺人事件として動いているものの、確かに彼女が何処かに監禁されている可能性もある。殺人事件だと断定する事は出来ないが、未だ生きているかもしれないと期待を持たせる事も得策とは言えず「…全力で捜査に当たります。」とだけ答えた上で「ここ数日、お嬢さんに何か変わった様子はありましたか?」と尋ねて。『変わった様子なんてありませんでした。本当ならあの子が居なくなった翌日、リリーの恋人が挨拶に来る予定だったんです。幸せだったはずなのに、どうして…!』と、母親は顔を覆った。 )







 

  • No.4223 by ベル・ミラー  2024-05-03 16:45:11 





( 言い方こそ悪いが遺体が出て無い以上確かに母親の言う通りまだ生きている可能性は0では無い。突然失踪した娘の安否を信じ語気を強める彼女の肩を軽く擦り相手の言葉に同意するように数回頷いて。続けられた供述を手帳にメモする中“恋人”の単語が出ればペンを走らせる手を止める。両親への挨拶を翌日に控えて居た幸せな女性の失踪__彼女の恋人が何かを知っている可能性が強いと思えば「リリーさんの恋人は“ジェイ・マレック”さんで間違い無いですか?」と尋ねる。予め受け取った資料には【ジェイ・マレック】の名前と共に、付近にあるペットショップの店長と書かれていて。母親が肯定すれば次に話を聞くのは彼だろうと )




  • No.4224 by アルバート・エバンズ  2024-05-03 18:16:09 

 






( 相手の質問に母親は『…えぇ、ジェイと呼んでいました。バイト先の店長だって。』と答えて。---ジェイ・マレックは彼女が働くペットショップの店長。相手と共にペットショップを訪れると、子猫や子犬、鳥などがゲージに入った店内に足を踏み入れる。「_____ジェイ・マレックさんですね。レイクウッド署のエバンズです。此方はミラー。リリー・ブラントさんの件で少しお話を伺えますか。」と、声を掛けて。ジェイは少し気落ちした様子ながら、要件を直ぐに理解すると奥の事務所へと案内され。『リリーは未だ見つかっていないんですか?彼女が失踪する理由なんて…』ジェイは椅子に座ると手元へと視線を落として。 )






 

  • No.4225 by ベル・ミラー  2024-05-03 19:09:52 





( __動物特有の香りがする店内の奥、事務所へと案内されれば開口一番リリーの安否を確認するジェイに頷き「今、全力で捜査にあたっています。」と答え。それから手帳を取り出し彼を真っ直ぐに見詰め「貴方とリリーさんは恋人同士で、ご両親の家に挨拶に行く筈だったとお聞きしましたが、彼女と最後に会ったのは何時ですか?」続けた質問を。リリーの姿を最後に見た場所を、人物を、特定し早急にと思うのは、捜査こそ殺人事件として進めているが生きている可能性の希望がまだ残っていると思っているからで )




  • No.4226 by アルバート・エバンズ  2024-05-04 00:57:31 

 





( 「僕が最後にリリーに会ったのは、ご両親に挨拶をしに行く日の朝です。」と、ジェイは答えた。此れまではその前日の目撃情報が最後だった為、少なくとも彼女は挨拶を予定していた日の朝までは事件に巻き込まれる事もなく過ごしていた事になる。---両親への挨拶の朝、リリーはジェイを家まで迎えに来たと言う。しかしジェイは体調が悪かったため、リリーは一度1人で両親の元へ向かったと言うのだ。しかしその日リリーは家に戻っていないため、ジェイの供述が正しければ、彼の家を出た後に何かしらの事件に巻き込まれた事になる。 )





 

  • No.4227 by ベル・ミラー  2024-05-04 10:37:48 





( 彼の供述が正しいのならばリリーは両親への挨拶の朝、ジェイの家から両親の家に行く迄の少しの時間で失踪した事となる。ジェイは本当にリリーと朝会ったのか。両親は本当に朝娘に会って無いのか。__今の段階では何方の供述も確実では無く情報が足りない。一先ずジェイの話を手帳に書き記しはするがこのまま次なる情報を取りに行くか、署に戻り先の進みを話し合うか。「…エバンズさん、」その判断は指揮官である相手に従おうと小さく名前を呼び軽く視線を向けて )




  • No.4228 by アルバート・エバンズ  2024-05-04 11:42:14 

 





( ジェイからはそれ以上の供述は出ず、同時に体調不良で家で休んでいたと言う以上アリバイも立証されない。もう少し他の被疑者についても調べる必要があると思えば「…また改めてお話を伺います。」と告げ、一度署へと戻る事とし。---「被害者に好意を持っていた人物がジェイとの関係を知り、暴走して連れ去った可能性も考えられるな。」署の執務室で相手と向かい合い、考えられる他の可能性について言及し。 )






 

  • No.4229 by ベル・ミラー  2024-05-04 12:20:46 





そうだね。…ジェイの話が真実か確かめるのと同時に、もう少し情報が欲しい。
( 相手が言及した“他の可能性”に頷き同意を示せば次なる被疑者に話を聞く必要があると書類を捲り。__署を出る前、証拠品の纏めを終わらせてからと思っていた為に後回しにした昼食をとり損ねた事を思い出したのは小さくお腹が鳴ったから。「何か食べないと頭が働かない。」と一言呟きデスクに置かれている相手のマグカップを勝手に持ち部屋を出れば、給湯室に置かれている自分のマグカップと二つに紅茶を注ぎ。一度デスクに立ち寄り引き出しの中に入れて置いたチョコレートを掴み再び相手の部屋に戻る。相手にマグカップを手渡しつつ、「5分だけ休憩させて。」と、チョコレートの包み紙を破いて )




  • No.4230 by アルバート・エバンズ  2024-05-05 10:39:51 

 






( 先ずは彼女に好意を持っていた人物が居ないか、最近何か悩んでいる事はなかったかなど、大学とバイト先でそれぞれ聞き込みをすべきだろう。同時にまだ見つかっていない本人を早急に探す必要もある。そんな事を考えながらパソコンの視線を向けているとマグカップを差し出され、視線を相手へと向けると温かな紅茶を受け取る。自分もデスクの引き出しからアーモンドチョコをひとつ取り出すと其れを口に放り込んで。---先ずは大学で聞き込みをしようと、その後再び相手の車に乗り彼女が通っていた大学へと向かい友人を探し。 )






 

  • No.4231 by ベル・ミラー  2024-05-05 11:44:39 





( __大学に着けば正面玄関で教授が出迎えてくれた。リリーの失踪の件で生徒達に話を聞きたいと告れば既に大学間では周知の事実で、教授は然程悩む事も無く『彼女のクラスでしたら後数分で授業が終わりますので、その後なら。…そこの突き当たりの教室です。』と答え廊下の奥に視線を向け。広い大学内、手分けした方が効率が良い筈だと思えば「私は他の生徒達に話を聞いて来ます。」と、彼女のクラスは相手に任せ別の階へと進む事とし。__授業終了のチャイムが鳴ったのは丁度相手が教室の前に来た時。ザワザワと騒めく生徒達の中、数人のグループが相手の姿を見てヒソヒソと何かを話、続いてその内の1人が不謹慎にも何処か楽しげな笑みを浮かべ『ブラントの失踪事件を担当してる警察ですか?コイツ、ジョンって言うんですけどブラントに好意があったんですよ。』と話し掛けて来て。彼に話題とされた男子生徒は何処か困った様な表情で相手を見上げ )



  • No.4232 by アルバート・エバンズ  2024-05-09 22:39:08 

 






( 授業が終わり教室から出てくる学生たち。学校のような場所では、普段校内では見掛けない刑事の姿に好奇の目が向けられる事も多いため、其の反応には慣れていた。しかし不意に声を掛けられると、ニヤついた表情の男子学生と視線が重なる。リリーに好意を持っていたという男子学生は何処か気弱そうで、彼に言い返す事も出来ない様子だった。「…そうか。君自身はどうだ、何か彼女に関して知っている事______彼女とはどう言う関係だ?」ジョン、と呼ばれた男の存在を把握し話を聞くと決めた上で、何処かヘラヘラしている男に視線を向けたまま話を聞こうと、にこりとする事もなく問いを投げ掛け。 )







 

  • No.4233 by ベル・ミラー  2024-05-10 13:23:57 





( 微笑む事も無く、誰がどう見ても極力話し掛けたくは無い無表情の相手を見て流石に男子生徒も口元のだらしない笑みを引っ込めた。そうして相手の圧に何処となく居心地の悪そうな表情で『…まぁ、俺は別に何も無いですけどね。』とぼそり呟くと、もうこれ以上話は無いとばかりに先程までの威勢の良さは何処へやら、そそくさとその場から離れて行き。一方取り残されたジョンは相変わらず困った表情のままに去って行った男子生徒と相手を交互に見遣った後、『__リリーに好意があったのは本当です、』と控え目ながら話を切り出し。この場を去る事も出来たのだが、結局後々話を聞かれるだろうと思っての事で )




  • No.4234 by アルバート・エバンズ  2024-05-12 11:27:53 

 






( 友人を面白おかしく差し出しておいて自分は何も語らないのかと冷ややかな目を向けたものの、引き留める事をしなかったのは現時点で被害者との繋がりはかなり薄いだろうと判断したから。逃げる事をせず、彼女への好意を認めたジョンと向き合い手帳にメモを取ると「彼女に恋人がいる事は知っていたのか?」と尋ねて。ジョンは、恋人が居ることは知っていたと答えた上で『…でも、リリーは時々僕とデートをしてくれました。誕生日の日やバレンタインデーの時だって、花やプレゼントを受け取ってくれたんです。』と告げて。果たしてそれは純粋な好意だったのだろうか。いつしか彼女が自分の物にならない事に怒りを覚え、手を掛けるまでに至った可能性はないか。_____相手の供述をメモに取りながら、急に刺すような頭の痛みを感じこめかみ辺りを抑える。ズキズキとした痛みは思考の邪魔をして、彼に何を尋ねれば良いのか一瞬分からなくなった。「……彼女はどういう反応だった。」と少しの間を置いて尋ねると、『とても幸せそうでした。僕もリリーが隣にいてくれて幸せだったんです。…でも、恋人がいるからと告白に答えてくれる事はありませんでした。』と。 )






 

  • No.4235 by ベル・ミラー  2024-05-12 12:29:06 





( 相手の表情が一瞬僅かに変わった事で、ジョンは何か気に触る様な事を言ってしまっただろうかと不安げに瞳を揺るがしたのだが、調子の悪さまでを感じ取れる事は無かった。__一方ミラーは他所のクラスの人達や教員に話を聞きに回っていた。教員達はリリーの事を“優しくて真面目な生徒。”と答え、生徒達は“可愛い人、結構モテてる印象。”と答える人が大半だった。これと言って特別彼女の行方に関係する証言は得られなかったものの、一先ず聞き込みした情報を引き連れ相手の所まで戻れば、話を聞かれている男子生徒と目が合い軽く会釈をし。相手の半歩後ろで話の続きを聞こうと )




  • No.4236 by アルバート・エバンズ  2024-05-12 14:51:51 

 






( 失踪した彼女の遺体が見つかっていない以上詳細な犯行時間は絞り切れないが、彼女が失踪したと見られる日の朝の行動を尋ねるとジョンは『その日は休みだったので、お昼頃まで1人で寝ていました。』と答えた。一人暮らしのためアリバイの立証は出来ない。「…また話を聞きに来る。何か思い出した事があれば連絡してくれ。」そう告げると彼を残して踵を返し、隣の相手に「…ジョンとリリーの関係に対する客観的な意見が欲しい。」と、クラスメイトに聞き込みをしたい旨を伝えて。それと同時に「_____鎮痛剤を持ってないか、」と相手に尋ねる。普段薬が必要なほどの頭痛に悩まされる事は然程多くないため、市販の鎮痛剤は持ち合わせていなかった。 )








 

  • No.4237 by ベル・ミラー  2024-05-12 15:22:07 





( アリバイの立証が出来ない以上彼もまた被疑者の枠から除外する事は出来ない訳で。次の授業の準備の為小走りで去って行く背中に数秒の視線を向けた後、相手の要望に首を縦に振れば「わかりました。…彼女、結構人気だったみたい。ジョンの他にも好意を寄せていた人がまだ居るかもしれません。」先程の聞き込みの中、多くあがった“モテる人”と言う情報を伝えつつ。続けられた問い掛けには思わず「え、」と声が漏れた。それは安定剤以外の薬を求められた記憶があまり無かったからかもしれない。「あるけど__、調子悪い?」取り敢えず常備している市販の鎮痛剤を鞄のポーチから取り出し、2錠を手渡して。その際最早癖のようなものになっているのか、相手の顔色、それから頭の天辺から足の爪先までザッと視線を流して )




  • No.4238 by アルバート・エバンズ  2024-05-13 00:45:52 

 






( 相手から手渡された鎮痛剤を受け取りつつ礼を述べると「_____いや。気圧か何かの影響だろう、頭痛がする。」と、体調には問題が無い事を告げて。普段頭痛に悩まされる事は然程多くはないものの、今日はこめかみの辺りがズキズキと痛む。痛む箇所に指で軽く圧を掛けつつ、車に戻ったら薬を飲もうとジャケットのポケットへと薬のシートを滑り込ませて。---その後、食堂で先程のヘラヘラしていた男子学生の姿を見つけ、談笑しているグループの元へと近づいて行くと彼はギョッとしたような、バツの悪そうな表情を浮かべた。ジョンとリリーの関係性について尋ねると、彼と話していた女子学生が『…正直ちょっとキモかった。だいぶしつこく言い寄ってたから、あの子も断りきれなかったみたいだし。』と答え、彼も自分の証言は間違っていなかったとばかりに頷いて。その後数人のクラスメイトに話を聞けたものの、ジョン本人の感じ方と他の学生からの意見はあまり一致しない結果となり、署に戻るべく相手と車に戻って。 )







 

  • No.4239 by ベル・ミラー  2024-05-13 13:29:21 





明日から雨らしいし、その影響かな。…無理しないでね。
( 頭痛とはこれまた珍しい、とは思うのだがそう言えば今朝のニュースで此処数日は雨が続く予報だとやっていたのを思い出し特別重要に捉える事も無く。__ジョンとリリーの関係についての客観的な意見は彼が話したのとは掛け離れているようだった。彼にとっては純粋な好意だったのかもしれないがそれが行き過ぎた可能性は拭い切れ無い。相手と共に車に戻り先程の錠剤を飲む様子を見ながら「…自覚の有る無しに関わらず、ストーカー行為に発展してた可能性もあるよね。」と、告げ署へと車を走らせて。__相手専用の執務室にて2人で聞き込みの内容を整理する。証言を書き留めた手帳を捲りながら「ジェイはジョンの存在を知ってたのかな?……もし知ってたなら、自分と付き合っていながら確り断る事も無く曖昧な接し方をしてたリリーと口論になって、思わず殺害してしまった可能性も。怒りが男性側に向かない人も居るし。」考えられる可能性を口にし、言葉の終わりに顔を上げ相手に視線をやり )




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