2人掛けの玉座 【〆】

確かにそうだな。俺がお前のを持って、俺がお前のを…………ツクヨミにはこれのこと言うなよ。遊んでいたと思われたら困る。
(ストラップを受け取ったと同時に太陽でも登ったかのように顔を明るくさせるのをみると、同時に強く胸が鼓動した。大したことをしたわけでもないのに、こんなにも嬉しそうな顔をするとは思いもよらない。軽く息を吐いて鼓動を落ち着けつつ、相手の手の中にあるストラップに目をやる。赤字に黄色のラインが入ったそれは、確かに自分の装甲に似ている。自分の手の中には魔王を、向こうの手の中には自分を象徴するかのようなお揃いのストラップ、偶然のはずなのにまるでお互いの片割れを持ち合うような行為に再び動悸が激しくなった。ぐいと相手へ近寄ると、これは2人の秘密にするように迫る。それは裏を返せればこれを捨てる気はなく手元に置いておきたいという願いの表れでもあって)

俺とゲイツっぽいのが同時に取れたのって何か奇跡って感じがするね。 分かった、2人だけの秘密って事にしよ。
（自分の考えに同意を示してくれればやっぱり2人に似たカラーリングのストラップが一度に取れたことは何か運命じみた物を感じる。自らに付き纏う預言者の魔王になるという運命はともかく彼との運命は何だか信じてみたくなった。お互いの手元のストラップ見比べながらそんな素直な気持ちが口から溢れて。 近寄ってきた相手の意見に素直に頷き、「2人だけの秘密」が持てる事に少しでも気を許して貰えた気になれば悪戯な笑み見せながら内緒話のように囁いて。）

奇跡か……何だその腑抜けた顔は。このままお前に花を持たせたまま終われん。他にないのか？例えば対戦するような……
(目の前にはあの魔王の若き日、しかしこいつは他人を蹂躙することもなく、装甲の見た目さえ異なる。ただこうやって時間を過ごしている限りは悪いやつには思えず、それどころか……これ以上の考えは不要だと頭を振って思考を振り払った。ほんなこっちの心境など知らず笑う顔に自分への戒めもこめて頬へ人差し指をぶにゅ、と突き刺してやった。このままでは覚悟が揺らぐ、気分を変えようと対立ができるようなゲームがないかと聞いてみて)

だってなんか友達って感じがするじゃん。 対戦ゲームか…、ならあのレースゲームとかどう？ 先にゴールした方が勝ちってルールだから分かりやすいし
（ぷにと指を突き刺されるのも気にせずにへらっと笑って「友達」だと告げればストラップを制服のポケットに仕舞って。対戦ゲームと聞けば一旦UFOキャッチャーのエリアから離れるように歩き、その一角に車を模したレースゲームを見つければ真正面から対戦するゲームが好きそうだと声掛けてみて。簡単にゲーム内容説明すると判断委ねてみて）

俺はお前の友達じゃないっ。ほぉ……レースゲームか。面白い、これならシンプルで良い。だが普通にやっただけでは面白くないな……負けた方が相手の言うことをなんでも聞く、というのはどうだ？
(自分の時代の魔王と目の前にいるこいつがまだ繋がらないにしても、死んでいった仲間を差し置いて友達宣言などできるはずもない。そこはきっちりといつも通りの返事を返し、ポケットにストラップをしまうと相手について歩き。たどり着いたのはレースゲーム、車なら操作も分かる。勝利に自信を滲ませるよう小さく笑いつつ、追加でルールを提案して相手がこれにのるかどうか様子見していて)

でしょ？これなら得意不得意もないし。 いいよ、楽しそう！あ、でもあんまり無茶な事は駄目だからね
（提案に乗ってくればシンプルなゲーム性に真剣に勝負出来そうだと語り。追加の条件について聞けば単純に楽しそうだと安直に賛成の意思示しては早速勝った時に何をお願いしようかと思考巡らせ。一応常識の範囲内で、と釘をさしながらも2台並んだレースゲームの一方に張り切った様に乗り込めば座席位置調整してゲーム始める準備をして）

ふ、乗ってきたな。安心しろ、俺はお前と違って非常識なことは言わん。だが、俺が買った時にはかきっちり約束を守ってもらうぞ。
(言質を取ったとばかりに不敵な笑みを浮かべると、相手に習って隣のスペースへ乗り込んだ。備え付けられているスイッチの類は実物と変わらない。これならばゲームに支障はなさそうだ。こちらが買った時の要求はもう決まっている、自信とそして押さえきれない好奇心を顔に滲ませながら
見様見真似で座席位置を調整すると、この後はどうするんだ、と言いたげに相手の方をみて)

非常識な事とか言ったことないって。 ふふ、俺だってそう簡単には負けないよ？ 対戦モードにするか俺の真似して操作してみて
（普段の発言も自分の中では普通の事である物のイマイチ理解されてなければ一応反論して。戦闘以外で相手とこうやって真剣勝負をするのは初めてで楽しみであると同時に年相応に勝ちたいと感じて。不敵な笑みを浮かべながら勝つ気満々の相手を挑発する様に言葉投げかければ自分の分と相手の分の硬貨を機体に入れ、 隣の台に説明する様にハンドル操作して2人の対戦モードを選択すればゲーム始まるのを待ち）

王になると堂々と言う奴のどこに常識があるんだ。ふ、そうでなければ張合いがない。対戦モードこれか。よし…
(こいつに関しては存在その物が非常識であるが本人にその自覚は全くもってない。それを面白く感じている、とは口が裂けても言えないが。硬貨が投入され、画面と相手の操作とを交互にみれば勝手を理解し、同じように対戦モードを選択する。準備が整うと正面へ座り直し画面へ集中した。やがてスタート合図のランプが表れスリーカウントのあとゲームがスタートする。タイミングをあわせてアクセルを踏み込むと華麗にスタートダッシュを決めて)

王になると堂々と言う奴のどこに常識があるんだ。ふ、そうでなければ張合いがない。対戦モードこれか。よし…
(こいつに関しては存在その物が非常識であるが本人にその自覚は全くもってない。それを面白く感じている、とは口が裂けても言えないが。硬貨が投入され、画面と相手の操作とを交互にみれば勝手を理解し、同じように対戦モードを選択する。準備が整うと正面へ座り直し画面へ集中した。やがてスタート合図のランプが表れスリーカウントのあとゲームがスタートする。タイミングをあわせてアクセルを踏み込むと華麗にスタートダッシュを決めて)

手加減はなしだからね！ やばっ、出遅れた…っ…。
（改めてそう宣言すれば自らもハンドルを握り直してゲーム画面に集中しようとして。 独特のスリーカウントの間少し緊張してスピードダッシュのタイミングに出遅れてしまうと思わず焦った声出て、相手の操作する車の後ろに続くような形になり。 アクセル強く踏み込んでスピード上げつつギリギリのカーブを攻めるようなハンドル捌きをすれば何とか相手の車のすぐ後ろに追いついて来て）

望むところだ！いくぞっ！……っ、！抜かれてたまるかっ！
(華麗にスタートダッシュを決めたあと隣から焦る声が聞こえるとニヤリと笑みが漏れる。どうやら相手は出だしで躓いたらしい、このまま一気に駆け抜けようと思ったが、カーブを丁寧に曲がろうとしたところでスピードを緩めてしまい、その隙にピタリと後ろにつかれてしまうと、顔の険しさはましぎゅっと強くハンドルを握った。生来の負けん気の強さを発揮しながらスピードを維持して次のカーブへ差し掛かるとカーブの内を攻めようとするも僅かに車体はカーブの際から離れてしまって)

隙あり！ よしっ、このままゴール出来たら…！
(アクセルを緩めることなど考えずハンドル操作に全てを委ねるリスキーな走行続けながらも相手の車がカーブの内側から離れたのを見ればその間隙を縫って車体滑り込ませれば一位に踊り出て。序盤の失敗をカバー出来たことに思わず声漏れるとこのまま勝利を掴み取ろうと真剣な眼差しで集中し。中盤の直線コースをハイスピードで走り抜けつつ相手の車体の位置確認していれば最後の急カーブが見えてきて大きくハンドル切ろうと構えて)

なにっ？！っ、行かせるか！
(コースアウトも構わず全力でカーブへ突っ込み内側から横を駆け抜けていく相手の車体が見えると思わず声をあげる。むちゃくちゃなことをしながらも成立させてくるあたりさすがこいつ、と言ったところか。直線コースでもピタリと相手の後ろにつき、最後のカーブに差し掛かると一か八かの賭けにでる。車体を無理やりカーブの内側へねじ込み車体同士をぶつけると、相手の車と側面を接触させながらカーブを曲がりきる。あとは最後の直線だけ、思いっきりアクセルを踏み込み横並びにいる相手とゴール前でデッドヒートを繰り広げ)

っ！ ゲイツもやるね、いっけぇ!！ …あー、2位だ
（諦める事無く食らいつく様にピタリと後ろにくっ付いてるのを見れば一瞬も気が抜けないギリギリの勝負が出来ていることに無意識に口角が上がり。 急カーブを何とか抜けるも大回りになってしまえば相手の車体と横並びになり相手を称える言葉告げて。最後の一直線、前傾姿勢でアクセル踏み込めばお互いほぼ同じ速度でゴールライン通り過ぎて。目視ではどちらが先に着いたか分からない程僅差で一先ずプレイが終わった事に緊張解くも画面に映る2位という表示に悔しそうに呟き零して）

負けるかっ……、よしっ！見ろ、俺の勝ちだ！
(ゴール間際の勝負、ゲームということも忘れこちらも自然と前のめりになりながらアクセルを強く踏み込んで一直線に走る。ほぼ同時のゴールにその勝敗の行方に緊張が高まるが、画面に表示されたのは黄金色の1位の文字。思わずガッツポーズを取りながら叫んでしまった。ギリギリの攻防に未だ興奮気味で、項垂れる相手の方を見ると勝利できたことに心底嬉しそうな笑顔をうかべながら仮面を指さし)

負けちゃった。絶対勝ったと思ったんだけどな、めちゃくちゃ接戦だったし！ ゲイツの勝ちってことは、何か1つお願い事聞かなきゃね
（無邪気に嬉しそうな笑顔浮かべる相手の指さした先の画面には華々しく一位の表示があるの確認すれば残念そうにしつつも素直に負けを認めて。真剣勝負だったからこそ負けて悔しい気持ちはあるが、楽しかったという充実感の方が勝っていて、直ぐにあくまで接戦だったとはしゃぎながらも主張して。 興奮冷めやらぬままゲームの終わった機体から降りれば先程の約束を持ち出して彼の“言うこと”を尋ねてみて）

まぁ最後まで食らいついたお前もなかなか……ん゛んっ、俺からの要求は簡単だ……明日この街を案内しろ。
(どちらが勝ってもおかしくない良い勝負だった、思わず友との会話のように相手の健闘を讃えようとするが、既のところで自分の使命を思い出しわざとらしく咳払いをする。ゲーム機から離れると相手の前に仁王立ちになり腕を組む。あの魔王に命令できるとは随分と気持ちがいい。少々もったいぶって一呼吸置いたあと｢言うこと｣を告げて)

…そんな事でいいの？ それくらいならお願いされなくてもするのに
（勝負がついて勝ったと見せてくれた笑顔、そして今の言葉だって自然と出てくるのにいつも何か思い出した様な顔をして引っ込めてしまう。 そのことにちょっとした壁を感じるが、更に交流を深めていけばいつかは最後まで見せてくれるだろうと持ち前のポジティブ思考で受け流して。 仁王立ちでもったいぶられると何を言うのか緊張した面持ちで待つも実際に告げられた言葉に拍子抜けしてしまい。もっと自分を困らせたり何かをさせるお願いをするとてっきり思っていたのに。数秒間を開け確認する様に問い直せば寧ろ喜んで受けるのにと困惑する面で相手見詰めて）

お前を見張る下準備も兼ねている。どこになにがあるか把握しておいた方がお前を監視しやすいからな。ついでに明日の監視にもなる。俺にはメリットしかない。まぁ、あとは俺が戦っている時に邪魔をしない、というのも追加しておくか。
(連日こちらに付きまとわれることになるのだからてっきりウンザリの顔でも見せるのかと思えば、魔王の顔はケロっとしている所か罰ゲームになっていないと困惑した様子。動揺しないのもなんだか癪で取ってつけたようにもうひとつ要求を追加して)