【1879→】(ひぼ)

今の？こんな未来のない生活を送る男でも？
(今までその日暮らしを反省しなかったのは一人身だったから、これから先は彼女の側に居続けなくてはならず驚きで裏返った声を上げ瞬きを数回。予想外の回答に変な表情でひたすらに見つめ)

…それじゃぁ、あなたはどう答えてほしかったの？
(こちらも予想外の答えに同じような仕草で応え、どうなって欲しいと聞かれたため自分では素直に答えたはずなのに驚かれるなんてと眉をひそめ)

いや、嬉しいんだよ。ま、俺は世界一のモテ男だから当然か
(相手の政客からして先ずは定職に就いて欲しいとかギャンブルを辞めろとか言われる事を覚悟していた訳で、自称の称号を口に厳しい表情を浮かべる彼女の額に指を置き)

私だってあなたに無理して欲しくないのよ？
(一体どっちなんだと思いながら険しい表情を解き優しい顔に戻し「その言葉だけは変わらないのね」聞き飽きるほどの言葉に困ったように笑い）

無理はキツい、だが愛する女の為なら努力は惜しまないと言ったところ
(彼女の店かつ家が見えてくれば気まずさというか恥ずかしさから繋いだ手をほどき、相手はディッシュを馬屋に戻すだろうから何事もなかったかのような顔して入店し)

成程、でもお互い無理は禁物ね
(店が近づいてくると握られていた手は離れ、何となく寂しい気にもなるが仕方は無く。馬小屋に愛馬を返し裏口から店に入り、案の定常連や父からは心配の声が届いたが「大丈夫、少し散歩したら良くなったの」手を振り無事をアピールして)

うるさいな、リシュリーとは上手くいってるぜ？
(店内の定位置へ腰を下ろした途端に汚ならしい男共が詰め寄り彼女を泣かせたとか問題を起こすなとか口々に騒ぎ立て、あまりの賑やかさに両手の人差し指を両方の耳に突っ込みうるさいとアピールし)

(変わらない店の雰囲気に思わず笑いが立ち込め、クスクスと笑いながらも普段通りに仕事を進め「上手くやってる？どうかしらね」状況を知らない人らによっては本気に聞こえるかもしれないがコチラとしては冗談で言い放ち）

んー、上手くいかない理由がないからな
(にやりと下品な笑いを浮かべる内心で営業用と二人の時で使い分ける彼女の顔には驚くばかり、対する此方は平常通りの雰囲気で然り気無く彼女の手を取り甲に唇を寄せ)

よく言うわね
(二人の仲を周知してる周りでさえ、夫婦になったと言うのは誰も気がついておらず。手の甲に口付けをする相手を軽く押し返し「後でね」周りに聞こえるか聞こえないかぐらいの声で囁き、片目を瞑りながらその場を立ち去り)

自信家だからな
(鼻を鳴らして得意顔に更に力を入れ、可愛すぎるウィンクに軽く片手を上げて了解の返事を。二人の雰囲気が変わった事を察した常連から飲み比べやギャンブルの勝負を挑まれ片っ端から相手をしてやることに)

その自信はどこから来るのか
(しょうがないなと肩を落とし、絡まれる光景はいつもとは変わらずそれを横目に安心しながら仕事を進め。日が暮れるにつれ閉店の時間が近づき「ほら、今日は店仕舞いだよ」寝てる客や彼に群がってる客を引き剥がし）

ほーら、リシュリーが怒る前に帰れよ
(ハエを追い払うような動きで手をしっしと動かし帰るよう促し「水貰える？」相当に飲まされたようですっかり回った酔いを冷ますべく水をリクエストし)

怒らないわよ、また明日ね
(最後の客を見送り入り口に鍵をかけ、机に溢れるほどの酒瓶をどかし「どうぞ、大丈夫？」後片付けを再開しながら机に突っ伏し彼を横目で見て)

まだいける、が酔いすぎた
(巷じゃ有名な大酒飲みがリシュリーを取られた悔しさ紛れに飲み比べを吹っ掛けるものだから流石にダウン気味、水を一気に飲み干し椅子の背凭れに体重を預け手足をだらりと放り出し)

闘う相手が違ったようね
(オーバーに椅子に倒れる彼の額を軽く叩き、ここで寝られとも困ると「ほら、貴方も先に家に戻ってて」唇に軽く口付けをして後片付けに戻り）

いや、リシュリーを待っとく
(店から家まで距離はないと言えど夜中に女性一人歩かせる事は不安で。椅子から悲鳴が上がる前に立ち上がり散らかる空き瓶を一所にまとめ片付けの手伝いをして)

…わかったわ
(素直に聞き入れてくれる彼でもなく、仕方ないと溜息を吐き「手伝ってくれるのはいいけど、酔いはいいの？」あれだけ酔っていたのは大丈夫何だろうかと)

これくらい問題な…っと、すまん
(くわえ煙草で順調に片付けを進めて居たが流石に呑みすぎて足元が覚束なく、全くもって故意ではないのだが彼女の方へフラついて急に距離が近付き)

大丈夫な…無理しないで
(千鳥足の足元を時おり見ながらイスの片付けをしているさなか、急に彼がこちらに近づいてきたから何を思ったのかと目を丸くし恥ずかしそうに体勢を正し、再び手を動かし)