「　No title　」　→ 刀 / 募集 。

！…分かった。でも、少しでも寒くなったら言ってね。すぐに返すからさ。
(　そっと肩に上着を掛けられ脱ぎたてのパーカーは彼の体温が残って暖かく、羽織りを軽く握りつつ やっぱり優しいなと内心で思えば緩慢な動作で其方に振り向き。然し、自身の所為で彼に風邪を引かれては困ると思うのは同じようで上記を述べ　)

あぁ、そうだな。その時はそうするさ
（彼の優しさは昔から変わっておらず、笑みを返せばポンポンと軽く頭を撫で。こんな所で立ち止まっていてもしょうがない、と思えば手を差し出し「よし光坊、それじゃあ中庭の冒険の始まりだ！」と声高らかに告げ）

── オーケー、格好良く行こう！
(　不思議と彼に頭を撫でられると抵抗一つ見せず寧ろ嬉しいようで頬を緩め。ふと、差し出された手と彼を交互に見遣り声高らかに告げる言葉へ、ノリ良く声を張りながら上記を発すればその手を握ってにっと笑い　)

ははっ、こうやって昔も小さかった光坊を連れ回してたんだぜ？なんだか懐かしいな
（中庭には、花壇に色とりどりの多種の花が植えられていてそれを見に来ている他の患者もいて。それを横目にのんびりと歩けば隣を歩く彼の方を向いて｢久々の外はどうだい？なかなかのものだろう｣と続けて）

…へぇ、そうなんだ。
(　中庭を見て回るので隣に並んでゆったりと歩きながら花壇に植えられ、美しく咲いている花々へ視線を落とし。色とりどりの多種な花を綺麗だなぁと内心で思いつつ昔話を呟く声が聞こえ、自然と彼を見るもまだ記憶を取り戻せない自身からすれば懐かしむ事も出来ず。「窓から外の景色は見ていたけれど、天気も良いしすごく楽しいよ」と久々の外なので感想を聞かれると、昔もこんな感じだろうかと想像しつつふわりと微笑み　)

それは良かった、退院したらもっと色々な場所に行こうな！
（外に久々に出て、どこか楽しげにしているのを見るとこちらも満足そうに微笑み。病院の外に出ればまだまだ楽しい事はいっぱいあるんだ、という旨を伝え）

うん、五条さんとなら色んな場所に行きたいな。…あ、二人の思い出の場所とかってない？もしかしたら、何か思い出すかも。
(　退院して病院の外に出れば自身の知らない楽しい事や不思議な事、色んな出来事を彼と一緒に共有出来るならば何処へでも行くと即答しつつも、二人にとっての思い出の場所があればそれを手掛かりに少しは記憶が戻る可能性は無きにしも非ずで。他の患者とぶつかったり躓いたりせぬよう前を向いて足を進めながら隣の彼に尋ね　)

んん、思い出の場所か…。そうだな、行きつけのカフェか？いや、刺激が足りないな…
（思い出の場所、と言われてもたくさんある為にひとつには絞れずに暫し悩んだ表情を浮かべ腕を組み。ふと思い出した場所はそれこそ刺激的とは言えないがやはりあの場所だろうと口を開き｢俺の家の庭、かな？そこでよく秘密基地を作ってみたりタイムカプセルを埋めたもんだ｣と続け）

秘密基地にタイムカプセル、か…。因みに両方とも未だ残ってる…かな？
(　ゆっくりと足を止めて彼の方へと身体を向け、悩んだ表情を浮かべ腕を組むその姿は真剣そのもので二人の思い出は矢張り沢山あるのだろう。そんな事さえも忘れてしまった自分自身を許せず、同時に寂しさも相俟って複雑な心境は当然彼の方でやや視線を下に落とし。すると、思い出したのか口を開いた彼の言葉を聞いては顔を上げてどれも子供の頃に必ず遣る定番のもので、実際に両方ともに形として残っているかを聞いてみて　)

ん？そうだな、庭を使うことなんて少ないし…たしか残ってたぜ。ただ秘密基地はボロボロでなぁ、タイムカプセルはまだ掘ってもいないな
（両親がまだ生きていたら、自身の歳の経過と共に解体していたかも知れないがその秘密基地はまだ父親が生きていた頃に協力してもらいながら作り上げたもので、自身にとっては数少ない思い出の物でもあり。時の経過と共に朽ちてはいるがまだ修復は出来るレベルだったと思い出してはこの際作り直してもいいのではと思い。タイムカプセルの方も、掘らなければと思いながらも未だに土中の中。そろそろいいだろうと思うとそう言って）

── なら、退院したら見せてくれる？記憶が戻るきっかけになると思うし。
(　秘密基地は時の経過と共に外観がボロボロだと言うが当時の形のまま残っているそうで、一方のタイムカプセルも未だに土の中に思い出の物は眠ったまま。ならばこの目で実際に拝見すれば本当の事は判らないものの、何故だが記憶が戻りそうな予感がしそう彼に頼み事を言えば「…彼処のベンチで少し休憩しない？」と歩き疲れたのか休憩できる場所を指差し提案して　)

ああ、構わないぜ。いつでも来いよ
（記憶が戻るかもしれない、その言葉にピクリと反応するとなるほど、過去の物が残っているならそれを見て思い出すかもしれないその可能性もあるのかと思い。今度家に来た時にでもアルバムなども見てみようかと思い付いて。不意に隣を歩く彼がベンチを指差し休憩を提案してきたので頷いて｢あぁ、そうだな。少し疲れたな｣と苦笑を浮かべ）

(　記憶を呼び戻す材料になる思い出の物を見せてくれるようで、彼の家に自身が歓迎された事に嬉しく思うと同時により一層早目に退院しないと。と強く心に誓えば休憩を取るため、誰も座っていないベンチの方へ足を運んで腰掛け。「…そう言えば、五条さんは普段何して過ごすんだい？」と突き抜けるような青空を見上げ、脈絡もない質問を投げ掛けて　)

ん？普段は学校に行って美術の事を学んだり実際に描いたりしてるなぁ
（同じ様にベンチに腰を掛けて中庭の風景を楽しんでいると、隣から自身の普段の生活を問われ。普段と言えば学校に行き、その後は光坊の元に来ているためにそう言って）

！…五条さん、絵を描けるの？
(　青空を見た後、中庭の景色を堪能しつつ普段の生活を問えば学校に通っている事は昨日の時点で知るも、まさか美術を嗜むとは考えもしなかった為か容姿からは想像が付かずに意外そうな表情で彼を見つめ　)

あぁ、なんて言ったって俺は美大に通っているからな
（相手の驚いた表情を見ては満足そうにニッと笑みを浮かべて。まさか自分がそのような場所に行ってるとは思いもしなかったのだろうと思うと｢どうだ？驚いたろ｣と微笑み）

流石にね。でも美大生って事は絵が上手いんだろうな。…ねぇ、どんな絵を描いてるんだい？
(　予想外過ぎてこくりと頷きつつ自身が驚けば嬉しそうにするなぁと感じた事を心中で呟けば、美大生＝絵が上手いと言う式が頭の中で成り立ち風景画や人物画など様々ではあるが、学校でどういう風な絵を筆で描いているのか興味津々で問い掛け　)

俺は元から空が好きでな、空の絵を描いたり星の降る夜空を描いてみたり…あっ、もちろん人物も描くぜ？まぁ気が向いたらだけどな
（絵が上手いのかと言われると自分ではどうしても評価はしにくいようで。しかしよく友人や教師からは賛美の言葉を投げかけられるため、まぁそこそこ上手いのかもしれないなと思い。それから、どのような絵を描くことが多いかと問われるとありきたりなのかもしれないが上記を述べて）

五条さん、絵が上手そうだからきっと素敵な作品なんだろうね。
(　作品のテーマは空をメインとしたもので実際にこの目で拝見してはいないが、きっと驚くほどに絵が上手そうで空や星が降る夜空など素敵な作品に違いないとほぼ想像だがそう思えば口にし。楽しい会話に自然と笑みが零れ声も弾むが、不意にぐう～とお腹の音が鳴れば「…！そ、そう言えば昨日から何も食べてなかったんだった…」と羞恥心から耳まで真っ赤にして腹部を押さえ　)

そう期待するなよ、なんだか照れくさいな
（素敵だの、上手いだのという言葉はよく掛けられるものだがやはりこうして身近な者に言われるのは恥ずかしいもので。家にも何個か置いているため今度見せてやろうと思い。ふと、隣から聞こえた腹の音に笑いを零すと｢ははっ、そりゃ何か食べんといけないなぁ？｣と続け）