真夜中の車掌さん 2019-06-29 06:07:22 |
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>鶴橋様
「……………僕は、この列車に囚われてる車掌。
一生ここから出れない代わりに、
年も取らないし、死なない」
年若い車掌は独白のように呟く。
>車掌さん
「……あ。……ねえそれ、きみの方が状況、よっぽど壮絶に見えるけど。逃げちゃったりしないの? それは……だめ?」
(思い出したように『自分より年上』の意味がここに繋がるのか、と理解しぼんやり声を漏らすと、また一歩近付き不思議そうに尋ね)
>車掌さん
あの……何か怒ってます?
(そういえば、男は先程から自分に付き合ってばかりで車掌としての業務が出来ていないのではないか、自分は邪魔をしているのではと急に心配になり席を立って男の顔を覗き込み)
>車掌さん
良かった……私静かにしてた方がいいですか?車掌さん聞き上手なのかな?どんどん色々話しかけちゃって……
(聞き上手も何も一方的に話しかけていただけであったが、それでも珍しく楽しかったようで不思議な雰囲気の車掌さんだとも思ったがそれでも仕事の邪魔はしてはいけないと確認の意味も込めて男の様子をうかがい)
>車掌さん
「ふぅん……そうなんだ。ルイくんって不思議な人ね。わたし、ひとりでいるのは怖いからここの車掌さんにはなれないかも……あ、」
(そう言い少しだけ目を細め曖昧に笑い、ふと思い出したように声を上げるとトコトコ歩いて近付き)
「わたしとルイくん、今ここで友達になったらもう『できない』ことにはならないって思わない?」
>根来様
「…………話していても構いませんが、
お客様の独白になるだけかと」
美しい車掌は相変わらずの冷淡な口調で語る。
>鶴橋様
「…お客様とは、深い仲にはなれませんので」
年若い青年はふと、車掌に戻る。
>車掌さん
う……と、とりあえず静かにしています
(すごすごと席に戻ってしばらくは静かにしていたが、落ち着かないのかキョロキョロ辺りわ見回し)
>車掌さん
「───そう。
そっか、残念。友達になれたら素敵だったね」
(曖昧でふわふわした微笑みが一瞬すっとなくなり、僅かに低い声で呟くもそれを隠すように次の瞬間にはころりとなんでもないように笑っており。
名残惜しそうに元いた席に座ると、小さく鼻歌を歌いながら窓の外に目線を向け)
>根来様
「……………」
美しい車掌もまた、黙り込む。
>鶴橋様
「…………この列車に車掌として囚われるのは、
真に孤独な者だけ。…僕もだけどね」
年若い車掌は青年の顔に戻り、微かに呟く。
「人も、物も、最後は全部一緒。
いくら揺れても、最後はストンと落ちる。
その理から離れる者、即ち車掌…」
青年は歌うように言葉を紡ぐ。
>車掌さん
あ、あのっ!車掌さんは何でこの仕事をしようって思ったんですか?
(席に座ってしばらくはおとなしくしていたものの沈黙に耐えられなくなってしまったのか堪らず口を開いて)
>車掌さん
「……つまり、ルイくんはわたしたちとは違う所で生きている人、って事……なのかな。人間に見えるけど何かが違うの?」
(鼻歌をやめ、ちら、とそちらに目を向けると、癖のように自分の頬に手を当て)
>根来様
「………したくてしているわけではありません」
美しい車掌は冷淡に吐く。
>鶴橋様
「…………人間だよ。正真正銘の。
でも、普通じゃない」
青年は哀しげに呟く。
>車掌さん
「普通じゃない、かあ。うーん、分かったような分からないような。不思議なところね」
(肩をすくめて小さくため息をつき、もう一度窓の外を見ると不意に思い出したように声を上げ)
「お仕事の邪魔しちゃったかな? ついお話したくなっちゃって」
>車掌さん
あ、ひょっとして家庭の事情……
(職業柄てっきり子供の頃の夢だった、という様なことだと思っていたのでまさかの男からの回答に申し訳なさそうに口ごもり)
>車掌さん
「ふふ、よかった。
……そろそろ発車の時間かな? 時刻表はなかったみたいだけれど……それに、他のお客さんも」
(ひとりでぽつんと座っている状況に今になってほんの少し違和感を覚え、窓越しに人影を探し)
>車掌さん
え、孤独?車掌さんはお友達いないんですか?
(興味深い情報だと慌てた様子で立ち上がって、男にタタタッと近付いていって)
>根来様
「………何か問題でも?お客様。この先
揺れますので、お席にお座り願います」
美しい車掌は冷淡に言い放つ。
詮索するな、とでも言わんばかりに
貴女を睨んで。
>鶴橋様
「………発車は僕の気分次第だし…この列車に
乗れるのは、一人だけ」
青年は溜め息を吐く。
「…この世に、本当に絶望した人だけ」
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