穏やかな同僚の秘密（〆）

（翌朝）

ぐっ、頭いてぇ……
(深酒による眠りの浅さが原因で普段よりも早くに目が覚めてしまい。体を起こすと二日酔いによる頭痛に呻きながら枕元に眼鏡を見つけると眼鏡をかけて。こりゃ半日はグロッキーだなと水を飲もうと冷蔵庫へ向かい。ソファーで誰か眠っていることに気付いて、そういや誰かに送ってもらったなとぼんやり思いだし、相手の顔を確認するとそれは同期の結城 陽向であり硬直して。記憶は若干曖昧だが、バーを出て歩いている時に身体を支えられたことを思い出し。もしバーを出たタイミングで結城が通りがかったなどで、バーでの盛大な愚痴を聞かれていないのであればまだ誤魔化す余地もあるのではと一抹の望みを抱いて)


（/行き違いがなく良かったです！）

(さむっ…と慣れぬソファーの上で丸く身動ぎ、ただでさえベッドでもなく他人の部屋というだけで無意識に警戒してかどうも熟睡出来ず脳みそはぼんやりとしたまま目を瞑っていると、物音がして誰かの動く気配を感じゆっくりと瞼を持ち上げ上体を起こし)
ん…あれ、水沢…もう平気？
(ふぁあと欠伸をして頭をガシガシ掻きながら眠気もあってなかなか目を開けることが出来ずぼけーっとした状態のままボソボソと声をかけ、膝を抱えてソファーの背もたれにもたれ掛かりながらうっすらと目を開けて相手を視界に捉え)
あのさぁ、もう少し飲む量を考えろよなぁ？昨日大変だったんだから…
(現在相手が何を思ってそこに立っているのかなどつゆ知らず、声量なく弱々と文句をぶつけ)

あ……えぇ、大丈夫ですよ
昨日はアルコールを多分に取ってしまって記憶が曖昧なのですが、支えてもらいながら帰宅したことは覚えています
ありがとうございました
(相手が起きると眉尻を下げ申し訳なさそうに謝り、家まで送ってもらったことにお礼を言って。今の水沢は職場で見慣れた水沢であり、表情から声のトーン、話し方まで昨夜の水沢とは違っていて。記憶が曖昧というのと今の様相の違いからは、実は二重人格であると言われれば納得しそうなほど違っていて。ただそこに、アルコールを多く取ったという言葉が入れば、酒によって普段隠している本性が出たと考えられなくもなく)
そうですね。次は気を付けてお酒を楽しむことにします。お手数をお掛けしました
（相手の言葉を粛々と受け入れて）

……。
(普通に話し出したその口調と物言いが職場でよく知る相手のものであり、やっと合致したと思うもそう簡単に納得する訳もなく、ぼやけていた脳内の霧が徐々に晴れていくように稼働し始め。眉間に皺を寄せごしごしと目を擦ると相手へ向き直り)
なぁ、お前って飲み過ぎると人格変わる系？まるで別人だったんだけど…
(あまり仕事以外で関わりたくないと思いつつもこの変貌ぶりには驚きを隠せず、同僚だし少しくらいはいいかと早速念頭にあった疑問を解決すべくさらっと問い掛け)

ええと……まぁ私も酔うと多少は変わりますよ
ところで、結城さんはなぜあそこに？　通りかかった時、私がフラフラと歩いていたなどでしょうか？
（目を泳がせ言いにくそうに濁した後、誤魔化すように相手がなぜあそこにいたのかと尋ねて。痛く頭で偶然通りかかったであって欲しいと内心で祈りながら）

(あれのどこが多少だっ、と内心で吐き捨て。まるで何かを隠したいかのように突然挙動が変わったのが分かり小首傾げて細めた目でじーっと見つめ)
いいや？たまたま入ったバーにお前がいたんだ。そりゃあもう盛大に暴言ぶちまけてた最中だったから、最初はまったく気が付かなかったけどな。
(俺は誤魔化されない、と言うように相手の言動をいっさい見逃すまいと熱い視線を向けたまま昨夜の事を思い出しながら言い逃れ出来ない証拠をぶつけ)

う、ぐ……くそ。はー……こっちが素だよ。悪かったな
（バーでの言動を言われ、顔を押さえて呻くと昨夜の口調で話しだして。顔から手を離すと諦めたようにため息をついてこれが素の自分なんだと白状し）
頼むから、バーでのことは言わないでくれ
（悩むようにガシガシと頭を掻いたあと、相手に向き直り両手を合わせて頼み込んで）

(まさかの告白に目を見開いて言葉をなくし、酒故の言動ではなくそれが本性なのだと知らされれば今まで見てきた彼はなんだったのかと軽くパニックになりサッと視線を落として、バーでの発言を聞いていた手前思いの外重大な事実を明かしてしまった事に今更ながら大後悔してやはり踏み込むべきではなかったと胸中己を叱咤し身の危険が迫っていると思うと動悸がして)
……へ？…あ、いや、うん。言わない言わない。
(脅迫されて頭の上がらない生活が待っているに違いない、と思っていた傍ら想定していない相手の低姿勢な懇願に声が裏返り、両手を前に出して大きく頷きながら肯定の言葉を述べ)
それが素だってんなら、職場での演技力半端ねぇな…
(180度違う口調にはどうにも慣れず、誰にでも当たり障りのない態度でいた姿は見る影もないが引きつった笑みを浮かべて「関心するわ」と)

……何だよその反応
（声が裏返っている相手を訝しげにじろりと見て。もし言われたとしてもまぁ信じられないだろうが、やり方はないわけではなく。例えばあのバーの場所を他の同僚に教えられたりしたらまずいと思っていたため、言わないという相手の言葉にホッとして）
だろ？　演技にはちょっとした自信があってな。……まぁ慣れもあるが
（演技力について触れられればフッと自信ありげに答えて。その後自嘲的に笑いぽつりと呟いて）

(ビビりすぎて引きつった表情を両手で擦りながら、いったい何のためにこんな盛大な嘘を付く必要があるのか不思議で仕方なく頭の中は相変わらず整理がつかずグルグルとして)
……てか、昨日あんだけ飲んどいて二日酔いになってねぇのか？
(自分は一杯飲んだだけなので千鳥足にまでなった相手の飲みっぷりから絶対二日酔いだろ、と思いつつ床に足をついて立ち上がり)
座ってれば。水持ってきてやるよ。

なってないわけないねぇだろ。頭は痛いし気分は悪いし、素はバレるしで寝直したい
（散々な状況で開き直ったように言って。話しながら頭痛がしたのか頭を押さえて。一人であれば寝直している状況だが、酔っている時ならいざ知らず結城がいる状況で一人寝るほど礼儀知らずではなく）
客にそんなことさせるのも申し訳ない。俺のことはいいからゆっくりしててくれ。昨日のお礼の意味も込めて朝食でも作ろう。そうだな……メニューは白飯に揚げと豆腐の味噌汁、塩鮭、ほうれん草のおひたしだ
（そう言って冷蔵庫へ向かおうとして。口調は違うが、気遣いは演技の時と似たようなものがあるが、やや強引さもあり）

(まぁそうだろうな、と頭痛が襲っているような仕草に苦笑いをしてお気の毒に…と心の中で呟くもこれから朝食を作ろうとしている相手にドMか？と、冷蔵庫へ向かう相手の背後に付いて腕を掴み前へ回り込み)
もうお前には無礼働かれてんだよ、今更客扱いするな。素のお前は結構頑固だ…そんだけメニューが豊富ならお粥くらい俺が作ってやるよ！
(もはやこの事態を冷静に考えるだけ無駄だと判断し開き直って全てを受け入れる覚悟を決め、一応病人である相手におもてなしされる程性根は腐っておらずこちらも強行突破で対応し)

だからこそだ。これ以上上塗りしてたまるか
（無礼だった自覚があるだけに多少は無理してでも挽回しようとしていたが、頑固だと言われると呻いて）
……飲むなら味噌汁がいい
（相手の勢いに押され、しばらく黙り込んだ後、根負けしたとばかりにソファーに座るとそんなことを呟いて）

みっ…、味噌汁…
(ソファへと座りこむ様子にこちらの押し勝ちかと思いきやまさかの要求にヒクッと頬が吊り上がり、こいつは素になると面倒くさい人間になるのか…とかつての彼が色濃く脳内に焼き付いている為その裏表の裏世界に引き込まれているようで)
わかったよ。ちょっと待ってろ、今作ってきてやるから。
(勝手知らぬ相手の家のキッチンで暫し辺りを見渡しながら、冷蔵庫を空けて必要な食材を手に取り不器用にも調理を始め。あっ！うぉ！など妙な声を上げなら、きっと水沢が作る方がよっぽど早かったであろう時間をかけて、「よしっ」と味を確認しては完成の言葉を述べ、見つけ出したトレーに作った物を乗せてテーブルまで運び)
…お待たせ。ある物勝手に使わせてもらった。…どうぞ。
(玉子粥の入った小鍋の蓋を開け、歪で大きさの不揃いな豆腐がぼてっと入ったお味噌汁をだし。お粥だけは作り方を知っていた為なんとかなったが、普段料理などしないので味噌汁は簡単と言えど作ったことがなく果たしてこれで大丈夫なのか不安があり、床に正座をして膝に手をつき不慣れな事をしている自分が徐々に恥ずかしくなってきて俯きながら提供し)

（ソファーに身体を預け待っていると、キッチンから妙な声が聞こえてきて大丈夫なのかと不安になるも、作業は進んでいるようなので待っていることにして）
ありがとう。頂きます
（現在の相手の様子と作っていた時の様子から、料理を作り慣れていなさそうだなと感じつつ、両手を合わせた後、出された味噌汁を一口飲んで）
美味い
（そう言うと具も食べ出された味噌汁を完食し）

そ、か。よかった…
(横目にチラリと視線をやり味噌汁を口にする相手の美味いという言葉にホッと胸を撫で下ろすとスンと肩の力が抜け表情を綻ばせ「お粥も食えそうなら食って」と付け加え。ふと窓際のカーテンの隙間から差す朝日に気が付き顔を向けると、雨止んだっぽいし早いうちに帰るか…と心の中で呟き、やれることはやった満足感にフンと息をついて)
…あのさ。今だから言える事なんだけど…、お前が職場でどう振る舞おうが勝手だし好きにすればいい。ただ同僚でタメの俺をさん付けで呼んだり敬語で話されるのはどうも気に入らなかった…。昨日の罵声には驚いたけど、俺は今のお前の方が気が楽だよ。…ちょっと面倒だけど…
(今の性格を目の当たりにするとどれだけ自分は騙されていたんだと、側で仕事をしていながら何も知らずにいた自分は他人への興味がなさ過ぎたと少し反省をし、でもそれが水沢の他人へのスタイルなら仕方ないと思いそれでも今思っていることは打ち明けてから帰ろうと、視線を合わせないまま落ち着いた口調で吐露し、うざったく流れ落ちる前髪をわしゃわしゃと掻き乱せば恥ずかしさ紛れに最後いらぬ一言を添えて)


(/そういえば、一般的なよくあるサラリーマンだと認識していたのですが、展開上職種がハッキリしている方がよければそれに合わせます。既に同じフロアで同じ内容の仕事をしているていで書いてしましましたが…汗)

ん、もらう。ご馳走様。美味かった
（お粥も食べ終わり、両手を合わせて）
……分かったよ。結城に対しては敬語もさん付けもしない。が、あのキャラ自体は続ける。罵声ねぇ……。一言多いっての。まぁ、分かりやすくていいけど
（職場での振る舞いが気に入らなかったと言われれば肩を竦めてその態度は改めると言って。確かに気に入らない連中に対しての暴言はいくつか吐いた記憶はあるが、結城に対して愚痴を言った記憶はなく、むしろ賞賛していたようなと密かに思い。とはいえ、それを本人に言うのは恥ずかしいため言えず）


（/サラリーマン（会社から給与をもらって働く）というのは認識的に合っています。職種は決めておいた方が後の展開に良さそうですね。職種はwebデザイナーや商品開発系を想像していました。何かしらのデザインやプレゼン、分析等の仕事があるような職業の想定です。大丈夫でしょうか？　同じフロアで同じ内容の仕事というのは問題ないですよ）

うん、それでいいよ。……なんかごめんな、秘密知っちまって…
(バーでの発言から職場での散々な扱いに相当ストレスを抱えてたんだろうな、とこれまでの流れから無意識に感情移入していて困ってる人間は見捨てられず精神で何か助けになってやれればという気持ちになるも具体的に思い浮かばず、仕事の人間と深く関わってこなかったことが仇になったのかここに来て実感させられ。「あのバーにももう行かないから」と眉尻を下げて薄く笑みを浮かべて呟き)
……んじゃ、これ片してそろそろ帰るわ。水沢はゆっくり寝てろよ。
(バツが悪そうに顔を背けて空になった食器を重ねてトレーをキッチンへと運び)


(/カッコいい職業ですね！いいと思います！Webデザイナーならちょっとはリアルに触れられる笑)

別に謝らなくていい。俺の不注意だ
あのバーも気に入ったんなら来りゃあいい
（秘密を知られたことについては幸いにも結城であったため、そこまで問題ではないだろうと思っていて。バーに行かないと言われれば、そこまで相手に強いるつもりもなく。今回のようになった場合、もし結城に気付いたら絡みそうではあるが、そんなことを言えばバーに来にくくなるかもしれないと黙っていて）
ありがとう。……悪かったな
（ソファーにもたれかかったまま礼を言うと、色々と気を使わせてしまったことを申し訳なさそうに言って）


（/良かったです！　私も少しくらいなら分かります笑。結城さんは仕事で苦手なこととかありますか？　水沢はデザイン面が少し苦手という感じです。それから結城さんはお昼ご飯はどうしていますか？　次の仕事の日には水沢がお弁当でも作って渡そうと思います。胃袋から掴んでいこうかなと笑）

なんかもうお互い様だからチャラな、この件は。実はあのバーの存在知ったの昨日が初めてだったんだよ！オススメ貰ったら旨くてさ、また行きたいと思ってたから許しが出てよかったー
(器や調理で使った道具をシンクで洗いながら、相手の謝罪を聞いて二人して謝ってるのが面白くなりクスッと笑いを溢して。バーへの来訪の許可が下れば相手には見えずともパッと表情を明るくして分かりやすく声音を上げながら話し)
水沢はいつから通ってんの？マスターも名前知ってたし…


(/あ、あまり深い仕事内容はだめですよ…知らないので笑。　苦手なことー…そうですね、プレゼンかな？裏方メインの作業が得意なので人前で説明する為の資料作りが苦手的な。伝わるでしょうか汗。他に思い付かない…。　お昼は絶対買い食いしてます。朝コンビニやカフェで買うかお昼に買いに出るか食べに行く。胃袋掴むお弁当とか女子力高いですね！笑)