1と2分の1暮らし/〆

ゆ、き、な、り！雪でいいから。
(へらりと笑って述べては「お前は...大輔だっけ？」相手の名前を聞いていないことすら忘れており目をぱちくりとさせて。玄関に放置してきたリュックの中からチョコミントのドリンクを持ってきて実験だとばかりに相手の前に差し出し)

分かった、雪な。てか大輔って誰だよ。
(相手の名前を再び聞いては一つ頷く。ゆき、と小さく呟いてから差し出された何かのドリンクを受け取ろうと差し出したがすか、と手を通り抜けてしまった。「あー…やっぱ無理か…あと俺の名前は開だよ。大凪開」とプラプラと手を横に振りながら自己紹介し)

え、なんで！？...俺には触れるよな？
(相手の手がドリンクをすり抜けるのを見て目をぱちくりとさせ、確認するようにその手を掴んで自身の頬に。「ん、開の手冷たいんだな。」にしし、と頬を緩めてこれならどうだと自分でドリンクを持ち相手の口元へ)

そりゃあ死んでるし？冷たいのは当たり前だろ。
(掌からじんわりと温かな温度がつたわってくる。これまで温度のなかった自分の手が相手の体温でゆっくりと温まっていくような感じがして、相手は生きているのだと確認できた。「え、なに？飲めってことか？」口元にボトルが近づいてきたが、ボトルの口から漂う何かの匂いに眉を寄せて)

ふは、そっか...もういないんだな、ここに。
(一瞬へらっとした笑いを浮かべるも少し寂しそうに呟けばこくりと頷き「やってみ？同じもの食えるかもじゃん！...これはチョコミントな。」とストローを刺してやり。そもそもチョコミント好きだろうか、と相手の表情を伺いつつ)

チョコミントかぁ…多分食べたことないな。
(チョコミント味は生前多分ないだろうと思いつつ、恐る恐るストローに口つけて少し飲んでみる。すると口の中に広がった言い難い味にぎゅ、と眉を顰める。「…そんなに、美味くない…」吐き出したいのを抑えながら飲み干せば、うぇ……と口をすぼめて。)

は？うまいだろ！
(美味しくないと眉を顰めてしまった相手にきょとんとしながら自分もそれを飲み始め。やはり飲んだことがなければ仕方ないのか、と納得をしていればふと見た床にチョコミントの水たまりが。「あー...やっぱこうなるんだな、」勿体無いな、とブツブツいいつつタオルを持ってきて拭き取り)

なんか悪いなー、なんか歯磨き粉みたいな味して…
(しょぼん、とした雰囲気を感じ取り申し訳なさそうに眉を下げる。だが不味かったものはまずい、と多分今後食べることは無いだろうと考えて1人頷く。「でも俺は雪の触ってるものなら飲めるんだな」味や喉を通った感触はあったので不思議だなーと思いつつ)

いいんだって！好き嫌いしてたらでっかくなれないけどな。
(申し訳なさそうな相手を見上げて首を横に振り、「じゃあ、好きなもんあるか？」と自分を通して食事させてやろうと問いかけ。ちなみに料理の腕は壊滅的でとてもじゃないが食材が可哀想なだけなので買ってこようかと考えていて)

好きなもの…んー…ハンバーグかな？
(好きなものと言われ首を傾げる。食事をしなくなってから幾年経ったかわからないがふと、誰がが作ってくれたハンバーグが口の中に味として甦った。「なんか、誰がが昔作ってくれたような…？」朧気な記憶を蘇らそうと胡座をかいて腕を組み、目をつぶって空中をぐりんぐりんと回転しながら述べて。)

ハンバーグか...それくらいなら作れるかも、
(いつか母に作り方を教わったことがあるな、と思い出しつつ呟けば「誰かに...恋人とか？」と回転する相手を見ながら問いかけ。しかし相手の様子では恋人などできる前に亡くなったのではなかろうかと少し気まずそうに口を閉じ)

恋人…多分違うけど…誰だろ…
(ゆっくりと逆さになって止まると首を振って否定する。恋人ではないと思うが自分に優しくしてくれたその人が抱きしめてくれると、胸のあたりが暖かくなったような気がした。「…母さんか、親戚の人かな…」そうポツリと呟くと昔の記憶を漁ってみる。だが、顔も思い出せないし、声すらも記憶から出てこないため、親不孝者だな…と考えていて。)

なんかその体制見たことある。
(既に自分の放った疑問から興味がそれたのか逆さまになった相手の頭をわしゃわしゃと撫でて「スパ〇ダーマンみたいだな！」と蜘蛛糸を手首から出す仕草を真似て見せ。自分もごろんと寝転がり久しぶりに食べたいし今日の食事はハンバーグに決まりだな、と小さく頷き)

スパイダーマン？それってあれか、ビルの壁登ってく赤いマスクマン。
(スパイダーマンってなんだっけと思いつつ頭を撫でられると目を閉じながら受ける。頭を撫で慣れるのも誰かと会話をするのも、何かを飲むのも久しぶりで新鮮な感じかして少し嬉しい。「手から糸は出せないけど物は浮かせられるからなー」相手の真上に移動して手を重ねてみてはクスクス笑って)

そうそう！あれ好きなんだよ。
(重なる手をぎゅっと握り「このまま引っ張られたら俺も浮くのかな...」とファンタジックなことを呟いてみて。そこに来て急に起き上がり「よし！今日の飯ハンバーグな！」と高らかに宣言しては買い物に行く準備を始め)

っわ、びっくりしたー。
(自分の手を握ったまま相手が起き上がったので、空中を勢いよく動いてびっくりした表情を見せる。それでも自分の望んだハンバーグが食べられるのだと分かると嬉しそうに笑顔を見せる。「サンキューな、ハンバーグ楽しみだ」とその嬉しそうな様子から無いはずの動物の尻尾がパタパタと動いているのが見えて。)

お前ワンコみたいだな。...一緒に行くか？買いもん。
(リュックを背負い準備万端だとばかりに相手を振り返りすっと手を差し伸べ。料理ができない身としては何をどれだけ買えばいいかも分からないので来てもらった方がありがたい、とは言えず「開もずっとここに閉じこもってんだろ？」と手招きして)

おう、行く。いつもあんまり外出ないから新鮮だな。
(時々気ままに外に出てはいるのだか直ぐに落ち着かなくなり、部屋に飛んでくるように戻ってきてしまう。そのため満足に外を見ることが出来ないため、誘ってもらえるのはありがたい、と手招きに誘われて相手の頭上に移動する。「隣で手繋いでたら変に見えるからここ持っとくな」そう言って掴んだのはリュック上部にある持ち手の部分。肩に手を置くとむしろ憑かれてそうに見えるため、ちょこんと握ってみる。)

あぁそっか、お前人には見えないんだっけ...
(肩口に乗った手にクスッと微笑み、そのまま家を出て。運良く徒歩圏内にあるスーパーへと足を進める途中、公園が見えて「懐かしいな。開もちっちゃい頃公園通いした？」と振り返りつつ問いかけ)

…してない、ずっと部屋の中で絵描いてた。
(キイキイと金属が擦れる音が聞こえたので顔を向けてみると、ひとりでに揺れているブランコが目に入った。相手の言葉と共に思い出したのは幼い頃の記憶。キイキイと軋む金属音が聞こえる部屋の中で小さな机に向かって絵を描く視点からベランダに向かって行く視点に変り、ブランコに乗って遊んでいる幼い子供の姿が映る。「ブランコと…男の怒鳴り声」視界がぼやけ始めると頭の中では煩いほどに蝉時雨と何かを叫ぶ男の怒鳴り声が聞こえ始めて。)

どうした？...おーい、
(公演を通り過ぎたところで相手がなにか考え込んでいるのに気づき目の前で手を振って見せ。「なんかやなこと思い出させた？」不安げに問い掛けつつ曲がり角を曲がればスーパーに到着してしまい)

え、あぁ、大丈夫だ。
(手の前で振られる手にはっと気づくと頭の中の蝉時雨も怒鳴り声も止んでいて、無意識に息を吐く。多分今思い出したのが自分の過去なのだろうか、朧気な記憶の中から引っ張り出されたそれは酷く不快であった。「ちょっと変なの思い出しただけだから気にしないでくれ」と申し訳なさそうに苦笑いしてほほをかき、限外に早く行こうとリュックを軽く引っぱって)

そっか、ならいいんだけどさ...あ！待って！
(スーパーの入口。綺麗に粒の揃ったイチゴを見つけ、ひとパック手に取れば「お前イチゴ食える？デザートにと思って...」と背後にそれを掲げて見せ。周りの客たちに見られているのも気にせず「美味そうだよな、...あ、あとこれとか。」ポップにドラゴンフルーツ、と書かれた見たこともない真っピンクのフルーツを手に取り)

イチゴは好き、そっちのよくわかんねーのはやめとけ。
(店内のお客が不思議そうに見るのをチラ見しながら、ドラゴンフルーツを手に取る相手の腕に手を添えて首を横に振る。変わりにパイナップルが切り分けられて入っているプラスチックの箱を指さして「俺はあれの方がいい」と誘導して)

お、パイナップルか。じゃあイチゴとこれ。
(素直にドラゴンフルーツを置きパイナップルのカップを取りカゴに入れて。中へ進んでいけば新発売のスナック菓子を見つけそれもカゴに放り込み。やっと目的の生肉コーナーへたどり着けば「ひき肉、だよな？」と徳用パックの大きなひき肉の塊を手に取って相手に見せ)

ん、ひき肉。あとはパン粉とか卵、牛乳、玉ねぎかな…
(大きなひき肉を見て、うんうんと頷く。記憶を頑張って思い出してみては使っていたような材料を呟いてみる。と言っても作り方はあまり分からないし、そもそも作ることはできない。「旨く出来るといいなー」とふわふわ浮きながら述べればカルピスがお得用で販売されていてそれをじーっと見つめて)

あんま期待すんなよ？ってか、そんなに材料あんだな...
(相手が言ってくれた材料を探しに行こうと歩き出せば相手の視線に気づきカルピスを手に取り。子供の頃に自分も好きで毎日のように飲んだな、と懐かしく思いつつ「これ好き？買ってこうか？」と相手を振り返り)

ん、飲む。ありがとう。
(カルピスを買ってくれるらしいので目をキラキラと輝かせれば嬉しそうに笑う。久しぶりに飲食への欲が出てきたため、こんな感じの生活も楽しいなと思い始める。「雪はチョコミントの他に好きなやつはあるのか？」と少し疑問に思ったことを聞いてみて)

んー...あとは豆腐！あと抹茶プリンも好き。
(ちょうど通りかかったコーナー似合った絹豆腐を手に取り「これも買っていい？」と返事は聞かずにカゴに放り込み。どうやら食に対する意欲も湧いてきたらしい相手に嬉しく思いつつ「俺料理はあんまりだけどさ、食うのは大好きだぞ！」と何故か自信ありげに微笑み)

俺も食うのは好きだぞ。あと果物だな。
(料理はあんまりだと言いながら笑う相手におかしくてふは、と笑ってしまう。自分も食べることには同意し、好きなものも伝える。「俺もそばで手伝えることは手伝うからがんばろーな」と相手の頭をクシャりと撫でて。)

ん、頼むぞ！...よし、こんなもんだろ。
(撫でられれば擽ったそうに笑い、付け合せのコーンや調味料などを調達しレジへ向かえば「楽しみだな、早く帰ろうぜ。」と列に並びつつ呟き。前の主婦に不思議そうな目で見られるも軽く会釈をしてやり過ごし)

…雪はいつも幽霊とかに話しかけて変に見られるのか？
（相手を不思議そうに見る主婦の視線に眉を寄せればいつもこんな風に接しているのかと気になって気になってしまった。「いじめられることって無かったのか？」人は自分とは違う者をいじめてしまうことがあり、これまでいじめを受けていたのならば今自分と接しているのも申し訳ないと思って。）

ああ、見えるもんは見えるからな。話も普通に...いじめ？よくわかんねーな。
(こくりと頷けばそう言えば小さい頃は寺の息子と言うだけでお化けが見えるんだろう、だの呪われるから近寄るな、だの言われてきたが特段気にもしていなかったのではて、と首を傾げ「いじめってどっからだろうな？」ニカッと笑って相手の頭をぐしゃっと撫で)

んー…自分が肉体的、精神的に辛かったら…？
(多分こうかな？と思ったことを伝え、頭を撫でられれば気持ちよさに瞼を閉じる。「…でも今の様子だといじめられても気にしなさそうだな…」と相手の様子にため息こぼし、性格を考えると気軽に幽霊に話しかけて煙たがられることがあったのだろうと、なるべく目を離さないようにしようと心に決めて)

じゃあいじめられてないな！
(相手の答えを聴けば大きく頷き大丈夫だと述べ。レジを通してもらっている間もふよふよと自分の後ろに浮いている相手が気になるのかそちらを振り返りつつ「そうだな、大抵の事じゃ俺の敵にもなんないな！」とドヤ顔を披露し)

もしもってことがあるだろ？
(相手のドヤ顔に不安を感じ軽くチョップをする。こいつのことだから危ないとこでもずんずん行くんだろうなー、と思いつつ周りから雪を見る視線が不穏になってきたので「先外行ってるぞ、早く来い」と外に早く出れるよう誘導して。)

いって！...なにすんだよ、
(突然降ってきたチョップに驚きつつ「おう、袋詰め終わったらすぐ行く。車気をつけろよ！」と相手に片手を上げてすぐさま買ったものを無造作に袋に放りみそそくさとスーパーを出ていき)

当たらないのに気をつけろって…
(自分は幽霊なのに生きている人のように声をかけてくれる相手に苦笑いする。車や自転車が前を通って行く中で楽しそうな子供の声が耳に入り、ふと、目の前にある郵便ポストを触ってみようと手を伸ばすがカスっと触れなかった。「やっぱり不思議だなぁ…」と手をグーパーしながら相手が出てくるのを待って)

お待たせー...何してんだ？
(荷物を肩に担ぐ形で持ち、相手の元まで行けば手を閉じたり開いたりと謎の行動が目に入り。ポストに触りたいのかと相手の腕を持ってポストに当て「俺越しなら触れんのにな？」と表情を伺うように目を合わせ)

はは、そうだなー。なんで俺はお前越しならものが触れるんだろ…
(今まで誰とも何とも触れずにいたのに、昨日あったばかりの相手となら触れるのだろう…と顔をクシャりとゆがめる。こんなんじゃ死んでいるのに自分が生きているかもしれないと錯覚してしまうと考えた。「悪い、先帰る」そう言うとふっと霞のように姿を消して。)

え？あっ、おい！
(ふっ、と突然姿を消した相手に首を傾げつつ「何だあれ、」と不思議そうに呟き、とりあえず自分も帰ろうと家路を急ぎ。しかし慣れない土地だからなのか曲がり角を間違えてしまい知らない路地で立ち往生するハメになってしまい)

…なんで、雪でしか触れないんだ…
(ふらりと部屋の中に姿を現すと相手の持ってきた荷物を触ろうとする。やはりカスっと触ることも出来ずに通り抜けていく自分の手で目を覆った。「今まで触れなかったのに…」自分を認識されない寂しさからポルターガイストを起こしていたが、相手が引っ越してきて自分を認識してもらえたことが嬉しかったのだ。)

ここどこだよマジで...早く帰んなきゃ、
(路地を抜け、大通りに出たかと思えばまたスーパーの前。振り出しに戻ったかと肩を落としつつ今度は間違えず帰り道を走って辿り、やっとの思いでマンションに行きつけば部屋のドアを開けて「おい！いるか？」このまま相手が成仏なんてしていたらどうしようと慌てて中へ入り)

うるさいな！いるわ！
(グダグダと何故相手がいると触れるのか考え始めたが、あの性格だと何も考えてないとふと思い自分だけが深く考えていることにだんだんとイライラし始めてきた。そこで相手が慌ただしく帰ってきたので理不尽極まりないがキレた表情で相手に上記を述べる。「おかえり！あと俺決めた！お前の事トコトン使って満足してから成仏する！」成仏の仕方知らねぇけど！と相手は理解しようがないまま指さして宣言して)

いた、よかった...
(まだ相手がここにとどまってくれていたことに安堵し座り込めば何が何だかよくわからないことを宣言され。その指先を見つめ「いや、使われるのはいいんだけどさ...勝手に成仏とかすんなよ。」自分でもよくわからないがこのままお別れはつまらないと自分に向いた指をきゅっと握り)

別にいいじゃないか。いつ成仏するから俺の勝手だろ？
(指を握られ、なんだろうと首を傾げる。幽霊が見えると言ってもそれほど気にしてこなかったのだろうと思っていたので、自分がいつ成仏しても気にしないだろうと思っていた。「っていってもしばらく成仏しないけどなー。やりたいこといっぱいあるし」映画やスキー、遊園地、等々自分のやりたいことを頭に浮かべて呟いて)

じゃあ開のやりたいこと全部やろう。時間かかってもいいから、な？
(なんとか相手を繋ぎ止めようと提案をしてみて。「明日は俺大学あるから無理だけど...午後ならいけるから！」と握った手はそのままに反対の手で相手の頭を撫でてやり)

んじゃあゲームしたい！対戦したい！
(自分のやりたいことを手伝ってくれるらしいのでパァと笑顔になる。相手がそう言ってくれたので今出来ることとりあえず話してみては出来るかな？と思い。「あ、でも雪はゲーム機持ってるのか…？ないなら申し訳ないし…」と眉を下げてはチラチラと伺い見て)

ゲームか...ちょっと前の対戦ゲームだけど、これ。知ってるか？
(ダンボールの一つをこじ開けて中からテレビゲーム機とそのソフトを取り出し簡単なバトルゲームではあるが出来るだろうかとパッケージを見せ。「コントローラー触れるかな...」心配そうに相手にコントローラーを差し出し)

すっげぇ！ゲームだ！
(差し出されたコントローラーをおそるおそる受け取ってみると触れたので、ゲームがあること、コントローラーに触れること、ゲームができることに嬉しそうに目をキラキラと輝かせる。「ありがとな雪！明日がすっげぇ楽しみ！」無いはずの尻尾をブンブンと振りながらコントローラーを抱き抱え、空中を飛んで)

(/上げます！)