竜王とその弟子

……（あいに攻められると少しだけ冷や汗をかいてあいの成長が嬉しくて少しだけ薄く微笑んで手解きするつもりが気がついくと本気で将棋をさして少しだけあいを試すような手を打って

（ししょーの打った手に対して、攻めるか守るか迷って
時間ぎりぎりまで迷って
結局、ししょーの顔色をうかがうように中途半端な手を打ってしまって）

……（あいの中途半端な打った手に少しだけ顔を曇らせて激しく攻める手を打つとあいを神経な表現で見つめ

……負けました
（失敗した気持ちを引きずってしまい
いいところを見せることもできずに投了して、がっくり落ち込んで
ししょーに頭を下げて）

ありがとうございました……
それでは、検討をしよう
ここは、もう少し攻めても良かったね
あいは、普段もう少し冷静に対処出来るのにここで尻込みしただろう（頭を下げて礼を言うと将棋の駒を指してあいに悪いところを教えて
こんな生温将棋では、タイトルなんか取るのは、無理だぞ（少しだけ怒ったように神経な表現であいを見つめて

あ、ありがとうございました
（慌てて、畳に頭を着けるように礼をして
ししょーの言葉に、いちいち、はい！はい！と返事をして食い入るように解説に聞き入って）
すみません
ししょーに愛している、って言われて
舞い上がってしまって将棋のことがおろそかになってしまいました
ししょーの貴重なお時間をいただいたのに申し訳ありません！
（もう一度深々と頭を下げて）

本当にそう思うならばもう1局打って貰うよ
今度、こんな腑抜けた将棋を打ったら許さないからな（将棋盤に駒を最初の配置に並べて行き

もう一局指してもらえるんですか？！
（ぱぁっと笑顔が広がって
アホ毛がぴこーんと揺れて）
よ、よろしくお願いします！
（丁寧にお礼をして、気合いの入った表情で駒を並べ直して）
いきますっ！

よろしくお願いします……（お辞儀をして対局を開始する挨拶をして
よし、何処からでも打って来い、あい（眼鏡を掛け直して気合を入れると神経な表現であいを見つめ何処からでも打って良い事を伝えて

はい！
気合いだけでもししょーに勝ってみせます！
（ぴしっ！と、鋭い音をたてて駒を指して
攻める陣形を作っていって）

楽しみにしているぞ、あい（あいの攻めの陣形対して守りを重視の陣形であいの出方を見て楽しそうにわくわくしたようにあいを見つめて

（盤上に集中して
ししょーの顔も目に入らず
迷いのない駒さばきでひたすら攻めて）
……こう……こう……こう
（身を乗り出して体を前後に揺らしながら、何十手先まで読んで）
こう！
（ぴしぃっ！と鋭い勝負手を指して）

くっ……あいのやつまた強くなったな……（あいに喉元を狙うような鋭い手を打たれると冷や汗をかいて同時に嬉しく思いおしぼりで手を拭くと守る手だけでは、あいにやられると思い自分も攻めの手を打って行き

あぅ……
（想定外のししょーの鋭い指し手に驚いて
集中力が途切れそうになるけれど、負けたくない強い思いで踏みとどまって
パジャマの袖で額を流れる汗を拭って
もういちど、身を乗り出して読みはじめて）
……こう！
（あくまで攻めを貫く一手を指して）

っ……!?（あいの鋭い攻めに苦しめられると自分からもあいの攻めに答えるように鋭い攻めの手を打って行くとあいの成長が嬉しくて興奮したように体が高揚してあいをちらって見つめて

……負けました
（しばらく盤上をじっと見つめて
畳に頭を着けるように深々と礼をして、投了して
しばらくその姿勢のまま、時折肩を震わせて）

ありがとうございました……（頭を下げて対局の終わりの挨拶をして
強くなったね、あい
あいのここの攻めの手は、危なかったよ（あいの頭を撫でて今の対局を褒めるとあいの対局の良いところを伝えて

……くや……しい、です
（頭を上げようとせず
声を震わせて）
……ししょーに教えてもらったこと、たくさんあるのに
あとから、ああしておけばよかった、あそこはこう指すべきだったって
後悔ばかり……
ずびばぜん、し"し"ょー
（涙をポロポロこぼしながら、鼻声で謝って）

あい、悔しいのならばその悔しさを力にしたら良いんだよ
後悔の後に何を学んだかが大切なんだよ
あいは、これから何をしたら良いのか解るよね（あいの肩を触り優しく話かけて

（肩に優しく触れられると、顔を上げて
ししょーの優しいことばと表情に、また涙がこみ上げてきて
ずずーっとはなをすすって
ハンカチで涙を拭って
ししょーをまっすぐに見て）
これから、今までよりも、もっともっといっぱい将棋の勉強します！
……これからも、指導してくれますか？
（ちょっと不安そうな表情を浮かべて）