建石 春亮 2013-08-22 01:06:35 |
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そ、ですか(この顔で怒っていないなら、どの顔が怒っているのだ、と心の中でぼやき乍らもまだ資料が残っていたのを思い出せば早く終わらそう、と。珈琲を一口飲んだ相手を見つめれば「…どうですか?」と恐る恐る聞いて。この人に“こんなもの飲めない”と言われた日から、己がどれだけ珈琲を淹れることに必死だったか。こういう所に負けず嫌いの性格がでるな、と苦笑して
可も無く不可も無く(珈琲の味を聞かれれば答え。所謂普通、というやつで。珈琲へのこだわりは絶対ある、と言い切れるほどはないのだがやはり多少はあり。相手に初めて珈琲を淹れさせたあの日は忘れること無く記憶していて、不味い珈琲を飲まされたこと思い返せば上達したんだなと思いつつも飲み干せば。
(/すみません、寝落ちです!
…ですよね(ため息交じりに答えれば此方も珈琲を飲み干してはん-、と伸びをする。パソコンに向かっているせいで肩がばきばきなのだが、そんな事を言っている暇はない。最初の頃は仕事も出来ず、上司が嫌いで何度も辞めたい、と思っていたが、仕事も覚え、上司が嫌いな事に変わりはないが、何とかやっていけてるというものだ。「早瀬さん、先行きますね」相手にそう告げれば頭を下げて給湯室を後にし
(/解りました、大丈夫ですよ!)
(相手は答えを予想していたんだろうか、どうでもいいことをまた考えていて。何と無く足を組めばゆっくりしている暇はないのだが、何と無く戻る気にもなれず。声掛けられて相手見上げれば頷き、立ち去る相手を目で追い相手が出て行ったことを確認すれば飲み干した紙コップを握りしめ溜息ついて。「……集中しなければ」独り言を呟いてゴミ箱に紙コップ捨てればその場を立ち去り。
…はぁ、(自分のデスクに戻り、口からでたのはため息で。最近、ため息が多くなったな、何て考えるも原因は明確で。己のデスクからよく見える相手__上司のデスクを見てまたもため息をついた。どうしてか、相手が好きになれない。入社した時に言われだお前が嫌い゙と言う言葉のせいだろうか。悶々と考えていると彼が戻ってきたため、再度パソコンに向かい
(給湯室からデスクに戻れば、椅子に座り先ほどの続きを始めようとモニタの電源をいれる、ちらりと相手を見れば、きちんと仕事をしているようで自分もやろうと打ち始めれば、暫くは作業に集中出来て。 しかしデスクの位置関係上、相手が視界に入り今まで集中できていたはずの作業が途端に集中できなくなれば、頭軽く抑え。何だっていうんだ一体、と頭の中が埋め尽くされるような感覚に苛々として。
…ん?(中々作業に集中してきていい感じだった時、「建石さーん」と女性社員に呼ばれて顔を上げる。そこに居たのは、社内でも可愛いと言われている女性社員がおぼんを持って立っていた。多分珈琲を淹れてくれたのだろうが、生憎もう飲んでしまった。「珈琲いかがです?」という彼女の可愛らしい声に苦笑しては「ごめん、もう飲んじゃって」と断った。彼女は笑顔でそれに応えたが、ふと俺の耳元に口を寄せると「今日仕事終わったら会議室来て下さい」と小声で言えば去っていき。いまいち状況が飲み込めずきょとん、としてしまう
……(集中出来ないながらもその手は止めず打ち込んでいれば相手の名前を呼ぶ声がする。声からして女性だろう、何と無く気になってばれない様に二人の様子を伺えば女性は相手に近づいて耳打ちしている、親しそうな様子に自分が苛々しているのが解り驚く。あの女性に対して特別な意識はしていなかったはず、ではこれは一体。……暫く考えて、出した結論にまさか、と思う。恋なんて何年振りであろうか、しかもまさかその相手が自分の部下だなんて。久々の感情に動揺するも何とかデータを打ち終えれば保存して溜息をつき。
んー、出来た(再び仕事に集中していては一つ仕事が終わり。伸びをしては肩を回したり、動かしてない身体を動かしてみる。ふと時計を見れば午後3時過ぎ。残している仕事もなく、今日も残業せずに帰れそうだ、と嬉しくなる。ちら、と上司の方を見れば彼方も仕事を終えたようで。パソコンに向かってる途中、相手からの視線が気になっていたが、あまり気にしないようにしている。最近彼と目が合う事が多くなったな、とぼんやり考えては、会議で使う資料のコピーを頼まれていた事を思い出し、コピー機を使おうと立ち上がり。何枚だったかな、と首を捻れば「早瀬さん、何枚でした?」と、資料をひらひらさせながら
(PCをスリープにさせれば、ひと段落ついた仕事にほっとする。あのままずっと打ち込んでいたら何時ものようには捗らなかっただろうと思っていれば、唐突に声をかけられる。座ったまま声の主見上げれば、建石で「……ッ」考えていた相手だけに少々驚くも、問われていた会議の人数思い出せば「30枚、3枚ずつ纏めてくれ」と声をかけ
了解です(相手の言葉に頷けばコピー機に向かっては頼まれた枚数をコピーする。待っている間に相手に向き直れば「仕事、一つ終わりました」と、どこか嬉しそうに報告して。褒めて貰えるなんて思ってはいないが、取りあえず仕事が出来るようになったのを、相手に知ってもらいたいのだ。ふとオフィスを見渡せば先程の女性社員と目が合う。にっこりと笑いかけられたので、此方もにっこりと笑い返して。そういえば何の用事なのか、と気になる。あの女性社員とは特別仲がいい訳ではない。色々考えているとコピーが出来たようだ。自分のデスクに戻り、ホッチキスを探すも見当たらない。軽く息を吐いては上司のデスクに行き「あの、ホッチキスありますか?」と苦笑しながら
(コピーしている間、特に今急いでやる仕事はなく何と無く視線をコピーされている用紙に向けていれば相手から嬉しそうな報告を聞けば「良かったな…」どう反応していいのか解らずそう言ってみれば。突然、笑った相手の視線の方向みれば先ほどの女性社員で「……仲がいいのか?」普段そんなことを聞く、なんてことはしないのだが気になって問いかけ。コピーが終わり戻って行く相手が急にこちらに来たかと思えば尋ねられ自分の引き出し開ければ相手に渡し「常備しておきなさい」と言っておき
ありがとうございます(予想通りの答えに苦笑する。最近ふと思うのだが、この相手は感情を表に出すのが苦手なんではないか。相手の言葉に視線を向ければ「いえ、そんなに」と返す。どうしてそんな事を聞くのか、と不思議に思う。相手はめっきり此方に興味がない態度をとっていたのに。「すみません、ありがとうございます」と頭を掻きながら苦笑すれば頭を下げて己のデスクに戻れば作業を始めて
(特別褒めたわけではないのだが、有難うと言われれば頷いておき。相手の返事が帰ってくれば内心安堵してしまっていて。部下のプライベートまでずかずか聞いていくなんてあまりやってはいけないことなのだろうが、どうしても気になってしまっていて。立ち去って行く相手見届ければ、自分の手帳開いて予定確認し始めて
…何時、(あれから資料を仕上げればその他の仕事をしたり友人の仕事を手伝ったりなど、気付けばもう8時だ。パソコンに向かって疲れた目に目薬をさせば息を吐いて。ふと彼女のデスクに目を向ければその姿はなかった。他の社員もみな帰る支度をしては談笑している。上司に目を向ければまだパソコンに向かっている。「なー春亮。呑み行かね?」と友人に肩を抱かれた。いつもなら誘いにのるのだが、生憎今日は先客がいる。「わりぃ、用事が…」と困ったように眉を下げれば誘いを断る。一応上司にも声をかけているようだ。その隙にオフィスを出れば会議室へ向かい
くぁ…(小さく欠伸すれば、目を擦る。PC画面の時計を確認すれば8時を回っており、「もうこんな時間か……」呟いて皆の様子見ようと辺りを見回せば、部下の姿が目にはいる「早瀬さん、飲み行きませんー?」もう飲んでるんじゃないかというぐらい声は明るく楽しそうで。このぐらい自分も陽気だったらいいだろうなと思い、建石のデスク見ればもう既にそこに姿はなく「建石、帰ったのか?」と部下に聞いてみれば「いやー、俺は解りません、用事あるって行ってましたし帰ったんじゃないですかね?」と答えられれば一緒に帰るわけでもないのに肩落とし
…えと、来ました、よ?(会議室のドアを開ければ中にいた相手に声をかける。電気のついた会議室で椅子に座っている彼女は髪をおろしていて、少し雰囲気が違っていた。「あ、あの…」少し頬を赤らめながら己に声をかける相手。様子がおかしいな、と思うも相手の話を黙って聞く。「私、建石さんが好きなんです…っ」相手の言葉に驚きのあまり声が出ない。まさか、そんな事を言われるとは思ってなかった。取りあえず落ち着けば「返事は、待ってもらえる?前向きに…考えるから」微笑みをたたえて彼女にそう言えばこくん、と頷いた。手を振って会議室から出てはオフィスに戻り「どーしよ…」とため息つき。オフィスには1人だと思い、ネクタイとってはシャツのボタンを開け
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