「　No title　」　→ 刀 / 募集 。

確かに退屈でいると気が滅入るしね。驚きかぁ、…ふふ、いい驚きをもたらしてくれそう。
(　彼の過去を知る由も無いが言い分は判るのでこくりと頷いて、" 驚き " と言う言葉にそれは一体どんなものなのか想像も出来ない。きっと自身にとって退屈しのぎになる上に楽しみも増えるため、くすりと笑みを零し密かに期待して。自分達の過去を懐かしむように語り出す彼を真剣な顔つきで見れば口を閉じて静かに聞き始め、家は近所で彼の両親は幼い頃から居ない事やたまに此方の家でお泊まり会をした事。そして、何より自分は彼を兄のように慕ってべったりだったなど判りやすく教えて貰えば「…へぇ、そんな事があったんだ。ふふ、幼い頃の僕は五条さんの事が好きだったんだね。…うーん、これだけじゃ思い出せないな」とどこか他人事のような発言をするが、これらを手掛かりに過去の記憶を取り戻そうと目を閉じるも矢張り無理なようで眉を下げ　)

そう焦らなくていいさ、これからゆっくりと思い出していこう
（自身が語れるものはまだまだ多く、1日だけじゃ足りないだろうと思いながらも要点を掻い摘んで説明していき。やはりそれだけで思い出せるようではないようで、悔しがる姿を見ては焦る必要は無いと肩を叩きながら上記を述べ。｢ははっ、何故か君には好かれてなぁ。俺も弟ができたようで嬉しかったが｣と続け）

…うん、有難う。
(　ぽんと肩を叩いてこちらを励ます彼に少しだけ元気を貰えば、焦りは禁物と自身に言い聞かせ目を開け眉下げて笑み。お互い兄弟が出来たようで嬉しかったのだろうと内心で感じながら「僕は一人っ子だから、きっと五条さんのような兄が欲しかったんじゃないかな。だから貴方になついてたんだと思う」と幼い頃の記憶が無いとは言え、彼は記憶喪失の自分に優しく接してくれた人なので心の中で思った事を言葉で表してみて　)

まぁ、これからも兄のように慕ってくれて構わないさ
（彼の言葉に耳を傾け、 フフンと得意げに微笑めば不意に頭をわしゃわしゃと撫でてそう言って。不思議と年下には懐かれるなと思うとそんなに自分に魅力というものがあるのだろうかと思い）

わわっ、髪が乱れちゃうよ…！__いいの？本当に兄が欲しかったから嬉しいな。
(　突然髪を撫で回され驚きながら身嗜みを気にする性格は変わらず、髪の毛が乱れるのが嫌なのであわあわと慌てるも満更でもない様子。記憶を失う前はどう接していたかなど判らないが兄のように慕ってもいいと言われ、本心をぽつりと呟き零せば口元に弧を描き。「…そうだ。退院できたら五条さんの家に泊まってもいいかな？」と先程の話で幼い頃にしたと言う"お泊まり会"がしたいとお願いして　)

格好を気にするところは変わらないんだな
（本能、というまででもないが昔から身嗜みには人一倍気を付ける性格だったのでやはり撫で回されたことについては気にしている様子で。その姿を見てはどこか安堵したように息を吐けばそう言って。彼のお泊り会の提案にはこくりと頷くと「もちろん、構わないぜ。」と快く了承して）

…え？貴方の知っている僕も格好を気にするのかい？
(　不意に彼の呟いた言葉が耳に届けば一瞬きょとんとした表情を浮かべ自分自身の事は事故の影響であまり覚えておらず、何かを思い出せるかもと問い掛け。お泊まり会の提案に快く了承して貰い、ぱあっと表情を明るくし「やった。じゃあ、約束だからねっ」と指切りをしようと小指を前に出して　)

ああ、誰よりも気にする男だったぜ。格好よくしていなきゃ気が済まないみたいでな
（風で髪が煽られたり、雨で服が濡れたりすると格好が悪くなったと嘆く姿を今まで見ていたので覚えていること告げてはクスリと笑いを零し。顔を輝かせ、嬉しがる姿を見ては微笑ましくなり「ああ、約束だ」とその差し出された小指に自身のを絡めて）

それは確かに格好良くないな。今の格好だってすごく着替えたいしさ。
(　記憶の中で覚えている話を教えられると自分自身の事だが内容的には格好良くないため、思わず苦笑をしつつ現在の格好も不満のようで私服に着替えたいと文句を言い。「……──指切った！、楽しみが一つ増えたよ」と小指同士を離して指切りを終えて　)

そうかい？俺からすると珍しいものが見れてて面白いがな
（病人服が格好良いはずはなく、やはり嘆いたなと思えば悪びれなく面白そうに笑いを含みつつ言って同じように約束を終えると「あぁ、それは良かった。まぁ、格好は退院した後にその分楽しめばいいさ。それに中庭までなら出てもいいんじゃないか？昔の俺みたいにこっそりと病室を逃げ出すのも驚きだろう？」と自身の過去の話を交えながら続け）

全然面白くないから。
(　どこに病人服の面白要素があるのか自身には理解できずじとりとした目線を送りつつ否定した後、格好に関しては彼の言う事も一理あるので退院日まで我慢するとして「うん、中庭までなら出ても大丈夫そうだよ。…はは、確かにこっそりと病室を抜け出すのは驚きだけど怒られるよ」と過去の話を聞けば苦笑を浮かべ　)

ははっ、すまんすまん。
（じとりとした視線を送られると苦笑混じりにそう告げるも反省の色はなく。中庭までならやはり出られるようで、それならこんな退屈な部屋から抜け出そうと立ち上がり「何だ、じゃあ早速行こうじゃないか！外も驚きが多くて楽しいぞ」と楽しげに微笑み）

えっ、今からかい？
(　唐突に立ち上がったと思えば行き成り中庭に出る宣言をされれば突然の事で吃驚するが、病室に篭ったままと言うのも身体に悪い上に外の空気を吸いたいため「うん、外に行きたい！楽しいなら尚更ね」と自身も遅れて立ち上がり笑顔を見せ　)

もちろん、こんなにも晴れた日に外に出ないのは勿体ないからな！
（自身の提案を快く受け入れてくれるとニッと楽しげに笑みを浮かべ、光忠の手を握るとそのままグイッと立ち上がらせ。誘った自身の方がどこか楽しそうにしながら「さあ、早く行こうぜ！」と歩き出し病室を出ていき）

── あっ、待ってよ五条さん…！
(　自身の手を握って立ち上がる行動に手伝って貰うや否や、どこか楽し気な雰囲気を醸し出しつつ病室を出て行く背中へと焦りの声零しながら然り気無く先程頭を撫でられ乱れた髪を整えて。準備が整えば慌てて彼の後を追うように部屋から出て行って　)

おっと、そう焦るなって
（彼より先に病室を出てすれ違う度に微笑みを投げかけるナースに内心ウンザリとしながらも笑みを返し手をひらりと振って「光坊が世話になってるな」と軽く挨拶をして。後をついてくる彼が間に合うようにと歩調をゆっくりとし中庭の入口まで来ると立ち止まり）

(　病室を出た後、彼の背を追うように廊下を早足で歩きながら前方のナースに行き場所を問われ、若干の焦りの様が隠せておらず「あ、中庭ですがすぐに戻ります」と一旦立ち止まり目を見て行き先を告げ。"気をつけてね"と忠告を受けると頷きを示し彼の元へと駆け寄れば、　)
…── ごめん、遅くなったね。

構うなって、俺ならいつまでも待つぜ
（やはり少し病室から出るだけでも気にかけられるのだろう。それは患者だからだろうが、そんなに心配する事か？と自身には多分理解出来ないことだろうと内心で思いながら彼の到着を待ち。そうしてやっと来たのを見るとにこりと微笑み上記を述べ）

それじゃ行こうか。…う、少し寒いね。
(　その表情を見ればほっと安堵の息を吐いて早く外に出たい様子で声を掛けると、彼より先に入口の扉を開けて一歩二歩と足を踏み入れ。空を見上げ雲一つ無い晴天の下、ひゅうと頬を掠める風を受ければ病人服は薄着故に肌寒く身震いし　)

それはあまり良くないな、ほらこれでも羽織っときな
（今日も晴天、中庭を散歩するにはちょうどいい気候だろうと前を歩く彼の背を見ながら思いふと微笑んで。しかし風が吹くと身震いをするのを見れば風邪をひかれては困ると苦笑を浮かべ自身の羽織っていたパーカーを脱ぐとそれを彼の肩にかけてやり。ニっと笑みを浮かべると「俺のことは気にするな、これ位が丁度良くてな」と続け）