2人掛けの玉座 【〆】

…？あぁ起きてる。朝からなんだ。
(予定時刻にあわせアラームが鳴り意識をゆっくり覚醒させると、ムクリと上半身を持ち上げる。体内時計は正常に動いているようで、今日も朝食の時間に合わせて起きることができた。寝間着からいつもの黒地に赤のラインが入った未来服へ着替える。髪を整え終わったところで、机の上に置いたストラップに目が留まった。昨晩はよく眠れたが、なんとなくこれを持っていたおかげのような気がする。ストラップを持ち上げしばしそれを眺める。自然と相手の腑抜けた笑みが脳裏に浮かんで鼻で笑った。その笑みが今の自分にとって傍に置いておきたいもの、もちろんそんなことを本人に言えるわけが無い。気持ちを隠すようにストラップを着ている服のポケットへと入れて置いた。そろそろ下へ降りるかと思ったところで扉の向こうから声とノックの音が聞こえる。軽く両頬を叩いていつもの顔へと引き締めると扉をあけて、考え事の当人を目の前に迎えた。昨日と違い出かける準備はバッチリと整っていて気合い十分な様子に驚きながら、なんの用だと問いかけて)

あ、おはよう。朝早く目が覚めちゃったからゲイツを起こしに来たんだけど、ちょっと遅かったかな。あのね、今日天気も良いし朝ごはん外で食べるのもいいかなと思ったんだけどどう…かな？
（扉が開き相手の姿を見れば朝の挨拶をして。昨日のことがあって気まずくなるとも思ったけど案外大丈夫そうだ。それにしても規則正しい生活をしていそうな印象はあったものの実際にしっかりと朝の準備を済ませている姿を見ればせっかく朝早く起きたのだから起こしてみたかったのにとちょっぴり残念に思って。自分が来たことに驚いている様子が見受けられるとその理由説明するがこれだと今日の事が楽しみ過ぎて早く起きてしまったと白状している気がする。子供っぽいと思われたかと不安になりながらも笑って誤魔化して、続いて外の天気が良いからと理由付けて外で朝ご飯とる事を提案してみる。偶然思いついたことだけど、大叔父も全面協力してくれた。あとは相手が賛成してるかといった所で断られたらどうしようという思いが出てきて言葉尻控えめになりながらも誘いかけてみて）

寝坊助のお前と一緒にするな。俺は朝食時までに出かける準備は済ませる。俺を起こしたかったら俺より早く起きるか俺に睡眠薬を盛って寝かせるんだな。外で朝食……？まったくお前は、遠足じゃないんだぞ。まぁいい、どうせ外に出るなら同じだ。外で食うぞ。
(一日間を置いたおかげか表向きはすっかり元通りの態度に戻っており、起こすつもりだったという相手を鼻で笑う。早く起きるにしろ睡眠薬を盛るにしろ、どちらにせよこいつには無理だろうが。第一寝起きでこの顔を見るなど、心臓が持たないから断固として防がねばならない。といいつつも、朝に相手が起こしてくれたなら、一日の始まりからこの笑顔が見られるのかと、そこまで考えて思考を振り払った。何か緊急事態でもあるのかと思ってきけば朝からピクニックの誘いときた。陣地把握のための、と言ったはずなのに相変わらずの能天気さに眉を顰める。しかし外で朝食を食べるということは2人きりで食事が出来るということだ。それ自体は悪くない。2人きりになれるという嬉しい気持ちを呆れた顔で隠し、外での食事を了承すれば部屋を出て)

ゲイツはしっかりしてるもんね。うーん、今度頑張ってみようかな。ホント？やった、今日はおじさんと一緒にサンドイッチ作ったんだ。
（相手の尖った言葉の意図を掴むのも大分慣れたみたいで前向きに捉え肯定示し。確かにゲイツを起こすとしたらもっと早く起きないと難しい気がする。今度もっと目覚まし時計の時間を早くしてチャレンジしてみようと考えて。突発的な誘いなため不安だったものの遠回しに了承してくれれば更に表情明るくして分かりやすく喜び表現して。朝から2人きりで行動出来るとなればもっと仲良くなれるチャンスかもしれない。部屋を出た相手にそのままついて行けば今日準備した朝食は大叔父と一緒に作った物だと得意げに告げてみて。）

まぁ、期待せずに待っておくか。お前が作ったのか？俺との朝食を……？……変なものを入れてないだろうな。
(昨日の様子を見る限り朝起こしてもらうなんてことは早々になさそうだ、今度寝たフリでもしてみれば朝起こされることもできるだろうか。しかし寝起きなどという緩んだ顔を見せるのも恥ずかしい、かといって服装も髪型も準備万端で寝ているのはあまりにも不自然……終わらない堂々巡りの考えを頭で渦まかせながら階段を降りる。その途中で背後から聞こえてくる朝食を用意したという声、朝早く目覚めてそのまま外で朝食を食べるためにサンドイッチを作ったのかと合点がいく。自分との時間のために外で食べられるものを手作りしてくれたということ、それは自分と一緒にいたいと言われているのと同義であり、胸に喜びが溢れる。階段を降りて背後に相手がいて良かった、一瞬顔が緩んでしまったのを見られずにすむ。階段をおりきり、疑う顔を作って背後の人間に向けつつ、用意された朝食はどこかと周囲を見渡し)

うん、ゲイツの好きな物とか分からなかったから定番って感じの具材にしてみたんだ。 入れてないよ、おじさんと一緒に作ったから多分味も大丈夫だと思う
（自分の手作りという点に食いつかれると少しばかり恥ずかしい気がするも相手の後に続いて階段を降りながら説明をして。一緒に取った食事の様子からあまり好き嫌いがないタイプっぽいが好きな具材までは分からず定番と言われる物を幾つか作ってみた。これで相手の好きな食べ物が分かったらなと密かに考えていて。変なものを警戒されると味のことを心配されているのかと誤解して、料理が得意な大叔父と作ったから大丈夫だとご機嫌な様子で何処かズレた回答をして。テーブルに置いていた袋を手に取ればこれだと相手に告げ、色とりどりの具材の挟まったサンドイッチの入ったパックを得意げに見せてみて）

……まぁあの店主が一緒なら問題ないか。サンドイッチを食べるなら公園だな、行くぞ。
(ゲテモノ入れていないだろいな、という質問だったが帰ってきたのはどこかズレた答え、軽くため息をつくもこいつの大叔父ならこいつがおかしなものを入れようとした時点で止めるだろうと思い。得意げに見せられたサンドイッチは予想通りどれも美味しそうなとのばかり、空きっ腹の状態で彩りよい朝食を見せられ、キュル、と小さくお腹の虫がないてしまったが、腹筋に力をいれてその音を制止させ、咳払いをして誤魔化しておく。外で食べるというなら場所は公園が適切だろう、もともと今日の町偵察で行くつもりだった場所だ。今の時間なら人も疎らで心地よい風が吹いているに違いない。一声かけるとクジゴジ堂を出て)

朝早く起きたからお腹空いちゃった。 オッケー、ベンチ空いてるといいね。
（朝早く起きたせいか自分もお腹が空いてきて無邪気に申告して。 朝食にと見せたサンドイッチに特に文句が無いようでそれどころか腹の虫の音が聞こえた気がすれば早く食べさせてみたいとくすくすと笑って。相手を追いかける様に靴を履き、クジゴジ堂を後にすれば散歩日和といえるほど快晴で良い日になりそうな予感がして。袋を持ったまま隣に並べば昨日打ち合わせをした公園に向けて歩き出しながら2人きりになれたらいいなという想い込めて話しかけて）

もう朝食の時間なんだ、早くいくぞ。この時間なら公園にいるのは散歩をする人間くらいだ、おそらくベンチには誰もいないだろう。……ウォズが邪魔しにきたら別だが。
(誤魔化したつもりだったが腹の虫の音は聞こえてしまったらしい、笑う相手にムスリとしつつ公園への道を歩く。空は快晴、適度な風も吹き外で過ごすには持ってこいだ。そこまで考えたところで、これは散歩じゃないと自分に言い聞かす。だがこの状況ではそれも苦しい言い訳で、隣にいる人間と2人、今から朝食を食べに行き、それを今自分は楽しみにしている。朝食までならばまだ任務とは言えない、と言い訳を巡らせつつ歩みを進める。できればこのまま2人の時間であって欲しい、こいつのことはまだまだ知らなければならない。表向きは魔王になるのかを見定めるため、しかし本心では、純粋に相手へもっと近づくために、一緒の時間が欲しかった。そう願うからこそ魔王に心酔する神出鬼没なあいつは邪魔でしかない。そこらでまた監視している可能性もある、敬遠の意味も込めてあえてその名を口にしておき)

はーい。ならゆっくり食べられそうだね。 うーん、今日俺達の事を邪魔したら暫くウォズとは口聞いてあげない…とか言ったら言うこと聞いてくれるんじゃないかな。
（呑気に返事しつつも相手の言葉通り人が少なかったら周りを気にせずに食事が出来そうだ。これも今日早起きしたから舞い込んできた幸運なのかもしれない。朝型に見える相手の為にも早起きする習慣でも付けようかと考え始め。 目的地である公園が見えてくれば楽しみに歩み早くなり。そんな中相手の口から自分を慕ってくれる預言者の名前が出ると確かに急に現れても可笑しくないなと悩み。自分を我が魔王と呼び付き纏っている彼とも一緒に過ごしたら案外楽しいかもしれないと思いつつ今日はゲイツと2人で楽しみたいと思いの方が強い。少し考えてから今も何処かで見ているであろう彼に少し声を張って釘を指しておく。彼なら主と慕う自分の言うことを無視してまで邪魔はしてこないと根拠ない自信あればそう告げて）

は、ジオウ大好きのあいつならそこまで言えば出てこないだろ。静かに食事が出来そうだな。____ここか、広いな。あのベンチで食うか。
(いつも向こうの間合いで出てこられ好き勝手やって帰っていくウォズだが、魔王たるこいつに釘を刺されれば動くこともないだろう。いい気味だと悪い顔で笑う。神出鬼没なのだからたまには静かにしてもらわねば困る。第一今からはこいつと2人だけで朝食の時間なのだから。歩みを進め公園にたどり着く、この街の中でも大型の公園だが、朝のこの時間ではまだ人気がない。ジャングルジムだのブランコだのの遊具の先、屋根になっている場所にベンチを見つければそちらを指さして)

今日はお留守番して貰わないとね。 屋根があるとこがあって良かった。 じゃあこれ、どれが好きとかある？
（そこそこ雑な扱いなような気もするけど、いつも急に現れて掻き乱していくのだからたまには我慢して欲しいと2人で悪巧みする様に笑い。 目的にたどり着けば彼の予想通り人気がなく、のんびりと朝食が取れそうだ。ベンチまで歩いていけば屋根があり、日差しが直接当たらない丁度良さそうな所が丁度空いていたことに安堵の感想口にして。 相手の座るスペースを確保するように腰を下ろせば早速袋からサンドイッチの入ったパック取り出し。たまごサンドやハムチーズやツナサンド、BLTサンドなど小さめで多くの種類を揃えた物を差し出せばどれが相手の好みだろうかと問いかけて ）

……これ全部お前が作ったのか。そうだなじゃあこれを貰う。いただきます＿＿＿＿美味いな。
(目的のベンチへと歩いていき、相手の隣へ腰を下ろすとパックに並べられた色とりどりのサンドイッチを改めてみて、次に相手の顔と交互に見比べた。大叔父の手伝いがあったとはいえ、丁寧な切り口で並べられたそれらはどれも美味しそうだ。何より自分のために作ってくれたサンドイッチを並んで食べられることに喜びと、そして僅かに鼓動が早まっているのを感じる。それを表情に出さないよう抑えながら、一番ボリュームのあるBLTサンドを掴みあげると、律儀に両手を合わせてから1口齧る。素朴な味わいながら優しい味だ、口いっぱいにバランスの取れた具材とパンの味が広がると自然と口元が緩んで)

外で食べるならいっぱい種類があった方が楽しいでしょ？ どうぞ。…良かったぁ。 俺も食べよっと
（サンドイッチを眺める相手に経緯説明しながらも自分の作った物を食べてもらうのは何だか照れくさい。その中からBLTサンドを選んで手に取った相手が食べるのをつい見てしまう。失敗が殆どないと思われるサンドイッチであろうと実際に口に合うかは気になるものでドキドキしながら感想を待つ。その口が緩み美味しいと紡がれると心底安心した様に息を吐く。問題がない事が分かれば途端自分もお腹が空いてきて、手を合わせてからツナサンドを手に取って口にして。野外で相手の隣で食べるご飯は家で食べるよりも美味しい気がして自然と口元緩み）

あぁ、彩り良い朝食は食欲も出るな。……朝早くからサンドイッチを作ってくれた事、感謝する。
(サンドイッチの感想を口にすると安心したような顔になる様子によっぽど変なものを入れない限り不味くはならないだろうと呆れつつ、このサンドイッチに込められた想いが見えたようで、この美味しさ以上のものが胸に広がる気がした。あっという間に1つ目を食べ終えてしまうと、2つ目のハムチーズに手を伸ばし、一口齧る。これもチーズとハムのバランスが良くて美味しい。ここまで相手の気持ちを受け取っておいて、まだこちらからはなにも返していないな、と思い至る。とはいえ直ぐに返せるものと言えば感謝の言葉しかない。少々照れくさいが、こんな美味しくて心のこもったものを食べて、一緒にいるのになにも言わないのは礼儀がなっていないだろう。それに今は前よりももう少し自分の気持ちを素直に相手へ伝えたいと思い始めていた。それでも目をしっかり見ることは恥ずかしくて、ちらりと相手の顔を横目で見ながら、素っ気ない言い方でしかありがとうは伝えられなくて)

幸せって感じがするよね。…！ どういたしまして、ゲイツが喜んでくれて良かった。
(よっぽどお腹が空いていたのか2つ目に手を伸ばす様子を見てお気に召したのだと嬉しく口元緩み。美味しそうに食べていりのを見ると早起きして作ってみた甲斐があった。自らも食事進めながらも真っ直ぐに礼を伝えられると少し驚きながらも相手見つめ。今まで何かと尖った言い方をしていたり、遠回しの言い方しか聞いてなかった分急激な仲の深まりを感じれば自然と口元がニヤついてしまいながらも言葉を返し。ツナサンドも食べ終わり、最後に残ったたまごサンドは半分こにして片方を相手の分だと残したままにする。ふわふわとご機嫌な様子で自分の分のたまごサンドにかぶりついて)

…、なにをニヤついてる。作ってもらったんだから礼を言うのは当然だろう。ん…これを食べ終わったらこのまま探索だな。ここから近いのはショッピングモールか図書館だったな？
(横目で見ていた相手は自分の感謝の言葉に驚いたらしい、確かに気持ちを伝える機会は少なかったが、そんなに驚かれると恥ずかしくなるもの。オマケに顔にはニヤニヤ笑いを浮かべていて、恥ずかしさを誤魔化すために軽くぶに、と頬を指で突っついておいた。最後に2つに分けられたもう片方のたまごサンドを手にすると一口、これも卵によく味が付いていて美味い。相手が作ってくれた朝食の最後のひとかけをよく味わいつつ、今日のスケジュールを確認する。昨晩作戦会議と銘打たれた会でみた街の地図を思い出しながら問いかけ)

んー、やっぱゲイツは優しいなって思って。 そうだね、ショッピングモールの方が楽しそ…、俺が行くこともあるからそっちから回ろっか
(相手に指摘されると自然とニヤついていたこと自覚して、頬つつかれながらもへらと緩い笑顔浮かべながら告げて。最後の一口も食べ終わりご馳走様と手を合わせれば簡単に片付けてから昨日の作戦会議思い出し。挙げられた2択について合ってると頷き、その中ならショッピングモールの方が相手と回るのは楽しそうだと率直に答えようとするもまたいつもの様に「散歩じゃない」と訂正されるのが目に見えれば一旦言葉止めて。それから肯定されやすいようにも自分の活動範囲だと告げて、其方から覗いてみないかと提案してみて。

…まったく、呑気な魔王だ。…はぁ、お前な……まぁいい。お前の馴染みの場所なら行動もしやすいだろう。ご馳走様でした。
(この緩い笑みも見慣れたものだが、見る度に心が柔らかく暖かくなる気がする。初めはそんな自分を叱咤して正すことに躍起になっていたが、今はこの気持ちを表に出さないようにすることで精一杯だ。相変わらずの散歩気分を咎めようとするがいい加減向こうもこちらの思考パターンを覚えてきたらしい。途中で言葉を濁す様に、誤魔化しきれていないことを憂うようため息をつく。だがよく行く場所というなら文句もない。人が集まる場所は敵が現れる可能性も高い、地形を把握しておくのも良いだろう。最後の一片を口に放り込み飲み込むと、両手を合わせる。またこんな機会があるのなら2人で時間を過ごしたい。今度は2人でサンドイッチを作るのもいいかもしれない。そんな夢想を思い描いて、直後自分の時代の風景を思い出せば、それも叶わぬ夢かもしれないと静かに息を吐き、ベンチから立ち上がって出発の準備をし)

分かってるよ、陣地調査でしょ？ お粗末さまでした。 じゃあ行こっか。丁度オープンする時間になりそうだしね。
（呆れたとため息をつかれるが以前よりもトゲトゲしさはなく、柔らかくなってる気がする。これも仲良くなったからだろうか。誤魔化しきれなかった事バレるもあくまで昨日、相手がゲームで勝った景品である陣地調査だと理解してると取り繕って話しかけて。といっても深刻に考えてない身としては彼とお出掛けという点は変わらず、楽しみで仕方がない。ゲームセンターみたいに相手が驚くものを紹介出来たら良いなども思って。相手が食べ終わり立ち上がったのに気付けば自らも立ち上がって公園からも見える目的地指さして。公園の時計も良い頃合いを指しており、その方向に歩き始め）