‥ 睡眠薬をお一つ ( 〆 )

──……誰、なんだろう。
（ あの女性と相手の視線がジリジリ背を焦がすような錯覚を、手首の傷に爪を立ててかき消し。ブツ、と皮の破ける音でやっと気が逸れるも、相手の問いに再び声は張り詰めて「母さんにも、あの子にも、看護婦にも、清掃のおばさんにも似てる。先生には──先生にはあんまり似てないけど、」血が滴る音に紛れそうな声量で支離滅裂に並べ立て「……おかしい奴だと思われたかな」無表情にグラスを凝視しつつ、未だ背後の視線に固執して ）

当たり前だ、アタシは男だって言ってンでしょ。取り敢えず机拭きな。
( 支離滅裂に並べられていく言葉の中に特別な人の名前は無い。もしかしたら記憶に蓋をされているだけで別の女性が原因として居るのかもしれない。だとしたら情報として書かれていないのも頷けると内心思いつつ、テーブルに備え付けられている箱ティッシュを目の前にずらし。白衣のポケットから厚手の包帯を取り出しては、慣れた手付きで手首へと巻き付けて。「アンタがおかしいかおかしくないか考える程あの人は暇じゃねェよ」慰めではない己には正論の返事を )

（ ／ お世話になってます、黒江背後です！黒江が終始カウンセラーらしからぬ事ばかり言っており大変申し訳ない限りです…！この先の展開と言いますか、何か此処を目指す、みたいなのの要望はありますでしょうか？

一つ思い付いたのが、病院内で透君が何か大きな事件を起こして、もう他の患者や医師等の安全を確保出来ないと判断され入院が難しくなり、家に帰る事も出来なく、保護施設も無理、このままじゃおそらく自殺するだろうと病院には内緒で黒江が引き取る…みたいなのを少し考えたのですが、勿論後々。そうすれば日常等の絡みも出来るかなと！勿論病院内だけでと希望があればこの話は無かった事に…！ ）

そんなの一瞬で分かる。どんなに忙しくても人間を見れば人間だと思うし、血を見れば赤いって思うだろ──それと同じ。
（ 言われるまま血を拭いても伸びた赤色と先程の女性の唇が重なって、あれは営業スマイルと呑気に笑っていた己への嘲笑のどちらだろうと冷たい汗が滲み。男と知っていても相手の顔が見られず、包帯を巻く手に向かって反論しては「──先生、大丈夫だって言って。俺はおかしくない、普通のまともな患者に見えるって」頭痛を堪えつつ、甘えではなく指示するように抑揚無く訴えて ）


（ / こちらこそ透共々お世話になっております！先生のキレのある優しさが素晴らしすぎて、いつもお返事を頂く度にニヤニヤしております…！笑

とても素敵なご提案までいただけて有り難いです、ぜひぜひその展開でお願い致します！！
事件を起こすのは裏の人格ともお話していただき、表裏共に少し心を開いたタイミングが良いのかなと考えてみたのですがいかがでしょうか…？かなり慣れてから引き取られる、または日常生活の中で慣れていく等、ご希望があればそれまでの交流の参考にさせていただきたいです！ ）

( この病院に入院してる以上"普通のまともな患者"の例えはやや不可思議ではあるがそれくらいの望みなら叶えるのが自然。「＿＿あぁ、大丈夫。別に誰もアンタが変だなんて思ってねェわよ。"人間"が表立ってその他いろいろは隠れンの、特に此処じゃアね」腕に包帯を巻き終えるタイミングで相手が言った言葉を借りつつ「此方見な」と指先で軽くテーブルを叩き )


（ ／ ちょっと冷たすぎやしないかとヒヤヒヤものではありますが、そう言ってもらえて安心致しました！此方としても透君の垣間見得る不安定な所とか、強がりな所とか、とても可愛らしくて！

ではその展開で行きましょう！取り敢えず先ずは裏の透君とお話交流を経て、少しだけ歩み寄れた辺りがベストかなと個人的には思いました。そこでまた心を閉ざしてもいいし、ますます縋るようになってもいいし、どちらでも美味しいかなと…！ ）

（ 包帯のように、望み通りの言葉が頭痛と焦燥を覆い隠すのを感じては細く息を吐き「……、変な場所」とさも冷静に呟いて。指先からそろりと視線を上げていき、焦茶の瞳と目が合えば「──いつもは、こんな風じゃないんだけど。今日は問診で疲れてるだけ」その髪に目を逸らしつつ整然と言い訳を並べ ）



（ / むしろ生意気な患者にこんなに優しくしていただいて良いのかと恐縮しております、叱る時はビシっと厳しくしてくださって大丈夫ですので！此方もまだ病み要素が少なく退屈ではないかと心配でしたのでほっとしました…！

了解致しました、どんな関係になるのかワクワク考えつつ進めさせていただきます！話の流れでなかなか裏が出てこない場合、場面転換して絡みに行くことも可能ですのでお気軽にお申し付けください。

また、最初に短ロルとお願いしたにも関わらず中ロルばかりで申し訳ないのですが、読みづらくなければ基本この程度の長さで書かせていただければと思います…非常に適当ですみません…！ ）

下手な言い訳も、本心じゃない言葉も、アタシの前では無意味よ。強がりは悪い事じゃねェけど、気持ちを偽る強がりなら聞かねェわ。覚えておく事ね。
( 視線が真っ直ぐに合えばその瞳を以て言葉より確かな"大丈夫"を伝えて。それと同時に極めて真面目な表情で一つ一つ、まるで言い聞かせるように言葉紡いで行けば「早く来ないと麺が伸びるわよー！」という食堂員の女性の言葉にやれやれとばかりに立ち上がり頼んだ蕎麦を取りに向かって )


（ ／ いやいや、病んでいても病んでいなくても透君は可愛らしく素敵です！！ちょっと厳しい時とかもあるかと思いますが何卒です…！

あ、いいですね！ではこの食堂の絡みが終わり次第何かの形で裏君( ← )と交流出来たらなと思います！

あ、そこは私も謝罪しようと思っておりました！結局長くなってしまい;でも中ロル位の方が場面や心情も少し詳しくわかるのかな？と思いますので互いにこのままでいきましょう！ ）

（ 呆れられるかと唇を結ぶが、決してそうではない瞳と言葉は相手が席を立ってからもぼんやり己の中に響いて。何故だか宥められたような気持ちになれば「……面倒臭いなあ」誤魔化せないという不安と、ならば縋ってみたいと一瞬過ぎった思考への呟きをグラスの中に零し ）



（ / ではこの後情緒不安定にならなければ、数時間後か翌日までスキップして裏君で突撃させていただきますー！初回は凄まじく失礼になりそうなので、先にお詫びしておきます…！

こちらも描写や心情があるとより楽しく拝見できますので、ロルに関してはお言葉に甘えさせていただきますね。ありがとうございます！ ）

＿＿ほら、少し食べな。夜までご飯出ねェわよ。
( 蕎麦を受け取ればお盆に小皿と割り箸二膳を置き戻って来て。割り箸で適当に取った麺少しと汁を小皿に入れて相手の目の前に差し出し。食べようが食べまいが己は箸を進めて )


（ ／ いえいえ、此方ももしかしたらいろいろな行動を止めるのに力ずくとかになってしまう時もあるかもですので、お互い様でいきましょう！

ロルにつきましても臨機応変と言う事で！
では背後はここでまた失礼しますね。また何かありましたら声を掛けさせてもらうかもです！よろしくお願い致します！ ）

ありがとう──…じゃなくて、どうも。
（ 水を飲む間に並べられた皿、配慮の連続に痛痒いような感情を覚えては精一杯の敬語で礼を。相手に続いて箸を持てば「何で俺なんかの担当になったんだろう、黒江先生」それらの配慮が嫌ではないからこそ、純粋な疑問と同情をぽつりと口にして ）


（ / はい、それではこちらも一度失礼させていただきます。お声掛けありがとうございました…！ ）

興味よ興味。詳しい話は出来ねェけど、担当が代わる時はいろいろあンの。…後は上の判断ね。
( 蕎麦を啜り表情にこそ出さぬもののその味を堪能していた矢先、ふいに純粋な疑問が落とされれば箸を動かす指をピタリと止め、"興味"なんてまるで欲求に忠実な答えを返しつつ「残念だけど、よっぽどの事が無い限り患者側から交代を申し出る事は出来ねェわよ」また食事を再開して )

興味って。ある意味先生が自分で決めたって訳？
（ 上司の強制か押し付けを想像していたが予想外の答えについ目を開き。暫く蕎麦と共に黙々とその事実を咀嚼しては「…別に、交代しろとは言わないけど。交代せざるを得ない目に合うとか、普通考えない？」つ、と箸の先を相手の瞳に向け。前任のことがあるのだから、と平坦な表情を取り戻しつつ仄めかし ）

そうなるわね。生温い言葉で隠すつもりはねェから伝えるけど、担当が付く患者は限られてる。少なくともアンタ自身一番身に覚えがあるでしょうけど。
( 元より食事は早い為にあっという間に食べ終われば箸を器の端に置き真っ直ぐに見据えたままストレートな返答を。それから相手が食べ進める中同じく無言で椅子に腰掛け続け。それから経った時間はおそらく僅かであろう、ふいに食事に使われていた割り箸の先端が目の前に突き出されれば恐怖どころか口角僅かに持ち上げ「考えないわね。アタシはアンタが思ってる程ひ弱じゃねェのよ」間髪入れずに答えると同時に徐に伸ばした指先で以て箸の先端を掴めば、そのままパキッといい音をたてて折り曲げ。残りを食べるのならば己のを、と使い捨ての箸を視線で促し )

…それにしても趣味悪いって。
（ "身に覚え"のある患者は自分一人ではないはず。そう考えると決め手になった興味の種類は深読みしないほうが良い気がしてただ一言。「──前の先生はもっと強そうだったけどな」更には割り箸ではなくペンだったと、忠告は止めないが無残に折れた姿を見ていればふと久しぶりに笑みらしい表情が零れ「ご馳走さま」勧められた箸を逡巡しつつも使う程度には相手に慣れた。そんな己を客観視しつつ空き皿に手を合わせ ）

それは自覚済みよ。
( "趣味が悪い"との言葉は言われ慣れたもので、自分自身もそう思っていればなんら気に止める事もなく鼻で笑ってみせ。前任が誰だったかは知っている。確かに力こそ強かったかもしれないが果たして肝心のもっと別の所はどうだったか。「ペンだって安くねェのよ、毎回毎回血だらけにされちゃあたまったモンじゃねェわ」今一度鼻で笑い空いた皿ごとお盆を持ち上げては、着いてくるのを前提に指定の場所へ返却し食堂を後にして )

じゃあ俺の問診の時はどっかに隠しておいて、一応。
（ 悪趣味でも刺されるのは嫌だろう、何より己が嫌だと真面目に返せば相手と共に立ち上がり。その影に隠れるようにして食堂を出ては「……何ていうか。色々ありがとうございました」問診も食事も終え、用が済んだ以上着いて歩ける理由もなく。相手がさっさと行ってしまいそうで、包帯を見やりつつ端的に述べ「治療するより死んだほうが早いと思ってたけど。とりあえず、もう少し考えてみる」などとさらりと付け足し ）

覚えてたらね。
( 忘れるはずはないが簡単な言葉で締め括り、紡がれたお礼にも片手を挙げるだけで応えては「死ぬ前には一度声掛けて頂戴」なんて聞く人が聞けば医師としてどうなっているんだと言う返答を一つ、後に白衣の裾をヒラヒラと閃かせながら自室とかしている先程の早へと戻って行き )

（ 遠ざかる背中に同じく「覚えてたらね」と呟けば、その姿が見えなくなってから己も自室へと歩き出し。前と同じ事の繰り返しなら舌でも噛んで死のう。数十分前にはそう考えながら歩いていた道を、時折包帯を眺めつつ戻っていき ）


（ 夕方の慌ただしい人の行き交いを押し退けながら"診察室"と書かれた扉まで向かい。それを蹴破らんばかりの勢いで開いては「──てめえがクロエか」中にいる相手を殺気立った瞳で見下ろして ）

( "二重人格"こと"解離性同一性障害"。どの辺からどらくらいのペースで進めていこうかと写真付きカルテを眺め考えを巡らせていた刹那、凄まじい勢いで以て扉が開けば視線は自然とそちらに向き。立っているのはあの日最初の問診をした担当患者。見た目こそそうのなのだが＿＿「…ノックくらいしな餓鬼」やれやれと肩を竦め形ばかりの注意をするも、どうせ効き目は無いだろうとわかっていれば「何の用事？今日は診察ないわよ」と先を促して )

はッ…何だこいつ。患者の間違いじゃねえの？なぁそうだろ？──てめえの病室もわかんねぇのかクソ気違いが。
（ 場違いな女言葉に目を見開き、くっと喉を鳴らしては嘲るような笑声を上げ。足取りが揺らめくほどゲラゲラと笑いながらも、相手の目の前まで来ればスッと怒気を取り戻し「てめえの医者ごっこじゃ話にならねえんだよ。頭のマトモな人間寄越せ」唐突に胸倉を掴み上げ、食い殺さんばかりに睨めつけながら吐き捨てて ）