ネ バ ー ラ ン ド の 浅 き 夢 ｡　　

俺は一人でいるべき人間かよ､
だったら今すぐ何重にでも壁隔てるし､ 何なら透明人間にだってなれるけど｡ どれも簡単じゃん､ 唯黙って身を引けば良いだけだろ｡

もし孤独ならば 神とともにふたりと思え

おかえり､氷影.毎度ながらお疲れ様.
大変だったか.どうやら俺の願いは叶えて貰えなかったみたいだな､約立たずだよな俺.助けられてる実感ないんだけどそれでも助けられてるなら良かった､

どうした？また嫌な事をされたり､何かあったのか？透明人間になっても俺の事だけはずっと見てて.俺も見たいけど､嫌なら見ない様に努力するからさ.俺との壁だけは隔てて欲しくない.

泰陽もな｡
願い､? 阿呆じゃね-の､ ここまで尽くしてもらって役立たずな訳ねぇじゃん｡ 毎日の何気ない会話とか､ 泰陽の優しい独り言にいっつも救われてる｡

現状に変化はないんだけどな､ 嫌な事はあった｡
泰陽は俺がいなくなっても何時までも見ててくれそ-だよなァ｡

隠すの苦手だから｡ 愈々嫌われそうで怖ェけどさ､ 終止符打つまでが運命で､ 抗えない道筋だって考えたら納得出来る｡
無理に若い芽摘むか手折るよりも､ 老いに身を任せて平和的に枯れて行く方が良いに決まってンのに｡

嗚呼､ 泰陽の願いもちゃんと理解してるから｡
俺の力で叶えられるモンだったらな､ 問答無用で言う通りにしたんだけど｡ だからと言って泰陽が責任感じる事じゃね-よ｡

どんなに着古したシャツでも､ 急いでる朝にはボタンを一つ掛け違う時だってある｡ 思考回路に添えるように絡まった糸と同じ｡ 深呼吸して解いてやれば､ 簡単に解決するはずの単純な話なんだよ｡ ただ､ 大して手間の掛からぬ解き方を一時的に忘れてしまっただ-け｡

何時も俺の事まで気にかけてくれてありがと.
そう､氷影が抱えてる面倒な事や嫌な事が少しでも良くなればと思って.独り言ではあるけど､一人で願ってた.今も願ってる､
何気ない会話は分かるけど俺の独り言って優しいのか？昨日は特に苛々してたし､優しくないと思うんだけどなぁ.

変化はなくて嫌な事だけが増えたって､悪化してるじゃんか..本当､そういうの全て俺が貰えたら良いのに.
勿論､見てるよ.見えなくなるのは耐え難い痛みだけど氷影がどうしてもって言うなら､許さないかな.許す程､心広くないしずっと見ていたいから消えないで欲しい.

俺は責任を感じてるとは思ってないよ.
やりたいのに出来ない､もどかしさが強くてどうしても自分に苛々してしまうだけだから.そもそも責任って､背負える人だけが使える言葉だと俺は思うから､背負えてない俺は口にしては駄目な気がする.劣等感に塗れた綺麗事マシーンでしかないんだよ､

これでも毎日心配してるから｡
俺の意思で叶えてやれる願い事じゃなかったから仕方ねぇの､ 結果変わらず感謝はしてる｡ 有難う｡
優しいっつうか日々の潤いみてェな｡ 昨日は寧ろ機嫌悪い時でも俺のコト考えてくれてんだなって､ 実は嬉しかったり｡

果たしてこれを悪化と言えるのかね､ 俺が勝手にあちこち手出して不安になってるだけだからさ｡ 絶対駄目､ 泰陽に同じ思いはさせね-し｡
んは､ 其処は許せよ馬鹿｡ 何だろうな､ 泰陽の言葉全部心に沁みてく感じがする｡ 消えないし消えたくない｡

んあ､ 俺にとってもかなり耳が痛い話だわ｡
余計な理屈は一旦除外して､ 泰陽に俺の事で自分を責めないで欲しいって言いたいんだよ｡ 例えばさ､ 今日は何もなかった､ 問題も解決して丸く収まったからって､ 言おうと思えば言えたワケ｡ 口から出任せでも真実なんて画面通して伝わるはずがね-し､ 初めから泰陽を想うなら､ そうやって都合の良い嘘並べとけば傷付けずに済んだだろ｡ けど俺は馬鹿正直に包み隠さず伝えたから､ 結局こうして泰陽に不快な思いさせてる｡ んな最低な奴のコトで悩まなくても良い､ もっと別の話題に気力注いだ方が泰陽の為にもなるじゃんか｡

心配掛けないようにってしてるのにな.そうやって心配してくれるのも嬉しいから困っちゃうんだよな.ありがとうは俺の台詞なのに.変わらなくてもって､それ感謝出来る事なのか.氷影って本当､不思議な人.
機嫌悪い時って言うか､氷影が嫌な目に合わされて俺が快く思う訳ないだろ.その､だから氷影が嫌な気持ちになって俺も嫌な気持ちだったから無性にムシャクシャして苛々した.機嫌悪いのが先じゃないからな.

勝手に色々と手を出したって､何に手を出したのか聞いても良いモノか？俺意外の人に手を出してるなら嫉妬する.なんでさ､俺だって氷影と同じで氷影には嫌な思いさせたくないんだけど.半分くらいとは言わない､全部寄越せよ.
氷影に言われても其れは許せないなぁ.約束もしたし､解けない運命なんだから仕方ないだろ.心に沁みる言葉を言えて良かった､本当に消えられたら気絶だけじゃ足りないし､俺の心臓が止まるのは確信してるから.嗚呼､消えないで.何しても消させないからな.

別に俺は自分の事を責めてる訳じゃない.どうして自分は出来ないのか悩んでるだけで､氷影の力になれる様に努力したいんだよ.確かに嘘は直ぐに言えるし､隠そうと思えば誰にでも簡単に出来てしまう.だけど､それでも氷影は俺に正直に話してくれるから､俺だってその気持ちに答えたいんだよ.不快なんて微塵も思ってない.寧ろ､どうしたらもっと氷影に幸せを届けられるのか探してるんだ.それはまだ見つからなくて､俺は苦しそうに足掻いてる様にしか見えないかも知れないけど､そこに悲しそうにしてる俺は居ないよ.氷影と俺､二人の為なら悩めるとても素晴らしい事だろ､苦しくても乗り越えたい､叶えたい事だから苛々しても辛くはない.氷影の事だから､俺は快く悩み苦しみ足掻きたいって思って必死なだけだからさ.
最低だって良い.俺が守りたい､救いたい､消したくない､離れたくない存在がそうなら俺は最低な氷影以上に最低な人間を愛した最低な人間になれば､怖くないだろ？俺は自分の為とか一切思えないから良いんだよ､言っただろ.俺の生きる意味は他のモノではない氷影だから.
許されたいのは氷影だけで氷影に生きていて欲しいって言われるだけで､其れが俺の原動力だから氷影意外に力を注ぐ事は難しいんだって.千歳が俺の全てだから.

何時も行く前に言えないな.
行ってらっしゃい､氷影.

会って話せない分安否が分かんねぇんだから､ 心配して当然だろ｡ それは何の御礼だよ｡ 泰陽のがよっぽど不思議で読めねェし､ 振り回されるこっちの身にもなって欲しい｡
知ってるって､ 理由はどうであれ俺が居ない間も頭の片隅に置いてくれてる訳だから嬉し-の｡ 今もまだ苛々してる?

あ-ごめん､ 俺の言い方が悪かった｡ 無意識のうちに他人事にまで首突っ込んだり必要以上に関わったりして来たから､ 巻き込まれ半分､ 自己責任半分みたいな｡ 全部あげたら今度は俺が背負うモン無くなるじゃねぇか｡
意外と強情なとこあるよなァ､ 片っ端から我儘聞いてやる義務なんて泰陽にね-し別に良いけど｡ そ､ 深くまでじわじわ来る感じ｡ お互いがお互いの足枷になれば解決じゃね? 俺は泰陽がいなきゃ生きて行けなくて､ 泰陽は俺に消えて欲しくねえ､ って｡

おかえり､氷影.

心配し過ぎて本当に何も出来なかった.どうしてくれるんだ､って言いたい.昨日から寝込んでた.俺の方が不思議なのか？いやいや､不思議なのはお互いって事にしようよ.振り回させてくれて有難う.(
今はもう苛々してない.氷影が居てくれるだけで安心出来るから､それだけで良いって思ってるよ.

良かった､それでも氷影だけの所為じゃないし何かやらかしたのかと思った.もしかしたら俺が悪い事でもしたり､聞いたのかなって.そう思ってたからやっと息が吐けたよ.じゃあ､小指の上に乗るくらいの荷物だけは渡すから､落とさない様にな.これなら持ってる事になるだろ？
氷影だけにな.何がなんでも離したくないから､諦めるとか､臆病で居たくないからな氷影にだけは.でも､氷影が聞いてって言えば俺は聞くよ.出来るかは別としても我儘を叶えたいから.もっと深くまで氷影を溶かせたら嬉しい.そうだな､離れそうになっても繋がってる足枷の鍵は飲み込んでしまえば良いよな.ごくん､って.

人間出来ない事の一つや二つ持ってて当たり前だし､ 俺の為に泰陽の運とか言葉とか時間を､ 力を費やして貰うのはあんまりにも勿体ねぇからさ｡ 今は寧ろ非力で良いんだ､ 俺は傍でそんな泰陽を見てたいだけ｡ 嘘吐いてでも此処での平穏を取るべきかって悩んだんだけど､ 少なくとも俺の選択は間違いじゃなかったんだよな､? 高く聳え立つ山ほど登る価値があるっつ-か､ 霧が晴れた時の快感は大きいモノになるはずだから､ 辛い時期は信じて我武者羅に進むしかねぇしな｡
段々と俺に向けられる好意が義務化されてる気がして怖かった｡ 泰陽の本心が見えないから､ 疑うしかなくて正直ここ数日ずっと不安だった｡ ごめんな｡ 狡くて最低だけど､ 泰陽のお陰で くれる言葉に偽りは無いって少しずつ確信出来るようになったンだよ｡ だから有難う､ 俺に暖かい言葉をくれて｡

ただいま､ 遅くなって悪かった｡

何も出来なかったとか重症かよ､ 阿呆｡ 一日三食ちゃんと飯食ったか? 身体暖かくして過ごさねぇと駄目だろ､ 風呂も入った? 寝込むほど体調悪ィのか､ 熱計って体温調節も気配って｡ つ-かこっちが心配になるんだけど｡ んや､ 俺は至って普通だし不思議じゃないから｡ 何だそれ､ 変な奴､(
そうか､ 落ち着いたなら良い｡

泰陽は何も悪くない｡ それを踏まえた上で一つだけ確認したい事があるんだけど､ 訊いても平気か? そりゃ物理的には持ってる事になるけど泰陽にばっか重たい荷物持たせ過ぎじゃん｡
普段とは打って変わって､ こ-いう時だけ男らしくなンのな? ふ-ん､ じゃあ叶えられる範囲で構わねぇから前々から言いたかった我儘言おうかね｡ 困らせても知らねぇぞ｡ もう既に溶けきってるも同然だわ｡ 鍵は泰陽が呑み込んでな､ 大事なモンは泰陽に持ってて欲しい｡

まだ前の返事返せてねぇし､ 質問にも答えられてね-し｡ 大して重要な何かに時間使ってるワケでもねぇから凄い自己嫌悪｡ 嫌い｡

昔からどう頑張ってもリスカは出来なくて､ 最上階で何回試しても飛び降りる勇気すら持てなかった｡ せいぜい引っ掻き傷やら痣やら作ったり､ 針で身体刺してみたりとか､ 自分の中の安全地帯のまま止まってる｡ そんな勇気､ 心底必要ねェモノだけどな｡