ジャック 2023-10-06 23:38:18 |
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…俺がどんだけ可愛く言ったって言う事聞かねぇ時あるじゃねぇか。( 何事か記憶を掘り返したのか顔を顰めて告げ / 前方の看板に視線を留めるも解読ができるわけでもなくぼんやりと眺め / いつの間にやら「可愛い」と言われる事に抵抗が無くなってしまった事へ複雑な心境を抱きつつ当然のように尋ね )お前だって俺以上に気ィ引かれるモンなんかねぇだろ。
…どんな時だ?( 緩く首を傾げるとハンドルを右に切って / 少し考え込んだ後きっぱりとした口調で断言し / 横目で糖分の高い目線を寄越して )ねえな。お前が世界で一番だ。
分かンねぇなら良い。( わざわざ説明するつもりも無く窓の外へ視線を遣り / 明確な言葉と向けられる視線に思わず目元を緩めると其方へ身を乗り出し耳元へ唇を触れさせ )あァ、俺もだよ。
可愛いから我慢効かなくなるって時はあるがな。( 答えが与えられなかったことに片眉を上げアクセルを踏み / 耳元への微かな感触に擽ったげな声を零すとゆるく首を傾げて )…抱き締められねえ時にすんなよ、
随分堪え性がねぇこった。( 此方の意図を見透かしたような言葉に眉を寄せると不満げに零し / 何処と無く満足気な笑みを浮かべて身を離すと口元に笑みを浮かべて返し )またいつでもしてやるよ。
( 加速しながら時折対向車の通る一本道を進んでいき / 相手の言葉に肩を竦める事で応えるとやがて見えてきた目的地の到着を示すゲートが目に入り / 先の場所とは違い花や宝石で装飾されたアーチ型の門が聳え立っており / 周囲も花壇等で整えられ何処か牧歌的な雰囲気が漂う其処に着くと適当な場所に駐車して / 車を降りながら相手に声を掛け )着いたぞ。
( 前方にゲートが見えてくれば興味津々に其方を見詰め / 先程まで居た場所とは大きく異なる町の様相に目を瞠り / 周囲に忙しなく視線を走らせる最中車が停車し声を掛けられれば車を降りて )…すげぇとこだな。
そうか?……お前はどっか着くたびに驚いてる気がするが。( 相手の言葉に緩く首を傾げて / 植えられている花壇の花は恐らく珍しいものなのだろうが知識のない自身では判断出来ず / 後尾のトランクルームから自身の鞄を取り出して手に持つと笑みを含みながら揶揄の声を掛けて )
そっちの方が連れて行き甲斐があって良いだろ。( 興味深げに周囲の様子を眺めており / 聞こえた声に其方へ顔を向けると片眉を上げ )
そうだな。いつか俺のことも驚かしてくれよ。( クスクスと笑みを漏らしながらゲートの方へと歩を進め / ふと振り返って釘を刺すとそこで足を止めて相手を待ち )…自分の荷物忘れるなよ。
俺のためなら折れるだろ?…よし、( 相手の姿を確認すると再び歩き出し / ゲート付近の警備員を適当に言い包めると内部に踏み入って / そこかしこに入口と同じく花や宝石などの装飾で咲き乱れる道が展開されており / どうやら景観そのものを売りとしている国、かつそこそこ景気が良いらしくにこやかな路上の面々から地図のようなものを受けとり / 印字された文字を見ながら独り言を零して )……お、近いな。
( 当然のような声色での問い掛けに無論否定の言葉も無く肩を竦め / 無言のまま相手の後に付いて歩いていけば何やらあっさりと警備の者の目を掻い潜ったらしい遣り取りに呆れすら覚えながら歩を進め / やたらと煌びやかな景観に瞠目しながら忙しなく周囲へ視線を走らせ / 聞こえてきた声に相手の手元を覗き込み )何処行くんだ。
あ?薬と葉っぱ買いに行くんだろ。もう忘れたのか。( 相手の方によく見えるよう地図をずらしながら答えて / かなりの広範囲に跨る施設の表記に指を置き / Meltillaria Gardenと記されたそこをなぞりながらゆっくりと言葉にして )──この字はメルティラリア・ガーデン、覚えろ。
忘れてねぇけど、( この様相の街で薬草が手に入る店がある事が想像できず腑に落ちない様な表情を浮かべ / 不意に示された記号の羅列にしか見えない表記に視線を落とすと小声で何度かその単語を繰り返してから頷き / 地図を眺めては独り言のように呟き )……随分デケェとこだな。
…クスリの原料を考えてみろよ、お前の得意分野だろ。鉱石植物の資源が豊富と来りゃ、結末なんて猿でも分かる。( 肩を竦めると言い聞かせるような口調で淡々と説明し / 首肯に小さく笑むと片手で相手の頭を撫で / 何処か浮き立つような調子で相手の独り言に応えて )お偉いさんも大注目の事業らしいからな。期待できるぜ。
…なるほどなァ。そりゃ儲かるわけだ。( 相手の言わんとする事を理解すれば揶揄の混じる声色で呟きながら相も変わらず周囲へ視線を向けており / 頭を撫でる手に目を細めて / 相手の声色に笑みを零すと頬を緩ませ )そりゃ良いな。見た事ねぇモンもありそうだ。
そういうこった。お零れに預からせて貰おうじゃねえか。( 揶揄に乗っかるように下衆な意図を含ませて返し / 相手の言葉に頷くと暫くは道なりに進んでいき / やがて人三人分ほどの高さの白いアーチに蔓が絡んだ入り口へと辿り着き / 倉庫のような大きさのボックスから顔だけを出している、出入りの監視員兼入場確認の配置員に手を振り / 入場料を払うと相手に紐付きの識別カードを手渡して / 自身も一つを首に下げながら告げ )それ持っとけ。無くすなよ。
( 相手の言葉へ機嫌良さそうな笑みを浮かべ / 立派な様相のアーチを眺めながら入口の先へ歩を進め / 差し出されたカードを受け取ると目線の高さに掲げて眺め / 相手と同様に首からカードを下げ )あァ、分かった。
( 一般の遊覧者が踏み入ることのできる施設は幾つかのブロックに分かれており順路で示す順に植物展示、植物に関連する研究、薬草や茶葉を含む植物の販売所、休憩施設となっており / 入口でカードとともに配られた園内マップを見ながら相手にそれを説明すると口角の片端を上げて / 周りを色で溢れた花が取り囲み、石畳が敷き詰められた順路を歩きながらとんと相手の背を軽く押して己の前に出し )…悪いがここからは専門外だ。俺に植物の知識なんてねえし、お前が先導して好きなもん見てくれ。
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