彼方の記憶

伽羅) …何故光忠と長谷部がいる？
(誰もいない静かな空間でうとうとと舟を漕ぎつつも玄関の方が騒がしくなりそれで目が冴え、帰ってきた事がわかるもリビングに現れた姿を見ると僅かに目を瞬かせ疑問を投げ掛け)


少し用事があってな
(何気に五条の家を訪れるのは初めてで、邪魔すると一言言えば彼の後に続いて中に入るとリビングへ向かい。そこには大倶利伽羅の姿があり自身達を見るなりやや驚いた様子で問い掛けられるとそう答え)

五条）…ああ、伽羅坊。少し話があるんだ、いいか？
(長船たちも適当に座るように促せば、なぜ家に彼らが来たのかと問う大倶利伽羅の方を見据え真面目な表情でそう切り出して。｢ここじゃあれだ、俺の部屋で話さないか？｣と彼のことを考慮してそう告げると部屋へと向かい)


五条くん、うまくいくかなぁ
（二人がいなくなったあとを見送れば、リビングには彼と二人残されていて。ここまで背中を押してきたもののやはり心配なものは心配らしくポツリとそう告げて）

伽羅) …国永、話ってなんだ。
(いつもと違って真面目な表情で話を切り出されたうえ、長谷部と光忠を残し何故か場所を移した事も疑問に感じては部屋の中へと入ると不思議そうに彼の方を見て尋ね)


彼奴ならきっと大丈夫だ、今は信じてやろう
(二人の行った方向を見つつ自身達に出来る事はしたと思うが、隣から聞こえた彼の声に心配な気持ちも分かるがここは五条の事を信じるしかなく視線遣ればそう言って)

五条）…単刀直入に言う。伽羅坊、俺はきみの事が好きだ。
（リビングを離れ自身の部屋へと来ると何が何だか分かってない様子の彼をじっと見つめ。五月蝿い程に心音は鳴り落ち着けるためにも一度深呼吸をして一拍おけば包み隠すことなく自身の想いを伝えて）


そうだね、僕らは待つだけだ。きっと大丈夫さ
（心配だと呟いた言葉を彼が聞いていたようで今自身たちに出来る事は待つことだけだと頷き上記を述べて）

伽羅) …。……俺でいいのか？
(こちらをじっと見つめ、徐に口を開いたかと思えば彼の発した言葉が耳に入ると僅かに目を見開き。真剣な表情で告げた彼の目を見れば、それが冗談でない事が分かるも黙り込んでしまい。一人でいて色々と気持ちの整理がついた矢先の事でそう口に出し)


ああ。
(信じて待つためにも、彼の言葉にこちらもこくりと頷けば心中で二人がうまくいくように願っていて)

五条）もちろんだ！俺はずっときみの事を想ってた。きみ以外なんて考えられない
（しばらく黙り込んでしまったその姿を見れば突然過ぎただろうか、やはり無理なのだろうかなどという考えが頭をめぐり。しかし帰ってきた答えは全く予想していたものとは違ったもので今度はこちらが驚かされ一瞬ポカンとした表情を浮かべて。しかしすぐに上記を返しては僅かに頬を染め｢…、期待していいんだよな？｣と続け）

伽羅) ああ。
(ずっと昔から想ってくれていたようで、面と向かって改めてもう一度聞けば自身が光忠の事を好いていたようにそれは目の前の彼も一緒で。頬を染めつつどこか期待の眼差しで聞いてくる姿を一瞬見たあと、視線逸らし短い返事と共に頷いて)

五条）…っ！
（まさかこんなにも早く自身の想いが届くとは思っていなかったようで、パッと顔を輝かせると嬉しそうな笑み浮かべ｢その、改めてこれから宜しく頼むぜ！伽羅坊！｣と徐に彼の手を握ってはそう続け）


…、五条くんの嬉しそうな声が聞こえたってことは…？
（リビングで他愛ない話をしながら待つこと数十分。突然リビングまで聞こえた声は五条のもので、なんとも嬉しそうな雰囲気が分かればどうやら成功したようだと隣に座る彼の顔見て微笑み）

伽羅) 国永、…その、宜しく頼む
(良い返事をした事で徐に手を握られ再び視線を戻せば彼の嬉しそうな笑みが目に入り、普段から口数少ないがそう言うと微かに口元緩め)


ああ、うまくいったみたいだな。
(二人の結果を待つ間、楽しく談笑をしていれば突然五条の声が聞こえ。声の性質からして明らかに嬉しそうなもので、一先ず告白に成功したことに安堵すれば彼と顔見合わせ柔い笑み浮かべ)

五条）ああ！…っと、そういや光坊達もいたんだ礼を言わないとな
（改めてよろしく頼むと言われると嬉しそうに頷いて。それからリビングに置いたままの二人のことを思い出しては、リビングへと戻り｢長谷部、光坊！世話になった、ありがとう｣と微笑み）


ううん、五条くんの想いが届いて良かったよ
（リビングへと戻ってきた五条と大倶利伽羅の姿を見てはやはり成功したようで。どこか初々しいその姿を見ては微笑ましく笑み浮かべ｢伽羅ちゃん、五条くんのことをよろしくね｣と続け）

伽羅) ああ、分かっている。
(二人の元に戻ればまるで最初からこちらの結果を知っていたような反応で、堂々といれば自身の方を見てそう言う光忠に視線遣り彼と恋仲になったため、悲しませるつもりもなく大切にすると頷いて)


おめでとう、良かったな五条。
(反射的にそちらへ向けば何とも嬉しそうな雰囲気を醸し出す五条を目に入れふ、と小さく笑い、祝福の言葉を添え。少しでも自身達の協力が役に立ったようなのでホッと安堵し)

五条）なあ、今度4人で祭りに行かないか？ダブルデートってやつだ！
（どうやら嬉しそうな雰囲気が漂っていたようで、祝福されるとニッと笑み浮かべ。それから以前よりしてみたかったダブルデートをしてみないかという提案を思いつけばそう言って）


ダブルデートってなんだか楽しそうだね、僕は行けるよ
（この時期になれば祭りも多く、近々祭りがあることは知っていて。その提案に乗ったと頷いて参加したいといえば隣の彼もきっと大丈夫だろうが一応確認もするためちらりと視線やり）

伽羅) …、
(祝福された後、隣の彼が言った横文字の言葉に一瞬きょとんとした表情を浮かべるが特に触れることもなく。祭りに彼が行くなら自身はそれについて行くだけだとそう告げ)


…祭りか。勿論、俺も大丈夫だ。
(五条達の祝福をした後に話題は夏の行事イベントの一つでもある祭りに変わり、全員で行けば盛り上がる上に思い出作りにもなるので、不意にこちらを見る彼の視線に気付けば断る理由が無いため行くと伝え)

五条）何でもお化け屋敷もあるみたいでな、こんな驚きを放っておいちゃいけないだろ？
（快い返事を貰えれば、祭りの会場にはどうやらお化け屋敷もあるようで驚きと刺激を感じれるならそちらにも行ってみたいと思い。それから他愛ない話を四人で話していたものの、時計を見れば既に夜で長船たちも帰るらしく玄関まで見送って）


五条くん、嬉しそうだったね。色々とやってみたい事もあんなにあっただなんて驚いたよ
（お化け屋敷の件も了承してしばらく他愛ない話をしていたものの時間的にも帰らなければいけなくなり。いつもより暗い道を二人で並んで帰りつつそう言って）

彼奴のああいう所は昔とあまり変わりはしないが、単純に楽しいと思う事は共有したいんだろう
(電信柱が照らす場所は多少夜道が明るく今の時間帯は人通りも少ないので気軽に話すことが出来、五条は昔と変わらずやりたいこととなると行動力は凄まじく。それ故に周りを巻き込むこともあるがただ純粋に皆と楽しみたいからだろうとそう返して)

そこが彼のいい所だよね
(行動力が人一倍ある五条はその元気さなどでも周りを元気にさせてみたりすることが出来、それは彼の長所でもあるとそう言って頷き。しばらく歩けば自宅へとたどり着きまだ夕食も食べてなかったため腹が減ったはずだろうと急いでキッチンへと向かい)

何かする事はあるか？
(家の中に入るなり直ぐ様キッチンの方向へと向かう姿が見え、帰りが遅かったために早速夕飯を作るのだろうと分かれば自身も後に続き。たまには少しでも手伝おうと食卓を台布巾で拭いた後に尋ね)

じゃあご飯とかを入れててくれるかな？
（エプロンを着けて、今夜は手早く作れる野菜炒めにするらしく野菜を切りつつ手伝ってくれるという彼にそれならばとご飯を入れていてもらおうとそう言って）

ああ、了解した。
(手伝いを申し出ると自身でも出来る事を任されて二つ返事でこくりと頷けば棚から茶碗を二人分取り出し。それから炊飯器を開けると茶碗にご飯をよそって食卓に運んで)

よし、出来た！
（しばらくして作り終えるとそれを皿に盛り付けテーブルへと運んで。すでに他の準備はされていたため椅子に座ると｢お腹ペコペコだね、食べよっか｣と手を合わせ挨拶すると早速食事を始めて）