車掌 2020-02-25 21:27:29 |
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>篠宮 花音
花音……?大丈夫か?
( 身を案じてくれる優しい貴女に、大丈夫だと笑おうとした時はもう遅かったのか。貴女はなにかを思い出して涙をこぼしているようだ。そうだ、あの菓子を渡したのだ。涙を流すとわかっていても、やはり狼狽してしまう。辛そうな貴女にまた罪悪感が膨れ上がって、貴女をきらきらと照らした。これでは楽しませるなど虚言もいいところだ。「すまん、すまん」無骨な男に出来ることなんて限られている。どうすれば泣き止むのだったか。一分が過ぎたら収まるのだと、そんな過去の説明すら、男は彼方へ投げ捨てる。マッチポンプもいいところな発言を、そう考える余裕すらなく口に出すのだから始末におえない。「……すまねェ。俺はどうしたらいいのか、わからない……。花音が欲しいあまりに、こんなとこに引っ張ってきちまって、その上得たいの知れねェもン食わせちまった。……俺に出来ることは何でもするから、どうか泣き止んじゃくれねェか。そうだ、プレイルームや談話室にでも行くか?あそこは気晴らしがたくさんある。それとも医務室の方がいいか?大丈夫……か?」矢継ぎ早に繰り出される案じの言葉は、貴女のかけてくれたそれよりもはるかに不器用で、的はずれなものだ。貴女の流した涙を拭いたいと思いながらも、男はそれができないでいる。おろおろとするばかりの、図体ばかりが大きい男。聡明な貴女の顔を照らすまいと、せめてもカンテラを遠ざけようか )
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