刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( 人目も憚らずに、というのはこういう事だろうか。声を上げて泣くことこそしないものの、抑えきれない嗚咽が漏れ涙が枕を濡らす。ずっと鉛のように重たいものが喉の奥にあるような感覚だった。週刊誌の報道は全て嘘だと訴えたかった、それでも話をした遺族にも何かしらの抱え切れぬ苦しい思いがあったのだとしたら、自分が声を大にして其れを否定する事は正しい事ではないかもしれないとも思ったのだ。1人で耐え切るはずだったのに無様にも署内で倒れ、妹の墓参りにさえ行けなかった事も、気持ちを暗く沈ませた。それでも今、妹の形見を手にして、相手が側にいる事で言いようのない安堵感を感じていた。 )
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