夕暮れ、届かないキス。 /〆

 夕暮れ、届かないキス。 /〆

匿名さん  2018-06-10 21:12:24 
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お声掛けしてくださった方待ち、





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  • No.91 by 爆豪/耳郎  2018-08-23 21:13:57 





爆豪

( 情動に駆られてようやく話せていたぐらいだというのに、一度声を出せば脳は場違いなほど生き生きと活動し始めた。そのまま現状を冷静に捉え、ただの解読コードのように淡々と頭へ伝達する。目の前で女が泣く所を初めて見た。人の唇がこんな風に震えるだなんて初めて知った。何よりも睫毛に絡んだ雫を見た瞬間体に衝撃が走った。ああ俺は今、あれほど恐怖していた終息を自分が引き起こしたのかと。それが予想以上に強いショックで、今は指一本だって動かないような気がした。 )
……、だろうな。
( 俺も、分からない。口ばかりが達者で余裕ぶった返事をする。今となっては、笑顔が浮かべられているのかも分かりっこない。成合を泣かせたのは俺で、そして俺の言葉だ。あんな事言ったりしなければ、せめて泣かせはしなかった。だが自分を、この慕情を、抑えきれるわけねえんだよ。望めばすぐに触れられるような距離にいるというのに、この情を死ぬまで心の内に抱えたままの暮らしなんざ想像できなかった。 )
………初めっから俺はこういう奴だ。テメェも嫌気差しただろ。
……俺は、別れる。
( 別れ。今は現実味が無くてもすぐに慣れる。関係は解消して、関わりも途絶える。互いに干渉しない他人になる。そういう別れだ。さっきとは人が変わったようにすらすら声が出る。きっと頭の何処かで、こうなることは想定していたからだろう。むしろこうなる可能性がほとんどだった。俺らはもともと隣にいて成り立つような二人じゃない。簡単なことですぐに破綻し崩壊するに決まってる。コイツの傍にいるのは違う奴がいい。その為に俺がしてやれんのは、コイツに関わらねえよう離れることだけだ。せめてと思って瞳だけは逸らさない。僅かな時間ではあったが、泣き跡が色濃く残ったその面を見つめて頭ん中に刷り込ませた。鞄を引っ掴んで立ち上がり、ひと目視線を寄越すがすぐに踵を返す。さっさと登校しようと、早くも遅くもないスピードで寮玄関へ歩を進め。 )

耳郎

………、っふ、ふふ、…んふふッ、
( にへ、って気持ち悪そうな顔で笑ってたと思うので服の袖で口元は隠して俯いておく。でも笑い声は大きくないとはいえ笑い方が確実にヤバいので引かれたかも。どうしよう、今凄く面白い。試しに言っただけなのに、上鳴ばっちり動揺して図星のようだし顔隠してるのは超かわいい。「……、うれし」それはもう、とっても。目を細めて上鳴には微笑んでみせる。内心では大はしゃぎだけどね。BGMとかで多少騒がしいモール内だから、そんなに小さい声で呟いた訳ではなかったけど聞き取れなかったと信じておく。上鳴のことだから、友愛の嫉妬なんだって分かってる。でも嬉しくて、それで少しだけ恥ずかしい。好きな人のやきもちでこんなに気持ちになるんだ。こんなに喜んで不謹慎かもしれないけど、でも悪いことじゃないと思うから神様許して欲しい。 )
じゃあ雑貨屋、だっけ?早く行こ…、う、や、フフっ、
( あ、やば、ツボったかもしれない。行こうかって言おうとしたのに、まだ笑いが止まらなくてままならない。上鳴キレたらどうしよ、今度こそ嫌われるかも。だけどこればかりは自分で止められないから仕方がない。ふ、ふ、なんて最早不気味な笑い方になってきたような気がしながら、口元押さえ笑顔をこぼして。 )



  • No.92 by 成合/上鳴  2018-08-25 07:53:55 







成合

( もう何が何だか理解するのに時間がかかったのだ。爆豪がずっとほしかった言葉を言ってくれて、でもそれを信じることができなくって、そんなことで泣いてしまって。きっと彼は悪くなかった。ただ自分がほんの少しでもそれに疑いを持ってしまったことが、何よりも好きだと思っていた彼の言葉を信じられなかったことがダメで。なのに相手に責任を感じさせてしまったことが何よりも心を揺らす。胸がひどく痛んで心臓が止まりそうだ。嫌気なんかさしていない。それが嘘でも本当でも別れたくない。彼にどんな理由があろうと今のこの状況をラッキーとして付き合おうって寝不足になりながら決めたのは私なのに。 )
…ッう、
( その時だけ力の抜けたように垂れ下がる足は、彼を見送ったまま動かない。動かせ動かせって、何かして引き止めてって、そう言っても少しだって動きやしないし言葉は出やしない。まだ少しだけ残った疑問が大きく身体を支配して、収めたはずの涙が噴水のように流れ出してきた。声を上げても制服を濡らしても彼は戻って来なくって、それだけで一生もう話せない気だってして、それじゃダメなことは少しでも分かるからよたよたと立ち上がる。もう泣き止むのを待たないまま扉に向かって歩き出した。爆豪に合わなくっちゃ心とか精神とかそういうものが全部壊れてしまう気がして。 )


上鳴

( 今の俺の状況を一言で表すのなら、全俺が満場一致で『クソカッコ悪い』だった。見せ場も奪われて爆弾を落とされて、それにちょっとした嫉妬をしているのを見抜かれた上絶賛赤面中。少女マンガだったら俺の方がヒロインなんじゃねえかと錯覚するくらいの大惨事だろこれ…この後もうマトモにデートとかできる気がしねえもん…。…まあとにかく、これから挽回しなくちゃなんねえことは嫌でも分かる。それができるかは別として、…いや、やらなくちゃダメだ。だって俺超ダセーし!このままじゃデート大失敗で終わるし!耳打ちしたあいつよりかっこいいとこ見せて終わんなきゃダメだろ! )
…わすれて。
( やっとのことでまだ少し熱の残る顔から手を離し、雑貨屋の方へ足を進める。未だ笑っている耳郎にはしどろもどろになりながらもそう覇気のない言葉を返し、小さく肩を落とした。もうマジでダセー…。これ相手耳郎じゃなかったら本気で1週間凹んでたかもしれない。…いや耳郎だからこそダメージ大きいのかもわかんねえな。仲の良い、それも女子にこんな姿を見られた精神的なアレってのはかなりデカいみたいで。「挽回する、から。笑ってられんのも今のうちだかんな、」不満そうにそう言ってみせる。でもやっぱりまだ顔はちょっと熱かったからそれほどかっこよくはなかったかもしれない。そうだろうと半分は自分への自己暗示として、もう半分は意思表明としてそう伝えて。 )




  • No.93 by 爆豪/耳郎  2018-08-25 23:05:59 




爆豪

…、おい…。
( 不意にまた啜り泣く声が聞こえてきて、止めてしまいそうになる足に鼓舞する。けれどもその声は奇妙に遠ざかって行かないからつい後ろを振り返ると、案の定零れる涙も拭かずよたよた歩いていた。本当に今にでも水分不足でブッ倒れてしまいそうに思うぐらいぼろぼろと泣いていたから、流石にと思ってそんな声が出る。この状態だと、このまま俺が外に出ようが付いて来そうな勢いだから取りあえずその場で立ち止まる。もう俺には、コイツに触れて良い資格が無いのは分かっていた。それほどのことをした。好きで好きで、きっと愛していたから傷付けた。正しいことは何もしてやれていない。でも、それだけで俺は満足して、よかったと思える。記憶は嘘をつかない。全部が愛しい時間だったのは偽りなんかじゃない。今がどんだけ悲しかろうが、いつか必ず悲哀は和らぐ。成合の涙もきっと止まる。自分では止められずとも他の誰かが成合を奪い、拭うだろう。 )
……拭け
( けれど、今だけは許して欲しい。制服が濡れるほど泣いている今となっては遅いが、無いよりはマシだろう。手持ちのタオルを鞄から取り出し奴の頭に被せる。タオルは長いからそれだけで奴の顔は隠されて、「…今後俺に近寄んな」どんなに情けない面をしてようが、今ならコイツに見られることは無いだろうと鷹を括って最後に付け足して、今度こそ玄関の方へ向かう。もう呼び止められようが二度と立ち止まる気は無くそのまま歩き続けて、 )

耳郎

( 大変不服そうな顔で言われてしまった。いやいや、だってさ、どうしても嬉しいよ。例えこの一瞬だけでも上鳴がウチのこと、思ってくれてたってことでしょ。ごめんね、でも嬉しいよ。 )
はいはい、あんまり期待しないで待ってるわ。
( 挽回って、ウチが笑いすぎたからやっぱり恥ずかしいのかな。でもその赤い顔見てると説得力足りないって。怒られるかもしれないなと思いながら、またちょっとだけ笑ってしまった。先に歩き始めた上鳴に付いて行きながら、そうして返事する。上鳴はよく笑うことはあっても、こういう顔を見る機会はあまり無い。だから余計にこういうのは特別な気持ちになる。あーまた気持ち悪いこと考えてるなウチ。駄目だな、笑えちゃって仕方ない。 )
…あ。
( …違う、その前に、上鳴に言わなきゃいけないことがある。大切なこと。「…さっきさ、来てくれて助かった。…ありがと」些細なことだけど、大事なことだった。あの時、凄くほっとしてたんだ。友達相手にこんなの変だって思う。好きじゃないと思ってたけど、本当は嫌いだったんだろうか。そうやってずっと逃げてたのかもしれない。上鳴が変な気持ちになるって分かっていて言う。相手が上鳴だからこそ言わなきゃいけないと思った。嘘をついているようなのが嫌だったんだ。目を伏せて、でも薄い笑みは絶やさないままで。 )


  • No.94 by 成合/上鳴  2018-08-26 04:30:51 






成合

( 頭にかけられたふわりとした感触。見るまでもなくタオルだと分かって、嗚咽が一瞬だけ止まった。それでも言葉だけがぐさりと刺さって抜けない。遠ざかっていく足音とタオルから香るニトロの甘さがもう終わったことなのだと指し示してくる。それがとんでもなく怖くて、目元を必死に拭ってみても止まらない。それどころか彼の匂いが余計に鼻腔をくすぐって嗚咽がひどくなるだけだ。彼の名前を呼んでみても、待ってなんで引き止める言葉を紡いでみてもそれらは全て嗚咽になるだけで、涙で視界はぼやけるし顔も前髪も制服だって全てボロボロだ。アイロンだってかけたのに。ずっと鏡や反射した携帯で前髪を気にしていたのに。やらないよりはましだって、マッサージもしたのに。全部が全部、抱いてしまった疑問に、迷いに台無しにされてしまった。もう彼との繋がりは濡れてしまったタオルしか残っていなくて、それすら繋がりだと主張できるかも怪しい。 )
ッぐ、
( あの時ただ嬉しさだけを感じていられたら、笑顔で頷いていられれば。そんなたらればはもう通用しないんだって分かりきっていた。それでも希望だけが捨てきれなくて、その場にへたり込む。ぼやけた視界を何度擦ってももう彼の後ろ姿だって見えない。一緒に登校することなんてできやしなかった。結局その後私に優しく声をかけてくれたのは先ほど挨拶をした梅雨ちゃんで、とんでもなく優しい彼女は誰にも言わないと約束をして学校まで一緒に行ってくれた。教室に入っても爆豪のいる方は見れなかった。 )


上鳴

( 両手でパタパタと顔の熱を冷ますように扇いでみるけど、弱風よりも弱風といった風圧のそれが上手く機能しているかは怪しかった。でも早くこの赤みを消さないと挽回なんて夢のまた夢のような話で、女の子にそんな顔をさせることはあっても男が赤面なんぞしちゃいけないのだ。…まあそのご法度をおれはさっきやらかしちゃったわけなんだけど。頭の中で必死に両親の顔を思い浮かべれば自然と顔の熱は冷めてきて、だいぶ平常に戻ったような気がする。いや戻ったとしておこう。安堵のため息を吐いていれば耳郎から聞こえたのは珍しいお礼の言葉で、俺なんかしたっけ、なんてしばし考えてみた。…けど、まあ何も思い浮かばないのが俺のバカな頭。なんか真意が分からないままあーいーよいーよとかも言えねー気がして、そのお礼の意味を聞いてみることにした。 )
どゆこと?俺なんかした?
( 来てくれて助かったって、なんかまるで話すのが嫌だったみてーな言い方じゃん?でも別にあいつらはマジで耳郎のダチなんだろうし、何話してたって質問には自然と答えてたしでまあ意味がわからん。そんなことを小難しく考えているとポンと思い浮かんだ可能性に「あ、」と声を上げ、個人的に真面目に見えそうだと思っている顔で近付き「なんかされたん?」と尋ねた。だって考えられるのってそれしかなくて、なんかやなことでもされてたならそのアフターケアは男である俺がしなくちゃならない。それがなくても単純に仲良いやつの役に立ちたいってのがあるんだけど。 )





  • No.95 by 爆豪/耳郎  2018-08-26 18:23:58 




爆豪

( 窓から漏れる夕日が廊下を満たしている。その上を踏み越えて歩いているとリノリウムの床と靴が擦れて時折甲高い音が鳴った。何事も無くまた一日が終わりかけている。運が良いことに朝の騒動のことを知る野郎共はおらず、それが唯一の救いでもあった。能天気に俺を構う奴らといると余計なことを考えなくて済んだ。戦闘訓練も同じ要領で多分に集中できて満足したが、訓練後にタオルが無いことを思い出してしまったのが悪かった。ともあれ今は放課後。今日の昼休み、告白女には放課後に返事の約束を取りつけた。ダラダラ何かが続いているというのは異常にイライラするのでさっさと片付けるに限る。わざわざ場所を選ぶことでも無いだろうと思って奴のクラスを訪ねることにして、カバンは教室に残して今向かっているところだ。できるだけ生徒の気配が少なくなるのを待っていたのだから、これも誰かに聞かれるようなことも無いだろう。最後がこんなことになるのなら、アイツと付き合っているフリなんてしなくても良いだろうと何処からか声が聞こえてくるようだった。ついでに今朝の約束も自分から滅茶苦茶にして、現実的な話すると実際その通りだ。だがそれでも意味はあった。あのうざったい感情の名前は、距離が近くならない限り分からなかった。 )
…テメェとは付き合わねえ。
( 女のクラスに着いて中を覗いてみると奴以外はいなかった。依然として今日も大人しそうに笑っている。下らねえ前置きなんてしたくもないから単刀直入に待たせていた返事をして「……惚れた奴がいる」仮にも惚れていた野郎に振られたというのに、その笑顔が一瞬でも揺らぐことは無い。理由はあるのかな、と遠慮無く理由を問いてくる。もうここまで来れば何一つ隠す気も無く、この執拗な女が納得行くように正直に話すことにして。 )

耳郎

あ、いや、そういう訳じゃないよ。…でも、なんだろ。
( なんかされた、ってのはきっと確実に違うから胸の前で右手を左右に振ってバツサインを。改めて考えてみたら変なことは一切無いし、普通の話しかしてない。ウチはそれが何となく嫌だったみたいなこと言ってんだからめちゃ神経質だなーって思われそう。でもまあ、「…もし上鳴が来てくれなかったらって考えたら、お礼言っといた方が良いなって、思った」根拠が無いから少し言葉が詰まりそうになった。多分あの状態のままではとてもウチ一人で上鳴を呼びになんて行かなかったし、行けなかった。いつまで経っても、どうしてもあの人達とは一歩引いた姿勢でしか関われないのが今日ので証明されてしまった。情けなさすぎて思わず溜め息が出そうになる。「それにあのままずっと雑談続いてたら絶対遊ぶ時間減ってたし、うーんまあ、そんな感じ」言葉を濁して喋っているようで、これじゃあ結局言う意味あるのか無いのか分かんないけど仕方がない。だって今の自分のことなのによく分かってないんだから。小さく苦笑を零しながらそうして返事して。 )


  • No.96 by 成合/上鳴  2018-08-27 22:24:09 







成合

( そりゃあもう朝の私は酷い顔だったろうと思う。仲の良い1A女子はこちらを見るなり化け物を見つけてしまったような反応をするし、実際自分で鏡を見たら化け物がそこに映っていた。何とか2時間目が終わるまでには目の腫れも引いたから良しとして、それでも表情は自分で分かるくらい沈んでいたのだからよほど応えたらしい。授業が終わるまで爆豪を視界に入れないようにしたし思い起こさないようにって努力したつもりなのにこれ。…いやそれはタオルを肌身離さず持っていたのが原因なのだろうけど、持っていないと本当に全てが終わってしまう気がして嫌だったのだ。 )
…どうしよう。
( 訪れた放課後。タオルは早々に寮へ帰った私の手の中にあって、どうしたものかと思案する。返すしかないのだけど今彼と話せる元気はないし、かといって仲の良い切島なんかに渡してもらうのは嫌だ。呆れたことに幻滅されていてもおかしくはない私はまだ爆豪のことが大好きで、ならもうこれは自分で返すしかない。腹を括って共有スペースにいた切島に彼の居場所を聞けばまだ寮には帰っていないらしい。なら待っていてもいいけど男子の棟に入るのは気持ち的にアレだし、玄関で返すのは人の目があるから駄目。なら学校へ出向く。思い立ったらすぐ行動とばかりに駆け足で学校へ戻ってみればまだ鞄は席に置かれたままで、きゅっとタオルを握りしめたまま彼の席の前で立ち止まった。洗濯して返した方が良かっただろうか。でも爆豪の気持ちを考えれば早めに返してしまった方がいいように思う。好きな人の邪魔はできないから彼の中で決着をつけさせてあげないと。 )


上鳴

…。おー、そんくらい気にすんなよ。
( 理解できたか理解できなかったかで言うと圧倒的に理解できていない。これは俺の頭が弱いだけなのかどうなのか、とりあえず俺じゃ理解できなかったってことだ。まあでもお礼を言われて悪い気はしないし、それで耳郎が助かったっつってんならそれでいい気もするからそのまま置いといて納得しとく。人の役に立つってのは案外悪くねーし、俺だってヒーロー志望だからそれでいい。はず。いやぜってーそう。 )
ね、なに見んの?俺どんなんあるか全く知らねーんだけど。
( 大抵ここのショッピングモールに来て足を運ぶのは服屋とかゲーセンとかってのばっかで、たまーに行くのだってCDショップだの本屋だのだから雑貨屋の類は寄り付かないどころの話じゃない。どんなのがあるかも知らねーからワクワクしつつも不慣れなとこでかっこわりー姿見せんのもなーなんて不安もあるのが本音だ。いやたかが雑貨屋ごときっつったらそれまでだけどさ、こちとらデート中だからな。初デートでどこにランチ行くかくらい重要なんだわ。雑貨屋デートの神を呼び寄せようとしてるくらいには必死だから。視界の端に可愛い女の子が好みそうな可愛いぬいぐるみを捉え、耳郎の方に目を向ければ朗らかにそう尋ねて。 )





  • No.97 by 爆豪/耳郎  2018-08-28 20:17:09 





爆豪

…ソイツの為に費やしたなら、時間も労力も代償も全部どうだって良い。
……テメェは、ソイツとは違う。
( そう言って、もう一度奴の顔を見てみたが、表情に変化は無かった。すぐに分かったと、それで、目を細めて笑っていた。それからは、不思議と勝手に体が動いてその場からは立ち去った。今は再び廊下を歩いている。最後まで分からん女だった。俺がただの盲目野郎だと内心思っていそうでいなさそうな面をしていた気がする。つまり結局分からない。今の感情を、敢えて言葉にするのならまるで夢を見ているようだった。あの瞬間まで誰にも打ち明けず、自分自身も表現できなかった奴への想いも、全部言葉となって口から滑り落ちた。思えば相当くさい台詞だったような。とても奴には聞かせられない。…閑話休題。この夢見心地の原因は、ただ笑って引き留めず且つ冷静たったあの女だけが異質だったからなのかもしれない。ただ、俺とアイツがもしも共通点があるのなら、それは俺とアイツを縛っていた縄が消えたということだ。まあそれにも実感が湧いていないのも原因の一つになるのかもしれないが、もう良い。今の俺を悩ませていた案件は全て終わらせた。後に待つのは普段の日々。 )
…、……。
( …そうだろが普通。どうして、教室戻ったら奴がいる?しかも何故今この時このタイミングで。おかしい。絶対におかしい。素数を数えたら現実に戻るかもしれないと軽く頭がトリップしかけたところ、ばっと脳裏をよぎったのはさっき口から出た馬鹿みてぇに小っ恥ずかしい言葉の羅列で。迷わず入室しかけていた教室から飛び出して、当てもなく廊下を歩く。んだ、これ。いつもより心臓の鼓動が少し早いような気がした。それに伴って意味も無く足を動かす速度も上がっていて。 )

耳郎

( 当然のことながら若干分からなさそうな顔をしてる。ですよね。にしてもやっぱり、というかせめて上鳴と一緒にいる時はあの人達に会いたくないな。今日みたいに上鳴にも迷惑かけるかもしれないし。それにふっつーに絡まれそうだもん上鳴。タイプ似てるし。この際言っちゃうけどかっこいいし。あの女の子達に言い寄られてたらどうしようもないし。だってやめてとか、そんな強く言えないよ。とにかくそういう色々があって、どうにもあの人達に感じる嫌な予感だけが抜けない。こんなのは考え過ぎかな。そしてめちゃ笑えるほど考えが暗過ぎで陰気臭いなこれ。あの人達どっか行ったんだし、もうこんなのはやめよう。うん。 )
んー、まあお店によるけど、取りあえずアクセとかネイルとか?
あとは…適当にお店の中見て回る感じかな。
( 実際お店によって色々置いてあるものって変わるから一概には言えないけど、基本そんな感じ。このモールに入ってる雑貨屋は確かアクセがそこそこ置いてある記憶があるし、それ見たら言った通り店内をぐるぐる回ることになりそう。何しろ雑貨屋だから、ウチの趣味だけじゃなくて大分可愛い感じの〜って商品も多いし、見てるだけでも楽しい。別に趣味じゃなくても可愛いものは可愛いしね。それにたまにしか雑貨店って行かないし、色々見てみたい気持ちが強い。「…、あ、ていうか次は上鳴の行きたい所に行く予定だったのに、良いの?」そういえば色々あってすっかりすっきり頭から飛んでいたけど、次に行く場所は上鳴が決めるって約束をしていたのを思い出す。話の流れ的に次行くのって完全うちが行きたい雑貨屋のことだよねこれ。言ったのは自分の方なのにそれでは上鳴に悪くて、控えめにそう尋ねて。 )



  • No.98 by 成合/上鳴  2018-08-29 03:19:37 







成合

( 自然から生まれる音以外はただひたすら静かな空間だった。寮はあれほど騒がしかったというのに、少し離れればこうだ。そのせいで緊張も増すし不安も募るのだからいいことがない。そんな中微かに響いていたのは誰かの足音で、上履き特有の軽い音が更に鼓動を速くさせた。私の待っている人かは分からないのだけど、無意識にタオルをぎゅうと掴む。返すものにシワをつけてしまうようだったけど、今だけはちょっとだけ許してほしかった。やがて音は大きくなり、A組の教室の前で止まる。扉に背を向けているせいで誰かは分からないのにもう確信を持ってしまっていた。来てほしいようでほしくはなかったような、そんな人。 )
爆豪、
( 予想していなかったわけじゃなかった。逃げられてしまうんじゃないかって、最悪の予想。起きてほしくなかったからこそ頭の中から放り出そうとしていた予想がぴしゃりと当たってしまってまた泣きそうだ。届かないであろう小さな声で彼の名を呼び、重い足取りで同じように教室を出る。廊下の先にいる小さな人影は、その背中は間違いなく待っていた人で、嬉しいのか悲しいのか分からなかった。「爆豪!」そう叫んださっきよりは大きな声。「…タオル、返しに来ただけ。ごめんね」近寄るなと言われたのに破ってしまってごめんなさいと、そう言った。 )


上鳴

あー…、んー、別に。どっちもちけーし、何なら今日デートじゃん?
( そういえば試聴したCDと妙な感情…いや嫉妬なんだけど、まあそれで次行くとこのことなんて忘れ去っていた。確かに目的ではあるけど早急に買わなきゃ死ぬって訳でもないし、今日はデートなのだから耳郎の行きたいところを優先していい。なんならあいつはさっき良くない思いをしたわけだし、機嫌を直すってことじゃないけど気くらい使っていいはずだ。にまーと緊張感のない笑顔を浮かべて理由を並べれば、すぐそこまで近付いてきた雑貨屋を示して「もう着いたし」と付け足して。 )
…あ、俺アクセだのネイルだのって全く知らねーからそこらへん勘弁な!
( 雑貨屋には勉強の目的もあったはず。なんか女の子とこういうとこ来てただ見てるだけじゃ今後つまんねー奴とか思われてもおかしくねーし、詳しくなって行くことが大事…だと思う。ぜってーそう。男物は見ることはあっても女物ってチラ見くらいしかしねーし、そう言ってカラフルな店内を見渡し、手近な棚に置いてあったネックレスを手に取った。なんとなく黄色のストーンが目を引いただけだけど、そのまま振り返って耳郎の首に当ててやる。「お、割と似合う」何となくで選んだけど似合うっちゃ似合う。俺センスあんのかもーなんて考えて笑った。 )





  • No.99 by 爆豪/耳郎  2018-08-29 21:11:05 





爆豪

( 名前を呼ぶその声に、一度心臓がどくんと音を立てて響いた。思わず反応してはたと足を止めてしまう。未だ頬からは火照りが引いていない。波打つ心臓の音が鬱陶しいほど体に鼓動しているのがよく分かっていて、奴にまで振動が届かないかと心配しそうにもなる。咄嗟に体が動いて逃げてしまったが、これからどうすんだ。タオルなんていらねえのに、その今にも泣き出してしそうな声を振り払える度胸も無い。意味があまり無いように思いながら、気分を落ちつけるため声が出ない程度に深く長い息をつく。それから奴の元へ、さして速くはない速度で歩いて、 )
………さっき、
( タオルを受け取るぐらいならギリギリ届くぐらいの距離で立ち止まる。顔なんてとても上げられなかった。目の前に誰でもない奴がいるのだと思うと、ふいに日中あれほど思い出していた今朝の泣きそうな顔が頭をよぎるからおかしい。ただタオルを受け取るだけじゃなくて、その前に何か話した方がいいんじゃないかとそんな変な事を思った。話しかける資格も役目も無いのは重々承知している。けれど逃げた理由を伝えないまま勘違いされたら気分は良くない。無駄なことでコイツを悩ませたくなかった。ようやく熱が引いてきたのを感じて、ぼそぼそと声を出す。「……俺に、告った奴に。テメェが好きだから付き合えねえって、言ってきた」自分の声は想像していたよりも細く覇気がなく、口が上手く動かせないからなんだがそれが余計に情けなくて上手く言葉も紡げない。 )
…それなのに、そんな後に限って、教室戻りゃテメェはいるし、
( 自分が何を伝えたいのか分からなくなってきた。好んでコイツから逃げたのを否定したいのか、好きだから泣いて欲しくないのか、また整理がつかなくなってきて言い終えていないのに言葉が出なくなった。イライラするような、もどかしいような感情が湧いてまた顔が熱を帯びてんのが気色悪くて、手持ち無沙汰の右手でぐしゃぐしゃ前髪を引っ張って。 )

耳郎

…デートだから、ウチのことばっか優先させるってこと?
……だったらウチも同じことしても別にいいよね。
( なんだか、ずっと始めから感じていた縺れの正体がようやく分かった気がした。上鳴がデートデートと連呼する度に感じていた違和感みたいなものの正体が。いや、間違いない。「…ウチも、上鳴と『デート』してるんですけど」不服そうな顔だったと思う。当然だよ、ちょっとむっとしてたんだから。上鳴は気が利くし空気は読めるし、そこが良いと思うけど、程度があるじゃん。今してるのが男女のデートでも、ウチと上鳴は友達だ。…これからでも恋人にはなりたいけど!でも今は置いといて、とにかく今はまだ友達。デートだからって女の子扱いして、こっちに遠慮するのはなんだか嫌。上手く言えなくて、こんな気持ちが伝わるかなんてわからないけど、今言わなきゃいけないことだと思った。 )
あ、うん。最初から期待してないから心配してくれなくていいよ
( 気が付いたら着いていたお店の中に入り、ぼーっとヘアピンとか髪ゴムとかを眺めながら若干日本語がおかしい気がするもあしらっておく。いや逆にめちゃ知ってたらびっくりするわ。それにウチだって男の人のファッションとか大して知らないし、同じことだよ。とか思ってたら急に上鳴が振り返ってネックレスと思われる何かを首に当ててくるものだからびっくりした。それでまた小さい子みたいに笑うものだから、これではまるで本当の本当に付き合ってるカップルで、「…ッ、そういうとこ嫌い!」いーっと睨んでぷいと背を向けてしまう。もっと可愛い言い方すればいいんだけど、これは上鳴が悪い。わざとじゃなくて素なんでしょ、どうせ。心臓もたないっつーの。そうしてアクセと睨めっこしながら、少しずつ店の奥に入っていって。 )



  • No.100 by 成合/上鳴  2018-08-30 21:25:07 







成合

こ、
( 思わず声が出た。だって初めて知った。そんなことがあったってことも、私を理由に断ってくれることだって想像がつかなかったのだ。彼はきちんと、ちゃんと、好きでいてくれて。同じ気持ちであるはずなのになぜこんな状態になってしまっているのかって、それは私のせいなのだけど。でも嬉しかった。もう心の中に不安だとか疑問だとかっていうのは全くなくて、今朝もこんな心境だったら話はまた違ってきていたのだろう。爆豪が離れていってしまうことも、私が泣くこともきっと。…いや、私が泣くことはあったかもしれないな。「……そっか。…ありがと、」気の利いた言葉のひとつでもかけられればよかったのに、出て来たのはそれだけ。嬉しくて、愛しくて、でも心のどこかでは悲しかったのだ。今手に持つタオルを渡してしまえば本当にそれまでで何もかもが終わってしまうような気がしてならなかった。関わるななんて言葉を肯定しきってしまいたくない。だってすっごく好きなのに、「…や、っぱ、ごめん、」そう思ったらふと声が飛び出ていたのだ。 )
返したく、ない。やだ、
( 迷惑をかけてばかりだ。彼の言ったことを無視して近付いて、今度はそれを反故にしようとしている。わがままで強欲で嫌になる。それが本心なのだからもっと嫌になる。痛くなる鼻も暑くなる目頭もなにもかもが涙を溢れ出してしまいたいと叫んでいたからぎゅうと堪えた。どこにも行ってほしくなくて、他の誰かを見てほしくもなくて、そうなってしまいそうなものならこのまま時が止まればいいと思ったの。 )


上鳴

( 驚いた。ちょっとどころじゃなくて、結構驚いた。俺が今までデートしてきた女の子って、まあ同じようにデートだからって女の子の方を優先させてきたわけだけど。さすがにじゃあこっちも同じなんて言う相手は1人もいなくて、それがちょっぴり異端だったからか、ときめいたからかとにかく嬉しかった。ありがとうとか悪いよーとかの言葉で返されることはあっても張り合ってくる子なんて初めてだ。他の女の子が違ったのか耳郎が特別なのか、きっと後者だ。なんかなんだか相手からそう言われるとデートだってそんな実感が湧いてくる。驚き一色だった顔は嬉しそうに歪み、多分今の俺の顔は相当カッコイイってのには程遠い。でもまあ、女の子に気を使ってカッコつけるだけがデートじゃないってことで。 )
えー、ヒドくね!?俺ちゃんと選んだのに!
( 続く期待してないだの嫌いだのパンチが効いた耳郎節にもダメージはゼロで、文句は言いつつも顔はやはり嬉しそうに歪んだままだ。ニッコニコ笑顔のままぶつくさ言うっていう絵面も相当なモンだけどデートって感じがしてこれはこれでいい。「でもマジで似合ってると思ったんだけどなー…」なんて店に並ぶものをキョロキョロと見渡しながら呟けば、先ほどのネックレスに埋め込まれていた黄色のストーンを思い出してなんかちょっと重かったかな、なんて反省。目を引いたから選んだだけなのだけど、自分の髪の色と同じなんて傍目から見たら独占欲丸出しみてーだ。また目を引いたピアスを指差して「なー耳郎、これは?」と尋ねてみる。またまた黄色いストーンがはめられたものが一際似合いそうとか思ったけど、今度はちゃんと意識して黒いものを選んでみたりちゃんと考えているのだ。 )





  • No.101 by 爆豪/耳郎  2018-08-31 17:31:18 





爆豪

(こんな事は一生誰にも明かさず墓の中に持って行きたいと思えるほど小っ恥ずかしくて言う気がしなかった。そこを何とか耐えて腹を括り正直になって。と思えばまた今にも泣きそうな声で、んなこと言うからこっちは色々やりきれねぇんだよ。どうして分かんねえんだこの馬鹿。そのタオルだって持ってたって何になんだ。俺が視界からも世界からも消えてる生活の方が何倍もマシだろ。少しの間何も言わず突っ立ってから、空いていた距離を縮めるように奴の方へと近寄る。どうせ俺もこいつも、今は頭のどっかでネジが一本取れてる。だからきっと今だけなら。今だけなら、誰にも叱られることなく許しを寄越してくれるんじゃないかと、確証も無い可能性に委ねてみる。奴の背に手を回しこっちに引き寄せた。 )
……俺と居たらクソな人生しか送れねえぞ。
( この女は俺がいない日々がどれだけ平穏か想像しないのだろうか。まさか今の事しか見えてないじゃねえだろうな。笑えねえ、んなのは餓鬼のすることだ。自分だって同じことだろうに、頭ん中で貶し己を戒めながら意味も無いほど強く抱き竦める。指にかかる髪の束は絹糸の如く柔らかく、鼻腔を擽るシャンプーの香りは甘ったるくて後で胃もたれするんじゃないかと思うほど苛烈。予想を通り越すような鬱陶しさに身体が圧迫されているような気分になる一方で、異常な愛しさが消えていく気配は微塵もなく、寧ろ募っていくばかりで。 )

耳郎

( あー、びっ、くりした。勘弁してくれ上鳴。ほら今視界に入ったカップルも同じことしてんじゃん、付き合ってないのに付き合ってる感あることするって、それかなーり恥ずかしいことなんだけど、分かってんのかな上鳴。いや分かってくれ。 急に上鳴って小さい子みたいに羞恥心とかそういうの消滅するよね。マジ人間爆弾。今日だけで何回照れたかな、かっこわる。まあでも。ちらりと上鳴の方に視線を向けてみる。大したことなんて言ってないと思うんだけど、とにかく上鳴の機嫌は良さそうだし、まあ別にいいんだけど。これでちゃんと上鳴が理解してなかったら叱ろ。とか思ってた矢先に再び声が掛けられて、 )
…ピアス?
( またさっきみたいなことやるのかと思ったけど、どうやら今は違うようで少し安心。そしてどうやら上鳴が指していたのは、なかなかいい感じのピアスのようで、流石上鳴と言うべきか、適応力が違うって言うか、思わずへえと声が漏れた。決してデザインは悪くないし、好きな方。ただ、「イヤリングならいいんだけどな。…穴開けんの痛そうで怖くて、開けてないんだよね」あと校則は一応守りたいし。へらっと軽く苦笑い。ピアス開けてる人尊敬するってったら大袈裟かな。かなり痛そうだけど、実際どうなんだろう。やり方に問題あるんだろうか。とは言えやっぱりこういうのって憧れるし、付けたいんだけどジレンマ。ぼんやり隣に並んでいた花型のイヤリングを見てみると値段がとんでもなくてびっくりして咄嗟に戻す。値段が全然可愛くなかった。いや世間一般の子はそれでも買うんだよね。もしかしてウチに足りないのはそういうとこ?うわ、寂しくなってくるから指輪でも見よっと。またぼんやり棚の方を眺めながら歩き始めて。 )

( /遂に100レス越えちゃいましたね…! 毎回毎回長文で申し訳ないと思いつつも、いつもご丁寧に返して頂いて本当に嬉しい限りです。
なりの方ではうちの二人が色々拗らせたり、自由にオリ伽羅出しちゃったりして、ご迷惑をお掛けしていましたらすみません…! もしご不満でしたらいつでもご指摘くださいね、すぐ改善しようと思います。
これからも多々ご迷惑おかけするかと思いますが、これからも末永くよろしくお願いいたします! )



  • No.102 by 成合/上鳴  2018-09-03 00:17:18 







成合

( ふと伝わる温もりにびくりと肩が震えた。ひどく優しいあたたかさに身を委ねたくて、でもどうしていいのか分からない。それでもまた後悔したくないからそっと体重を預け、彼の背に手を回した。すうと鼻から息を吸えばタオルより何倍も強い香りが鼻腔を通り抜け、麻薬かのようにも感じて仕方がない。ほとんど詰められた距離を更に詰め、背に回す手に力を入れればぐりぐりと頭を押し付けた。 )
…いいよ。何でも、いいよ、
( 好きだから。もうこのままでいられるなら何でもいい。どこかに行ってしまうなら時が止まればいいとさえ思っていたけれど、願いが叶った今でも止まればいいなんて考えるほどに強欲だ。本当にずるい。悪い。それを口に出せば嫌われてしまうだろうから何も言いやしないけど。抑え込んでいた涙はその勢いをなくし、わずかな鼻の痛みだけを残してすっこんでいった。少しだけ顔を上げ、視界いっぱいに彼の姿を映す。こんな近くで、こんな幸せな気持ちで、いつまでもその顔を見ていることができるのなら、それでもういいのだとまたシャツに顔を押し付けた。 )


上鳴

あー…、まーそりゃ体に穴だもんな。
( まあ何となくわかる気もする。自分にも穴は開いていないから推測の域を出ない話だけど、あれって結構痛いモンなんだろう。でもオシャレのためには俺も1回はあけてみてーなーとかは思うし、轟の個性なんかで耳冷やしちゃえば痛みとかねーんじゃね?とか天才的な案を思いついてしまったこともあるほどには憧れもあるっちゃある。見せたピアスを棚に戻し、次いで耳郎の耳に目をやった。耳郎の個性は一応耳が武器みてーなとこもあるし、まあそこらへん慎重なのかも。とかなんとか予想してその視線の先を気まぐれに追ってみれば指輪の棚だ。ほーん、やっぱ女子ってそんなんにキョーミあんの? )
欲しいの?
( 特に何も考えずそう話題を転換する。指輪と言えばそりゃ結婚の時に渡すのが普通だけど、最近はオシャレでもつけてるのが結構いる。ワンポイントにはちょうどいいし耳郎もそーゆーの気になったりすんだなー。いやーさすが女子。男同士の買い物だったら指輪とか買うやつぜってーいねーから。「そーゆーの好きなん?」と視線の先の指輪を見つめて問えば軽く首を傾げて。 )


(/ 気付けばもう100!とても早く感じております。
返信が来るたびドキドキしながら覗くほどには楽しませて頂いておりますので、こちらの方が感謝を告げたいくらいです!
こちらもいつもリードして頂いて申し訳ないと共にとても楽しいです。季節の変わり目ということで体調を崩しやすくもありますが、お身体に気をつけてこれからもよろしくお願い致します!)




  • No.103 by 爆豪/耳郎  2018-09-04 20:53:41 




爆豪

…バカが
( 鳥頭なのか脳が煮え切ってんのか、またはその両方か。どちらにせよ自分のことながら呆れずにはいられず、嘆息と笑みが零れた。けれど同時にその一言を聞いて、すっと心の荷が降りていくような感覚がする。恐らくこれは安堵の象徴。奴には俺を振り払う権利があった。寧ろ常人なら其方の方を選ぶに決まっている。だからこそ心の何処かで、もし否定された時に己の慕情も依存心も何処へ行けば良いのか分からずその瞬間を心底恐れていた。コイツが俺から離れて行くことを望むようになる言葉吐いたのは俺自身だって言うのに、最後は結局コイツに頼って情けない。自分の願いがあっても言葉にできず、コイツに委ねなければ引き留めることもできない。馬鹿だ馬鹿だと言いながら本当の大馬鹿なのは俺の方。と、おもむろに己の背中に手を回されてはっとする。頭をぐしぐし押し付けてくるからまるで小動物のように見えた。もう一度髪を撫でておく。声の雰囲気やらを伺えば、今はどうやら泣いていない様子。いや、ただこんな近距離でべそべそいつまでも泣かれてはウゼェだけで、泣いて欲しくないってのはそういう理由ってだけ。…だからまあ、涙が治まったなら、それはそれで良い。 )
…好きだ。
( 今度はあんな寝惚けた声なんかじゃなくて、意思がはっきりしている声で告げる。こういう時ぐらい相手の顔見て言えとか何とか言う輩がいたとしたら即座にぶん殴ってやる。今のとんでも不甲斐ない自分の面なんざ誰かに見せてたまるか。その代わりに声音は一番意識をして、棘のないよう心掛けた。「俺と、付き合え」自分が利用する為にではなく、コイツになら利用されても良いと思えるから付き合う。付き合いたい。らしくないことに、いつの間にか体が強ばっていて。 )

耳郎

…好き、かも。……多分。
( 最近クラスの女子と一緒に見ていた雑誌に今のトレンドは指輪だって載ってたから、何となく気になってて見たかった、ってのは理由になるのかな。気になってしまうっていう曖昧な気持ちで、好きかどうかは断定できないけど、多分嫌いってことじゃないだろうから、そういう返事をするしかない。にしても実際こうして本物を見てみると途端に物欲センサーが働き始めるので困る。いやいや駄目だ、安くても一つ五千円以上するって誰かから聞いた記憶あるし。絶対店内の雰囲気とか照明とかが思考をあらぬ方向に案内してるのは間違いないんだけど、いや分かってるんだけど、やっぱり指輪って綺麗だし。他のアクセよりも凄く可愛すぎるってのも無いし、いや待った、この流れはマズい。「でもまだ持ってないんだよね、なかなか買う機会無くて」頭の中をリセットしようと上鳴のトークに徹することに決める。そもそも雑誌のモデルさんもそうだったけど、指輪って指長い人がとか美人さんが付けるからこそって感じがする。それこそヤオモモとか似合いそう。 )


(/ 楽しんで頂けているようで此方としては何よりです…!
あら、そうなんですね、背後様の方が断然大人ぽくて、いつも引っ張って頂いているように感じておりましたので驚きです!
ありがとうございます、もうじきに夏も終わりますし、背後様も何卒ご自愛くださいませ! )


  • No.104 by 成合/上鳴  2018-09-06 20:17:59 






成合

…なんか、らしくない。
( らしくない。私が喜ぶようなことなんてたまにしかしてくれないのに、喜ばせて殺そうとしているのかと思うくらいにたくさんのことをしてくれる。嫌だとか疑問だとか、何故だかそんな感情は1ミリも浮かんでこないのだからやっぱり不思議だ。視界が真っ白なワイシャツのままくぐもった声で言葉を紡ぎ、息を吸い込めば全てが彼に包まれている気がして幸せだ。なんて気持ち悪いことばかり考えているようで、静かに背に回す手に力を込めた。顔を上げる。視界いっぱいに好きな人が映るってことが嬉しくて、それなのに何故だかひどく泣きたくなって、きゅうと鼻が痛くなった。 )
すきだよ、
( 久しぶりに言った気がして仕方がない。合わせた目線がきらびやかでとても眩しい。泣いて、しまいそう。思わず手に持っていた彼のタオルで目元を覆ってみたら、少しずつ雫が溢れてくるのだから困ったもの。下唇を噛んだ。「一緒にいよう、」って、告白としてはちょっとだけ重かっただろうか。だって一緒にいたかったから仕方ないじゃないか。タオルで視界は覆われているから表情は見えないけど、悪い反応じゃないってことだけ少し期待させてほしい。 )


上鳴

ほーん、…。
( 指輪、指輪、ねえ。感覚をほぼほぼ指輪の置いてある棚に向けているから気の抜けた返事をしてしまった感はあるけど、聞けばこういうのが好きらしい。やっぱ女子なんだなーとか思いつつ、値札の値段にウッワと素直な反応が出た。いやいやいくらアクセサリーっつったって、そーゆーのに目覚めがちな学生がやすやすと手を出せる代物じゃねえだろ…。店内も音楽もファンシーな感じで、来ている客も俺らと同じか年下ぐらいの年代なのにまー強気なことだ。いや俺がこーゆーのに疎すぎるだけで割とこんな感じなのかもしんねーけ、ど……。…。 )
…、お、なー見ろよアレ!轟に超似てね!?
( 一瞬思考が止まった。なんで止まったかって、指輪を見る耳郎の視線がまあ女の子のソレだったからだ。いやまあそんな目をされるとそりゃ男として、っつーかリベンジを狙ってる状態の俺からするとプレゼントしたい欲ってモンが湧き出てくるわけで。隙を見つけて指輪をプレゼントしてやる計画を立てながら、となると耳郎に指輪を買われてはいけないことに早速気付いた。棚から180度目線を移動した先のぬいぐるみコーナーに紅白のツートンカラーをしたクマを見つけ、下手くそな話題の転換をしながらも指をさせば「なー耳郎ぬいぐるみは?ちょっとアレ可愛くね?」なんて正直クラスメイト似のぬいぐるみを見つけてテンションが上がっている声色で。 )


(/ というお話をした矢先の地震!背後様はご無事でしょうか?
こちらは道民ではないため被害は皆無だったのですが、もし危ない状況でしたら自身の命を第一に、安全に気を付けてくださいませ…!)




  • No.105 by 爆豪/耳郎  2018-09-08 18:29:03 





爆豪

( 分かりやすく現在の自分を説明するなら、間違いなく呆然としていたと言える。柄に無いこと言ったってのは自分が一番分かっていて、るせえわと一言言い返してやろうかと口を開きかけた刹那出し抜けに視界を支配されて思考が停止した。硝子のように煌めく瞳には、果てしなく曇りが無く、呼吸を忘れさせるには十分の代物だった。世間一般からするときっとこれを見惚れていたと呼ぶのだろう。言葉を発そうとして半開きの口や、ただ意味も無く不機嫌そうな顔が原因で恐らく相当間の抜けた面だったに違いない。されどその瞳が一番強く瞬いたのを皮切りに現実に意識を引き戻された。そして今。次いで聞こえた言葉も含め全部、どうしてこうもコイツは動じないのか理解ができず、今尚呆けることしか出来ない。色々考えて答えを出さないといけないような気がするのに、垣間見えた奴の潤んだ目が異様に頭に残ってしまって上手くいかない。そして今、タオルの奥でぼろぼろ泣いているのかと思うと言い返すことは勿論、思考なんて一つだって進む訳もなく。思わず溜息をついた後、少し力んでいた腕の力を緩めた。タオルを持つ奴の手をぐいと引っ張り顔から引き剥がす。案の定零れている涙が目に留まったが、手が空いていないので指では拭えない。そこでふと思い立ち、目を伏せてそっと口付けると雫は唇に吸い込まれ、 )
…いつまでべそべそ泣いとんだ、
( 涙で滲む瞳の奥をじっと見詰めながらそうぼやく。コイツの泣き顔は見ている此方の心をも締め付けてくるので質が悪い。相手の心の内なんざ分かりっこないから想像で判断はできない。泣いている理由もはっきりせず、朝のように悲しくて泣いているのかもしれない。嬉し泣きでも何でも、とにかく泣き止んで欲しいと思った。癖であるものの、できるだけ突き放すような言い方をしないようにしながら。 )

耳郎

え、あ…あぁ、ほんとだ、けっこー似てる。
( ぎゅいんと唐突に話題が飛ぶ。急に何処かを指すから多少驚いたけど、どうやらぬいぐるみのことを言っているようで納得。ぬいぐるみが置かれているカウンターの方に近寄って上鳴が言っていたクマをよく見てみる。にしても轟って改めてよく考えてみると、何ともめでたい頭してるよね。クマは別に動物だから普通だけど、あ、ふわふわしてる。興味本位でお腹を指で押してみるとかなり柔らかくてなごむ。顔を押してみるとぐにぐに歪むのがいじらしくて、ちょっと笑ってしまった。世間一般のぬいぐるみが好きな人の気持ちも分かる気がする。 )
……そういえば上鳴はぬいぐるみ好きなの?
( 特に深い意味がある訳じゃないけど。そういえば最初お店に来るまでにもぬいぐるみの話はしてたし、今もそう。ぬいぐるみが好きな男子も世の中意外といるらしいし、上鳴がそうでも不思議じゃない。紅白クマを持ち上げ、重力に促されぶらーんとしてる丸っこい足や腕を観察しながらそう尋ねて。 )


(/ わざわざご心配してくださってありがとうございます…!! 幸い中部地方に在住しておりまして地震は来ず、普段の生活に特別支障は無い状態です。背後様は確か関東の方にお住いでしたよね、大丈夫でしたか…?

今日のような北海道での大規模地震って珍しい気がしますし、土砂崩れで大変な地域もあるそうですね…自然災害って本当に予告無しに来るので怖いですよね、 )



  • No.106 by 成合/上鳴  2018-09-08 22:08:51 






成合

( この涙だって彼にとってはうざったいもので、煩わしいと思われていたのやもしれない。でも仕方ないじゃないか。自分でも理由が分からない涙だった。彼の言葉がものすごく嬉しくって、疑念も不安も1ミリだってなかったのにボロボロ涙が溢れてくる。嫌なはずがない。何を失ってでも拒絶は絶対しないと誓えるような、そんな自分でも異常だと分かる想いは知らぬうちに膨れ上がっていたのだ。日常の何気ない1ページも、こうして少しだけ変わった恋人の生活を送っていた間も少しずつ。だというのに、タオルが退けられ彼の姿が見えた今でも涙は収まる気配を知らない。『ごめん、』と謝罪の言葉を口にしようとした時、目元に生暖かい感覚をふと感じて声帯が仕事をしなくなった。震えない喉元の代わり、目線はしっかりと驚いたように彼を見つめていて。 )
…、……。
( 口を開いて閉じる動作を数度繰り返したのは、何を言えばいいか最後まで分からなかったからだ。下唇を噛んで視線を俯かせる。吸い込まれた雫を最後に涙は出る気配を見せない。また視界いっぱいに彼の姿を映したらまだ鼻の頭は痛くなったけれど、水滴はあふれてこなかった。「好き」「本当に好き、」「好きなの、」いくら並べ立てても足りないほど言葉を紡いでみて、やっと涙の理由が分かったような気がした。嬉しくて、愛しくて、一緒にいようと言ってみても心の中の想いは消化不良で、それが水として形作ったのだ。囁いて言葉にして想いを晴らして、それでやっとスッキリしたような気がする。でもまだ足りないと想ってしまうのはやっぱりわがままなのだろう。 )


上鳴

( 轟がいじられているような絵面に思わず笑いがこみ上げる。よくよく見るとこの真顔とも言えるクマの顔は轟とよく似ている…気もしなくもない。うわーヤベーちょっとほしくなってきたかもしんねー。共有スペースなんかに置いてマスコットとかにできねーかな。特に轟とか轟とか轟とかの反応がめっちゃ気になる。あと女子が喜びそうで夢が膨らむ。…いやそれはそれでちょっと羨ましいな…。クマに嫉妬すんのも見苦しい気はすっげど、ふにふにいじられていくクマを見ると不機嫌そうな轟が浮かんでくるから多分もう末期。くそ、ちょっと可愛いじゃねーか…。 )
ん?んー…、別にそーでもねーけど。でもこれはちょっと可愛くね?轟よりかわいーし、女の子に人気出そうじゃん。
( 耳郎の手の中にあるぬいぐるみをひょいと奪い取り、クマの両手を動かしてみる。自然と両手を動かすシュールな轟に変換されんのはどうにかしてほしいモンだけど、それはそれで楽しいからいいんじゃね?とは言っても俺は別に特別ぬいぐるみ類が好きなわけでもねーし、そーゆーのはどっちかっつーと女子が好む方なんじゃないのだろうか。麗日とか芦戸とか葉隠なんかは特にそうだし、ヤオモモも割と好きそう。耳郎…ぬいぐるみと戯れる耳郎はちょっと想像つかねーかな。散々いじった轟ぬいぐるみを棚に戻してまじまじと他のぬいぐるみたちを観察してみる。その中で目に付いた黒いうさぎのぬいぐるみを手に取ると、耳郎の顔の横に並べ「耳郎はこれ」と何となく雰囲気が似たぬいぐるみと耳郎を見比べて。 )


(/ 特に被害もないようで安心致しました、と共にご心配ありがとうございます…!仰る通り関東在住ですのでこちらも日常生活に支障等ございません!
位置上仕方のないことだとは理解していても地震なんかは怖いですよね…。季節の変わり目で大変な被災地にエールを送ることしかできないのですが。

何か災害以外にも変わったことなどありましたら自身の安全を第一にお考えください。ということで背後は失礼させて頂くのですが、これから冷え込む時期ですので、風邪などにもお気をつけて…!)




  • No.107 by 爆豪/耳郎  2018-09-10 18:48:51 





爆豪

( 何を言えば、どう受け答えすればこの状況が解決するのか分からない、そういう表情をしていたと思う。普通の野郎なら此処でどのようにきり切り返すのだろうだとか、他人と比べてしまう程度にはしばらく悩んで、それでも逸らさない淀みのない瞳による視線が頭の混乱を加速させられていた。奴に何を言えばいいのか分からないものの、言葉に対し、確かに感じることはあった。ただそれが至極当たり前の事過ぎるのと、無性にそれを述べるのが酷く億劫で、声が詰まる。言ってしまえばいいものをいざとなれば声が出ない現状のやりきれなさに、軽く舌打ちして視線を逸らし、 )
…、わあっとるわ
( 相手の額を指で小突いて、隣を通り過ぎる。いつまでもこんな所で話し込んでいると校門が閉められる。「……帰んぞ !」そうやって短く告げて足は鞄を残している教室の方へと向かわせる。淀みのない瞳に捉えられ、果てには愚直なまでに素直なそのような本音を告げられて、感情が、慕情が、湧き立たない訳がなかった。それなのに一言自分もそうだと、それぐらいのことも言えなかったのは、シンプルに言えば照れていたから。…あんな馬鹿の一つ覚えみてえに連呼されたら小っ恥ずかしくなんのも当然だろ。ただそれだけだ。断固として正直で必死な奴の姿に心が跳ねたとかんなのは無いし有り得ない。…自分でも分からないほど誤魔化し続けながら教室には着いた。既に消灯された室内を進み、机上に放置されていた鞄を引っ掴んだ所で風が頬を切って行った。どうやら窓のほとんどが開きっぱなしのようで、非常に面倒だが放置しては教師から叱られるのは目に見えているので閉めに行く。しかしダリィ。窓辺に寄ると、再び首元を涼し気な風が過ぎていって心地よかった。夜が迫る空を見やりながら、一つずつ窓を閉めていき。 )

耳郎

んー…まあ、轟には別の可愛さがあるよね、
( 紅白グマが回収されてちょっと名残惜しさを感じてた時、代わりに耳郎はこれって言われて顔の真横に並べられたぬいぐるみを受け取る。見てみると黒うさぎで、どうしてこれが差し出されたのか若干不思議だけど相変わらずこの子も愛らしい顔をしているので何も言わず黙っておく。そして棚に戻されてしまったクマをもう一度凝視しながらふと感じたことをぽつりと零す。可愛さ、ってよりも愛嬌?「あんなクールな顔してド天然だし」ほんとギャップの鬼だ母性を煽るな母性をどうのって女子が騒いでた気がする。実際話してるとぽやぽやしてるの伝わってくるし、ああそうかもなって思うこともある。ただこのクマとは可愛さの次元が違うかな、っていやなんで轟語りしてんの。気が付いたらうさぎの腕ふにふにしながら思考がとんでもないベクトルに飛んでた…。ぬいぐるみの力かな。いや無いか。そういえばと思って今度は棚全体をじっと見回してみる。今度は上鳴ぽいのは無いかなと思ったけど、どうだろ。ひよこ…は黄色だけど幼すぎて違う。キリンもなんか賢い雰囲気でズレてる。…悪口言ってるみたいになったな。「…あ、じゃあ上鳴はこの子ね」ピンと来た子がいたから、よいしょと少し奥手に置かれているぬいぐるみを手に取って、上鳴の肩に乗せる。ちなみに置いたのは狐のぬいぐるみ。意外と合ってると思ったんだけど、どうだろう。 )


(/ そうですね、今年は残暑が短いそうなので案外すぐ涼しくなりそうですし、体調管理には気をつけようかと思います。背後様もどうかお体はお大事にしてくださいね!
では此方もそろそろ失礼いたします…! )



  • No.108 by 成合/上鳴  2018-09-12 18:18:35 






成合

( 小突かれた額にきゅうと胸が締まる。こんな些細なことで感情が揺れるなんてことは今までにないことで、それだけ今昂りが押し寄せているんだってことはなんとなく理解できた。痛みが幸福に変わるってあまり喜ばしくないことなんだろうか。でも好きなんだから仕方ないでしょうって、誰に向けたかも分からない言い訳をしていつもより軽い足取りで彼の後を着いていく。背中に飛び付きたい衝動を抑え込む。今そんなことしたら変態扱いされてもおかしくないから、慎重に行動しなくちゃだ。深呼吸をした。 )
…なんか、既視感あるかも。
( 彼が窓をいじる動作にどこか見覚えがあった、と思う。どこだろうと言葉にしてみて、ああと手を叩いた。「爆豪が日直してた日だ」満足げに頷いて言う。彼が日直だった日の朝、そういえば窓を開けていたように感じる。思えばあの日の状態からよく進歩したものだ。だって舌打ちばっかりされてたし。…いや、そう考えると進歩とか特にしていないのかな。考えないようにしよう。このタオルだって返せていないけれど、散々涙を拭いてしまったし少なくともこのまま返せるものじゃない。もう少しだけこのままでいいのかなって、そんな期待を押し込めてぎゅうとタオルを握ってみた。 )


上鳴

( 安易に耳の長さとか逆三角形の目で耳郎っぽいと選んでみたけど、そーやって本人が腕をいじっているところを見るとあんま似てねーなーって思った。そりゃウサギのぬいぐるみは可愛いけど、耳郎はまた別って感じ。いや別に可愛くねーっつってるわけじゃなくてね?なんかあるじゃん?感覚ってやつだよ、ほら。棚の方に目を向けると青の犬やら赤のライオンやら色味がだいぶ本物と違うぬいぐるみもちょくちょく並べられていて、ウサギもいくつかあったけどどれも耳郎とは違う。紅白クマが轟に似すぎているせいもあるんだろうけど。マジで連れて帰ってやろうかな轟ベア。中々この攻めた色合いしてるぬいぐるみ他にねーだろ。 )
俺そんな目細くねーって。ちょっと可愛いけど。
( 肩に置かれたぬいぐるみは狐だ。そいつを両手に持っていじってみる。…くそ、可愛い顔してやがんなこいつ。でも俺こんな目してねーし!…と、そんな狐に向けられた意識が耳郎に戻ったのは耳郎自身の発言を聞いたからで。本当に驚いたような、そんな間の抜けた声が出る。何にって、轟を褒める言葉だ。いやだってそりゃ驚くじゃん。耳郎が男褒めてるところって中々見なくね?てか俺は褒められたこととか──、いや俺と比べるのは違うか。「え、好きなん?」褒めていたからってそんな思考に直行するのはいけないことって分かってはいる。けど、何となく聞かずにはいられなかったから言葉が飛び出てくる。そんなそぶりなかったし、言えば絡んでるとこすら見たことねーけど、なんか気になった。 )




  • No.109 by 爆豪/耳郎  2018-09-14 21:47:46 





爆豪

( 彼女の声に促されて頭ん中で記憶が蘇る。思い起こせば確かにそんな日もあった。ウザすぎて貶しまくっていたような記憶がある。酷な事をした、かもしれない。そう考えると一体自分はいつからコイツに惚れていたのか疑問になった。もしもその日既に惚れていたのならあんな風に突き放したりしたのだろうか。いや、恐らく惚れていると自覚していなかった。だからこそあんな恋人のフリの話を持ち上げた。そうやって記憶の断片が頭をよぎって行ったのを皮切りに、自分が仕出かした事が思い返されていく。窓に鍵を掛けようとしていた手からは力が抜けていて、気が付いたらそのまま何もせず下ろしていた。 )
……聞かねぇのかよ。俺が付き合えっつった理由。
( 何を、言ってんだと。自分でもそう思う。薄々感じていた事柄。これを思う度に悩みは募り、最早この問いには禍々しさを感じていた。単純でいて純粋に、ただ真意を追求しようと試みる短い言葉を告げる。奴にはこの問いかけがどのように届いたのだろう。「テメェも大概勘付いてんだろ。急に交際持ち込まれて、何かしらの裏あることぐらい」いつかは必ず明らかにする必要があるだろうと自分自身を奮い立たせながら付け加える。俺は想いを告げて、それに奴は確かに応じた。けれどそれで過去が帳消しになる道理は無い。紛れもない自分自身でコイツに問い質す必要がある。そう思いながらも顔は強ばっていくのが自分でも分かっているのでとても相手の方に向き直ることは出来ず、背を向けたままで。 )


耳郎

………、んっ!?
いっ、いやいや、違うって!可愛いってだけで別にそういうことじゃ、
( 狐のぬいぐるみのことをなんだかんだ言いつつも満更でもなさそうなので良かった。やはりウチの感性は間違っていなかったらしい。けれどほっとしたのは本当に束の間、出し抜けに聞こえたのは軽く大爆弾並みの威力を持った単語で、決して大袈裟ではなく数秒その場で固まってしまった。我に返るが否や顔の前でぴゅんぴゅん手を振り、否定のサインを出しながら慌てて返事する。これじゃ動揺してんのがバレバレだと思いつつも、そんなんじゃないと伝えるのに必死でなりふり構ってはいられなかった。「強いて言うなら轟は…アイドル?」この手の話は最近、芦戸達としたばかりでもある。眉目秀麗、頭脳明晰、果てには凄い個性を持ってる轟が女子との話題に登るのは容易いことで、その点についてはウチでも理解できる。けれどウチにとっての轟は、時々人並外れたド天然をかますイメージがどうしても印象強い。まあその他の点も含め、結局ウチの中で轟の認識は『アイドル』で落ち着いたことを思い出して、そう付け足して。 )



  • No.110 by 成合/上鳴  2018-09-17 13:06:39 






成合

( なるべく、本当になるべく他人の前ではあの日のことは思い出さないようにしていた。されたことを振り返るとどうにも恥ずかしいと思ってしまうし、1人で悶えているおかしな子にはなりたくなかったからだ。沸々と脳内にフラッシュバックする雑念を追い払うように暫し作業を進める彼の背中を見ていると、何となく満足したような気分になるから不思議なもの。追い出されることだってないのだから、そんな小さなことひとつひとつがひどく嬉しかった。 )
え、
( 作業が中断したかと思えば、問いかけられたそれに小さく目を見張る。それは前の自分が考えていたことに他ならなくて、考えすぎたせいで少しだけ拗れてしまったって、そんな可能性さえある。だから少しだけ驚いた。疑問だったけど自己完結してしまったものに答えがもらえると考えた時、それが聞きたいと思ってしまうのは我儘に値するのだろうか。そうじゃないことを祈って短く息を吸う。これを、どう伝えよう。 )
…聞かれたく、ないかなって。思って。
( わだかまりを吐き出すようにそう伝える。聞きたいし気になるしもどかしいけど、聞かれたくないだろうから遠慮して引っ込めていたもの。だから答えが貰えるとなれば飛び付きたいくらいなのだけど、尋ねるのが憚られた理由はそれだ。指が忙しなくスカートを握ったり離したりを繰り返す。落ち着きがない。 )


上鳴

( 返事を予想もしないままそんなことを尋ねたのだから返答によっては大ダメージを受ける質問を投げかけ、返ってきたのはひどく動揺したような耳郎の姿だった。返事的な返事だとそれはノーにあたる答えなのだけど、ボーッとそれを眺めつつ頭の中は疑問のオンパレードだ。図星でめちゃめちゃびっくりしてんのか、マジで予想外の質問がぶち込まれたことにビビってんのかマジで分からない。はいかいいえの質問にここまで悩むとは思わなかったし、勢いで尋ねたことを後悔すらしかけた。してねえけど。 )
アイドル?
( 付け足された言葉をそのまま復唱する。一瞬フリフリした衣装で踊る轟がパッと浮かんだけれども多分これはちげえ。いや違っていてほしい。ごめんな轟…。まあでも轟がフリフリ衣装を着るかは別として、何となくアイドルという表現は分からなくもない。イケメンらしいイケメンだし、あの紅白頭は特徴的で強えし頭良いし、あとあいつの何が残念なんだっつったら絶望的な天然くらい。それさえも轟クンかわい〜で済まされ、むしろプラスの方向に捉えられるのだからイケメンはマジでヤバい。こないだ峰田が呪詛唱えてたもん。「あー…、まあ理解できなくもねえわ」一通り考えた後そう同意。「ちょっと羨ましーもんな。あいつどんだけ恵まれてんだよ」次いで出てきた言葉は羨む言葉で、まあ決して!決して嫉妬とかではねえけど!ちょっとした世間話みてえなもんだ。 )




  • No.111 by 爆豪/耳郎  2018-09-18 22:44:49 





爆豪

……んなこと言った覚えはねえ。
( そうやって何度でも浮かんだ疑問を今まで放ってきたのだろう。その甘さが俺が惚れた要素の一部になったのかもしれないが、今はただの不必要な存在だ。答えよう。随分と遅くなったけれど、もう決めたことだ。後戻りはできない。けれどもまず何を話せばいいのか。…謝罪は出来ない。それだけは許されない。んなのは逃げだ。第一に免罪を望む権利は俺にはない。卑屈な道を選んで来た自分でも、気持ちに気付いた以上、もう背を向ける訳には行かない。好きだからだ。逃げない理由はそれだけで事足りる。 )
テメェと付き合ったのは女振る為の理由が欲しかったからだ。
…そういう胡散臭い考えがあんだって、テメェにバレんのは時間の問題だとは思った。
( 過去の感情を脳内で回想を繰り返しながら言葉を紡いでいく。伝わるように、言葉を選んで。それで少しだけいつもより話す速度が遅いことに自分でも気が付いた。「…それでも。その時を、できることなら少しでも後に先延ばしにしたくなった」くどい話、それが愚行だと分かっていても願わずにはいられなくなった。手前はそういう野郎に惚れたんだと、流石にそんな口振りでは言えないがそういう声音はしていたかもしれない。奴に何一つ非はない。今の今まで騙されたと分かって激昂する可能性も十分ある。そう分かっているから、余計に相手の方に向き直ることができないでいて。 )


耳郎

( 色々もろもろごちゃごちゃ言っちゃったけれど、どうやら誤解は解けて、同意までしてもらえたのでほっと息をつく。やっぱり同性でも轟みたいな人はそういう存在として映るのかな。男子のことはよく分からないけど、やっぱり好きか好きじゃないかに関わらずイケメンは誰から見てもイケメンだし_とか呑気に考えていたら、ふとやらかしたんじゃないかって、そう思って。もしかして、いやもしかしなくても、仮にも好きな人の目の前でほかの男の人の話するのって普通にタブーだった?…ほんと何気無く口に出しちゃったけど、全然アウトにじゃないこれ?だってなんか羨んで妬いてるっぽいし、っていうかあんなハイスペック男子の名前出されたら比較の対象にされてるとか思われてもおかしくないというか、ウチならそう思ってしまいそうだしと気がついて、さあーっと顔から血の気が引いていく。 )
…あッ、そのでも、上鳴も轟にはないとこあるし!
( そもそも好きな人の前で男の人の話したくない〜とか言ってたの自分じゃん!言っちゃってんじゃん!このままではマズいと思って思わずそんなことを口走ってしまう。その時は考え過ぎとかそういう可能性は一切頭から吹っ飛んでいた。「バカみたいに明るいから話しやすいし、でも意外と機転は利くし、えーと、」上鳴にはあって轟にはないもの。やっぱりアホなとこかな。褒めてるよ。沢山ある、あるのに言ってしまうと大分重いから的確且つそれなりに気持ちが伝わりそうなことを選んでいくけれど、これがなかなかに大変。手に持っていたぬいぐるみを無意識にぎゅむぎゅむしながら悩み込んで、 )



  • No.112 by 爆豪/耳郎  2018-09-24 11:48:44 




( /もしかしたらお見過ごされているかもと思いまして、上げさせて頂きます。 )



  • No.113 by 成合/上鳴  2018-09-24 16:56:59 






成合

( 遠慮する理由を彼自身の言葉で失くした今、そっか、ごめんね。でもあんまり無理しなくていいよ。案外ポンと浮かんだ返事は音にされることなく終わる。多分きっと、いいえ絶対私はその理由を聞くのが怖かったのだ。心の中では何か裏があるんだろうなあなんて予想を付けて、いざそれが当たろうともなれば聞きたくないと耳を塞ぎたくなる。自己防衛だけはしっかりしてしまって、それが嫌で、でもやっぱり聞きたくなくて、けど彼の温もりを信じて踏ん張った。好きだから、だ。 )
…。えっと、そっか。うん、話してくれてありがとう。
…その、フリでも付き合おうとしてくれたことすごい嬉しいし、あんまり爆豪のこと知れてなかったから知れたっていうか、うん。
( 何を言うか考える暇もなく、下手くそな文章の羅列が口から出てくる。別に多少衝撃を受けなかったわけじゃない。ショックじゃなかったわけじゃない。ただ自分より先に彼をどうにかしないといけないってそんなことを思って、少しでも先延ばしにしたいって考えてくれたことがどうしようもなく嬉しくって、相変わらず口をもごもごさせたまま彼の背中にその赤い瞳を浮かべると「だから、私は大丈夫。うん、」数度頷いて自身の両手を握る。きたない感情を押し付けてまで迷惑をかけようとは思わない。そんなの後でいいし、なんなら隠したっていい。ほらやっぱり好きだから。 )


上鳴

( ノット羨ましい、ノット嫉妬。何かのスローガンかのような言葉を頭の中に埋め込ませ、何とか思い込む。例えば、まあ言葉を借りるならアイドルにどれだけ嫌味を言おうと嫉妬しようと自分のプラスにはならないわけで、それと同じだ。別に俺が轟になれるわけでもなし、流石に嫌味を言うとか僻むとかそんなことはしねえけども、少なくともそんなことをするのは時間の無駄だってだいぶ前から何となく分かっていたはずで。いいでーす別に轟の顔面になれなくても何とも思いませーん。耳郎曰く俺らしいキツネの耳をいじりながらそんなことを考える。だって俺には俺の良さってモンがあるしー、だなんて冷静になればガキのような発想をしたところで、何だか焦ったような、そんな耳郎の声が聞こえてきたのだから思わず顔を上げた。 )
──ちょ、っと耳郎サン、ストップ。
( 別にわざわざ気とか使わなくていいのに、耳郎の口から飛び出てくるのは小っ恥ずかしいフォローの文章。これが開いた口が塞がらないっていうことなんだなって、そんな呑気なことを思ってしまうくらいにはマジで口をポカンと開けたままボーッと聞いていれば、何だか不穏な方向に進んでいっているのが嫌でも分かった。ポンポンと出てくる褒めの数々に数々。やばいまずいと思う間にどんどん顔が熱くなり始めるのを感じて、弱々しく止めに入る。ムリムリマジでムリ、このままだとCDショップの悪夢が再来するしカッコつけてらんなくなるからマジでヤバい。「分かった!分かったから、ウン。マジで、ちょっと…」サイズが圧倒的に足りないけれど、キツネで顔を隠してみる。顔をブンと振って熱を取り払った。 )


(/ 見逃しておりました…!!上げてくださり本当にありがとうございます、と共に申し訳ございません。
今後は無いように通知を入れておきます。上げありがとうございました!)



  • No.114 by 爆豪/耳郎  2018-09-26 20:07:31 





爆豪

( 彼女がもっと言いたいことが他にあるような声をしていると気が付くのは容易なことだった。にも関わらず此方を優先させようとするその姿勢は崩れないまま。思えば以前からそれは続いているような気がする。間違いなく今までの俺自身が選択してきた行動の結果がこれなのだろう。奴が俺に振り回されてきたという象徴だ。言いたいことがあるなら言えばいい。けれどそうやって俺が促すのは、少し違うように思えた。彼女に自分の主張が無いわけでも、それが言えない奴ではないと知っているから。決して優しい野郎なら選ぶようなことではないと分かっている。だからこそ、どうかその代替に成り得るように最後まで思いを伝えようと思う。 )
…だから、今度は返していく。今までテメェから奪ってた物は戻らなくても、代わりになる物探してぜってェに返す。
( そんな言葉が口をついて出た。奴から無造作に奪った信用も、時間も、全部一度きりの存在だ。けれど、それらに代わって、もっと奴を幸せとか喜びとか、そういう物で満たしてやれるように。意志を固めて後ろに振り返って「……それでいいか」そう、小さく付け加える。少し眉が下がっていることに気が付いた。自分が言ってることは殆ど感情論に近い。形の見えない物の事を話しているのだから奴が正しく理解できるか分からない。そして強いて言うなら自分を肯定して貰えるのか不安だった。多分これが上手く声が出ずに気持ち小さくなった理由。ただそれでも目だけは逸らさずに、と思うけれど、つい先程抱き竦めた際、目に飛び込んだ奴の星が如く煌めく瞳が頭を過ぎるものだから、決意が揺らぎそうになりながらも凝視を続けて。 )


耳郎

う、ん…?
( 気づいていないかもしれないけど、時々可愛くなるとことかほんと、って言いかけてそれはウチが単に惚れ込んでるからってだけなのかもと思いながら指折り数え始めた所で唐突にストップという声が飛んできた。顔を上げると上鳴が何やら顔を振っている。どうやらもう何も言わなくても良いらしい。まだ全然言ってないのに、こんなので良いんだろうか。轟の話を出されて、上鳴のことだからてっきりアンニュイになってると思い込んでいた分、少し拍子抜け。…にしてもそんな顔に狐近付けてる理由がちょっと謎だけど。変なのと思いながら手元のぬいぐるみを棚に戻そうと体の向きを変えた時、ふいに狐で隠された彼の顔が見えた。確かに見えた。…何故か、頬が赤くて。凄く凄く鮮やかで、例えるならそれは茜色。一度瞬きをしたけれどその間も少しも色は変わらないままだった。上鳴が此方をあまり見えていないのをいいことに、すすすと体勢を元に戻す。正直超超超かわいい。上鳴が不機嫌になりそうで困るから、口が裂けてもそんなの言えないけど。褒め慣れてないのかも。あまりのきゅーとさに心臓が射抜かれながら考える。この後どう切り返したら正解なんだろう。相手が上鳴だから照れてるのいじっても多分大丈夫だけど、ちょっと罪悪感が。何も返さないと空気がもたない気がするし、悩む。 )……あ〜、やっぱりその子気に入った?欲しい?買ってあげるよ?
( とか何とか考えていたけれど、意外とすぐに閃いた。取り敢えず今は無理やりにでも話題を変えてしまう方が得策のはず。話はぬいぐるみの方に移るし、ウチは何も見ていないことになるし、多分これで色々諸々がカモフラージュできるはず。それにこんな風にぬいぐるみと戯れ続けていると何だか秒単位で離れ難くなってくるので思いきって買ってしまっていいかもしれない。上鳴の狐も、そのついでに。意外と価格もお買い得のようだし、 )


( /いえいえ、此方のことはお気になさらず!
うっかりやっちゃうことですしね…!! )



  • No.115 by 成合/上鳴  2018-09-29 00:36:09 






成合

( 心臓が、胸が締まる気がした。嫌なことの数十億倍は心を有頂天にするような言葉を聞かせてくれるものだから、本当に不意に死んでしまいそうな、そんな気がする。今までのことを振り返って考えてみると隣にいてくれるだけで本当に嬉しくて、それだけで生きてて良かったとか少々重いことを考えてしまうくらいには貴重なこと。なのに返してくれるだとか、私は君から何かを貰ってばかりだというのに。少しでも自分のことを考えてくれているのかなだとか、そんな自惚れ。口も緩めば胸はこそばゆいしきっと間の抜けた顔をしているのだ。振り返った彼を瞳に映し、大げさに胸が跳ねた。意思が強そうで何事も曲げないような彼の瞳がやっぱり好きで、きっと今もそれに変わりはないのだろう。小さく息を吸って、 )
十分だよ。…十分、十分。もったいないくらい。
…私ほら爆豪からもらってばっかだし、何かお返ししないといけないかなとか思うんだけど。でもうん、ありがとう。
( そうやって自分の気持ちを伝えた。語彙力とか国語力とかそこらへんのものが圧倒的に不足しているから言葉足らずだったかもしれないけれど、なるべく伝わるように単語を選んだつもりだ。爆豪はなんでも持ってるから私からあげられるものなんてないのかもしれない。でも好きだし役に立ちたいとかは思うじゃん。ね。そういうものでしょ。私はそうだよ。だからひとまずはこうやって隣にいてみて、隙あらば何かあげようかなって思ってみたりね。お気楽だけどそれでいいはず。来年再来年までしか一緒にいれないってわけじゃないじゃん、…いやそれは爆豪の気持ち次第だけど。「帰ろ」その第一歩目として、許してくれるなら今日寮までの道を一緒に歩きたいなあとか思ってみる。目を細めて笑みを浮かべ、赤色と目を合わせる。それだけで満足だから。 )


上鳴

( 褒められるだけなら嬉しいし、実際過去に褒められてこれ脈アリなんじゃねーのって思ったこともある。女の子を褒めれば喜んでくれるのと同じで俺も褒められたらそりゃ喜ぶけど、でもなんかそういうのとは違うっつーか、なんか変な感じ。多分あれだ、耳郎はこれまでデートして来た女の子達より比較的仲がいいから、仲良くしてきたやつに急に褒められるとくすぐったい感じがするあれ。ほらいつもバカみたいなこと言い合ってるから余計そうじゃん。しかも割とガチっぽい褒め方だったから不意打ちっつーか、なんかとにかく変な感じがすんだって!いたいけな男子高校生なんだぞこっちは! )
…なら、轟も連れて帰るか。
( よし、うまい具合に話が変わった。多分言葉的にこちらの様子にも気付いていないようだし、理想的な形で話題が流れたのはナイスだ。ぬいぐるみの棚の方に顔を向け、顔を隠す。キツネが俺に似ているかは別として、…いや耳郎が言うなら本当に俺に似てるのか。さっきも思ったけどやっぱり共有スペースに置いておいたら可愛くなんじゃねーのかこれ。紙で名札とか作ってさ、上鳴って書いて置いとこうぜ。隣に轟ベアも置いとこ。…つか買ってあげるって母親かよ。女子に出させらんねーんだよこっちは。だってデートだし。…俺が不甲斐なさすぎるけどデートだし。「でも女子に払わせるわけにもいかねーし、どっか他のとこ見といていーぜ」右手にキツネ、左手に轟ベアを抱え、改めて見比べる。こうみると案外似てんのか、これ。ぬいぐるみのスペースに長居しすぎたせいか他のところも見れてないし、元々来たいと言ったのは耳郎だ。カラフルな店内に目をやりながら小さく頷いて。 )


(/ ありがとうございます。では引き続きよろしくお願い致します!)




  • No.116 by 爆豪/耳郎  2018-10-01 19:04:34 





爆豪

( コイツ矢張り理解できてないんじゃないか。お返ししないとだとかもったいないとか、正直なんの事だか全く心当たりが無い。けれどそれも奴の極めて能天気な笑顔を見ている内に、何だって良いような気になってくる。もう戻れなくともそれはそれで良いのだと、そんな風に笑うものだから、奴の気持ちは十分に分かるような気がした。そう思うのに至って返すべき言葉が見つからない。何も言えないままもう一度振り返り、今度はきちんと窓を閉めて鍵を掛ける。そして踵を回し体だけをくるりと戻す。なにか変だってのはすぐ気が付いた。多分それは心の中のことで、音を立てる事なく極めて静寂に暴れていた。それは普段なら感じることはないような違和感で、変だと思った決定的な証拠。何がおかしいんかぐるぐる考えながら伏せていた顔を上げると、当然ながら目の前にはあいつが立っている。平然と揺らぐことなく。_多分それがきっかけで、途端に心が照れと若干のもどかしさ、それから全てを上回るほどの安心感に満ちた。 )
……_あ、
( あ、これ今、駄目な奴、じゃねえの。ぼっと顔が急激に火照る。自分でも何が起こってんのか分からなかった。鼓動が早い。恐らく今まで奴に言葉を掛けて来る間に感じていた羞恥心が、ようやく安心して一息つけた今になって一度に来ていた。赤面が生理現象だとは言え、普通ある程度の制御は出来る。だがそれが不可能なレベルになっているなんてのは、それだけ俺が奴に一喜一憂させられているんだということで。…そんだけ、この女に惚れてんだと、とっくに分かりきっていた事だと言うのに改めて思い知らされた気がする。今時ドラマでもセリフにならねえだろこんな重過ぎる言葉。それが今の自分にはまさに当てはまりそうだからとんでもねえ。そこでようやく思い出したように体が動いて、掌で口元を覆うことが出来た。「…ち、ょっと待て」あまりのことでイントネーションさえも狂う。最早今は恥ずかしいというよりも顔の熱さが勝っていた。こんな面を見て奴はなんて思うのかなんて考える余裕は無く、いつの間にか自分の視線は奴から逸れていて、 )


耳郎

( 少々強引だったけど、上鳴が話に乗ってくれて良かった。やっぱり上鳴は察しがいいんだよなあ、こういうとこは。こういうとこだけ、だけど。どうしてこうも察せる範囲が片寄ってんだろ、もうちょっと、ウチの気持ちとか、そういうことにも気が付いたっていいのに。またそうやって時間を見つけては愚痴なんか零すから本当に性格が悪い。良くないことだとは思うけど、でも逆にこれを止められる方法も分からない。もう生まれ直して何万倍も性格良くしてもらえるように願うしかないのかもしれない。じゃあやっぱり今世で自分と上鳴は結ばれない運命……。…、想像だと分かっていても考えたら切なくなってきた。)
え、でもそれは上鳴に悪いって、流石に…。
それにウチこの子も買いたいから、ぱぱっとまとめて買ってくる。
( とか異次元にトリップしていたらいつの間にやら上鳴が買う気満々で慌てる。そんな風に買ってもらうのは申し訳無さ過ぎる。何だかんだ言い出したのはこっちなんだから、そこまで上鳴にしてもらうのは、ちょっとだよね。…こんなの言いたくなんかないけど、だけど、ウチらはただの友達で、デートだからって上鳴にそこまでしてもらう役目なんか無いんだから。大丈夫と笑って、「あ、それかそのクマは割り勘にするとか? それでさ、轟にプレゼントすんの」とは言いつつも何気に彼は頑固なので予備案を挙げておく。こういう理由があれば全部上鳴の出費に落ち着くようなことは無くなるはず。我ながら良い手を選んだと若干の自負を込めながら。 )



  • No.117 by 成合/上鳴  2018-10-04 23:01:11 






成合

( 一挙手一投足一言、全てに胸が高鳴るしじんわりと温かみが増すのは己が相手の沼にずぶりと嵌ってしまった証。さていつからこんなに想いだけが先行してしまったのだろうなと考えてみても分からないのは当たり前で、自分でも気付かないくらいにどんどん気持ちっていうのは膨れ上がって、だとすれば今の自分が気付いていない想いっていうのもきっとあるのだと思う。気を抜くと気持ちが垂れ流しになってしまいそうで頬を引き締めた。1分に60回好きだと言われたってただ重いだけだろうし、それで嫌われてしまうのだけは本当に避けたい。嫌だ。だから閉じ込めておくのが1番波風の立たない案っていうのだと思う。そう決めて視線を少し上げ──てみて、きゅうと喉が鳴った。いつも仏頂面か怒るかの彼に、表情が浮かんでいた。それだけならまだいいのに、絵の具を乗せたかのような赤色がその肌を染めているのだからダメだった。「ッかわ、」とそこまで口にしたところでハッと口を噤む。可愛いだなんて率直な言葉を口にしたらきっと怒られるに決まってる。でも可愛い!すごい可愛い!これ以上ないくらい可愛いし照れてるとこ初めて見た可愛いとお祭り騒ぎの脳内の指令なのか彼から目が離せなくって。 )
…もしかして、照れてる?
( 心臓は爆発寸前だし、なんなら腎臓は1つ爆発したかもしれない。それくらいの破壊力を持つ目の前の想い人に掛けられる言葉はそれくらいで、それが神経を逆撫でしてしまうかもとかそんなことは一切考える暇がない。ガス欠しそうな脳内では可愛い可愛い以外の言葉も浮かばず、嬉しさからかなんなのか、彼と比べれば平常にも見えるくらい頬へ少し赤みがさして。 )


上鳴

( 俺ことキツネくんの顔を見つめる。何だかんだ愛着が湧いてきたなコイツ。こう見ればなんか顔が可愛く見えないことも──いやこれが俺ならなんか素直に褒めづれえよ。くそでも可愛いなコイツ!くそ!キツネの尻尾のあたりをぎゅうと握りながら耳郎の言葉を噛み砕き、いやここは俺がと口を出しかけた。出しかけただけだけどな。デートであれば男が出すのは当たり前、かっこつけ上等ってのが俺の持論。世の女性の中にはデート代払わない男とかありえない〜って意見もあるらしいから多分それが正解だ。ってことはデート代出されっぱなしなのはなんか〜って意見もあるんだろうけど、別にマイナスな方向には捉えられないだろって単純な思考でここまで来た。耳郎はどうやらそのなんか〜って意見の方のやつらしい。…まあなんかそれっぽく見えるよな、こいつ。 )
んー…、じゃーそーすっか。…ぜってーあの和室とは合わねえと思うけど。
( とはいえそれがいいと言っているのならば尊重してやるのも男。何秒か躊躇いはしたけど、耳郎の案に乗ることにした。…あのザ・日本の部屋みてーな場所にちょこんと座る轟ベアを想像すると遂に乱心かくらいまでは思うけど、まああいつの部屋に彩を加えてやるってことにしとくか。八百万に轟ベア用の着物とか作ってもらえねえか頼んでみよーとか考えるくらいには轟ベアへ愛着も湧いているらしい。 )
んじゃ、会計頼んだわ。俺もーちょいここら辺見てーからさ。
( 轟ベアの値札を確認し、そのザッと半分くらいの額を耳郎に手渡す。ついでに俺キツネも耳郎の手に乗せといて、空いた片手をひらひらと振った。ちょっと強引だっただろうか、でも今耳郎には俺の隣を離れてほしいのだ。何故かと言えば先ほどの指輪。このまま一緒にいれば買うタイミングもなくすしサプライズ決行前に大失敗なのは目に見えていて、それだけはどうしても回避しなくてはいけない。だからこのタイミングがチャンスだと瞳に強い意志を込めて。 )





  • No.118 by 爆豪/耳郎  2018-10-07 20:27:14 




爆豪

……__ッ、
( 極めて冷静に思考が危機を迎えるなか、奴に自分の状況を確実且つ明確且つ正確に指摘され跳ね上がるように頬の温度が増す。耳まで赤で染まっていることが自分でも分かるほどに今は体が熱かった。つーか感情湧くのが遅すぎんだろカスか。こんな醜態晒した以上この世で生きていけない。今まで人生色々あったがこんな恥辱を味わったのは今日が初めてだと思える程に今は、とにかくヤバかった。窓から飛び降り、いや爆破で脳天ぶっ飛ばした方が安上がりかと着々と自害計画が進行する一方でその思考を奴の視線が妨げる。 )
……だったらなんだってんだ、クソ
( 大体コイツは何なんだ。俺を覗き込むその瞳や、ほんのりと桃色を帯びている頬が相俟ってなんつーか随分とガキっぽい。それが気分的にくすぐったくてつい奴の声を振り払ってしまう。相手の視線に対し此方も睨み返すが、羞恥のあまり若干瞳が潤む上に何しろ顔面が赤いから大した迫力も無いだろう。それが大した理由も無いけれど心底悔しい、というか、多分この感情を恥ずかしいと呼ぶのだろう。「…テメェが全部悪いんだろが」視線を背けぽつりとぼやく。散々騙してきた奴を許してしまう優しさも俺を優先させようとするその気遣いも全てが俺を甘やかすから。喜ばせるから、それ故に恥ずかしくもなる。そう言い捨てて、奴より先に歩き始め教室を出る。あの状況でそのまま留まってなんて居られなかった。今尚頬は馬鹿みてえに火照ったままで、 )


耳郎

ん、すぐ戻る!
( そういえば轟の部屋は和室だったっけ。確かにこの配色はあの部屋だと異質かも。…でも轟だし、そんなのきっと気にせず受け取ってくれるはず。うん、大丈夫。そう信じよう。うん。そうと決まればさっさと買うことにする。ぬいぐるみたちを腕に抱えて、手を振る上鳴にそう声を掛けレジ探しの旅に出る。上鳴には折角の好意を振ったみたいでちょっと悪かったかもなあ。でもやっぱ、柄じゃないんだよね、そういうのって。女子としてはこういうのっておかしいのかな。もしかして、いやもしかしなくてもあの場合は上鳴を立てた方が良かった?もしそうだったとしても今更どうにもならないのに、何だか心に積もるのは葛藤ばかり。好きな人の優しさを素直に受け取れないのはやっぱりその人のことが好きだからなんだけど、そんなの本人には伝わる訳がない。こういう時に本当はどうしたら良かったのかなんて誰も教えてくれない。なんか、難しいな。辿り着いたレジで自分のお金と上鳴が律儀に渡してくれたお金とを一緒に払いながらも、そんな事をぼんやり考えているから思考は上の空で。 )


  • No.119 by 成合/上鳴  2018-10-12 00:27:35 




成合

かッわいい……!!
( 肯定の言葉が投げ掛けられた途端、背を向けて歩き出す彼にそう呟かざるをえなかった。だってこのままかわいいなんて感情を溜め込んでおいたら爆発して頬とか擦り付けてしまいそうだ。昂る感情と感情と感情に後押しされるように駆け出し、もう小さくなりかけている背中を追いかけた。多分今はそっとしておいた方が機嫌を損ねずに済むのだろうけど、一方的な高揚のまま大人しく寮に帰るわけにもいけなくて。「なんか今日の爆豪かわいいね。小動物みたいで飼いたくなっちゃう」自分より幾分か身長は上なのに本当に小動物に見える。かわいい。色素の薄い髪を撫でてしまいそうな衝動をなんとか抑え、彼の隣に並ぶ。名も知らぬ興奮というか何かはまだ鎮まらないままで。 )
今ね、すっごく満ち足りた気分って感じでさ、爆豪から返してもらうものとかないくらいだよ。初めて人の可愛さで死にそう。
( 胸に手を当てて鼓動チェック。動いてる。でもそれくらい幸せで、満足で、このままでいいって思う。時間を止めたいとまでじゃなくてもただこのままで。鼻歌でも歌い出しそうなくらいご機嫌に廊下を歩き、時々相手の表情をちらりと覗き見てみる。かわいいなあ本当に。かわいいかわいきなんてバレないようにそんなことを何回か続け、心も十分滴り落ちるくらいに潤ったところでひとつ考えが浮かんだ。私だけが得をしてしまうような、そんなわがままな考えがひとつだけ。口にしてしまうのは烏滸がましいと知っていても自分はこのままでいたいからだとか、かわいい彼を愛でたいだとかいう不純な気持ちがあるからこそ「…爆豪爆豪、私明日も一緒に帰りたい」そんな風に口にしてしまうのであって。 )


上鳴

…行ったな。
( 耳郎が見えなくなったところで素早く移動を開始する。別に耳郎以外の人目とか気にする必要は全くないんだけどもとりあえず人目を避けて棚を離れ、指輪の棚に辿り着いた。いや数メートルの移動なんだけどさ。なんか雰囲気が大事じゃん?こういうの。ひとまず棚に並ぶラインナップをザッと見て、どれが耳郎に似合うかどうか吟味することにした。あいつが戻ってくるまでに終わらせなきゃいけねーのは承知だけども適当に選んでいいってわけじゃない。例えばこの…なんだこれ、多分プロヒーローのデフォルメキャラがついてるヤツなんかはぜってー耳郎には似合わないだろうし。と簡単に言っても難しいのがアクセサリー選びってもんで、というか俺にはそういうのの知識がほぼゼロに等しい。女物に関してはむしろマイナスだ。そんな中耳郎に合うものを贈れって言われてもなあ…いや贈るって決めたのは俺だけどさ!さっきのネックレスみたいにパッと目を引くものがあればそれが正解な気もすんだけど、特にこれと言ってそういうのもねーしなー。正直、耳郎って大体のモンは似合うと思う。だから何をどうしても及第点まではいけるけど、すげえいい!って感じにはならないっつーか。で、今回俺はそのすげえいい!ってやつを探し求めてるわけで。うーんうーんと悩みながら棚を見つめ、1つ1つを目に留めていく。違う違うとバツ印を頭の中で入れる作業が止まったのは、端の方に置いてあった指輪を見たからで。 )
…これだわ、ぜってーそうだ。
( ただただ『ビビッと来た』ってだけなんだけど、なぜか銀色のリングに青い小さな花を乗せたヤツに即決した。一目見て惚れた。俺が好きだから買うってのもあれだけど、耳郎にも似合うはずだろ!根拠のない謎の自信と共にレジへ向かう。入れ違うようゆっくりと来たつもりだったけど、耳郎はもうぬいぐるみ売り場へ戻っただろうか。 )



  • No.120 by 爆豪/耳郎  2018-10-15 07:53:21 





爆豪

…次、んなことほざいたらテメェとは1ヶ月口利かねえかんな
( …いや、マジコイツの頭ん中どんなミラクル化学反応が起きてそんな思考に至ってんだ?小動物なんて単語が聞こえた時には耳を疑ったし、冷静になって頬の赤みも引いたし、あまりに理解不能で胃が凭れそうにもなった。あくまでも生理現象でんなこと言われたくて赤くなってんじゃないこっちの身を考えろやこのアホ女が。アホが。大体男に何言ってんだよく考えて物言え。奴が先程とは見違えるぐらいにすらすら話している現実とその原因にイラついてしまって普段より何トーン低い声しか出ない。つかホントになんでそんな喜んでんだ。こっちは羞恥で死にかけとるわ。大体こんなんで今までのを返せたら俺の面目ぐしゃぐしゃなんだよカス。決して声には出せないが、頭の中では暴言が秒単位で浮かんでは消え続けそれだけでストレスが溜まっているような気がしながら、到着した下駄箱で靴を履き替える。「…じゃあ勝手に付いてこい。テメェがそうしてぇならいつまでもそうしとけ」そういえば下校はここ数日毎日共にしている訳だけども、毎度奴は一緒に帰ろうと誘ってくる。此方としてはわざわざそんな声をかけなくても好きなようにすれば良いと思っている訳で、彼女の方にちらと視線だけを寄越して。 )


耳郎

……いない?
( ぬいぐるみも全て買えて満足。部屋の何処に置こう。机の上、いや枕元でも良いな。今からそんな計画を立てながら気持ちるんるん気分でさっきのぬいぐるみ売り場に戻ってみて、ぱたりと足が止まる。いるとばかり思っていたから気が付くとそんな声が出た。上鳴が消えてる。そういえば見たいところあるからって言ってたから、きっと店内にはいるだろうし適当に店の中を見て回ることにする。ふらふら行先も決めずさまよっていると、まだ見ていなかったネイルが並ぶ棚を見付けた。ぼんやり眺めているだけでも楽しいけれど、きっと上鳴は何が何だか分からなかったかもしれない。最近は男の人もネイルする傾向にあるけど確実に上鳴はやらなさそうだし、やっぱりネイルは女子の友達と一緒か一人で見よう。分かんない人に付き合わせてもつまらないだろうし、酷な話だよね。あ、かわいい。色々考えているとオレンジと言うよりも杏色カラーのネイルがあって、ふとそんなことを思う。杏は夏の果実だけど色自体は秋っぽい、気がする。でも自分が使うってよりは、何ていうか麗日みたいな子に似合いそうな感じだ。たまにはこんなの使うのもいいかもしれないけど、まだ使い切ってないネイルあるから買わなくても良いし。そんな風に気が付くと凄く真剣にネイルを見詰める自分がいて、 )



  • No.121 by 成合/上鳴  2018-10-24 13:43:28 




(/ 返信が遅れがちで申し訳ないです。
もう少しで私情が片付くと思いますので、本当に申し訳ないのですがお待ちいただけると幸いです…!)



  • No.122 by 爆豪/耳郎  2018-10-24 18:56:43 




(/ 承知しました!当方の事はお気になさらず、お返事も背後様のペースで構いませんので大丈夫ですよ…!! )



  • No.123 by 爆豪/耳郎  2018-11-06 18:29:19 





( /望み薄ですが上げておきます、本当に何度も鬱陶しくてごめんなさい…!)

  • No.124 by 成合/上鳴  2018-11-12 23:48:29 





(/ 遅くなり、大変申し訳ございません。

まだお待ちして頂けているでしょうか…?)



  • No.125 by 爆豪/耳郎  2018-11-13 07:18:51 




(/ はい、おりますよ〜…!
何度も上げたりしつこくてごめんなさい…!!)


  • No.126 by 成合/上鳴  2018-11-18 00:42:48 






成合

それはやだな、気をつけるね。
( 口をきかないって、それは本当に嫌だから気をつけておこう。そう言った顔は嬉しさからか妙にニコニコしたものだったけど、本当に気をつけようと思っているのだ。これだけは本当。好きな人の新しい一面が見れるって、それだけ嬉しいことなのだ。それはきっとわたしだけじゃないはずで。でも本当に今までのことが清算されているような、そんな気はする。別に彼に何かされて怒っているってわけじゃないけど、彼の気持ちを尊重するとしたらそうだ。 )
…いいの?迷惑じゃない?
( ほら例えばこれもそう。一緒に帰っていいかと聞けばいつまでも好きにしとけって、本当にいつまでもそうするけどいいのだろうか。嫌がってもうざがっても喧嘩しててもそうするのだろうけど、本当に。だって好きだもの。数度瞬きをして彼の顔を盗み見る。きゅうと胸が締め付けられる気がして、そろそろ慣れろよ私、なんて言い聞かせてみる。「ふふ、ありがとう。好きにするね」どうしようもなく、だらしない頬が緩む。今日は口角が上がりすぎてどうにかなってしまいそうだし、幸福の代償にとんでもない不幸が襲ってくるのでは、なんて想像をする。それでもいい気がした。 )


上鳴

( 無駄にキョロキョロしてしまって店員さんを不審がらせてしまったけどもまあ無事にレジを済ませ、慎重に辺りを見回してみる。ぬいぐるみ売り場にはいない。アクセサリーの方にもいなくてしばらく探し回ると、ネイルのコーナーで微動だにしない耳郎を見つけた。何してんだあいつ。…まあ女子ってそういうネイルとかってやりがちだもんな。シャンプーの時とか邪魔じゃねえのかなアレとか思うけど立派なオシャレの一環なんだろう。背後からそろりと近付いて、耳郎の肩にぽんと片手を置いた。「よ、」と声付きで。 )
悪りぃ悪りぃ、色んなとこ見て回ってたわ。何してんの?
( 袋から取り出したリングは丁寧にもケースに入っていて、そのケースごとポケットに突っ込んである。ひらひらと片手を上げて挨拶しながらも内心はそれをいつ渡そうか渡そうかなんて気持ちでいっぱいで、ブレザーのポケットに入るそれに全神経が集中しているような気がする。落ち着け俺、流石にドン引きされることはないだろうから大丈夫。…大丈夫だよな?「それ、もうちょっと見とく?」ネイルに夢中なわけだし、少なくとも気になってはいたんだろう。だったらもう少し見ておくかと軽く首を傾げながら尋ねて。リングを渡すのはこれを見終わってでもいいから。 )


(/ いえいえ、結局1ヶ月もお待たせしてしまい申し訳ありません…!
今後はまたいつも通りのペースでお返しできるかと思いますので、是非よろしくお願いします!)




  • No.127 by 爆豪/耳郎  2018-11-26 07:36:50 




爆豪

( 頬を緩ませて笑っている。なんと言うか、まるで砂糖の山を崩したように柔らかく笑うから、不意に愛おしさが込み上がって、おかしい。こんな些細なことでそんな事を思うのだから、上手く言えんがいつか自分の内側から何かが壊れていってしまうんじゃないかと変に頭が客観的になっている。気まずさに耐えかねて項を一撫でしながら、 )
……手。…寄越せ。
( 正確には手を繋ぐから手を寄越せと伝えるべきところを意味不明にも口が全く回らない。決してチキった訳ではない。大体そのまま言ったところで芸がねえだろ。「…俺がテメェのクソノロマな短足に合わせてやる」昨日の帰宅時に感じた事。理解はしていたが、矢張り身長も違うと脚の長さも歩幅も違うから、自然と歩くスピードも違っていた。手を繋いだところでリードできる訳ではないが歩くスピードやらなんやらは互いに把握出来るだろうから多少歩くには楽になるんじゃないかと、そう思ったし、もう恋人なのだからと言えばそれらしい理由になるだろうか。愛想の事なんて考えもせずつまらない仏頂面のまま彼女に掌を伸ばし瞳を捉えて。 )


耳郎

ん、いや、いーよ。次のところ行こ。
( うっかりネイル一つで銀河の果てまで迷宮入りしかけていた思考が、肩に置かれたその手にぐいと現実へ引き戻される。振り向く前に、聞き慣れた軽い声のお陰様で誰なのか瞬時に分かった。やっと来たなこの男め。けれどもまあそれほど待った訳でも無いし文句をつらつら並び立てる気は無い。これも上鳴待ちの暇を潰す為に見ていただけだから、そう返しながら手に取っていたネイルを棚に戻しながら「…なんか気になるものでもあったん?」男子だからつまらんかもと思ってたけど、逆に目を引くものとかあったのかな。…あるか?まあ、あるのかも。さっきぬいぐるみの話になったのも上鳴が持ち出したからだしなあ。あ、でも別にかわいいの好きな訳じゃないんだっけ。じゃあ何見てたんだろ。大して数も無かったのですぐにネイルは棚に戻し終え、くるりと彼の方に向き直りながら。 )


( /お待たせしてすみません、風邪を拗らせてなかなか本調子になれずお返事が滞ってしまいました…。
背後様も何卒お体に気をつけてくださいね。これからもよろしくお願いいたします! )


  • No.128 by 成合/上鳴  2018-12-08 21:16:19 






成合

( 彼を退屈させないためには何を話したらいいかなんて考えていたものだから、差し出された手への反応が遅れた。手寄越せって、どういう意味だろうとか考える暇もなく。頭では分からないふりをしていても体は一瞬でそれを理解してしまって、彼と手を見比べてまた顔が熱くなる気がした。え、これ、え?え?そういうことだよね?え?どうしようこれで握手とかだったら恥ずかしさで逃げ出してしまう自信がある。絶対そう。ヤバい。心臓が一気にバクバクと音を立てた。 )
…え、あ、の…、いや、うん、うん、
( いや今更握手とか、多分そういうことじゃないよね。だって合わせてくれるって、そう言ってくれるなら100そうだと言いきれる。てことは、そういうことだ。バッと両手のひらを制服に押し付けて、とりあえず手汗を拭った。彼の目の前でやったら意味をなさない気がするけど、そんなことより引かれた時の方が一大事だろう。とりあえず生まれたての小鹿の足かのようにブルブルと震える手を差し出し、そっと重ねると恐る恐る握ってみる。まだ恋人繋ぎには心臓が足りないから、ちょっとだけ。 )


上鳴

あ、そう?いや、それなら別に気になったモンもねーし…。
( そっか、もう見ない、と。てことはブレザーのポケットのものを取り出す時も近い。…いや緊張するほどのもんでもなくねえか?着いてきてくれてありがとーって渡すだけでいいし。なんか店員さんがあんな大袈裟なケースに入れたから余計緊張してる気がする。今からプロポーズでもすんのか俺。いやプレゼントじゃん?…でもよく考えれば男がリングをってそういう風に見られても仕方な…いや何考えてんだ!!こういうのはスっとやっとけばいいだろ、気にした方が負けだ、負け! )
あーー…、じゃあ、えっと…。
…これ。さっき見てたから、やるよ。今日の…礼?みてえなもん、で。
( 話し方がしどろもどろで結構ダサいけど、ブレザーに手を突っ込めばケースを差し出した。よくよく考えればプレゼントで関係が悪くなった経験ってないし、多少重いとは思われようとも絶縁って風にはならないくらいの関係値だから大丈夫、だと、思う。ウン。ちらりと相手の反応を伺うように目線をやり、少しだけ外す。目線を少しだけやる。外す。そんなことを数回繰り返すあたり、大丈夫だとは言いつつやっぱり気にしていたんだと思う。 )


(/ またまた遅れてしまいまして申し訳ない…!!
そして体調不良とのことでしたが、もう治られましたでしょうか?油断するとぶり返してしまうらしいのでお気をつけてくださいませー!)




  • No.129 by 爆豪/耳郎  2018-12-17 17:03:11 




爆豪

( 己に重ねられた奴の手をぼうっと見遣る。女は皆こんな細く節もないすらりとした指なのだろうか。そして微かに震えているように目には映って、ちらりと相手の顔へと視線を促した。余裕のなさそうな面だ。手を、と言っただけなのに少し前とは打って変わって異常に険しい表情になった。見詰めても気まずくなるのは目に見えているのですぐに視線は手に戻す。 )
……。
( それ以上言うことなんて無かったから、何も言わずに握り返して繋がれた手を引いて歩き出す。最後に誰かと手を繋いだのは一体いつの事だったか。そんな風に記憶の断片をなぞりながら懸命に思考を巡らせる。こうして思い出に縋るのは手の繋ぎ方というものを思い出すため。思い出さなければいけないと感じるほど、取りあえず最後に手を繋いだのは昔日の事で、きっと彼女と同等な程に緊張していたという事。情けない姿を見せないように必死で情けない話だ。ただ握り返せばそれで良いのだろうと頭では分かっているものの、どうにもそれだけでは無いように思えて自然と口数が減ってしまう。振り向くことは無い。出来るだけ歩幅を狭くするように心がけながら歩を進め。 )


耳郎

……、…うそ。
( 心臓がとても強く高鳴った。それがあまりにも強いものだから、まるで太鼓を叩いた時のような音がいつまでも鼓膜の奥でこだましているような気がした。小さく零れた言葉は紛れもない本心。だって、まさかこの上鳴から贈り物を受け取る日がくるなんて思ってもみなかった。呆然とケースを受け取る。中身は見なくてもなんとなく分かる気がした。でも恐る恐る蓋を開けてみると照明に反射してきらきらと煌めくリングを見た瞬間に思わず頬が緩み瞳が潤んで、頬が熱いことに気が付いた。 )
…ありがとう。……うれしい。
( 今日の礼って、自分は何もやってない気がしてよく分からないけれど嬉しいことに変わりはない。それにお礼を言いたいのはこっちの方なのになあ。いつも何かを貰うのはこっちの方で、それが少しだけ不服。でもやっぱり喜んでしまっているから自分はずるい。そこで初めて顔を上げて、「…通す指、わかんないから上鳴さんに嵌めてもらいたいんだけど?」そう言って彼に手の甲を上にして差し出す。ちょっとした冗談のつもりだった。些か意地悪な事を言っていると気が付きながらもに、と微笑みながら小首を傾げて頼んでみて。 )


( /此方こそ毎度なかなかすぐにお返事できず申し訳ない限りです…。
背後様の仰った通り、不甲斐ないことに何度かぶり返して少し大変でしたが、お陰様で今ではすっかりすっきり完治しました!私情でこれから風邪なんて引いてられないほど忙しくなるのでしっかり対策しようと気を引き締めております。
背後様も寒い日が続くようですから、どうか暖かくしてお過ごしください。良い大晦日が迎えられますように… )


  • No.130 by 成合/上鳴  2019-01-01 05:32:53 





成合

( 手汗が心配だし、手の繋ぎ方がおかしくないかも心配だし、何かとにかく色々心配だ。慣れてないし相手は好きな人だし爆豪が何も言わないのも何となく萎縮してしまいそうで表情が強張る。 )
……。…あ、
( この間クラスの女の子数人で行ったカフェは、寮への道にあるオシャレな店だ。出しているのは軽食やドリンク、スイーツなんかだけど、特にケーキが美味しかったのを覚えている。お茶子と2人でいくつも食べてちょっとだけ体重が増えたのは苦い思い出だ。…あ、そうだダイエットもしなくっちゃ。…ってそんなことじゃなくって。「…あー……の、…爆豪?」遠慮がちに声を掛けてみる。これがまだ友達って関係ならもっと気楽に声もかけたのだろうか。でもなんか、別に嫌じゃない。「今度、その…。…どっか、行きませんか」繋がれていない方の手でカフェを指さそうとしたけれど、爆豪がサンドウィッチやらケーキやらを食べている図が思い浮かばなすぎて行き先を濁した。雄英高校ヒーロー科に所属している身として時間がないのはわかっているけど、別にどこだっていいから一緒の時間を過ごしてみたくって。 )


上鳴

( あーー良かった。マジで良かった。渡す前は引かれるだとか何だとか色々考えていたけど、渡してしまえば最悪の事態にはならなかった。…というか、もしかすると最高のリアクションなのでは?やっぱ女の子って贈り物とか喜ぶんだろうな。あーマジで助かった!ありがとな大げさにケースに入れてくれた店員さん! )
…エッ?ゆ、びって…お…、俺?
( 安心と喜びで有頂天だった頭を一気に冷ましたのは耳郎の言葉。差し出された手の甲はよくテレビなんかで見ることができるまさにそれで、耳郎の顔と手の甲を同時に見て、最終的にその間で視線を止める。…ゆ、指って、指って、そういうことか!?いやでも勘違いしてその、…なんだ、薬指にはめたりとかしてドン引きされるって可能性も…、…いや待てよ。これって案外軽いノリではめてしまえば冗談として扱われるかもしれなくないか?他の女子ならまだしも耳郎なら笑って流すくらいしてくれそうだし、…よし、そうしよう。1番ダメージが少ない方法で。「……」暫し、多分3秒くらいだったと思う。ぴしりと固まったまま動かなかった顔を動かし、耳郎の手を取る。微かに震える人差し指と親指で指輪を、まさに左手の薬指にはめてやる…とした瞬間。急激に恥ずかしさが押し寄せ、パッと手を離すと耳郎の反対の手、右手を素早く取ってその薬指に指輪をはめた。「…流石に、左は……ハードル高い、デス」最後の最後で俺の心はチキりやがったのだ。 )


(/ あけましておめでとうございます!
少しずつ書き進めていったものなので文脈等おかしいやもしれませんが返させていただきます…!いつものペースでと言った直後にここまでお待たせしてしまったのも本当に申し訳ないです…。

風邪も完治されたとのことで、大事に至らなかったのが何よりです!
こちらは無事に大晦日を迎えることができました!今年もよろしくお願いします。)



  • No.131 by 爆豪/耳郎  2019-01-04 17:13:10 




爆豪

( ようやく手から伝わる相手の体温に慣れてきた今も尚、自分の全神経は繋がれた手に集中している。
不慣れな事はしたものじゃないのかもしれないと思いながらも手はしっかりと繋いだまま。そんな最中に奴の小さな呟きさえも明確に聞き取ってしまうのだからまるで格好がつかない。何か返事をする前に顔だけ奴の方へ向けると、視界の隅に何かの店が入りこむ。外装から想定するに、きっとカフェ。通学路に建っているから毎日自然と視野には入れていたが、ただそれだけだった。入ったことは無い。だが同級生が放課後に入店しやすい立地にあるとは感じていた。 )
…別に、今でも良い。
( 足を止め、目線の先を店へ定めながら、彼女からの誘いに対し同意の意を込めてそんな事をぼやく。今度、と相手は言うけれど、この後何か用事がある訳でもないから自分は今でも構わない。勿論、彼女が拒めば今でなくても。彼女が立ち寄りたいのなら自分も付き添いたい。たまにはそういう事があっても良いだろう。ともあれ、こんな事をぼやいたのは、何となく、彼女が店に寄りたいと望んでいるような気がしたというのが理由なので実際そうでない可能性も踏まえて声音は些か控えめに抑え、 )


耳郎

( わたわたと慌てふためく上鳴を見ていると、不思議なことに思わず笑顔が零れそうになって必死に抑える。今笑うと非常に品のない気色悪い笑い方しか出来ないだろうから。多分普段ならこんな恥ずかしいこと言えなかった。きっと、いや確実に今の自分は上鳴からのプレゼントに心底浮かれていたのだ。だから小指とか人差し指かな?ぐらいにしか考えていなかった。だからこそ彼に手を取られた際、男子特有の筋張った手の感覚がこっちまで伝わって来た時になってようやく事の重大さを自覚して、左手の、薬指に、指輪が通されかけた時には死ぬほど緊張して一瞬呼吸が止まった。 )
そ、そうだね、別に…、…う、うん…。
( 別に、付き合ってもいないのに、と言いかけた口を噤む。確かな事実だし言わないことに意味なんてないけれど、自分の口からそんな事を言ってしまうのは嫌で、もごついた返事しかできない。まだ心臓の鼓動がうるさい。じわじわと顔の中心に熱が向かっていく感覚がある。正直、最終的に指輪を通されたのが右手で良かったと思ってしまった。あのまま左手の薬指に通されていたら確実に羞恥心で気絶してた。自分のことながら心底アホなことさせたと思う。これからこんな軽率に自爆しかけるような発言は控えないと見が持たない。そんな風に脳内反省会を開きながらそっと右手へと視線を流す。銀色の指輪に添えられている青い花が本当に綺麗。お花と自分なんて月とすっぽんだとか、自分には似合わないんじゃないかとか、何故か今だけはそんなことは一つも考えなかった。危うくまた気持ち悪い笑みを浮かびかけたので、慌ててぱっと視線を上鳴の方へ。少し居心地悪そうな顔をしてる、気がする。こっちの無茶振りに振り回してしまって申し訳ない気持ちが半分、すごく必死になってた上鳴が見れた喜びの気持ちが半分。 )

……上鳴は…、そのっ、他の子にこういう…ゆ、指輪ってあげたこと、あるの?
( まだ熱が冷めていなかったんだと思う。だからまた、こんな聞き手によれば重いとか受け取られてしまいそうなこと尋ねてしまった。声が震えて恥ずかしい。返事は怖いけど、でも聞きたい。多分自分は上鳴の特別な人になりたいと思っているから。上鳴が指輪を贈った女の子が、他にいるのか知りたかった。知ったところで、どうすることもできないけど、重要な事だ。きっと。視線を上鳴に留めておくのは気が引けて、床に向けたまま何度も瞬きだけしてしまうのが情けなかった。 )


( /あけましておめでとうございます…!
いえいえ、ペースについては此方も酷いので本当にお気になさらず…。いつもご丁寧に返してくださって本当にありがたいです!

正直な話、こんなに長い間お相手様とお話が続いたことが無かったものですから、こうしてご挨拶出来ることがとても幸せです。何かと至らない部分も多い未熟者ですが、こちらこそ本年もよろしくお願いいたします。 )


  • No.132 by 成合/上鳴  2019-01-25 15:10:35 





成合

え、ほんと?
( 今でも良い。そう聞き、思わず足が止まる。察しがいい彼のことだから、ここで言う行っても良い店のことってあのカフェを指しているのではなかろうか。嘘でしょ、えっホント?だとしたらすごくない?あの爆豪だよ?個人的にカフェと1番結び付け辛いとまで思っていたのに、案外あっさりと了承されてしまったものでひどく驚く。「…結構、甘いものとかいっぱいあるよ?その他って言ったら軽食しかないし…。サンドイッチとか食べれる?いやそれは食べれるだろうけど、」わたわた1人で自問自答を繰り返してしまうのも、きっと驚きからなるものだ。だってそれくらい新鮮でびっくり。…何だろう、優しくしてくれてるんだろうか。だとしたらちょっときゅんときちゃうんじゃないですか、こういうのって。緩みかける頬を一生懸命抑えるものだから、下手な笑顔を見せているようで心苦しい。でもどうしよう、ここまで判断権を彼に委ねていると断られてしまうかもしれない。それは嫌だ。放課後どこかに寄るって、結構な憧れシチュエーションだから。「…あの、…でも、行きたいです」繋がった手をキュッと握ってみる。彼の赤い瞳ってやっぱり綺麗だ。 )


上鳴

( はっず!!はっっず!!!何やってんだ俺、マジで何やってんだ俺!!!雑貨屋で買った指輪をプレゼントしただけで何やってんだマジ!!消えてー!!いやそれはちょっとやだからこの記憶だけ抹消してー!!棒立ちのままなのに脳内はお祭り騒ぎで神輿まで上げ始め、穴があったら入りたいって本当にこういうことを言うんだと思った。埋まりてえ。埋めてほしい。いや澄ました顔で左手の薬指にパーンとはめて冗談みたいに笑ってればむしろスマートになったんだろうけど、羞恥に負けて右手にはめたどころかバカみたいに照れてるんだから最悪だ。これならまだ照れながら左手にはめた方がマシまである。何最悪な状況作り出してんだ俺…。もうちっと頑張れよ…。 )んな恥ずいこと何回もできるわけねーだろ…。( 耐えきれず、両手で顔を覆いながらその場にしゃがみ込んだ。周りから見たらしゃがむ男子高校生とその目の前に立つ女子高生ってだいぶ異質なんだろうけど本当に許してほしい。今俺死ぬか無理やり忘れるかの二択を迫られてんだ。女の子に贈り物をする機会って何度かあるけれど、指輪を贈ったのはこれが本当に初めてだった。軽い付き合いのダチ程度ならそんなものあげるって重いし、結局チキってるだけなんだけど。暫くあーだのうーだの小さく呻き声を上げ、顔を覆う指の隙間から耳郎を見上げる。「……あの、…なるべく、忘れて。」俺に残された手段はあとひとつ、頼み込むことだった。 )


(/ いつも通りのペースとはみたいな間隔のお返事になってしまう申し訳ありません!!1月をナメておりました…。いつの間にやら月末で本当に不甲斐ないです…。それにも関わらずきちんとお返事をくださってありがとうございます!耳郎ちゃん可愛い!

いつの間にやら半年が経ち、この調子なら一年もあっという間だろうなあと感じております。実はこちらも1対1でここまで続いた経験がゼロで、季節のご挨拶をしたのも初めてです…!
毎度言っているような気がするのですが、これからも是非よろしくお願い致します!)



  • No.133 by 爆豪/耳郎  2019-02-04 18:33:15 




爆豪

…わあってるっつの。
( 俺の返答に奴は何故だかひどく驚いて、途端に慌ててまくし立てるものだから少しぎょっとした。相変わらずコイツの謙虚になるタイミングがいつなのか全く分からん。というかコイツ自身のメカニズムも分からん。しかしながら、でもまあ行きたいけれどと言い直すその姿も、自分の瞳には何故だか無闇に健気で愛らしく映るので俺の身体メカニズムも相当意味わからん。気を紛らわそうと項を一撫でした後に溜息混じりに返事して、繋がれた手を引き店へと向かう。「テメェは俺の親か何かか? 俺に無駄な気遣ってんじゃねえよ」俺は自分が嫌なら嫌だと言える。行きたいなら行きたいと、ただそれだけ言っていればいい。 )

…大体、俺は甘いのが食えねえなんて一言も言ってねえ。
( 何よりも今自分が主張したかったのはこっちの方だ。甘党では無いし寧ろ辛党だが、例え甘い物でも人並みの量は食べることはできる。多分。 )


耳郎

( 急にしゃがむものだから押し寄せていた緊張感なんて消え去るというものだし、流石に慌てる。お腹でも痛いのか一瞬焦ったというもの、数秒を満たずして悩殺されていた。え、いや、かわいい。なんだこの男は。ついさっき無理言って指輪を通してくれた時なんて本当に王子さまみたいだったのに、今はこんな耳まで真っ赤にするくらい照れて、まるでお姫さまじゃないか。上鳴を見ているうちに不思議とこっちの方が冷静になってきて、じわじわ先程の記憶が蘇ってくる。…自分が、初めてなんだって。その言葉を噛み締めると何処からかもぎゅーんと苛烈な愛おしさが溢れ出してきて、「なんで?忘れないよ」返事しながら、自分も上鳴に倣ってスカートを押さえつつ彼の傍にしゃがみこむ。高校生男女がモールの通路で二人揃ってしゃがんでいるなんてまあまあヤバい構図である。 )

それに…指輪通してもらう時、今までで一番ドキドキしたから。

( こんなとんでもないことをぼやいてしまったのは、頭が冷静さを取り戻しきっていないからじゃない。素直になりたいって願ってるんだから行動に移さないとって思って、少し、いや、かなり勇気を出して言ってしまった。恥ずかしさはある。でも今は正直になることに必死で多分声は震えていなかった。自分だって、上鳴と同じくらい緊張してたし、特別な事だったんだって伝えておきたかった。「…これじゃ理由にならない?」今にも気まずさで逸らしそうになる目を気合いで押しとどめながら、緊張を誤魔化すように無理やり、に、と悪戯っ子ぽく笑いかけてみて。 )


( 本当に気にしていないので大丈夫ですよ!そんなにお気になさらないでくださいましです…!
そういえば、もしかしてロルが長すぎてお返事も大変ではないですか?
やっぱり長いよりも短い方が気楽ではあるでしょうし、もしそうなら意識して短めにしようと思いますが、いかがですか?
わ…そう言って頂けるなんて嬉しい限りです!!光ちゃんはいつも純粋前向きで可愛いし、不意にかっこいい感じになる上鳴くんもとても素敵で、2人共大好きです…!

お互い初めてなんですね…!なんだか嬉しいです!
お互いの気が合わないとこういうのって長続きするのは難しいと思うので、こうして背後様とお話できる自分は心底幸せ者だとしみじみ感じます。こちらこそよろしくお願いしますね! )


  • No.134 by 成合/上鳴  2019-03-02 20:35:34 






成合

( ものすごく単純なことにでも胸が高鳴る癖、やめてほしい。今でこんな感じならもうこれからは相当なんじゃなかろうか。ときめきで死んだらどうしよう。…ちょっと本望かもしれない。 )
…爆豪って生クリーム食べるようなイメージないよね。いつも怒ってるし。
( 怒りすぎな人は糖分が足りないみたいなこと聞いたことあるし、だから勝手な偏見だ。辛いもの食べてるから頭に血が上りやすいのかも。怒らないで甘いもの食べながら微笑んでる爆豪もまあ想像しにくいけど。「じゃあ一緒に行こう。お茶子が美味しいって言ってたのが本当にすっごい美味しいからさ」ひょっとして今、ものすごい青春らしいことをしているのではなかろうか。こんなことだけで楽しいと思えるのだから不思議だ。 )


上鳴

( 忘れてくれた方が俺の気持ち的に超楽だったしこれから冗談のノリが出しやすいのに、耳郎という奴は忘れないと言った。喜んで良いのか悔しがればいいのかまっったくわかんねえし感情がぐちゃぐちゃで今すぐ叫んでしまいそうだ。…流石にしねえけど。明言されてしまうと更に羞恥ってモンは込み上げてくるし、今すぐ5分前に戻って全てをやり直したくなる。それなのに耳郎、今までで1番とか言いやがった。 )
……俺をどうしたいんだよもう……。
( 思わずそんな言葉が飛び出た。こんな思いがごちゃごちゃしてウッてなってワッてしてるのもこんなはずじゃなかった。でも別に嬉しくないわけじゃないのがどうも、どうも厄介で、そっと視線を相手にやり、一度口を結んだ後「…そんなん俺もだって」はぁあ、と大きなため息。「もーマジで恥ずい…なんであんなことしたんだ俺……」今までで1番って、余裕で俺もだ。 )



(/ お気遣いありがとうございます…!今回こちらも短くしたのですが、お言葉に甘えてほんの少し短くして頂けるとお返事しやすくなると思います…。本当に申し訳ありません。
新生活の時期になり、そろそろと言ってもあと3ヶ月はありますが、もうすぐ1年が経つころでしょうか!マンネリには程遠く未だワクワクしております。今後もやってみたい展開等なにか提案がありましたらぜひお気軽にどうぞー! )



  • No.135 by 爆豪/耳郎  2019-03-07 19:47:34 




爆豪

( 怒ってるしってなんだ。煽りか?喧嘩なら買うぞ。ブチと何かが途切れそうになる予感がしたが、今キレれば相手の口車に乗せられたようなものなので死ぬほど我慢する。 )
あの丸顔か…。
( あの手の女は何食べても美味いとしか言わないような気もするが、まあ、百聞は一見に如かず。この目で確かめてみれば良いだろう。そんなこんなで店に着き、ドアの取手を引いて店内へ入る。すぐさま出迎えの言葉と共に、にぱと燦々とした笑顔を浮かべた女性店員が寄ってきた。2名様ですかと人数を尋ねる相手の声に頷くと、窓際の2人用対面席へと通された。店は案外空いていて、席へ向かう途中で何組か雄英生を見掛けたが知人はいなかった、はず。店の雰囲気は恐らくまあ普通に清潔で洒落た感じだと思う。カフェに大して入った経験がないから憶測の感想しか言えないが。鞄を下ろし椅子に座ると、不意に窓から夕暮れを予感させる空が見えて、夏の終わりを薄々と感じた。 )


耳郎

( おれも。俺も?思わずきょとんとする。話の流れ的に考えると上鳴も1番だったってことだ。そのはずだけど。 )
……よしよし!
( 上鳴の照れが伝染してきそうになって、慌てて彼の髪を撫でた。ウチの方こそ何言ってんだ、とは思いかけたけど、自分の名誉のためにその言葉は飲み込んで知らんふりする。最初は結構ぐしゃぐしゃ触っていたけど、頭を抱えて唸ってる上鳴は、もし!付き合っていて!屋外じゃなかったら!ぎゅーと抱きしめたいぐらいかわいかったので、次第に柔らかく撫でるようにした。「もう、そんなに気にしないでさ、次のとこ行こうよ。行きたいところ沢山あるって言ってたじゃん、ね?」にしても、別にかわいかったからウチは満足してし、そんな落ち込むことないのに。本人としてはプライドがあるのかな。あやすような言い方になってしまったけど、とにかく気持ちを切り替えてもらいたい一心で手で覆われた顔に声を掛けて。 )


(/ 了解です。拙い文章しか書けず、何かとぐたぐたしたロルになりがちなので気を付けます…!
そうですね、此方としては寮でまったり過ごしたり。皆が寝静まった夜、水を飲みにばったり1階の共用スペースで会って、そのまましばらくお話するようなシチュも良いのではないかと!あとは季節を動かしてそれに合わせてお出かけしたり、とかでしょうか。王道すぎですかね…! )


  • No.136 by 匿名さん  2019-03-19 09:37:53 

あげ

  • No.137 by 成合/上鳴  2019-03-24 04:41:30 





成合

…なんかあれかも、初めて男の子と2人で来たかも。こういうとこ。
( 中にちらほらといる雄英生の顔をちらちらと見ては知り合いかどうか確認してしまう。改めて感じだけど、それくらい緊張することなのだ。そもそも放課後どこかに寄ると言えば女友達と、っていうのが普通だし。席に座っても何なら目の前が見れなくって窓の外ばかり見てしまう。 )
ねえ、何にする?おすすめはね、このパフェとケーキと──、
( メニューに視線をやり、人差し指で差しながら美味しかったものを並べ立てていく。「あとパンケーキと……、…あ、でも太っちゃうかも。」そこまで考えたあと、ちらりと相手を見やって「…でもあれか、爆豪はすぐ体重減らせそうだよね。羨ましい」訓練でも普段の生活でも動き回っている彼を羨ましい、なんて。 )


上鳴

………そうする。
( 一回この失態は全部忘れようそうしよう。俺の中で無かったことにして一からエスコートすれば問題ない。俺超カッコ良くなる。きっとそう。うんそう。そう。別の場所に行こう、なんて言われればそんな思いで了承し。両手で頬をパチンと叩く。目が覚めた、気がした。いや覚めててくれ。 )
じゃあ次!次!ウン、次!どこ行く?
服でもいーしゲームでもいーし、あとは…どこ行きたいっつってたっけ?
( 無理やり頭を切り替えてぐるりと辺りを見回し、そう首を傾げれば尋ねてみる。正直今までのことでやるべきこととか全部頭からすっぽ抜けたんだけど、決定権は相手に委ねていい。男として女の子の行きたいとこに合わせるってのはやっぱ定石だし、失態を取り戻さなきゃって。 )


(/ 上げてくださっていたのは背後様で間違いなかったでしょうか…?相変わらずの亀レスで申し訳ありません。
でも上げは励みになると言いますか頑張らなきゃーーって気持ちになるので!!語彙力が決定的に欠如していますがとにかくありがとうございます!!もっと早くに返信できるよう務めさせて頂きますので…!!)




  • No.138 by 爆豪/耳郎  2019-03-30 20:20:42 




爆豪

( 返事くらいすれば良かったのに、初めてなんて、そんなただの3文字に深い喜びを感じて声も出なかった。奴が平然と放った言葉にみっともねえくらい動揺しているのが異様で、つい視線を外してしまう。奴の全ての初めてに俺が映っていたら良いのにだなんて、図々しい欲を募らせていることだけはバレたくなかった。 )
…? 太ったらお前も運動量増やせばいい話だろ。
( 羨ましい、が若干の具体性に欠けて解釈が正しいか分からんが、奴自身が俺と比較していると想定した返事を。しかしながら、苦手ではないと言ったものの、相手が勧める品の写真を見ると恐ろしいぐらい甘そうで身震いしかける。麗日と訪れたこともあるということは、世界中の女子は皆こういうのを好んで食べるのだろうか。俺のような男には無い文化だ。先程の身震い予感はカルチャーショックの報せだったのかもしれない。「お前はどうすんだ」ひとまず話を転換させる。俺に勧めはするが、自分の注文自体はどうする気なのかと問いてみて。 )


耳郎

……こらッ
気が付くと眉根が寄っていた。流石に怒る。怒ったので一発でこピンをお見舞いした。「次はアンタが行きたいとこ決める番!…なんで今日そんなに他人優先なの?」単純に不思議だ。普段からこんな気を回すようなタイプだった?いつも周りのこと振り回してばかりの気がしてたけど、そうでもないのだろうか。とにかく、今日は一緒に来たのだから、譲られてばっかでは割に合わない。放課後だから休日に来るとは訳が違って時間も限られてるし、日中の授業でお互い疲れてるだろうし。「だから正直に吐け!行きたいとこ!」もし男の子の服屋さんとか連れて行かれたとして上手く感想とか言えるか分からないけど、指輪のお礼に頑張るつもりだから。 )


( /じつは私ではないんですよ…!応援?して下さっている方が上げてくれたのかなと!
上げてくださった方はありがとうございました…!!嬉しいです! )


  • No.139 by 成合/上鳴  2019-04-03 19:34:37 






成合

…それ、爆豪が思うより簡単なことじゃないんだよなー…。
( メニューにじいとした視線をやり、ハハ…と乾いた笑いを零す。体を動かすことを仕事にする予定だけど、ダイエットが簡単かと言われればそうじゃない。「動いた分だけ食べちゃうんだよね。だからこのまま太っちゃ……ったらダメなのか。」ちらと視線を目の前の相手にやる。太ったら最悪この人に別れを告げられるかもしれない。…うわー、パンパンだから別れろとか言われたらショックで逆に体重落ちる気がする…。 )
うーん……食べたいけどカロリーがなー…。もうゼリーとかで良いかも。
( 生クリームに苺やらチョコが乗ったスイーツは考えるだけで目眩がしそうなエネルギーをしている。眉間に皺を寄せながらメニューを眺め、もうこれでいいかもと妥協の言葉を口にして。 )


上鳴

ぐあっ!
( 思ったよりデコピンの威力が高くって、右手で痛めた可哀想なデコをさすってやる。いや伊達に訓練してねーな…女子だからってナメちゃいけねーってことか。と、突然デコに攻撃を仕掛けてきた耳郎が言うにはそろそろ自分が行きたいところを吐けだとさ。…いや、俺としては色々この1時間くらいだけでマジやらかした自覚があるし、取り返そうってエスコートするつもりだったんだけど。そう言われたらどうすることもできねーし、うーんと考え込んでみて。 )
…マジでつまんなくても文句言うなよ?
( でもちょっと不安だから一応保険をかけといて、ぐるりと辺りを見回すと、人差し指で近くの服屋を指差して。 )


(/ うおお別の方だったのですね…!!!なんだか見られてると思うと少し恥ずかしくなりますが() 有り難いことです…!!)




  • No.140 by 爆豪/耳郎  2019-04-03 21:29:17 



爆豪

(徐々に声から活気が失われていくのを聞いて、確実に自分の発言に問題があったのは分かる。太る太らないとは言うが元々女はどう足掻いても脂肪が付きやすい体の仕組みなんてのはよく聞く話。仕方が無いと言えばそこまでだが、それで容易に諦められることでもないだろう。実際向かいの彼女は十分に細いが、それは何かしらの努力した結果かもしれない。痩せてるから好きにすれば良いだろうなんて能天気で相手自体を軽んじるような事は言える訳がない。先程よりも考えて言葉を選びながら「…もし仮に太ったら」気軽な気持ちで選ばせてやりたくて、腕を伸ばし奴の横髪を指先で梳くように通しながら、)
責任取って有酸素運動付き合ってやるから食いたいの食え。

耳郎

言いません。服選び…は、あんまり上手くないだろうけど、頑張る。
お望みは服屋らしい。せっかくなんだから、上鳴も超楽しまないと損だ。…というか、好きな人に楽しかったって思ってもらえないと駄目だろう。気合いも入る。ぐっと両手を握りしめて先に宣言しておく。そういえば最近の男の子のファッショントレンドってなんだろう。お店の中回れば分かるかな。まあトレンドも大事だけど、着る人が似合うことはもっと大事だし、きっと何とかなるはず「さ、行こ!」上鳴の袖をぐいぐい引っ掴んで、お店へ向かいながらそんなことを考えていて。)


( /ですね?…!!嬉しいのは本当なんですけど…!
あ、そういえば今後の展開どうしましょうね?、成合ちゃんと爆豪の方だとカフェおデートの後の流れとか…もしご意見などありましたらぜひお聞かせ下さい! )

  • No.141 by 爆豪/耳郎  2019-06-30 23:15:57 



(/ お久しぶりです、なんとなく上げに来ました…!)

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