乙種七類型調査隔離　──番、〆

──一体どういう部屋だよ。( 道すがら顔を合わせた者に尋ねながら辿り着いた一室の前で立ち止まり / 解読ができないのは勿論見慣れないプレートに視線遣り眉寄せ )

（　休憩所と大して様相の変わらない室内、変化といえば先の部屋よりは清掃が行き届いている様子／足音で誰が来たかを判別すれば扉を開けぐいと腕を掴んで引き込み　）そのままだよ。元は懲罰房だったのを一つ貰ったんだわ。

…模範囚より待遇良いんじゃねぇの？( 突然開いた扉の中へ引き込まれれば瞠目しつつも大人しく室内へ足を踏み入れ / まじまじと周囲を眺め )

そもそも俺も模範囚だろ。何もバレてねえんだから。……これは一応もてなしの一環な。( 辺りを見回す様子に忍び笑いを漏らして / 端の方にある冷蔵庫から酒の缶を取り出してテーブルの上に置き )

……こっちはスルーして欲しい、下げたり上げたり忙しなくて悪いな。単純にミスだ。一応下げのほうが良いかと思ってやってんだが、もしお前がやりにくかったら言ってくれ。

…あァ、なるほどな。それで罷り通るンなら俺もこの前まで模範囚だったのに、惜しい事をした。( 模範囚と対角にありそうな相手自身も看守からすればそのように見えているのだと思えば何とも言えない気分になり顔を顰め )へぇ？もてなしね。( 缶を手に取り検めるように眺めるも細工のしようがないと思い直せばタブを上げ一口呷り )

お前がやらかした話は何度聞いても面白えな。( 愉快げに目を細め / 笑みを漏らして二缶のうちの一つを手に取り、プルタブに指を引っ掛け )……なんだよ、疑ってんのか？流石に来たばっかの奴を昏睡させる程切羽詰まってねえよ。( 片眉を上げては自身の持っていた缶を再び机に置き / 相手の持っている筈の缶をひょいと取り上げると一気に半分ほど飲み干して )

だから俺がやらかしたんじゃねぇよ。そもそも余計な躾をする必要がねぇと思ったから良いモン渡してやったのにあのナマクラがヘマやったんだ。( 顔顰め言い訳がましく言葉を並べたて )…お前相手に幾ら警戒したって足りねぇだろ。( 手の内から消え去った缶の行方を視線で追いながらゆるりと首傾げ )

結局ケツを拭いたのはお前なんだから同じだよ。なぁ、懲罰房帰りサン。( 軽くなった缶を振ると乱雑に置いて / からかうような笑みを浮かべ )…そう思うヤツのテリトリーにのこのこ来てんのな。( 自身の唇を服の袖口で拭うと口角の片端を上げて / 相手の頬に手を伸ばしもう片手で腰を抱き寄せ )

…うるせぇな。少しは労おうって気はねぇのかよ。それなりに痛い目見て来たってのに。( 自ら話を掘り返しておきながら舌打ち漏らし / 肩竦め )お前のオネダリは突っ撥ねられねぇンだ。前も言っただろ。( 頬に触れる手を一瞥すると口角上げ )

俺もお前のそういう顔を見るのが好きなんだよ。( 相手の様子に遠慮のない笑い声を上げて )…へえ、そんじゃこっちのオネダリも聞いてくれんの。( 相手の足に自らの足を引っ掛けて払い、傍らのソファに倒れさせようとして / 成功するならば膝で相手の身体を固定する形で乗り上げ、胸元に手を這わせて目を眇め )

性格悪ィ男は嫌われるぜ。( 平然と自らを棚に上げ溜息混じりに告げ )ッ、てぇな…、同意の取り方にもマナーってモンがあんだろ。( 呆気無くソファに倒れ込むと顔を顰め / 然して抵抗はしないものの不満げな面持ちで相手を見上げ )

ふうん、お前は性格の悪い男が嫌いか？( 首を傾げるも口角は上がったままで )知らねえよ、欲しいモンにがっついて何が悪い。( 平然と開き直って / 顔を寄せると特に前置きもないまま胸倉を掴み、唇に己のものを重ね )

…この状況で俺にそれを聞くのか？( 横目で相手に視線を向けると問いを返し )ッ、( 返答の間も無く胸倉を掴まれ僅かに息を詰まらせた所へ唇が重ねられれば眉を寄せ / 脳裏に駆け巡る思考やら葛藤やらに半ば気を取られろくな抵抗をする事も無く )

問いが不親切だったか。俺が好きかって聞いてんだよ。( 向けられる視線に肩を竦め )っはは、可愛いな。( 特に反抗をすることもなく何やら余計なことを考えている様子の相手に目を細め、僅かに距離を離すと焦点が合わないほどの至近距離で揶揄じみた言葉を零し / 再び唇を重ね合わせると未だ閉じている唇の端を舌先で突き、口腔内を晒すように促して )

…意外だな。そんな言葉が欲しいのか？( 明け透けな問いに一度目を瞬かせ / 口元に微かな笑みを浮かべ )…黙れよ、( 唇が離れたかと思えば直ぐ傍から聞こえた言葉に眉を寄せて低く呟き / 相手の首元へ両腕を絡ませると促されるまま唇を開き舌先を柔く食み )

可愛いだろ。俺もそこそこ俗なもんでね。( 僅かな笑みを漏らしながら )…ふ、( 反抗的な言葉に微かに楽しげな笑みを零し / 舌の先端に合わされたそれを絡め取ると裏筋を擦り合わせるように繋がりを深くして / 傍ら服の裾から腹に手を潜り込ませ、擽るような手付きで素肌をなぞり )

…あァ、好きだよ。残念な事に。俺がソレをやんのは生涯でお前だけだ。( 相手の言葉に笑み零し / 自らの肩口を人差し指で軽く叩き )っ、ン、( 交わす口付けに心地良くなってしまうのも久々で頭の芯が痺れるような感覚に顔を顰め / 触れられた場所から震えが走ると半ば無意識に籠った声が漏れ / その触れる手付きからどうやら相手の自負は思い上がりでも何でもないらしいと理解すれば仄かな危機感を覚えて気づけば伏せていた目を開き )

っくく、ようやく手に出来たな。( 少し甘過ぎる程糖度の増した声を半ば無意識に落として )……我慢すんなよ？( ゆっくりと顔を上げると銀糸の伝う唇を拭い、眉根の寄せられた表情に吐息のみで笑みを零して / 触れた箇所から伝わる振動に意図せず瞳に剣呑な光が宿り / 開かれた瞳に目元だけで笑みを露にすれば相手の耳元に唇を寄せ / 親指と人差し指で耳朶を柔く摘み、甘噛みよりもほんの少しだけ強い力で牙を耳の皮膚に突き立て )

…何処もかしこも価値しかねぇ男だな。( 相手の声音に僅かに胸の奥の辺りが重くなるような感覚がすれば苦笑漏らし / その声で一体どれだけの人間に言う事を聞かせて来たのかと想像を巡らせては肩を竦め )…ッ、( 唇が離れれば無意識に体に力が入っていたのか思わず微かな溜息が漏れ / 相手の言葉の意図を理解しようと頭が働き出した頃不意に耳元へ痛みが走ると息を呑んで眉を寄せ )