《ヒプマイ》せんせえ、お呼び出し！《オオサカ》

ッひ、…きっ、しょく悪い笑い方すなやこんボ.ケぇ！ええか！？その笑い方次やってみぃ、お前とは絶縁するからなッ！！（浴びせられた背中からぞわわ、一気に肌が粟立つ。ついでに怒りが沸点にまで急激に跳ね上がる。こめかみからブチりと血管切れたような音がするがそんなことは些事、知ったことか。湧き上がる悪寒に腕擦り、顔だけ振り向けば般若のような面でぎゃんッと勢いよく喚き／）
んぶ、……っ（ふにゃふにゃの顔を見られただけで少し気恥ずかしかったのに、それに加えて突然の口付け。目真ん丸にして放心、思考がストップ。数秒後にハッとしてぶわわ、途端に熱くなり始めた顔。あかん、またやられた。心構えさえ出来ていればここまで照れたりはしないものの不意打ちには滅法弱いらしい。逃げた背に向かって「ささらぁ…」と何とか零した責めるような声は酷く弱々しい。両手で顔覆えばその場にへたり込み、ボロボロ独り言のように言葉漏れ落とし始め）……なん、…、何してくれとんの、あほ。…それにあの声なんやねん。可愛い、…、かっこい、狡い…好き…

　

ヒェーッ！！だっははっ！おーっ怖！めっちゃ顔怖いやん！自分キレ芸いけるんとちゃう！？……、ハァッ！？！（振り返る綺麗な顔…が、怒りでこれでもかと言う程歪んでいる。元が優しい人程…美人な程怒ると怖いと言うのは強ち間違いではないらしい。怒鳴り声に弾かれたように戯けて悲鳴を上げて、素早く彼から距離を取ればぴゅーっとコタツの側まで避難。壮大に笑って指差して茶々を入れるが次いで出てきた言葉に、驚愕して声を上げる。今度は素で声が裏返ってしまった。バタバタと彼の側に戻って来て正面からむぎゅううう！と抱き着く…と言うより半ば縋り付いては眉を八の字に、くしゃりと情けなく表情歪め涙声で）あっ、あかん！それは嫌や！絶対嫌！！そんな事言わんといてぇ…！もう二度と淑やかに笑わへんからぁ！
ふ…、っ…あんなん…あんな顔、あかんやん…反則や…（背に名前を呼ぶ声が聞こえて来た気がしたが振り返らず、否振り返れず、洗面台に直行した。外したマスクを捨ててガシャガシャと手を洗って、綺麗になった手に水を溜めてコップを使わずうがいを済ませる。そのまま顔もバシャバシャと洗って、棚からタオルを引き出しぼふっと顔を埋める。顔埋めて水滴を取りながら先程の彼の笑顔思い出して、誰に言うでもなくもごもごと文句のような独り言を洩らす。漸くタオルから顔を上げて鏡に目をやると、僅かに染まる頬、自分の意思では下げられない口角、緩み切った顔）なはは…人の事言えへん、…だッらしない顔ぉ…。

なっ、なんや…　あ、ぁ……えっと、あかん、そう、あかんかったな。嫌やねんな。…ん、アホなことせんかったらそれでええ。わかったよ、もう言わんから。……あぁぁ、どないしよ…（茶々入れてくれば再び声を荒らげ――損ねた。勢い半分冗談半分で口走った絶縁の二文字は彼の地雷を見事に踏み抜いた様子。縋り付くような彼の勢いと涙声にたじたじ、反射的に胸元まで上げた手は彼を抱き締めていいものかと直前で動きを止めた。狼狽えるように動く瞳。嫌だと強く訴えてくる彼の肩に恐る恐ると触れればぐいと押しやり、軽く引き離す。その歪んだ顔を真正面から見てしまえば、あかん、あかんこと言うてもた、と押し寄せる後悔に胸痛ませ。肩から離した手でふわり相手の頬を挟み包めばそのままこつり、優しく額同士を合わせ。眼鏡のレンズ越しにじっと相手の目を見て）……簓ごめん。俺、…。
ほんま、…はよ帰ってこいやあのドアホ…（照れが行き過ぎると途端に言葉が辛辣になる。蹲ったまま言いたいこと言い終えてはパンッと両手で己の頬叩き、顔は赤いままではあるが表情切り替え。そのままの勢いで再び立ち上がれば足音荒く彼の逃げ込んだ先、洗面所へと向かう。距離が縮まれば自ずと相手の声が小さく聞こえてくるもので、彼が自身をだらしない顔と称する独り言聞けばちらりと洗面所を覗き込み鏡越しに彼の顔を見て。うわっ…柔い顔…。口にしかけて何とか寸止め、代わりに零すはツンケンした声色。不満げに唇尖らせ）さっきのちゅーは何やねん。…期待させるだけさせといて逃げるて狡いんとちゃいます？…酷い男やな、簓。

　

……、…俺が欲しいのはごめんとか、その、デコとデコのチューちゃんねんけど。………俺が次、オホホって笑ったら…ほんまに絶縁する気なんか…（体が引き離されて彼の顔正面から見つめれば拉げた顔は一転。豊かな表情筋を使ってムスッと眉間に皺を刻み口をへの字にして、ザ・不機嫌の顔。相方が本気で言ってないのは勿論わかっているし、冗談で口にされて気持ちの良い言葉ではないが、サラリと流せないほどの器ではない。実は、大袈裟に慌てて、しまった、と顔を顰める彼に甘えたくなってしまったのが正直なところ。…これはチャンスや。恐らく本気で反省しているであろう心の優しい彼にちくり、心が痛んだものの、反省しとけアホ！と心の中でアッカンベー。茶目っ気たっぷりに、包まれた頬ぷく、と膨らまして尖らせた唇で…また要らん遊び心が疼いてしまう…少し論点ずらして詰め寄って）お前、そんなに俺のうふふオホホ…嫌いか…。
ぅおッ！！ビビった…そっと立つなよそっと…。何？酷い男やとぉ？んん…まぁ、心外やけど盧笙みたいな別嬪さんにそないに言われんのはなんや悪ないかもな…。どこぞの誰かさんがえらい緩いかわええ顔しとったから、つい、チューしたなってもうたんや！（ぽやぽやと彼の可愛らしい笑みを思い出してデレデレしていた所を見つかってビクッ、と振り返り職業病の如くリアクション&突っ込み。飛んで来た非難の言葉に気恥ずかしさのせいか未だ薄く頬染めたまま、言い返そうとするも、なんか今のってドラマのイケメン俳優が言われるような台詞やんな…。相手が盧笙なら良い経験やわ、と自己完結。て、元はと言えばチューしたなるような可愛い顔して煽ってくんのが悪いんちゃう？半ば開き直る勢いで使ったタオル洗濯機に放りながらくわっ、と弁解。片眉を上げ挑戦的に一歩彼に歩み寄ればニヤリ口角を上げて）んで？盧笙は何を期待してはったん？応えたいわ…教えてや。

うっ…、うぅぅ……嫌いというか、さっきはちょっとイラついたというかで…絶縁するほど嫌いではない、かな…（目に見えて不機嫌な様子見れば更にどないしよ、という焦りが湧き上がる。返された言葉にぽつぽつ今度こそ間違えぬようにと言葉選びながら、するりと静かに手を下ろし額を離した。そうして密かに半歩下がる。彼が本気で怒って詰ってくれば、多分、自分は今度こそ今以上に上手く立ち回れなくなると思った。そうなることが怖くて、普段のように手も出せなければ突っ込みも出来ないこの状況。…先程のごめんの後口ごもったのは、冗談やった、の一言では片付けられない問題だと思ったから。冗談だからごめん、なんて言ったところで一度傷付けてしまったことに変わりはないわけで。…再び口を一文字に結ぶ。要らんこと言うな、と自分律し。密やかに息を殺し、目線落とし、居心地悪そうに背を丸め）
な、……き、聞かんでもわかれや、こんドアホ。……もっと深いの、欲しくて…。…クソッ、何言わすねん（酷い男――自分で言い終わってからふと気付く。言葉選びが露骨だった気がする。わざと彼を煽ることも多いが、それと同じくらい無意識でも言ってしまうところが自分にはあるらしい。たった今自覚した。勢いのある弁解に怯みつつ、何処か挑戦的な相手の様子見れば言うべきか言わざるべきかを迷い。結局喋ってしまうのは彼への甘さと甘えたさ故。不満げな顔には分かりやすく照れが混じり、慌ててふいと顔を逸らして）

　

あー！ちゃうちゃう！離れんのもダメ！……何本気に俺のオホホ淑やか笑い嫌いかどうかの回答しとんのや…真面目か……。そんなとこが好っきゃで…、ごめんちょお意地悪してもうた（どんどん萎縮していく彼、触れた手が離れて距離取られてしまえば慌てて彼の引いた半歩を0どころかプラスにする勢いで一歩踏み出す。離れゆく手を引っ掴んでまた頬に戻して、自分は彼の背にぎゅっと腕を回したところで自分の間違いに気付く。そうかー！そう来るか！コイツ俺のこと大好きやったわ…！真摯に向き合って思考を巡らせている彼に良心が痛む。お笑いで言うイジリ、それと揶揄い、意地悪は全くの別物で、自分はやはりどうしても彼への…他人への‘意地悪’が向いていないらしい）絶縁…は、ちょっと聞きたなかったけど。別にそんな怒ってへん、……そないに反省するんやったら…デコちゃうくて…口に。…口にもろたら、許したろかなー…って（結局は口で説明するとこになってしまった決まりの悪さに、もごもごと口動かしつつきょろり視線彷徨わせ。漸くそろり上目で視線やればじ、と見つめ）
おー、素直に言えてお利口やんな？さっきのしおらしさはどっか行ってもうたみたいやけど。……なぁ、ここでええの？鏡あるよ（彼の顔色に照れが混じる、言葉にも少し色が乗って顔の緩みが引いたと思ったのに、今度はまたタイプの違うそれがやってきて自然と唇が弧を描いてしまう。少し興奮を煽られたのと、自分を求める彼の答えが嬉しかったのと半分ずつ。強がりが残る口調にほんの、ほんの少しだけ加虐心が擽られた。そっと距離を詰めて、腕を回して腰を引き寄せる。鼻先が触れ合うほどふわり顔を近付けて、キスをする距離感を作った後密着した二人を映し出す鏡に視線ちらりと投げて彼に教えてやる。然し、彼が嫌だと言ったところで場所を変えてあげられる余裕はなさそうで、囁いた低い声がシンとした洗面所の空気を揺らす）…俺は今、欲しいねんけど。

盧笙そろそろ眠いんちゃう？寝なあかん時間やろ、大丈夫か…？（ちら、目擦り）

あー…いや、つい楽しなってもうて結局いつも通りの時間やな。眠いけど楽しいのが勝って目ぇ冴えてきてるわ、あかんあかん…そろそろ寝るよ（ふへ、と苦笑零しつつ布団へ寝転び。隣スペース空けて）…また明日、あの遣り取りの続きさせてな。それじゃあおやすみ、簓。…大好き（くふ、）

　

無理はあかんで、まぁー俺と話してて楽しくなってまうのは痛いほどわかるけどもやな…。盧笙の隣っ、もーらい！（腕組みうんうん…。空けてもらった隣へ嬉々としてもぞもぞ、）ん、わかった。待ってるよ、…おやすみ、ろ……お前、俺の事寝かす気ある？（頬ぽぽっ、）…俺も大好きや！俺の夢見てな、また明日（ひひ、額ちゅ）

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《やりたいことリスト》
・家で一緒にたこ焼きして、酒飲んで、デザートにはプリンとクリームソーダ（お家デート言うやつ…？いやでもいっつもしとるようなモンか）
・マクドデート（簓の奢り！いっぱい食ったろ。…変装した簓隣に連れて歩くの、なんやええ気分やな。デートの最中は俺だけの簓でいてほしい）
・指輪、一緒に買いに行く（極端な値段じゃなければまあ他は別に気にせんでええ、手の届く範囲であれば金に糸目をつけないで良し。…簓は糸目やけど(いやおもんな。おもろないキャラは簓だけで十分！)）
・
・

適宜追加。

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よし、こんなもんか？……はは、こんな早朝から何書いてんねやろ…（愛用のペン片手にB5用紙と向き合い、今思いつくことを書き尽くしては頷きひとつ）…自分じゃそうは思わんけど、なんや今までそんなにワガママ言うてないみたいやから取り敢えずしたいことプリントにまとめてみたわ。休日被ってまとまった時間取れた時で全然ええねんけど…（ぽつり、／冷蔵庫の前面にマグネットでぺたり貼り付けておき）……あかん、なんや凄い恥ずかしいな…。いやでも言うとかんと伝わらんし……って、そろそろ時間や。用意せんと…（あわ、）

　

財布に鍵、手袋とマフラー、腕時計……うん、忘れもんはないしそろそろ出るか（指差確認終わればちらりと相手見やり）時間空いたら返信するな。…一日ぐらい休みたかったけどしゃあない、今日も頑張ろ。簓、行ってきます。
…って、あーあー……布団捲れとるぞ、風邪引かんようにあったかくしとけよドアホ。……っはは、緩んだ顔しよってからに…（眠る相手の傍らに座り込み、寝乱れた髪手櫛でふわり梳いてやり。布団綺麗に掛け直して暫し寝顔眺めた後、掠める程度の口付け唇に落として音立てぬよう慎重に外出）

　

……んぅ…、……ん。…アイツ、出掛けにチューしよったな…（いつもは腕や足が布団からはみ出て冷えているのに今日は温かかった。パキッと目が覚めてむくり、体起こしては未だぽやぽやと感じる眠気に欠伸洩らしつつ独り言ポツリ）相変わらず朝早いやっちゃな……ニワトリか…、いや今日に限っては俺が‘寝過ぎ’か…あの木何の木？‘ねぇ、杉？’っつってー…んふふっ。プリン1個くらい先に食うてもええかなぁ8個もあるし……お？（得意の親父ギャグ朝の一発。顔を洗ってサクッと歯を磨いて飲み物を求めて冷蔵庫へ、扉に手を掛けたところで張り紙発見）
……、…ふはッ…なんこれ…めっちゃかわええなぁ…？え？可愛い…、ハァ？ごっつかわええ…何やねん…えー…？？可愛いぃいい……やばあ…俺の具沢山なボキャブラが消失するほどの可愛さやで、営業妨害もええとこですわ……ッはーー…かわい…（扉から紙を剥がしてまじまじと読み込む、一応冷静を保ったまま適宜追加まで読み終えて。また《やりたい事リスト》まで視線を戻す。3~4周読み返したところで冷蔵庫を背もたれにずるずると座り込んで、寝癖のついた髪をわしゃりと乱す。頬が口角がニヤニヤニヤ…いや、こんなん見て緩まん方が可笑しいわ病気やで、不感症や。頭を抱えて悶え倒しもごもごと可愛いを繰り返して、その可愛さに疑問すら湧いてくる。ヤバイ、可愛いがゲシュタルト崩壊起こしそうや……。暫く悶え倒して数分後、フッと突如として真顔取り戻せば徐にパシャパシャとスマホでその可愛いが詰まったB5用紙を連写、乱写。カメラフォルダを白くしてやっとこ気が済んだのか冷蔵庫の扉にマグネットで元あったように貼り直し。リビングの棚にあったマジック引ったくってくれば、目を付けたのはマクドデートの項目。『デートの最中は俺だけの簓でいてほしい』のすぐ右に→マークを書いて、『デートの最中やなくてもササラのハートはお前のモンや！』と一言付け足し、次いでに語尾に馬鹿デカいハート描いたろ。続いて最後の項目『…おもろないキャラは簓だけで十分！』の“おもろないキャラは”に、上からビーッとマジックの太線を引いて消してやる。コラ盧笙どつくぞ。それからその下行に打ってある点に続けて、『・ポケモンのごサンケ！いっしょに 決 め て や！！！』と彼の達筆な文字とは全く別物の太字マジックで走り書き。咄嗟に出て来ない漢字はカタカナで代用。項目を付け足して満足げにふふん、と鼻を鳴らしてもう一度、更新された紙をスマホのカメラに収め、ほこほこと満面の笑み綻ばせて）……なんやねんほんま…めっちゃ好き、はぁ……こんな時近頃の若い子ぉは、無理しんど…て言うねんな。……俺も無理…しんどいわ……シャワー浴びてこよ…。

…もうほんまに…ほんまに！ほんまにやで！盧笙！はよ帰って来い！このやり場のない気持ちしっかり受け止めてもらうからな！（ムキーッ、／）
…とまぁ、気ぃ付けて行って来てな。送り出し出来んくて堪忍！今日もボチボチ内職片付けながら待っとるから、頑張り過ぎんと楽しんで来てや（ふふ、）あー…後、だいぶ日ぃ空いたからどうしよか思ってたけど空き時間に打っとった長いのの返事、一応出来たから上げとくな。なんや長いのばっか連投してごっちゃなってもうてんな、すまん（わはは、）折角やから投げるけど、蹴ってくれてええわ。
とりあえず、おはようさーんと、いってらっしゃい。し忘れてた挨拶できたから満足や、…さて俺もちょっとだけ出てくるわ！いってきまーす（手ひらり、）




ああんいけずぅ、もうちょい乗ってや…。でも確かに子猫は見誤ったわ。盧笙はん、獰猛やもんなぁ…（腰抱いた手はそのままにぶう垂れながら払われた手ヒラヒラ、ぷくく／）や、言うてない言うてない、アホ言わんでええ……ッ！ぅ、（彼の唇が愉しげに弧を描けば主導権奪われた事もこれから起こる事も全てわかってしまって、ぶんぶんと首を横に振りながら後退り。逃げられず耳元に寄せられた唇、甘く鼓膜揺らす声、その言葉の意味に、声詰まらせ赤面ぶわわッ。暫し唇はくはくと開閉させた後恥ずかしさに小爆発、肩がしりと掴んで距離取って）ぁ…っ、アカーーーン！！アンダースタンドちゃう！アンダーシッダンじゃボ.ケ！…それは…！俺も、男の子やし…！ず、ずッ…！…ずっこいやんソレぇ……（赤面のまま力無くへなへなと彼の胸元にぽすり、額から突っ込んで）
俺の鼻水ごと愛してぇーな。…盧笙とさ、また一緒になれて、俺の事めっちゃ想っててくれて…嬉しいのと。なんやお前がそんな泣くから、色々思い出してもうて…しんどかった事とか、楽しかった事とか、色んなもんごちゃーってなって。そこに、お前がやっと笑ってくれたから、俺もおもろくなって…聖徳太子ちゃうねんぞ、そんな捌き切れるかーいっ…て。盧笙に聞いて欲しかってんけど……待って、こんなちゃんと説明したらおもろない、恥ずかしいだけやん…失敗した…（訝しげに返された言葉、待ってました！と言わんばかりに顔が綻ぶ。泣いた後で顔も引き攣れば身振り手振りもいつもより力無いものの、時刻楽しげに言葉を紡ぎ出す口。やっぱりこうして彼と言葉を交わしたり、笑いを共有して更なるそれを生み出すのが大好きだ。一通り話し終えたところで気付く、‘おもろいネタ’として聞いてもらうには些か説明し過ぎた、これじゃ二人でネタ考えてる時に、こういうのどうや？って話し合ってるのと変わらんやんけ。てか、大しておもろないしな、やば、恥ずかしい…。溢れる嬉しさと楽しさに麻痺していたお笑いの感覚に、苦虫を噛み潰したような顔しながら忘れてくれ…と情けない声で付け足す。誤魔化すように再び肩口から首筋にかけて頭から寄せ、彼にぐりぐりと押し付けながら）…盧笙、顔洗って着替えよか。目ぇも冷やしとこ、また男前なってまうで。

わははっ、アホッどんだけ稼ぎたいねん（デコピンッ、）なぁ前から気になっててんけど、いつからそんな金の亡者になってもうたん？まさかお前…隠し子とか居るんちゃうやろな……？（ハッ…、じとり）…へへ、俺が目立って困るんやなくて…目立つ事で邪魔が入んのが嫌なんやな。…ッふは、ろしょー可愛いとこあるやぁーん…（照れっいひひ、）
オイお前ぇ！悪口言い過ぎやぞ！俺の目ぇは確かに！開いとんのか開いてへんのかわからん目ぇしよるけど！チャームポイントじゃボ.ケェ！う…っぐぐぅ…！無理や…！！この不良ゴリラ教師には腕力で敵わんわ…！！あかん…腕攣りそ……（繰り出される罵倒にテンポ良く口汚くなり過ぎないように返せるのは俺とお前だからやな。やり取りの片隅で密かな優越感に浸りつつ押し問答していたものの、やはり持久力と物理的な腕力は彼の方が上らしい。こちらの力が弱まるとずりずりと突っ張られるがままに距離が開いて行き、最後は掴んだ彼の肩に指先が辛うじて触れているのみ。ぐったりと床に重力で縫い付けられながら掠れ声で腕の不良を訴えて）

ただいま戻りました…（いつも脱ぎ散らかす靴、脱ぐ前にしっかり玄関の方を向いて揃えて脱いだ上に、そっと手で整え。ふぅ、呼吸を整え見えない眼鏡クイ…／）…ふっくく、盧笙の真似ーっ。
なぁ聞いてや、今日久々に電車乗ったろ思て乗ったんやけど。『電車がきます　train coming』の英語表記が『電車がきます　tragic comedy』て見えてさぁ…いや、どんな電車来んねんて突っ込んでもうたわ（ぷくく）さて、ぼちぼちオコタあっためて待ってんでー。

えっ。え、なに、（折角離れたのに、なんで？…踏み出される一歩と共に再び後退りしようとして、けれどもし損ねた。ぞっとするほど冷たくなった手。それを掴んで頬へと戻されては戸惑いと困惑にゆらり上げた瞳揺らめかせ、回された腕にびくり身体を強張らせ。そこで明かされた‘意地悪’の一言。意地悪…？ 頭が追いついていないのか、眉は八の字のまま不思議そうに丸める目。続けられた説明に湧き上がったのは深い深い安堵。それと、彼の意地悪に上手く気付けなかった自分への羞恥。…あかん、簓のこととなるとどうも視野が狭まる。一文字に結んでいた唇は綻び、そこから零す声は泣きそうに掠れている）…そんなんで許してくれるん、流石にお人好しちゃうか。……あんな、俺ほんまに縁切るつもりなんて無くてな、…だから、ごめん。ごめんなさい、…大好き。簓、ごめん、好きや……っ、ん…（言葉を重ねる毎に震えが大きくなる。好きが大きくなる。頬添えた手で緩く彼の顎上げさせては此方も僅かに背を丸め、愛情込められるだけ込めた優しく触れるだけのソフトな、それでも長い口付けをそっと贈り）
……ぁ、（鏡がある。それはつまり、簓の色っぽい唇の動きも自分のはしたない顔も同時に目にしてしまうということ。横目に鏡を見ながらそんなことを考えて、口が半端に開いたその間抜けな表情がそこに映る。嫌や、こんなとこでしたない、見たない。こんなん羞恥プレイやん。――ぞくり、抱かれた腰から背筋を辿って駆け上がったのは仄暗い興奮。…嘘や、こんな状況で気分高まるなんて嘘や。押し返すでも引き寄せるでもなく相手の肩へと手を添える。沸々と込み上げる熱は顔のみならずその首元をも赤く染めていた。彼の唇が動くのを鏡越しに見て、低い声が直接吹き込まれれば問答無用で白旗を上げるしかなかった）…俺もほしいっ、…ダメや、我慢できへん……

　
ただいま、……疲れヤバない？無理。こんな状態やっていうのに明日も早いとか何なん？嘘だと言ってよバーニィ…あれ、これなんの台詞やったっけ……ガンダム？（帰って来るや否や怒涛の独り言。頭回らないまま手洗いうがい済ませて、ふらりリビングへと足進め）目ぇ疲れた、首も肩も痛い、ほんまにあかん……。いや、俺めっちゃ頑張った、ええ子にしてた。世界は俺に厳し過ぎんねや、これはご褒美ないとやってられん。……あかん、身体壊すわ…（簓の隣、温められた炬燵へと足突っ込めば漸く一息。思いつくままに喋り、突如力尽きたようにバタリ…、天板へ顔伏せ）

　

おかえりろしょ…おおお、ヤバイヤバイ盧笙がイカれてもうてる…！よ、ようしゃべるな…何それ俺の真似？俺なん？ガンダムで合うてますけど、惜しいなぁ正しくはそれ台詞やのうてサブタイトルですわ……（元気よく迎え入れようと挨拶すべく口を開いたが珍しく彼の声に押し負ける。大きな声ではないがぶつぶつと漏れる独り言の気迫にやられ、ガタッと身動いで彼を見る。同じ容量で言葉返すが、酷く疲れた雰囲気を纏いしおしおと隣へ入ってくる彼に一旦口を閉じて）ろ、盧笙……今日もお疲れさん。大丈夫か…？少しでも癒してやりたいから上の長いのは明日返すわ。ええよな？そんなんよりご褒美くれたるわ…盧笙ええ子、ほんまええ子やで。よう頑張ったな（疲れ切った彼につい口籠るが出来るだけいつも通りを心がけようか、いや、いつもより少し静かな方が良いだろう。顔を伏せる彼の背にゆるり腕を回してぽんぽんと肩を優しく撫でる、そのまま自身も彼の方向いたままぺたり片頬天板にくっ付けてじ、と眺める。いつもより柔い声色で優しく囁いて、そこからそっと顔寄せて耳元へちゅ、とキス贈り）

あほぉ、お前の真似する気力も無いわ……。…あは、もうあかんな、意識がふわふわしとる…このまま逝ってまうかもしれん…（彼の指摘も上手く頭に入らない。冗談で口にする言葉はしかし抑揚の無い低い声で紡がれるため恐らく冗談らしからぬ風に聞こえるだろう。隣から聞こえる労りと肩撫でる手、そして耳に柔い感触リップ音。んん、と稚い声を漏らして微かに身動いては彼の方向いて彼と同じように片頬天板にぺたり、つまり見詰め合う状態へ。いつもより幾分控え目な彼の様子は此方への配慮だろう。細やかな気遣いが嬉しくて頬やんわり緩めては先程の低い声から一転、とろとろと煮詰まったジャムのような甘い声で）…なあ、もっと簓の声聞かせてや。……今な、外で聞いた色んな音が頭ん中でわんわん響いてて。俺のキャパでは受け流し切れんくて。…だから、お前の声を聞かせて。他のもん消したい、お前の声だけ聞いてたい。…もっといっぱい喋ってや。

　

いっ…嫌や！オトン…！あたしのお腹の子ぉ…孫見るまでは逝きとおても逝けへんって言うたやん…！……なんちゃって、なぁ盧笙それあかんて。冗談に聞こえへんわ（窓の外には残り僅かの枯れ葉がついた寒そうに北風に凍える木。病室のベッドの上で遠くを見つめる病に伏せる父…盧笙、そんな父の手をギュッと、強く握って涙を浮かべる娘、簓。ハンカチを噛み締めるに値する切ないシーン…というショートコントごっこを勝手に一人で一通りこなした後、彼のあまりにも生気のない声音にバシッと鋭く入れる突っ込みの代わりにぽふり、優しく髪を撫で）……えらい甘ったるい口説き文句やなぁ、この甘ちゃんめ。しゃあないなぁ、外郎売りでもやる？ちゃうなぁ。ろしょおくんはどんなお話が好きなんやろか…っふふ、ええ眺め（盧笙のこの声は甘えたい時のやつやなぁ…緩んだ頬に少し安堵。彼の眼鏡にそっと手を掛けて外して、見えへんという文句が飛んでくる前にずり、とぴったり密着すべく距離を詰める。要望通り、盧笙が望むなら…酷く弱った盧笙を癒せるなら何でもやったる。口はいつものように回すが、その声音は外では絶対に出さないそれ。成人男性にしては若干高めの声のトーンを下げると、端々が少し掠れる、完全にオフの声。こちらを向いた彼の整った顔を眺めてポツリ感想溢しては、ぐっと距離詰め今度は額にそっと唇押し当て）

…、お前の話やったら何でも聞くよ。言いたいこと、思いつくこと、何でもええ。お前の喋りなら何だって好きや。…じゃあ、そうやな、今日は何か変わったこととかあったか？（柔い突っ込みにふふふと笑いが零れる。外された眼鏡をぼやける視界で追いつつ、けれども文句を言う前に詰められる距離。ここまで近ければ支障はない。それどころか裸眼でもはっきり見える。綺麗な肌に長いまつ毛。目尻をつんと飾るそれが特に可愛くて好きだ。達者な口が回るのをこんなに近くで眺められるのはきっと俺だけ。…人生の愛方の特権。嬉しいなぁ、こいつと居ると楽しい。続けて口付けられた額、きゅんと高鳴る鼓動に照れ笑い口元湛えつつ）

　

んはは、めっちゃ褒めてくれるぅ。嬉しいわぁ…そやなぁ、あ。今日出掛けた次いでにな、家の近くのスーパー寄ってん。牛乳無くなりそうやったから買っといたで、…ほんでなスーパー出る時におばちゃんに捕まってな？追っかけて来て「お兄ちゃんテレビ出とるやろ？ヌルサラくんやんな？孫がファンやねんー！」言うてな。サイン欲しい言うから、まー色紙やなくてもメモ帳とか出てくると思うやん？どこにサイン書いたと思う？…さっき買い物したレシートの裏な。ヤバいやろ（柔い気の抜けた優しい顔。多分これは生徒へ向けるのとはちゃう。俺だけの、俺だけが見れるやつ…と一人優越感に浸りながら、頭の反対側で今日なんかあったっけと1日を遡る。…あーそういえば。夕方、近所のスーパーの駐車場で起こった出来事。オチもヤマも特に用意してないところが悔やまれるが、声に抑揚をつけてくだらない話も面白可笑しく。紡ぐ声を優しい眼差しで、盧笙が受け止めてくれる…嬉しい。語りながらコタツの中、空いた手でもぞり彼の指先を探してきゅっと握ってみた）

ごめ、……眠過ぎて今ならもう目ぇ瞑ったら即意識飛ぶわ、これ。取り急ぎこれだけ…おやすみささら。お前の声、きけてよかった……（布団潜ればふにゃり笑い、すやぁ…）