斎藤 司 2019-10-30 11:40:32 |
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宮本先生…よろしくお願いします…。…?…腕時計をですか…?はい…。
(自己紹介をして貰えては相手の名前をきちんと記憶して覚えて。そんな相手に手を取られ“こっちに来てくれ”と言われては着いていくしかなく。なんだろうと思っていたがそれはそれこれはこれ。よろしくお願いしますと相手に挨拶をしては貸してくれと言われた腕時計。疑問には思ったものの素直にこくりと頷き手首から丁寧に外しては彼の差し出される掌にそっと乗せて。彼のデスクに並ぶ謎のものに視線は向いてしまい。何をしてくれようとしているのかわからないながらもきっと自分にとっては良いことなのではないかと彼の様子をじっと見つめて)
ン、…おう、ちょっと弄るぞ。( 律儀に此方の名前を復唱して挨拶をする相手にやっぱり不思議だけどちゃんと礼儀は弁えてるんだよなぁと思いつつ、渡された腕時計を大事に受け取って。弄るぞ、と一言言うと腕時計をひっくり返して左右上下見たあとデスク上に出していた小さなドライバーを手にとって腕時計の裏部分を開けると物の数分で専用の新しい電池を付け替えて元の状態に戻し。正常に時を刻み始めた時計を現在の時刻に合わせたところで作業を終えて。「これでよし。…ほらよ、これで明日から遅刻することも無くなるだろ。つっても今の時代携帯見れば良いんだけどな。」そう言って肩を竦めては相手に腕時計を差し出して )
…あ…動いた…ありがとうございます…。宮本先生は…手先が器用なんですね…あっという間に直しちゃって凄いです…時計屋さんになれると思います…。
(差し出された腕時計を受け取り動き出した針を見て表情は綻んで。手首へしっかりつけるとお礼を言って深々と頭を下げて。ゆっくりとした独特の間で頭を上げると穏やかに目を細めて先生は手先が器用で凄いと思ったままにストレートに自分の気持ちを伝えては時計屋さんになれると少々間の抜けたことを平然と言ってのけて。この腕時計は大切なもの。今はもう亡くなってしまった祖父から小学生の頃に貰ったもので。時間が分からずよく遅刻をしていた自分に祖父が買ってくれた大切な腕時計。直ってよかったと静かに喜びを噛み締めていて。「…あ…携帯…持ってないです…家に忘れてきました…また…お母さんに電話で怒られます…」相手から今時は携帯があるからとの言葉にああ、そう言えば携帯を持っていないと…思ったままにまた口にしては自分の醸し出す雰囲気で本当に携帯を持っていないのだと聞いた者に誤解を与えてしまうことにも気づかないままで。しかし自分事情を赤裸々に語ってしまうことが幸いしてその後に家に忘れてきたのだと付け加えていて。そもそも携帯なのに携帯し忘れることが度々あって母親に電話口でよく怒られているのだがまだ携帯を持たなきゃいけないという認識は本人には根付いていなくて。また怒られると考えただけで気が滅入り再びどこか遠くを見つめていて)
時計屋は大袈裟。偶々換えの電池持ってただけだよ。にしても良い時計だな。( 少し大袈裟なくらいの褒め言葉だがそれほど相手が喜んでくれているのは分かり、直して良かったと思いつつ少し肩を竦めてみせて。それに時計はかなり年季が入っているが素人目に見ても良いものに思え。もしかしたら相手にとって大事なものなのかも知れないと思えば持ち主の腕に戻った時計を見遣って上記を。「…ああ…、家に忘れてきたのか。まあ母親も心配なんだろ。このあと携帯なくて不便ないか?どっかどうしても連絡しなきゃいけないところあるなら俺の携帯貸すけど。」一瞬この時代に携帯を持っていない高校生なのかと誤解するも後述に続く言葉ですぐにその誤解は解けて、納得して相槌を打ち。根はしっかりしていそうだが何処か抜けていて不思議な雰囲気。それに容姿も悪くない、と言うより相手はイケメン部類される顔立ち。きっと母親も息子に何かあってはと心配しているんだろうと思えば上記を述べ、もしこの後緊急を要することがあればスマホを貸そうと相手に視線向けて )
…はい…亡くなった祖父がくれました…俺の宝物です…。だから…本当にありがとうございます…あ…でも…先生の電池無くなっちゃいましたね…すみません…。えと…電池は持ってないですけど…これ…どうぞ…。
(良いものだと褒められると嬉しそうにこくりと頷く。亡くなった祖父がくれたのだと隠すことでもないため笑みを浮かべたままこれは宝物だと伝えて。改めてありがとうございますとお礼を口にして。でもそこで気づく。この時計が動いたのは彼の持っていた電池のおかげ。でもそれは彼の持っていた電池が無くなってしまったと言うことでもあって。同じ電池や違う電池を持っているわけではないため眉を下げてはごそごそと鞄を漁っては見つけたのは昼休みにクラスメート達から貰ったお菓子で。プ○ッツのサラダ味を取り出しては彼におずおずと差し出して。ふと彼から電話は無くて困らないか…そう聞かれ、特にそこまで困ることはないが今、彼の好意に甘えて電話を借りて母親に連絡すればもしかしたら怒られずに済むかもしれない。そんな閃きに逆らわずに「…宮本先生が良いなら…緊急ではないんですが…お母さんに連絡したいです…。離れて暮らしているので心配してくれているんです…。いつも学校から帰る時に電話と…学校に行く前にメールをしています…」そうお願いしてみて。でも緊急ではないから貸して貰えるだろうか…ちらりと相手を上目で見つめて様子を伺って)
へぇ、お前のじいさんは趣味が良いんだな。てかそんな大事な時計電池交換とはいえ弄って悪かった。俺が勝手にしたことだし別に電池くらい良いんだが…まあこれは有り難く頂いておくよ。でも半分だけな。一人だと多いからお前も食べてくれ。( 宝物だと笑みを浮かべる相手を見れば其程大事なものだったのかと思い、本当にいい時計だと思ったので趣味が良いと褒めると、赤の他人の己が大切な思い出も詰まっているであろう腕時計に触れてしまったことを謝って。此方が勝手にしたことなのに謝る相手に小さく首を横に振り礼はいらないと言うも折角の厚意。相手は朝の話からするとお菓子好きであることが伺えて、このプ○ッツもきっと相手にとっては大事なもののはずで。それを有り難く頂くも本当に一人では食べ切れなさそうなので箱を開封して一袋自分のデスクの上に置くと残りの一袋が入った箱を相手に差し出し。「…へぇ、離れてか。一人暮らしか?携帯は自由に使ってくれ。あー、ここじゃ話にくいなら職員室出て話してくれていいからな。」母親とは離れてくらしているという相手。少し抜けているように見えるがやはり根はしっかりしているのだなと感心しつつ、スマホをポケットから取り出してロックを解除して渡して。まあいくら抜けてるからって母親の携帯番号は分かるよな…と少し大丈夫か心配しながら話しにくいなら外でと付け足して職員室の外を指差して )
いえ、直すには開けないとですから…お気になさらず…あ…はい…では頂きます…。
(弄って悪かったと謝ってくれる相手はやはり良い人だと改めて思っては首をふるふる横に振って気にしないでと口にして。まるで半分こするように箱入りの方をくれる優しさに嬉しげにニコニコしたまま受け取って鞄の中へ入れて。そして差し出された携帯を有り難く受け取る。「…一人暮らししてます…これは携帯ですか…?俺と違います…どうしたらいいかわかりません…」一人暮らしかと聞かれどこか自慢げにこくりと頷いていたのだがピシっと一瞬固まっては眉を下げてどう扱ったらいいかわからないと自分の持っている携帯とは違うと不安げに目の前にいる相手を見つめて。)
あーもしかしてお前ガラケーなのか?…えっと、ちょっと悪い。( やはり礼儀はしっかりしている。ニコニコとプ○ッツの半分を受け取る様子は少し可愛らしくも見え、クラスメートが相手にお菓子を与えたくなる気持ちが何となく分かった気がして。一人暮らしと聞けば、本当に大丈夫なのだろうか?と思ってしまうも相手も高校2年生。これまでその分だけ一人暮らししてきたということになるからそれなりにはやっていけているのだろうとまだ少し心配しつつも納得する。しかし固まる相手に気付けば不思議そうに視線を向け。そして次ぐ言葉を聞いて不安げな視線と目が合えばまさかとは思いつつもガラケーなのか問い。高校生でガラケーは一世代前ならまだしも今の御時世かなり稀有なのではなかろうか。だが大学生になってからスマホという家庭も聞いたことはあるので、珍しいなとは思いつつもそれを顔に出したり馬鹿にしたりすることはせずに立ち上がると相手の横に立って。「通話はこの電話のマークをタップ…触れば番号入力する画面出て来て…と後は掛けたい番号打って最後にこっち緑の受話器のボタン触れば掛かる。切る時は通話掛けたときに赤いボタン出てくるからそれ押せば切れるよ。…分かったか?」相手の手の内にあるスマホを操作して番号の入力画面まで移動すると簡潔にだが通話方法を説明して。以前田舎に暮らす母親がスマホに変えたところで色々教えたこともありその時と同じようにゆっくりと説明すれば、分かったか?と少し下にある相手の顔を見て反応を窺って )
俺の携帯はガラケー…なんでしょうか…?ボタンをピコピコするやつです……は…っ…こ、これがもしや噂のスマホ…?!スマートホンホスピタル…ですか…!?…初めて触りました…ドキドキです…。
(携帯は使っているが契約したのも母親であるため自分が使っている機種等把握はしておらず彼からガラケーかと問われるもこてんと首を傾げて逆に彼に問う始末で。自分の携帯は…こう…メールや電話をする時にピコピコするやつだと彼に説明をする傍ら、何かに気づいたように驚いた表情を見せる。今自分が触れているのはもしやスマホという携帯なのでは?テレビでやっているあのスマホなのではと興奮から頬を赤くして微妙な間違い方をしながら幸せそうにほこほこ笑みを浮かべて。彼が丁寧且つ分かりやすく通話の方法並びに電話の切り方まで教えてくれて、ふんふん頷きながら真剣な表情で聞いていて。「…わかりました…えっと電話のマークに触れて…ここに番号…お母さんの番号を入れて…緑の受話器ボタン…切るときは赤いボタン押して……あ…もう一回かけます…」元より動くつもりはなくここで電話をかける気満々で教えて貰ったように画面に触れていく。順調に母親の電話番号を入力して緑の受話器ボタンを押して。プルルル…と呼び出し音が鳴っているが出てきた赤いボタンをつい押してしまえば電話を切ってしまって。切るときはと自分で口に出しながらのことだったので切った事は理解したためもう一回かけると彼をちらりと見て報告して。その後は切ることもなく母親に電話をかけることに成功すれば最終的に他の人の携帯を使っているイコール家に自分の携帯を忘れてきているのがバレてしまい結局怒られてしまって。げんなりした表情で通話を終えると「…はい…おやすみなさい…。…貸して下さって…ありがとうございます…あ…すみません…お腹鳴っちゃいました…」そう言って頭を下げると相手にスマホを差し出して。その瞬間グゥとお腹の虫が鳴いてしまい恥ずかしそうに謝って)
嗚呼…ボタンを押すタイプならガラケーだろうな。あとスマートホンホスピタルはスマートホンを修理するところな。今お前が持ってるのがスマートホン本体。( スマートホンを珍しがる相手に友人と連絡先を交換したりするときにそういった会話はしなかったのだろうかと疑問に思いつつもクラスメートが相手に気を遣ったか可愛がる意味で面白がって教えてないだけなのかもなと自己解決して。相手の微妙な間違いをさらりと訂正しつつもスマホを触る相手の笑顔を見ると何故か癒やされるものを感じて。それに此方の説明を真剣に聞いてくれる様子はどこか幼い子供のようで庇護欲を擽られる。ここで電話を掛ける様子の相手は律儀に此方の言葉を復唱して通話を実践するも、律儀すぎるあまりにワン切り。オイオイ…と内心心配しつつも何故か責められない可愛らしさがあり、もう一度掛けると報告する相手に無言で手を“どうぞ”として。次は上手く掛けられた様子に会話をあまり聞くのも良くないと思いデスクに戻り小テストの採点を再開する。暫くしてげんなりした様子の相手にお礼と共に携帯を返されれば「気にするな。母親とちゃんと話せたようなら良かった。」と携帯を受け取って。そんな時聞こえてきた相手の腹の虫。恥ずかしそうにする相手に小さく目を瞬かせてはフッとほんの微かな笑い、笑いというには些か程遠いが相手の前で初めて表情らしい表情を見せればすぐに元に表情に戻り「腹減ってるのか?良ければこのあと此処の食堂で飯食おうと思ってるからお前も一緒に来るか?」勿論奢りでというニュアンスを含ませて問えば相手に視線を遣り返答を待って )
勘違いしていました…色々教えて下さってありがとうございます…。…宮本先生と…ご飯が食べられるんですか…?行きます…。
(自分の間違いをちゃんと訂正してくれる相手に気恥ずかしげにお礼を口にしてはお腹を鳴らせたことを気にしてか一緒に来るかとのお誘いを受け、瞳をぱちぱちさせながら“先生とご飯が…”と漏らすもすぐに微笑んで頷き行きますとはっきりと伝えて。「……あ…そう言えば…昨日の夕飯から食事をしていませんでした…お昼に友人がお菓子をくれたので…一食は食べてますから…今日は二食…食べられますね…。…普段はお腹もあんまり減らないので…一食ですが…今日はお得です…先生と一緒です…」人よりのんびりしたマイペースな人種なため実は普段は一食しか食べてはいなくて。お腹が空いたら食べると言うリサイクルは母親と離れてからどうやら習慣になってしまったようで。やりたいと思ったことをとこんとな性格も相まって稀だが一食も口にしていない日もあったりしていて。だが学校にいけばクラスメートが何かしらお菓子をくれるためそれを一食と捉えてしまっていて、自分のご飯事情をまた赤裸々に話しつつ今日は二食食べられるし相手と一緒に食べられると嬉しそうに柔らかく笑み浮かべて)
…は?昨日の夕食からって…。お前まだ育ち盛りなんだからもう少し食べたほうがいいぞ。だからそんな細っこいのか…。あとお菓子は一食ってよりは間食だからな…。一食として数えるのは今後のためにもやめたほうがいい。( 相手の食事事情を聞けば小さく目を見開く。自分も食べるほうではなく基本昼か夜しか食べないので人のことを言えたものではないが、成人した自分と違って相手はまだ未成年の育ち盛りの青年。この時の食生活は追々大人になってから影響してくるもので相手の細い身体と体調を心配して。ただ無理に食べさせるのも良くない。強くは言わずに少し呆れた表情でお菓子を一食としないように言えば手早く手元の書類などを片付けていき。「お待たせ、じゃあ行くか。荷物とか必要なもの教室に置いてってないか?」恐らく食堂に行って食事を終えれば相手はあと帰宅するだけなので教室に忘れ物はないか確認を取りつつ立ち上がって自分の荷物を肩に掛けて。残っている教員に軽く挨拶を済ませて職員室の扉へと向かいながらふと先刻の相手の表情を思い出す。まるで己と一緒に食べることを喜ぶかのような柔らかな微笑み。いやきっと己だからではなく誰でもああいう反応なのだろうなと思えば相手がついてきているか後ろを確認しながら食堂に足を向けて )
……細い…ですか…?…ではもう少し食べてみます…お菓子は間食…なんですね…わかりました…。
(もう少し食べた方が良いと自分を気にしてくれる彼に細いと言われてぱちくり瞳をさせながらお腹回りに触れてみる。自分の体型には無頓着故に母親と生活していた頃も食事回数は二回と今とそこまで変化はないがきちんとバランスの取れた食生活だったためその時と比べたら少しばかり細くなってしまったウエスト回りにも気づいていなくて。でも実は一人になってから気づいたことがある。自分は痩せの大食いタイプであることを。食べると決めた時はいっぱい食べることも出来るしでも少なかったら少なくても良いと極端でもあって。しかし気づいたことも自分の事ならばすぐに忘れたり記憶が定着しづらかったりするため結局は覚えていないことが度々あって。彼の気遣いが有り難くこれからはもう少し食べてみますと素直に返事を返して相手に教えて貰った知識もちゃんと吸収してこくりと頷いて。身支度を整えるのを大人しく待っていて終えた彼が歩き始めればその後に続きながら「大丈夫です…教室に忘れ物はないです…忘れたのは…家に携帯だけです…」忘れ物の確認までして貰えればこくこく頷き大丈夫だと口にするも忘れ物繋がりで先程母親に怒られた事を思い出してはずーんと落ち込んで)
嗚呼、菓子だけだと健康にも悪いしな。ってそんな落ち込むよ。明日からまた気をつければいいだろ?( 自分自身が細いということに気付いてない様子は心配だが素直に食べることを気をつけると頷く様子は好感が持てて。成績は悪くないのにお菓子が間食という認識がないのも何処か抜けていて心配だがきっとその不思議さが相手の良さなのだろうなと思い。教室に忘れ物がないと聞き安心するも携帯を忘れてよっぽど母親に怒られたのか落ち込む様子には少し驚き目を小さく見開いて。慰めようと相手の頭に手を伸ばし触れる寸前で一瞬躊躇うもその柔らかな黒髪にぽんと触れれば明日から気をつければ良いと軽くぽんぽんして手を離し )
なんでも好きなもの頼んでいいぞ。( 高校の一階にある食堂にくれば食券機の前まで来て相手に先に選ばせようと好きなものを選ぶように促す。お菓子ばかり食べているイメージの相手だが何を頼むのだろうかと見守りつつ先に1000円を入れて己も何を食べようか日替わりメニューを確認しながら考えて )
…はい…ありがとうございます…。
(慰めてくれているのか遠慮がちな手が頭をぽんぽんしてくれたのが分かれば何だか嬉しくなってしまい落ち込んだ気持ちは浮上すれば表情を穏やかなものへと変えて感謝の気持ちを相手に告げて。二人で食堂へ向かい食券機の前までくれば相手から奢って貰えるとの認識をしておらず鞄の中から釜口の財布を取り出しパカッと開けて綺麗に折り畳まれた1000円を取り出したのだが、隣にいる相手から何でも好きなものを頼んでいい─そう言って貰えれば目を見開き驚愕と言わんばかりの表情になり「…良いんですか…!?今日会ったばかりなのに…!いえ!嫌と言うわけではありません!すごく嬉しいです!……でも本当に良いんですか…?…ファイナルアンサー…?」聞かれてもいないのに矢継ぎ早に言葉紡ぐも少しの間の後ちらりと見つめては太っ腹すぎる相手に最終確認を取って)
ファイナルア…え、いやこれクイズなのか?み○もん○居ないよな?……嗚呼、否、勿論いいよ。そんなに喜んでくれるなら俺も奢り甲斐がある。つっても学食だから高いもん食わせてやれるわけじゃないけど。お前はここで食べたことあるか?( 頭を軽く撫でた時の相手の表情、その零れた表情に不覚にも少しどきりとしてしまうもまあ父性のようなものだろうと思うことにして食堂へ来て。相手が鞄の中から釜口財布を取り出せば、渋い趣味してるなぁと思いつつも此方の意図を組んだ相手の反応の良さに目を小さく見開き。まさかこんなに喜んでもらえるとは思わずについ普通に答えてツッコミをいれてしまえばコホンと咳払いをして誤魔化す。いつもの調子に戻して、奢り甲斐があると頷くものの此処は学食。己は今日赴任してきたばかりなので此処では初めて食べるが値段を見る限り学生の財布に優しいリーズナブルな値段のものばかりで大盛りも無料と書いてあり。相手は此処の学生だし一度くらい来たことあるのだろうかと思えば、選びながらで良いと無言で食券機を指差しながら尋ねて )
あ…はい、いません。奢って頂ける場合なら値段など関係ありません。そこには確かに貴方の真心があるのですから…宮本先生…ゴチになります…。何にしようかな…。
(ツッコミを入れられれば“いません”と素直に答えつつ高いものを食わせてやれるわけじゃないと告げる相手に値段など関係ありませんと答えて。例えお金がかからずともそこに真心が篭っているならそれに勝るものはないと付け加えて。彼からのせっかくの行為を無下にしたくはなく“ゴチになります”と伝えて真剣に食券機と向かい合って。色々な料理があるなぁと思いながら秋野菜の天ぷら定食に惹かれて「天ぷら…美味しそうです…これにします…」350円とリーズナブルながらそそられたのかボタンをプッシュして。出てきた食券を受け取り口から取り、大切に手に持てば隣にいる優しい先生は何にするんだろうと使い道の無くなった1000円を釜口財布に入れて鞄に忍ばせながら様子を伺って)
…おー。って何か言い方堅くないか?ま、いいけどさ。…ん。先受け取ったら席取っといてくれるか?( 相手の礼儀正しくも少しかたい言い回しに目を瞬かせつつも当然のように此方にそう言えてしまうのもきっと相手の生まれ持った優しさか親の教育がいいのだろうなと思って。相手が秋野菜の天ぷら定食を選ぶのを見ればやっぱり何処か渋いんだよなぁと思いつつ己は定番の焼鯖定食を選び、出てきたおつりを財布にしまってから相手の分の食券を渡し。どちらの食事が先に用意されるか分からないためもし先に相手の定食が出てきた場合は先に席を取るようにお願いしては、トレイを手にしてから定食の受け取り口にいる食堂のスタッフに食券を渡して定食が用意されるのを待って)
…?そうですか…?はい、分かりました…何が起ころうとも…例え嵐が来ようとも…席を死守してみせましょう!…あ…俺はここで食事したことはありません…。たまにパンを買いにくるくらいで…昼休みは教室にいたり…天気が良くて暖かい日は中庭で日向ぼっこしてます…。
(言い方が固いと言われ、こてんと首を傾げるも相手から先に受け取ったら席を取っててくれとお願いされればこくりと頷いて神妙な顔つきになり、何が起ころうともと席を死守すると伝えて。そして先程聞かれていた事を時間差で思い出してはハッとして自分は食堂で食事をしたことはないと答えて。そしてまた聞かれていない昼休みの過ごし方をぽつりと漏らして。手渡された食券を受け取り、これはどうするのかな…と隣にいる相手を見つめる。トレイを手にしている姿に自分もトレイを持っては彼の真似っ子をするように食堂のスタッフに食券を渡して。暫く待っている最中まだかなまだかなと少しばかりそわそわしているも出てきたのは美味しそうに揚げられた天ぷらにホカホカご飯に大根おろしとつゆが添えられていて。ぱあぁと表情を輝かせてはそれらを持っていたトレイに乗せて「宮本先生…席は死守します…」キリッとした顔で告げるとキョロキョロ辺りを見渡して空いている隅の方の席へと向かってトレイをテーブルへ置いては着席し相手が来るのを美味しそうな天ぷら定食をじーっと見つめてじゅるりと出そうになる涎を飲み込み、ご主人様に待てを言われた犬のように食べずに待っていて)
死守ってそんな大袈裟なことでも…( 此方が席取りを頼むと真剣な面持ちで死守するという相手。その言い方がどこか風変わりだが此方が頼んだことに真剣になってくれているのは分かり少し微笑ましく思え。次いで時間差で返ってきた答えに始め目を瞬かせるも、あーさっきの返答かと思えば、律儀なんだぁと思い。自分の定食が出てくるのを待っている間に相手を横目に見てみるとどうやら相手の天ぷら定食が先に出てきたようでその定食を受け取ったときの相手の綻ぶ笑顔を見て“ ああ…素直なんだな… ”とまた心が癒やされるのを感じて。相手が再びトレイを持って席の死守を宣言に来れば、先程は大袈裟なことだと言ったがその真剣な様子が面白く「ああ…頼んだ。」と任せてみることに。数分後自分の焼きサバ定食を受け取り相手の分のセルフのお茶を一応用意して一緒にトレイに乗せて相手の姿を探せば、これまた律儀に食べるのを待つ姿を見つけその姿が無邪気な子犬のように見えれば思わず小さく吹き出して。気を取り直して相手の死守してくれた席へ向かえばトレイをテーブルに置き、相手の向かいの席腰掛けて。「席、ちゃんと死守してくれて助かった。…あと別に先に食べててくれてよかったんだぞ?天ぷらは温かいうちに食べるのが一番だからな。」持ってきたお茶を相手のトレイの手前に置きながら席を死守してくれたことの礼を言えば、天ぷらに視線を落として。それからじっと相手を見て「…お前って猫みたいだと思ったけど、犬っぽくもあるよな。あー…でもさっき中庭で日向ぼっこするって言ってたけど今の時期は日向でも寒いから風邪引くし気をつけろよ。」どこかのんびりでマイペースでふわりとした雰囲気は猫っぽいが、根は実はしっかりしてそうで人懐っこくもあり此方が頼んだことを全力で応えてくれるところは犬っぽいと思って。思ったことを口にしつつ此方が先に食べ始めないと相手は食べなさそうなので「いただきます。」と手を合わせてから箸を取って )
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