白む空に燻る紫煙 ---〆

白む空に燻る紫煙 ---〆

刑事A  2022-01-18 14:27:13 
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待ち人有り。



 

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  • No.4158 by アルバート・エバンズ  2024-03-09 15:33:17 

 






( 彼に対する相手の想いを知っているからこそ、気持ちはよく分かる。きっと相手の言う通り全てが真実ではないのだろうが、険悪な空気の中に居ても、白い目で見られていると分かっていても、彼は其れを否定したり感情を露わにする事をしなかった。矢面に立ったまま、自分を庇う事もせずに矢を受け続けているような______相手の言う通りたった一人で耐え続けているかのようだった。『警部補を見ていて…自分を庇う事をしない人なんだと思った。分かりやすく嫌な空気を出してる人なんて一蹴しちゃえば良いのにって私は思うけど、警部補は見ないふりをするだけ。ベルが代わりに怒ってた理由がちょっと分かったかも。』相手が居ない間、遠目に彼の事を見ていて思った率直な感想を言葉にする。同時にいつも彼の事で、自分ごとのように怒っている相手を思い出して少しだけ困ったように笑うと『ベルも1人で大変でしょ。あんまり焦り過ぎないで、でも早く帰って来るのを待ってるから。』と、敢えて悪戯に少し矛盾した言葉を掛けて。『そうそう、こっちは応援でダンフォードさんが来てるよ。署内の雰囲気が良くなると良いんだけど、』と付け足して。---ふと意識が浮上した時、目に入った時計はあの瞬間と同じ時を指していた。当時の捜査官が銃声を聞いたと後に証言したのは、午後3時26分。何も変わらないまま時だけが過ぎて12年が経ってしまった。耳の奥で連続する銃声が聞こえるかのような感覚を覚えたものの、意識はぼんやりしていた。安定剤の効果に加えて、度重なるストレスや不眠によって免疫が下がったのか熱があるようで身体は酷く重たく感じて。視線を動かせばベッドの隣にはダンフォードの姿があり「……ダンフォードさん、」と小さく相手の名前を紡いで。 )








 

  • No.4159 by ベル・ミラー  2024-03-10 00:50:54 





( __そう、サラの言う通り相手は“見ない振り”をするのだ。それは決して自らの心を守る為の行為では無く何方かと言えば“諦め”。そしてきっと諦めと同じくらい強い“自己犠牲”と“贖罪”。あの事件で悪いのは間違い無く自殺した犯人ただ1人なのに、相手はあの時人質となった人達を助ける事が出来なかった、と言う罪を背負い続け、悪いのは自分だと降り掛かる全てをその身に受け続ける。「…もっと、自分を許して欲しい。」どれだけ願っても今の彼には届く事の無い思いを溢した後は、これ以上暗い気持ちにさせまいと此方を気遣い敢えて悪戯な言葉を選んだ相手の優しさに小さく笑い、「帰りを待たれてるって最高。居場所があるっていいね。」と、同じく悪戯に言葉を返しつつ「__そっか…うん、それ聞いて少し安心した。ダンフォードさんが居るならきっと直ぐに良くなるよ。」思いもしなかった応援相手に僅かに胸を撫で下ろしてはまるで自分にも言い聞かせる様に頷き。それから少しの時間互いに他愛の無い話をし、エバンズの事で何かあれば連絡をして欲しい旨を伝え電話を切って。__ふいに弱々しい声で名前を呼ばれ、視線を向ければ目を覚ました相手が此方を見ていた。安定剤の影響か、褪せた碧眼にはぼんやりとした色が纏っていて意識が確りしているのかも怪しい所。『…嗚呼、』呼ばれた名前に軽く頷き応えては、『まだ寝てて構わない。』と、緩い笑みを口角に携えて )




  • No.4160 by アルバート・エバンズ  2024-03-10 22:11:46 

 







( 昨晩相手と会った時には言及しなかったものの、相手がレイクウッドに来る予定だという事は聞かされていなかった。だとすると自分が今日の休みを取った事で急遽応援を要請したのだろうか。「_____迷惑を掛けてすみません、…」署での応援業務以上に負担を掛けていると謝罪の言葉を口にしたものの、意識は朧げで苦しそうに息を吐き。本来一番しっかりしていなければならない今日という日に、自分自身が治療を受けているというのはなんと情けない事か。「……妹の目が、忘れられないんです…恐怖の中に、ほんの少しの安堵と信頼が確かにあった______俺たちが来たから、きっと大丈夫だと思ってくれていたに違いない、…其れを、裏切った。」酸素マスクに阻まれて僅かにくぐもった声で、朧げな意識の中不意に言葉を紡ぐ。胸が押し潰されそうに痛い、今はフラッシュバックを起こすほどに鮮明な記憶ではないものの忘れられない瞬間だった。安定剤が効いている為か時折ふと意識が遠のくように眠りに引き込まれそうな瞬間がある。深く息を吐くと目を伏せて。 )







 

  • No.4161 by ベル・ミラー  2024-03-11 00:09:58 





ルイス・ダンフォード


( 相手は朧げな意識の中で謝罪をし、続けてあの瞬間の少しの出来事を話始めた。それは相手の中に未だ絡み付く決して解ける事の無い鎖で、許されない__許されたいけれど、そうであってはならないと思い続けている“罪”。相手の言う通りきっとそうであっただろう。妹だけでは無くあの場で人質になっていた人達全員が警察の姿を見て確かに安堵した筈だ。これで大丈夫、これで犯人は逮捕されて自分達は助かる、と。そう言う人達の目を己も数え切れない程見て来た。『__たった1人、恐怖だけを感じて絶望の中死ぬ被害者は山の様に居る。そんな中で一瞬でも希望があったなら、…お前の姿を見る事が出来たのなら、少なくとも“孤独”では無かった筈だ。』途切れ途切れに紡がれる後悔の言葉、それに返したのはもしかしたら優しいだけの寄り添いじゃないかもしれない。けれどどんなに後悔して自分を罰した所で亡くなった人は__妹は戻らないのだ。薄らと光を集めていた碧眼が瞼で覆い隠されたのを見て、一瞬目の奥が熱くなる感覚を覚えた。どんな時でも相手は楽になる事が無いその事実が無性に苦しくて悔しく感じる。『…代わってやりたいよ、』ぽつり、溢れた言葉は良いか悪いか。勿論己の大事な人が亡くなれば良いとは僅かも思わないが、相手の抱えるその気持ちだけを肩代わり出来たら、とそう思う。可愛い部下の残りの人生、その苦しみを肩代わり出来るのなら喜んで、と )




  • No.4162 by アルバート・エバンズ  2024-03-12 03:11:26 

 






( 結果的には死の直前、妹と視線を重ねる事が出来たのは良い事だったのだろうか。言い知れぬ恐怖と孤独を感じさせるよりも_____例え一瞬でも安堵できた事は救いになったのだろうか。再び意識を手放す間際、相手の声が聞こえた気がした。いつまでも絡み付いて離れない、解放される事を自分自身許せずに居る苦しみを誰かに背負わせる事なんて出来ない。しかし一緒に背負いたいのだと言ってくれる言葉は、時に自分を絶望の淵から救ってくれるのだ。---免疫が落ちている事による熱は直ぐには下がらず、日が暮れる頃にはその症状はより重いものになっていた。浅い眠りの中で12年前の夢を何度も繰り返しながら、熱に加えて肺が炎症を起こしているのか過呼吸を起こしていない状態でも息をするのが苦しい。ミラーからのメールや電話には相変わらず反応しないまま時間ばかりが過ぎていて。恐らく世間では様々な報道がされ、妹の名前や写真が流れ、刑事Aは冷酷な極悪人として注目を集めているのだろうが自分は何もしないまま12年目を終えようとしている。必死に見ないふりをして過ごしていたものの、一度心身のバランスが崩れてしまえばまるでストッパーが外れたかのように状況は悪い方へと転じるばかりで。 )








 

  • No.4163 by ベル・ミラー  2024-03-12 11:16:12 





( 眠る相手の様子が可笑しい事に気が付いたのはダンフォードだった。過呼吸を起こしている訳では無いのに酸素マスクの下の呼吸は酷く荒れていて木枯らしが吹く時の様な掠れた危うさまである。呼吸が苦しいからか、はたまた夢の中であの時間を彷徨っているのか、時折僅かに眉が顰められそれを見てナースコールを押せば駆け付けた看護師と医師によって肺雑音を確認され、免疫が落ちている事で恐らく肺炎を引き起こし、それによって高い熱が出ている事を告られ心だけでは無く身体までも相手を苦しめるのかとやるせない気持ちが膨らみ。安定剤の影響は勿論あるだろうが、眠れる時に寝るべきだと、そういう医師の言葉で相手が目を覚ましてから胸部のレントゲンを撮り最終的な肺炎の判断を下すと決定した後は病室には2人きりとなり。『……』細く吐き出される息で時折白く濁る酸素マスク、苦しげに寄せられた眉、窶れて見える頬、何もかもが痛々しく、何も言葉を発する事はしないものの徐に伸ばした指先は静かに相手の目元を滑って。__報道を極力見ないようにしているミラーだが、出張先の署でも街中でも少なからずアナンデールの話題は出るもので、その度に一向に返事が無い相手が心配でたまらなくなった。一方レイクウッド署では相手の知らぬ所でもう一つ悪い出来事が起こっていた。記者にしつこく付き纏われ“相手はどの様な刑事か”を幾度となく問い掛けられた若手の署員が“冷たい感じの人です。”という旨を答えたのだ。勿論その言葉に悪意は無く、署員からすれば普段見ているエバンズの性格を簡単に伝えただけの返答だったのだが、記者がそのままの意味で捉える事は勿論の事無く、これはチャンスとばかりに歪んだ捉え方をされた結果、これ見よがしに更に相手を悪く言う記事を書き始め。それは恐らく来週の週刊誌に掲載される事だろう )




  • No.4164 by アルバート・エバンズ  2024-03-12 23:31:03 

 






( ふと意識が浮上するも、初めに視界に入った白い無機質な天井は嫌な歪み方をしていた。ゆっくりと形を変えながら揺らいでいるように思えて、思わず一度目を伏せる。息は出来ている筈なのに酸素を上手く吸えていないような、呼吸をする度に胸に鈍い痛みを伴うような感覚。其れでいて、つい先程まで見ていた夢にほんの些細なきっかけで足元を掬われ何処までも深く堕ちて行ってしまうような恐怖があった。そして目を覚ます度に、今日はあの事件が起きた日なのだと言うことを嫌でも思い出す。言いようのない不安感に襲われ、一瞬呼吸が上擦る。自分はたった一人だ、皆自分の元から去り一人取り残されてしまったのだという恐怖感で身が竦む。そして自分だけが、あの事件に関わった唯一の人間として憎悪を向けられ続けるのだと______高熱の所為だろう、側に相手がいる事に気が付かないままそんな思考に囚われて、元々浅かった呼吸はさらにペースを乱しマスクを曇らせて。 )








 

  • No.4165 by ベル・ミラー  2024-03-13 08:51:33 





ルイス・ダンフォード



( 隈が色濃く残る目元を親指の腹で撫で続けながら、ふと相手の呼吸の上擦りを感じて瞳を合わせる。薄く開いた目は再び静かに閉じられた後だったが目を覚ました事はわかり、加えて肺炎によって引き起こされている胸の痛みや熱による苦しさに苛まれている事、何より目を覚ました後の“繰り返す今日”に絶望している事も手に取るようにわかった。明らかに狂ってしまった呼吸を繰り返す相手の頬を軽く叩く事で意識を留まらせる事は出来るだろうか。『エバンズ、わかるか?』見下ろす様な形で相手の顔を見遣りつつ、此処に居る自分の事を認識させる。頬から額へと移動した掌に伝わるのはどれだけの高熱かを思い知らせる熱さで、安定剤に加えて解熱剤も必要となる状況に些かの不安も覚える事となり )




  • No.4166 by アルバート・エバンズ  2024-03-18 11:58:39 

 







( 頬を叩かれる刺激に再び瞼を持ち上げれば、揺らぐ視界の中に居たのはかつての上司。相手は確か自分の代わりに応援に来たと言っていた筈で、少し前にも言葉を交わした記憶があった。「_____ダンフォードさん、…」小さく言葉を紡ぐと、不意に腕を持ち上げ相手の手を掴む。点滴の管が揺れたが其れを気にする事はなく、ただこの言いようのない不安感の中で彼が側に居てくれる事が救いだった。「…あんな事、俺は言っていません……あの事件と、遺族に、誠実に向き合ってきたつもりです…っ…事件を踏み台になんてしてない、」相手を見据えたまま徐に紡いだのは週刊誌の記事に対する否定。意識が朧げなまま、せめて相手にはあの記事が事実ではないと知っていて欲しいと思ったのだろう。浅い呼吸の中で懸命に言葉を紡ぎ、訴える。木枯らしのような掠れた音が細く唇から吐き出され、その痛みに眉根を寄せつつ「……妹の、墓参りに行きたいんです…今日行ってやらないと、…」と譫言のように紡いで。 )







 

  • No.4167 by ベル・ミラー  2024-03-18 18:23:20 





ルイス・ダンフォード



( 焦点の合わない碧眼が彷徨う様に朧気に此方を見、紡がれた名前に続けて弱い力で以て手を掴まれる。何かを訴える様に、傍を離れていくなと言う様に、薄く開かれた唇からは懸命な音が漏れ、それを確りと聞き届けるや否や、ちゃんとわかっているとばかりに頷き。『ああ、わかってるよ。お前が週刊誌に書かれている様な奴じゃない事は俺がちゃんとわかってる。…ジョーンズも、警視正も、ミラーの嬢ちゃんもお前の味方だ。』何も心配する事は無い、相手が悪だと思う人は少なくとも近い距離の人達の中には決して居ないと、安心させるようにそう言葉にしつつ窶れ冷えている頬を指の腹で軽く撫で。そのまま再び意識を落とすかと思われた相手は、朦朧とした中でも今日が何の日かを確りと認識しているようで、頻りに“お墓参り”に行きたいと所望する。狂った呼吸に阻まれながら、それだけはやり遂げねばならぬ使命感の様に。けれど相手の願いを今は聞く事が出来ないのだ。断らねばならぬ事にやるせなさを覚えながら、朦朧としている意識の相手に声が届く様にと僅かに顔を近付け『__叶えてやりたいが、今は絶対安静なんだ。免疫力が低下してるせいで肺炎になってる。…身体辛いだろ?』聞こえていようがいまいが、返事があろうがなかろうが、子供に言い聞かせるような何処と無く柔らかい声色で今の状態の説明を )




  • No.4168 by アルバート・エバンズ  2024-03-20 03:42:39 

 






( 夢現な状態だったかもしれないが、それでも相手の言葉は確かに届き”味方だ“という言葉は少しばかり心を落ち着かせた。週刊誌に書かれた記事、其れを目にした殆どの人が自分を遺族に辛く当たり人の心が無い冷酷な男だと思っても、真実ではないと理解してくれている人が身近に居る。幾ら目を背けても、記者に付け回され周囲から白い目を向けられた時間は酷く長く感じて、心を抉られる苦しい時間だったのだ。---妹の墓参りに行く事は出来ない、と相手は自分に語り掛けたのだろう。しかし其れに反応を示すよりも前に再び意識を手放し眠りに沈む事となり。安定剤の効果により発作を起こしてしまうような状態ではないもの、肺の炎症の所為で呼吸は相変わらず浅く掠れたもの。高熱も続いており、今の状態では職務に復帰できる見通しは立たないと言わざるを得ないだろう。 )








 

  • No.4169 by ベル・ミラー  2024-03-20 10:20:41 





( __相手が再び意識を手放してから数時間の間、意識の波の揺れはあり薄らと目が覚めた時にアダムス医師により手早いレントゲン検査と血液検査が行われ、酸素マスクは暫く外せない肺炎である事が明らかとなった。点滴の管からは解熱剤が流され、意識が混濁し発作に苦しめられる様になると出来るだけ軽い安定剤に変える__それが繰り返され面会時間が終わりになる事にはダンフォードは一度帰宅し。更に時間は過ぎて二度目の看護師の巡回が終わった夜11時30分過ぎ。何時ぞやと同じく盗んだ白衣に袖を通したクラークがニコニコと楽しそうな笑みを携えて相手の眠る病室の扉を開けた。そのまま眠る相手に近付き、枕元の間接照明を点けてモニターと点滴を確認してから上から顔を覗き込む。ぼんやりとしたオレンジの明かりに照らされた相手の顔は、数日前に署で見た時よりも遥かに窶れていて相当苦しんでいる事が伺えるものだから、思わず笑みも深くなると言うもので )




  • No.4170 by アルバート・エバンズ  2024-03-20 13:44:58 

 






( 精神的な苦しさに加えての身体の不調と言うのは堪え難い苦痛だった。一度発作を起こして仕舞えば弱った身体が付いて来ず、まともに呼吸が出来なくなる。意識は僅かに沈み込んだまま、身体も鉛のように重い。そんな中で、幾度と事件の、あの日の夢を見るのだ。______僅かに意識が浮かび上がり、睫毛が震えると閉じていた瞼が薄く開く。ぼんやりとした灯りの中、此方を見下ろす人物は白衣を着ていて、医師の巡回だろうと思えば再び意識を手放しそうになり。変わらず酸素を供給されているにも関わらず、胸は重たく息はし辛いままだった。ふと、今は何時だろうかと思うのだがスマートフォンに手を伸ばす事さえ億劫で、暗い部屋の中では時計を確認する事も出来ずに。 )








 

  • No.4171 by ベル・ミラー  2024-03-20 14:12:00 





アーロン・クラーク



( 暫しの間微笑みだけを浮かべ何も言葉を発する事無く眠る相手を見下ろし続けて居たのだが。ふいに長い睫毛が震え静かに瞼が持ち上がると、相手の持つ褪せた碧眼がオレンジの間接照明の光を僅かに浴びる。相手の意識はぼんやりとしていて白衣を着ている己を巡回中の医師と勘違いしているのだろうか。__医師は、こんな事しないですよね。そう言いたげに口角をより持ち上げると徐に片手を相手の胸に添え。__皮膚の、筋肉の、その下にある肺を押し潰す様に力を加える。酸素マスクをつけているとは言え、その加減を知らぬ行為は相手を肉体的に苦しめるには十分だろうか。相変わらず何も言葉を発する事無く、けれども相手の胸を押さえ付ける片手に込めた力だけは決して緩める事無く、己の見下ろす相手が苦しむ様を眺め続けて )




  • No.4172 by アルバート・エバンズ  2024-03-20 14:33:43 

 






( 幾度となく短い覚醒と眠りを繰り返しているように、再び意識が静かに閉じる直前だった。不意に胸元に手が添えられた感覚を感じたのも束の間、其れは摩るような優しいものではなく明らか押し潰そうとするかのような強い力が込められて、呼吸を阻害する。「_____っ、かは…ッ、…」ただでさえ苦しかった呼吸はより浅く、酸素を取り込めなくなり胸に強い痛みが走る。その行為に、当然相手が医者などではない事は直ぐに理解して力の入らない手で相手の手を退けようとその手首を掴むのだが、びくともしない。外から圧が加えられた事で渇いた咳が唇を震わせ、喘ぐような呼吸に変わると苦しさから表情が歪み。 )








 

  • No.4173 by ベル・ミラー  2024-03-20 15:02:59 





アーロン・クラーク



( 胸を押さえ付けた途端に襲い来る苦しさを逃がす術が無くなったのだろう、相手の薄く開かれた唇から喘ぐ様な呼吸が漏れたのを聞き、それが更なる加虐心を煽るものだから胸を押す手の力はどんどん強くなる一方で。もっと、もっと、と膨れ上がるその気持ちは最早正常な思考では無い。苦痛から逃れる為にと伸ばされた相手の指先が手首へと掛かるが、今の状態ではそんなものは幼子の力と然程変わらぬものであり何の役にも立ちはしないのだ。『__こんばんは、警部補。夜中なので静かにして下さいね。』漸く発した言葉はこの場、この状況を作り上げている当人とは思えない程の柔らかな挨拶とある意味周りへの配慮。その言葉の柔らかさとは裏腹にもう片方の手を伸ばした先は相手の口元で、あろう事か酸素マスクさえも外してしまうと『苦しいですか?』と、答えられない事も、状態も、わかりきっている問いを投げ掛けて )




  • No.4174 by アルバート・エバンズ  2024-03-20 22:44:49 

 







( ただでさえ肺炎の所為で呼吸が苦しい状態の中、胸を押さえ付けられた上に酸素マスクまでもを口元から外されてしまえば酸素の薄い場所に放り出されたかの如く上手く呼吸が出来なくなる。言葉は声にならず、掠れた音ばかりが唇から吐き出され喘ぐように浅く上下する胸も徐々に早くなって行き。今日はあの事件から12年の日。自分に恨みを抱き続ける彼が大人しくしている筈などないと分かっていたのに。相手の囁くような声は、最早深い罪悪感と共に過去の記憶を蘇らせるトリガーにさえなっていた。穏やかな口調の裏で相手の考えている事が、一人逃げるのかと責め罵られる事が分かってしまうからこそ、身体は正直に恐怖を感じる。安定剤で辛うじて繋ぎ止められていたものが、今にも断たれて苦痛の波に押し流されてしまいそうな恐怖感。辞めてくれと訴えるように小さく首を振ったものの、暗紫の瞳に記憶を引き出されるような感覚に呼吸の乱れは徐々に大きくなっていき。 )








 

  • No.4175 by ベル・ミラー  2024-03-21 00:00:19 





アーロン・クラーク



( 案の定相手は何も答えない。否、答える事が出来ないと言った方が正しい状況でゼェゼェと繰り返される呼吸音だけが静かな病室に響き。酸素マスクを外したとて息が出来なくなり死んでしまう事は無いだろうが、相手は今それ程の恐怖を感じている筈だと思うと、その感情を与えたのが自分自身である事に表情は無意識に満足気なものへと変わり。苦しげに顰められた眉、薄く開く唇、懇願するように首を振る仕草、それらを全て余す事無く見届けてから、そこで漸く外した酸素マスクを再び相手の口元に近付けるとそのタイミングで胸を圧迫していた片手も離し。『__解熱剤も、安定剤も、今日の貴方には必要無いものでしょう?』数秒前の狂気じみた行為が何も無かったかのように自然な動作で傍らの椅子に腰掛けては、先程迄の笑みの消え失せた真顔で同意を求めるような言葉を送る。そうして視線を一度相手から枕元にある時計に移すと時間を確認し、__『もうすぐ今日が終わります。事件から12年が過ぎ、セシリアさんの命日も終わる。…でもルーカスの命日はまだこれからだ。』確かにあの事件に弟は巻き込まれたが、即死では無かった為に命を落としたのは翌日の事だ。視線をゆっくりと相手に戻し、人差し指と親指で挟む様にして点滴の管を上から下へとなぞる。辿り着いた先は針の刺される相手の腕。針を固定する白いガーゼの部分を静かに撫でながら『…これ、必要ですか?』と、選択肢は相手にある問い掛けだと言うのに、何処か答えは一択しかないとばかりの圧の感じられる口調で緩く首を擡げて見せて )




  • No.4176 by アルバート・エバンズ  2024-03-23 00:30:59 

 






( 妹の命日は、事件の日は間も無く終わる。しかし“ルーカスの命日はこれから“という言葉は心に深く突き刺さった。以前彼の口から聞いた通り、彼の弟のルーカスは銃弾を胸に受けながらも直ぐに命を落とす事はなく、苦しみながら事件の翌日に亡くなったのだ。全員がせめて即死であったならという願いは幻想に過ぎず、痛みに苛まれ苦しんだ被害者が居る事を知った絶望は大きかった。そんな彼の命日を前に、自分一人楽になろうだなんて_______心身共に弱った状態ではそう洗脳されるのに時間は掛からず、相手の問いに喘ぐような呼吸の中で小さく首を振る。結局いつも突き落とされる先は“彼らを見殺しにした自分が楽になって良いはずがない”という罪悪感。一度その思考に足を取られて仕舞えば、正常な思考は働かない。自分が苦しむのは当然で、楽になる処置を受ける事など許される筈がない、と。 )








 

  • No.4177 by ベル・ミラー  2024-03-23 12:54:25 





アーロン・クラーク



( 身体の苦しみも心の苦しみも余す事無く受け止めねばならぬ状況の中で、それでも相手は此方の問い掛けに首を横に振った。“必要無い”と__その答えを受けてそれで良いとばかりに満足そうに一度頷けば『貴方の望み通りにしてあげますね。』と。それは決して“相手自ら”望んだ事では無く言うならば誘導の果の洗脳なのだが。__再び時計を見れば時刻は夜の11時55分。素晴らしい時間だ、と今一度ガーゼの上を緩く撫でてから、皮膚が引っ張られる痛みを少しでも軽減させる様に静かにテープを外し、これまた痛みを極力感じさせぬ様にと優しい手付きで以て腕から注射針を引き抜く。その行動は相手を苦しめようとする者とはとても思えぬ程に思い遣りに溢れて居るのだが、実際そうでは無い事は相手自身が一番良くわかっている事だろう。注射針をそのままベッドの脇に放った後は『…ちゃあんと苦しんで下さいね。』と微笑み掛け、小さな止血、とばかりにガーゼを再び相手の腕に貼り直しその姿を呑気に椅子に座りながら眺め。時刻は夜11時57分。セシリアや他の犠牲者が亡くなった今日も、後3分後に訪れるルーカスの亡くなった日も、何方も相手は苦しまねばならぬのだとばかりに )




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