建石 春亮 2013-08-22 01:06:35 |
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..ですよね-(あはは、と乾いた笑みをこぼせば気まずさからか視線を合わせる事はできず。状況を飲み込めば何だか冷静になり顔に貼りつくのはやはり笑顔、そんな己にとことん嫌気がさせば相手の言葉を聞き「うわ、洒落になんないですよ..」と頬を引き攣らせる。こんな時に不謹慎だ、と己の思考回路に喝を入れれば相手が怒っているのが分かり。仕事でもこんなに声を荒げて怒る相手を見た事はない。「...すみません、謝って済む事じゃないですけど..」取り敢えず相手にぺこり、と頭を下げる。確かに相手が己の上司という認識はあったのだ。何故キスをしたのか、と今聞かれても生憎覚えていなくて。強いて言えば相手が綺麗だったからだろう。こんな事口にすればぶっ飛ばされかねないので言わないが。“軽すぎる”という言葉に眉をぴくり、とさせれば「俺、軽くはないですよ。多分キスしたのもしたかったからです」落ち着きを取り戻し調理している相手にいつも通りのへら、とした笑みを浮かべては静かに告げる。“キス魔”と言われるが一応今までの経験からキスする相手は選んでいるようで。先程怒っていた相手、キスされた事への怒りとはまた違ったものが垣間見えたのは己の気の所為だろうか。“もしかすると..”なんて自惚れた考えに自分でも苦笑すればそっと相手を盗み見る。整った顔はいつ見てもやはり綺麗で。何故か胸がとくん、と鳴ってはその感情に1人戸惑うばかりで
昨日のこと…本当に覚えてないんだな…(自分はたくさん振り回されたのに、と思い強く拳握れば自分も覚えてなかったら良かったかもしれない…曖昧ではあるがある程度まで覚えているためまた大きく溜息付いて。「…セクハラだからな…」顔引きつらせる相手をじっと見据える、怒るたび胸が痛くなってくるのは、好きでもあるからだろう。頭下げられれば何も言わず料理しながら横目で相手の様子眺めて。「はぁ…お前……俺のことなんだと思って… 」料理する手を止める。つい声荒げてしまいそうになるが、抑えて普通の声で話す、したかったから、なんて上司にいうセリフであろうかと考え始めれば言いたいことはたくさんあるはずなのに言えずにその場で止まってしまい。
..本当にすみません(どうにか思い出そうとして頭を巡らすも己の頭に与えるのは酷い頭痛だけで。流石に己も其処まで空気が読めない訳ではなく、先程の笑みは薄れて反省の色を見せて。「...あ-、そうですね」相手の言葉に困った様に眉をハの字にすれば頬を掻いて。何だか今日は此の相手と仕事が出来る気がしなくて。二日酔い如きで仕事を休んだ事はないが、こんな事があってのうのうと仕事出来る程己は冷静な人間ではない。「凄くいい上司だと思ってます」無理矢理キスをした己を家に泊めてくれ、その上着替えまで用意してくれて。相手には悪いがとても仕事なんて出来る気分ではなくて。「...あの、俺今日は休みます」相手にそう告げれば己の服や鞄を見つけて其れらを手に取る。会社には熱とでも言っておこうか、ついでに此の相手とは少し距離を置こう、と決めれば家を出ようと
どんだけ俺が悩んだと思って…ッ!(自分はここまで女々しかったのだろうか、感情的になっているせいかきっと相手には本心はわからないであろう涙を一筋流して「……本当にそれだけか、唯いい上司だと思っている相手に……軽くないんじゃなかったのか」矛盾している、と指摘するとともにもしそうであるならいいな、という願望が少し漏れだした言葉を述べ「そのぐらいで休むんじゃない…、学生時代とは違うんだ、…建石」個人的には気まずさでまた時間を置いて顔を合わせる気になれないものの社会人がそれではいけないだろうと顔を顰めて、でていこうとする相手の腕を掴み
..はや、せさ...?(気まずくて視線を逸らしていたのだが、ふと相手に視線を向けると目に留まったのは頬を流れる一筋の涙で。その涙をみては上司だとかそんなの関係なく抱き締めたいと思った、しかしそんな事をしてはより一層この空気が悪化するだけであろう。相手の言葉を聞いては言葉に詰まる。確かに酔っていたとは言え唯の上司にそんな事するだろうか、少なからずとも特別な感情がーー...。「..すみません、前言撤回です。唯の上司じゃなくてー..」相手に近付けば相手の頭に手を回しそっと抱き寄せれば「...気になる上司です」と耳元で囁いて。腕を掴まれては足を止める。確かに相手の言ってる事は最もであり、考え直せば力なく肩を落とし「すみません、頭冷やしてきます」と相手の手を緩く振り払えば相手の顔を見ずに外へ出て行き
……(相手の不思議そうな声が聞こえる、ああ、もう。色んな物がこみ上げて思わず無言になってしまい、その間に袖で涙を軽く拭い「…ッ……」耳がくすぐったくなる距離、述べられた言葉の意味を理解するのは言われた瞬間で思わず俯いて。「待てっ──」まだ何も言っていない、自分の相手に対する想いも恥ずかしかった山ほどある文句も、本当は驚きながらも自分がそれほど抵抗していなかったことも。ドアが閉まるのを見ればただ立ち尽くして、見えぬドアの先を見つめ。
ーー、はぁ..(外に出て空気を吸えば落ち着いた様で、先程の己の行動を思い返せばため息が出てしまい。衝動的な行動だったが、あの思いは嘘などではなく気になってしまった自分がいる。しかし相手は己の上司であり共に仕事をする人物、今回の事で関係が気まずくなってしまえば仕事にも支障をきたすだろう。でも...「あの涙は反則だろ..っ」あれを見た瞬間、己の中で何かが弾けた。其の涙さえ自分だけのものにしたい、とそう思ったのである、上司に何て感情を抱いてるんだと思い乍らも抑える事が出来なくて抱き締めてしまった。取り敢えず落ち着いた事は落ち着いた、出勤時間もあるし相手を待たせている。そう考えれば戻ろうと相手の家へと足を進めて
(先ほど飛び出していった相手は戻ってくる可能性は低いかもしれない、そう考えればドアを見つめるのは辞め、くるりと背中向けては頭抱えこむ。先ほど抱きしめられた感覚はいつまでも自分の体に残っていて自分の腕や肩をさらりと撫でれば出てくる溜息。部下だとか男だからとか其処で戸惑って何も言えずにいる自分、受け身姿勢でただ喚いただけな気がしてならなかった。戻ってこないかもしれない相手の分の朝食まで無意識に作ってしまえばつくづく惚れ込んでいると自覚する「頂きます」いつものように手を合わせれば卵焼き食べ始め。
(鍵がかかっていたらどうしよう、と思い乍らドアノブを回せば鍵はかかってなく簡単にドアは開いて。不用心だな、と思えば小さな笑みがもれ。取り敢えずどんな顔をすればいいのか、と玄関で悩んでみるものの答えなんて出てこずに。悶々とする頭を横に振れば深呼吸して、先程己が出て行ったリビングのドアを開ければ目に映ったのは椅子に座り朝食を食べている相手。気付いているのだろうが此方を見ないまま、先程の事を怒っているんだろうかと少し不安になる。しかし此れ以上悩んでいても仕方がない、と己の中で踏ん切りをつければ「..早瀬さん」と声をかけて。酔ってはいたものの、相手にキスした事も抱き締めた事も後悔はしていない。今でも腕に残っている抱き締めた感触、思い出せばまた胸が高鳴る。その感情が何なのか、分かってはいるが認めるのが怖くて“気になる”とだけ告げた。ーー“何だか急に臆病だな..”ーー、と苦笑すれば相手に近寄り少しかがみ、後ろからそっと相手を優しく抱き締めて。
(あんまり味がしないのは相手のことが気になっているせいだろう、食べながら考えていて。人の気配がして横目でチラリと見つめればどうやら相手は戻ってきていたらしい、しかしどんな顔をしていいのか分からず黙ったまま箸は止めずにいれば自分を呼ぶ相手の声が聞こえる。「……なんだ」このまま無視というわけにもいかずとりあえず返事をする。突然背後から回る手、相手の体温が伝わりとくん、と心臓の音が大きくなる「…黙って抱きしめるな、なんか言え」座ったまま相手をじぃっと見上げいつものようなトーンの声で述べ。
(相手と視線を絡めては静かな微笑みをたたえたまま黙っていて。頭の中で気持ちの整理をつける。入社当時は大嫌いだった己の上司、しかし共に仕事をしていく内に仕事熱心な所を尊敬する様になっていた。其れが特別な感情になったのはつい最近かもしれない。昨夜2人で呑みに行ったのもそういった気持ちがあったからかもしれない。其処で酔ってキスしてしまったのは予想外だが。すぅと息を吸えば相手を真っ直ぐに見つめる。「..早瀬さん、好きですよ」先程までの臆病な己は何処へやら、ちゃんと相手への気持ちを言葉にする。此れで関係が気まずくなってしまっても、言わないよりは後悔しないだろう。そう思えばすんなりと言葉が出てきたのだ。相手の肩に顎を置けば「...返事は、ど-ですか?」と問い掛けて
(暫く黙っている相手をじっと見つめたままでいれば少し気恥ずかしくなるも言葉を待っていれば、このまま相手が無言だったらなんと言おうかと考え始めていて。そんな心配も無用だったらしく発せられた言葉は自分宛の告白。頭の中でループされる相手の言葉に嬉しい、という気持ちで溢れ「……返事、だけでいいのか?」含みのある言い方をして問いかえせば「好き、だと思う、でてったお前の分の飯作るぐらいには」述べ終えれば苦笑してもう一人分の飯指差し。
...わかりにくいですよ(相手の返答を聞けば力が抜けたかのようにフローリングの床に座り込み。己の気持ちを言ったのはいいが相手からの返事は曖昧なもので。其れでは部下として好いているのか、1人の男として好いているのか分からない。机の上に用意された朝食、相手が作ったものだと分かれば今すぐにでも食べたいと思うも、ちゃんと返事が聞きたくては相手をじっと見つめて。その顔からは何時ものへらへらした笑いは消え去り、真剣そのもので、其れほど己は真剣なのだ。床に座り込んだまま相手の手をとれば指を絡めて相手の様子を伺って
そうか?普通に言ったと思うんだが…(座り込む相手見ては不思議そうに軽く首傾げて、自分の中では精一杯気持ちを伝えたつもりであり、何処がいけなかったのかとしばらく考えつつ手が温かい感触がして視線やれば空いた手が相手の手に触れているのだと気づくと優しく握って「飯、食わないのか、遅刻するぞ」ふと思い出したように言えば自分はもうすぐ完食しそうであり、朝から何も食べていないであろう相手見つめて。
...食べます(相手に手を握られては恥ずかしさからか視線を逸らしては、額に手を当てて床から立ち上がり向かいに座っては手を合わせて“頂きます”と言って朝食に手を付け。よほどお腹が空いていたのか掻き込む様に食べれば10分程で完食してしまい。“ご馳走様でした”と手を合わせれば「美味しかったです」と何時ものへらりとした笑みを相手に向け。時計に目をやればそろそろ着替えないと間に合わない、そうすれば椅子から立ち上がりソファに近付けば何の躊躇いもなくTシャツを脱いでは着替えようと。「...あ、服有難う御座います」と相手の方を振り向けば満面の笑みで。ズボンも脱げばもう自分の家の様な感覚になってしまい
(食べ始めた様子見れば安心して。朝の支度でバタバタ動き回れば新入したての懐かしい感覚に苦笑しながらも待ってくれない時間に焦って足元を見るのを忘れていれば小さな書類の山に足つっかけバサッと山は崩れ紙が地面に散乱して「……うわ…」面倒くさいことになったなと思い立ち上がろうとすれば左足を痛めたようでその痛みに顔歪め。「そりゃよかった」一人暮らし歴は長くなってきたため料理も案外上達したんだなと実感すれば「嗚呼、脱いだ服はそこに置いといてくれ」そういえば昨日スーツのまま寝かせるわけにもいかず、酔っ払った相手着替えさせるの大変だったと思い出せば苦笑して。
(/すみません、遅くなりました‼
っ..大丈夫ですか?(床に散らばる資料を手早く集めれば其れを整え乍ら相手を心配そうに見つめて。立ち上がる為に相手に手を差し出せば小さく歪んだ相手の顔、何処か痛めたのだろうかと思い傍らにしゃがみ込めば「..痛めましたか?」と顔を覗き込んで。時計に目をやればもう時間がない、躊躇い乍らも己の鞄を探りスマホを取り出せば会社に電話をかけ「..あ、建石ですけど。早瀬さんが熱あって看病してるんですけ..あ、はい。すみません、失礼します」と言えば電話を切る。上司が熱で看病している、と言えば其れならちゃんと看病するように、と休む事を了承してくれた。前々から己の会社は少し緩いとこがあるな、と思っていたがほんとうに緩いな、と苦笑して。一応スーツは着てしまっているのでジャケットを脱いでYシャツになれば、冷蔵庫から保冷剤を取り出して相手の足首に当ててやり
すまん(急いでその辺に重ねて置いていたためにそんなことになっていたの思えば、手伝ってくれる相手に申し訳ない気持ちでいっぱいになり。「いや…大丈夫…だ」少しぐらい痛くても歩くのにそれほど支障はないはず、と思えばもう一度立ち上がろうと試みるも自分の想像以上に痛めていたようで座り込み。「建石…何言って…」勝手に電話をかけられてしまえば驚きで相手をじっと見つめ、相手が苦笑したの見れば会社は許可を出してしまったのかと呆れた顔して。「…ん…」冷たい感覚にビクッと肩震わすも痛みが少しだけ和らいで痛みに歪めた顔戻し。
(/いえいえ)
いいんすよ-(苦笑すれば資料の束をまとめてテーブルの上に置く。一見綺麗に掃除された部屋だが仕事の資料やらが床に多く積まれてある、その量をみては“こんなに仕事してるんだな”と感心して。無理して立ち上がろうとするもどうやら相当痛めているらしい、暫し考え込めば床に座り込んでいる相手をお姫様だっこしては「暴れないで下さいね-」と苦笑し乍らソファに運ぼうと。相手の呆れた顔を見れば頬を掻き「休み、取れちゃいましたね」と笑えば目線を合わせようと相手の前にしゃがみ込み。ーー“これで1日早瀬さんといれるな”ーー、なんて思ってはついつい頬が緩んでしまい。相手の痛みに歪んだ顔が元に戻ればほっと息をついて「どうですか?」と顔を覗き込むように
うわっ(ふわりと持ち上がる感覚に驚いて目を大きく見開き、状況が理解できれば今すぐやめろと言いたくなるが微妙なところで降ろされても歩くのが大変だと気づけば喉まで出かかった言葉を飲み込み。「罪悪感でいっぱいだがな」休日以外に休むのは落ち着かないのとこれから多分二人きりだと思うと余計に落ち着かず溜息ついて。「少し良くなったよ、有難う」自分の足と相手の顔交互に見つめればお礼述べて。
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