教室の隅の魔法使い

そんなことお願いされるまでもなく、私の方からお願いしたいぐらいです。それに縛るとか縛られるとか…そういことじゃないんです。一が少しでも嫌な想いをする可能性があるのなら私はその原因を根っこから取り除きたい、ただそれだけのことなんですからね（ にこーっ ）それが私にはわからないのですが、人はどうしてそうやって不特定多数の他者との繋がりを求めるのでしょうか？私には一さえ居てくれればそれだけで十分だというのに（ ふぅ ）一は本当に優しいですね。決して人を傷つけず、誰に対しても優しくて…強いて言うならその優しさは常に私だけに向けておいて欲しいところですが、ここは我が儘は言わないでおきます（ ふふ ）

取り除きたいって..、そんな、人を塵みたいな扱いするのはちょっと....うわ、すげー笑顔。なんの曇りもねーなこれ。( あ、はは、) んー、俺は単にこの人と仲良くなっとけばいい事ありそうだなーって感じかな。言っちゃあ悪いけど、結局人って互いに互いを利用しあう仲なワケだし、俺も自分の得になりそうな人とは関わるよ。( こくり、) え、え？何急に。そんな褒め倒しにかからないでよ恥ずかしいじゃん。( あわ、) 俺はちゃんと双樹さんにも優しさ向けてるよ？( 首コテ、)

あら、本当の塵のごとくお掃除してしまわないだけありがたく思ってほしいところですが（ 澄まし顔 ）なるほど、その理屈でいくと私にも何かしらの利用価値があるということでしょうか？いいんですよ、一の為になるのなら手足のように使ってくれて構いません（ こく ）
私は事実を述べているまでです。照れちゃって可愛いですねぇ（ おでこつん ）私にも、ではなくて私だけ、がいいんですけどね。私は欲張りですから（ ふふん ）

おおっと、流石にヤベー発言聞いちゃったな。俺って実はこのクラスを人知れず守ってたのか。( おおう、) まぁ、そうだね。いやいや、そんな奴隷みたいな扱いはしないって。例えば勉強とかで色々聞いたりするだけだし。( こく、) 照れてないですー....て言うかさ、双樹さん、もしかして熱ある？ちょっとおでこ熱いよ？( ふい、と顔逸らすも今度は感じた違和感から此方からおでこを合わせて、) じゃあ、そんな欲張りさんにはちょっと特別なことをして上げましょう。( 突然に彼女の手握ってにこり、)

いくらなんでもそこまで野蛮なことは元よりするつもりはありませんよ？他人に路肩の石ころほどの価値を感じていないことは否定しませんけど（ ふふ ）それぐらいのことでしたら喜んで…ですが成績なら一と同じぐらいか一の方が上ですからあまり私では力になれないのでは？ですが、一がそれでもと言うのでしたらもっと努力することは厭わないつもりです（ ぐっ ）
へ…？そんなことはないと思いますが…ふふ、一の顔がこんな近くに（ 熱っぽく瞳潤ませ ）一はちょっとズルいです。私のして欲しいこと、望むことがわかっててこんな…これじゃあこれ以上何も言えなくなってしまうじゃないですか（ もう ）

いやいや、充分酷い扱いじゃないですか。( チョップ、) いやいや、俺が苦手な教科は双樹さん得意じゃん。生物とか本当に出来ないんだよね。( はあ、) そう？じゃあ勘違いかな..、( うーん、と首傾げては額離して。) そーだよ。双樹さんの事なら何だって分かるつもりさ。学校の誰よりも関わってるんだし。( ふふ、と楽しげに笑うと繋いでいた手を離して、)

いたっ…酷いことなんて何もありませんよ。一は路肩の石ころに対していちいち何かしらの感情を抱きますか？多分見向きもしませんよね？この先、生きていくうえで私の人生に多少なりとも影響を及ぼす可能性がないのなら果たしてそれは石ころとの差異はあるのでしょうか、という話しです（ やれやれ ）なるほど、そう言われてみると私と一の得意な科目と苦手な科目はそれぞれが上手く互いを補い合うような関係性になっていましたね。私は現代文などの国語系の科目は全く理解が出来ないので苦手ですが、一は逆に成績はクラス内でも上位の成績でしたし（ うんうん ）
勘違いかどうか…もう一度確かめてみますか？（ やや息を弾ませながら再び顔を寄せていき ）ふふ、一に私のことを誰より一番に知って貰えてるなんて光栄です（ にこ ）

....ま、そうだね。双樹さんの考えも一理あるけど、同意は出来ないかな。双樹さんには双樹さんの考えがあるように、俺は其れを酷いと思う考えがある訳だし。( ふう、) そうそう。双樹さんの得意科目をテスト期間近づいてくる度に教えてね。代わりになるかは分からないけど、一つくらいなら双樹さんの言う事聞くし。( こくり、) ..あ、..えっと。どーゆー意味....？( 再び近寄るその綺麗な顔立ちに目線逸らして、) いえいえ、此方こそ。( ふは、)

なるほど…私のこういった意見は一にとって聞いていて気持ちのいいものではないということなんですね。私のこの考え方は改めた方がいいのでしょうか？（ うーん ）わかりました、お安いご用です。本当は一の役に立てるのならそれで充分ですし見返りを求めるつもりもなかったのですが…それじゃあテストが無事に終わった後は私と一緒に出掛けてくれますか？いわゆるデートですね（ ふふふ ）
ん…さっきおでこ…熱いって……（ 不意に脱力し相手へもたれかかるように倒れ込み ）

無理にとは言わないけどね。でも、そうしてくれると俺は有り難いかな。( こくり、) デート....、ああ、まぁ。うん。それくらいならお安い御用さ。でも、あんまり過度なスキンシップはダメだよ？クラスの奴らが色々騒ぐから。( ふ、) っ....！ちょ、双樹さん！？( 突然に脱力した彼女を慌てて受け止めれば焦りながらも冷静になろうと、取り敢えず彼女をお姫様抱っこで抱き抱え保健室へと向かおうと、)

わかりました。一がそう言うのなら善処しますね（ うん ）過度なスキンシップというのは例えばどういったものを指すのでしょうか？参考までに説明して貰えませんか？出来れば実践で…（ そっと手を握り ）
ごめんなさい…迷惑をおかけして…私は、大丈夫ですからそこら辺にほったらかしていってくれていいです…（ 苦しげに息を吐きつつ ）

何故実践....、い、いや、てゆーか。それは言わなくたって分かるでしょ。例えば抱きついてきたりとか、手を握ったりとか..、( ぶつぶつ、) 何言ってんのさ。女の子ほったらかせる程俺の性根は腐ってないよ。( 呆れた様にため息吐き出すと保健室の扉を開ける、) 先生いないか....取り敢えず横になってて。はい、体温計。それで計って、( キョロキョロ、と周りを見渡すが担当の先生が見当たらないのを確認するとベットにゆっくりと降ろして寝かす。デスクの上のペン入れから体温計を取り、彼女に渡せばアイス枕を冷凍庫から取り出し、タオルに包めば彼女の頭の下に敷いて。冷えピタも必要だろうと考え、冷蔵庫から取り出すと一枚出し、額に貼り付けた。

あら、どこまでが行き過ぎでどこまでがいいかなんてその人の裁量次第で変わりますからちゃんと確認をしておかないと…私、何をするかわかりませんよ？（ 後数センチでキス出来そうな距離まで迫り悪戯に笑い ）
はい…ありがとうございます。こんなことで一に迷惑をかけてしまうなんて不甲斐ないです…（ しゅん ）

ちょ....双樹、さん...か、からかわないでよ。近いって、( 仄かに香る甘い匂いに、柔らかそうな唇。綺麗に整った顔立ちに流石に胸の高鳴りを抑えられずに直ぐに顔を逸らせば、赤くなる頰を見られぬようにと手で口元隠して、) いや、いいけど..、何か無茶したみたいだね。( よしよし、と慰め程度に頭撫でてやり、)

私はいつだって本気ですよ？からかってるつもりなんてありませんから…ほら、目を離したら駄目ですよ、魔法がうまくかからないじゃないですか（ 目を逸らした先に回り込むようにして ）
そうですね…自分では思い当たる節は無いのですが、そういうことなのかもしれません…。って、私のことはいいんです。私の心配をしてくれるのは嬉しいんですが、こんなに近くに居たら風邪がうつってしまいますよ…？（ 目を伏せ ）

なに、なに言ってんのさ..ちょっと待って、なんかボーっとしてきてんのって..。( 目を逸らすも回り込まれた矢先、段々と意識が雲がかっていく様な感覚に疑問覚えて、) 双樹さん頑張り屋だもんね。いやいや、俺はへーきよ。体強いから、男の子だし。( にこー、) それよりも、どうやって帰るつもり？良かったら俺送ってくよ？流石に心配だし、( こく、)

ふふ、なーんて何もしていませんよ？なるほど…思い込みによる暗示というのも意外に効果はあるものなのですね。それとも…本当に私の恋の魔法にかかりかけてるということなんでしょうか？（ にこにこ ）
それでも油断は大敵ですよ？もしも万が一風邪を引いたら今度は私が看病してあげますから…（ ふふ ）それじゃあ、お言葉に甘えてもいいですか…？こんな風に優しくしてもらえるならたまには風邪も引いてみるものですね（ えへへ ）

....し、知ってますから..、うわ、恥ずかしい。いや、恋とか分かんないから違うよ。( かああ、こくり、) ん、そうだね。ありがとう、( よしよし、) うん、たまーにはね。でも、毎回引かれるのは困るから、わざと風邪引くのは勘弁してよ？( こて、)

あら、そんな調子で今更誤魔化そうとしたって駄目ですよ？分からないなら、私が手取り足取り教えてあげますのに（ うふふ ）
そうですね、あんまり一に心配をかけるのは申し訳ないですから気をつけます。…もっと別の方法で一の気を惹けるようになってみせますから（ ふふん ）

....じゃあ、教えてよ。手取り足取り、俺に全部教えて？( むす、と拗ねた様子から一変。ずい、と顔を近づけて、) そーだね。頑張って....っと、そろそろ下校の時間だね。起きれる？( こてり、)