車掌 2020-02-25 21:27:29 |
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>パルカ
(彼も幸せだと思ってくれているのだろうか。楽しませることができているのならば本望。一時の夢でも幸せを感じられる方が良い。夢に辛さは要らないのだ。言葉は発さなくてもわかり合えるのが心地良く、一緒にいるだけで心が温まる。「うん、凄く美味しいよ」ほろりと溶けて無くなってもなお口に残る後味は柔らかく、とても甘い。そんな中で告げられた羽の種類に思わず振り返る。小さく白い羽が目に入り、思わずうわあ、と声が漏れた。羽が生えても痛くもない。それなのに実際についているのだ。こんなことが本当に、なんて驚くのは本日何度目かわからない。こんな自分が天使の羽だなんて、おかしくて笑ってしまう。己に似合うはずがないのに。現実でいうのならばきっと天使ではなく堕天使となるだろう。幸せを失って希望も消えた、漆黒。「蝶々の羽にセミの羽、かあ。へえ、色々あるんだね……これ、飛べるの?」まるで一緒に飛びたいとでもいうような無垢な瞳を向けられると、そこに断るという選択肢は存在し得ない。飛ぼうというにもどうしたら良いかわからない。試しにとん、と地面を蹴ってみようか。「う、わ……何これ、パルカ!ほんとに飛んでる……」思った以上にふわりと舞い上がった身体は羽に支えられて落ちることはなく。だが、その代わりにコントロールをする術を持たない身体はバタバタと動かす度に上へ下へと不安定。助けを求めるべく、あるいは楽しさを共有すべく、彼の名前を呼ぼう。)
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