【1879→】(ひぼ)

分かってるって、ほら暴れるなよ
(予想外に力強く叩かれ軽くむせて、要望通り可愛い可愛いお姫様をそっと着地させてやり。代わりにしっかりと手を繋ぎ普段浮かべるニヤついた顔とは違う純粋な笑顔を見せ)

変な冗談は辞めてよね
(やっと地上に足がつきホッとため気。しっかり握られた片手を強く握り「…サッサと行くよ。日が暮れちゃう」照れ隠しをするように街に向かう方向に足を進め愛馬の手綱を握り)

はいはい、帰りますかっと
(何が彼女の心を引き留めたかは不明でも嬉しさと照れ臭さに襲われている事はたしか、顔の緩みを止める為に余った手で火の付いてない煙草を口に運び)

(静かな空気が漂うが話す話題が思い浮かばず、ただ黙々と家に向かう道をひたすら歩き。夫婦となったとは言うもの彼への接し方がわからず、今まで通りでいいのかそれなりの接し方があるのかわからず悩み）

…どうした？
(咥え煙草でちょっぴり不明瞭な音声で黙る相手に声を掛け、家では話しにくい事もあるだろうし立ち止まり「何か言いたきゃ聞くし、言葉が見つからなきゃ黙ったままでも良い」プレッシャーを与えないよう優しくゆっくりを心掛け)

…そのこれからあなたにどう接すればいいのかな、なんて
(止まる足に釣られて進める足を止め、くだらない質問だなと笑われそうだが自分の中ではどうすればいいのか答えが出ておらず、父に相談しようにも難しく）

今までのまま、何も気にしなくて良い
(やはり一緒に居たくないだのマイナスの言葉を覚悟していた矢先に彼女らしい小さな悩みが聞こえたから、少し歯を見せ笑い髪が乱れる程にわしゃわしゃと頭を撫で)

ちょっと、やめてよ。
(乱れた髪で前を遮られ、嫌がる素振りをしながら顔は微笑み「そう言ってくれると安心する」前髪を直し二人の間の隙間を埋めるように寄り添い）

やめない、可愛すぎて困る
(寄り添う背中に腕を回し実感が分かるよう力を込めて抱き締め、乱れた髪を手櫛で整えたついでに夕日を集め金色に輝く毛先にキスして)

…ほんと困る人ね
(力強い寄り添いに今までにない愛情を感じ、それでも変わらない彼にやれやれと小さく溜息をつき目線についた首筋にリップ音を立てながら口付けをして)

首にキスするって色っぽいな
(ロマンチックになりつつある空気をぶち壊すのはモテない故の残念さで、にやりと下品な顔を引っ下げ愛して止まない女性にもう一度口付けをしたら「さて帰るか」手を引き漸く帰路につき)

貴方だってしたじゃない
(改めて言われると恥ずかしく目線を外し、二度目の口付けに頬を緩ませ。彼の手と手綱をしっかりと握り、このまま隣にある相手と何処かに行けたらなと想いながら街の灯りに向かい足を進め)

さぁて、いつだったかな
(遊び慣れてない所がまた可愛らしい相手をからかい肩を揺らして笑い、二人と一匹が並ぶ様に時折驚いた顔をする人が居たと思えば遊び仲間達で「リシュリーのお陰で俺は真面目な人間になれるかも」ギャンブラー卒業宣言も悪くないと口笛鳴らし)

覚えてるくせに
(記憶力のありそうな彼の冗談を可笑しそうに笑い。さっきまで喧嘩してたんじゃぁと聞こえてきそうな常連たちを見ては軽く手を振り、ギャンブル卒業を自信ありげに吐く彼を見て「無理よ、勝負師は勝負師なんだから。卒業はできない」肩を落としながら手を横に振り苦笑いを浮かべ)

はは、どうかな
(記憶力が良くなければ手品もポーカーも出来ない訳で相手のご名答と言ったところ、人差し指立てて何故か内緒のポーズ。報われない男共を横目に口角を吊り上げ「人生で最初で最後、おまけに最大の勝負に成功した男は違うぜ？」指をパチンと鳴らして突如現れた小振りの花を愛する女性の髪に飾り)

当たってるのね？
(わざとからかってるのか、もしくは正解を言い当てたのか首をかしげて尋ね。すれ違う人たちの視線が痛いほど突き刺さるようになるのはやはりはまだ慣れず「どうかな、そういう人達は山ほど見てきたから」飾られた小さな花をそっと触れながら悪戯っぽく微笑み)

(鼻を鳴らして笑って流し、さてこれからどうするか。通り過ぎた店のガラスに写る己の身なりはあまりに汚ならしく良いのは顔だけ、髭を触り剃るのも悪くないと「俺にどうなって欲しい？」ぼんやりと問い掛け繋いだ手を話して腕を組み)

急にどうしたの？
(投げかけられた質問に小さく目を開き、小首を傾げながらしばらく考え「どうなって欲しいって…あまり思いつかないな」頭に思い浮かぶ答えが見つからず首を振り）

いや、ただリシュリーの為なら何でも出来そうな気がしてな
(可愛らしく尋ねる相手の額をつんと指で突っつき「今のままで良いってんなら楽で良いんだが」どうしたいかは自分自身でも分かっておらず予測不能な二人の将来を思えば肩を揺らして笑い)

んー、そうね…
(どこかで聞いたことのある台詞にくすりと笑い、態とらしく考える素振りを見せ「このまま、今のジョシュのままでいいわ」そっと彼の胸に両手を添え静かに微笑みながら見上げ)