天使と悪魔はワルツを踊る(〆)

天使と悪魔はワルツを踊る(〆)

グラサンオールバックの悪魔(♀)  2023-07-02 08:48:30 
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待ってるぜ、クソ天使サマ。

(お相手様決定済)

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  • No.81 by グラサンオールバックの悪魔(♀)  2023-07-17 12:11:04 

…アイツ、上手くやってっかなァ。
(ジャスティスは拷問中、対象を余所目にぼんやりと呟く。─あの不気味な子供は、彼女の目から見ても随分恐ろしかったらしい。透き通った中にも底知れぬ闇を秘めていた─
アリシアに問われた少年は小さく首を傾げ、相変わらずのあどけない表情で答えてみせた。「えっと…ぼく、じごくからきたんです。あくまさんたちに、『おまえはてちがい』だったっていわれて、おまえはてんごくにいきなさいって」─高等悪魔ジャスティスに懐く、彼女に「底知れぬ闇を秘めている」と評される彼はなんでも良く知っていた。眼の前の、天使だかなんだかよく知らないが、この妙に白い服装の人間の前でどのように振る舞ってやれば喜ぶか、警戒しないかなんて彼にはとっくに分かっている。それでも分からないのは、そう。自分の大好きな、恐ろしいほどに顔立ちの美しい、絵の具の赤を塗り重ねたような瞳をした、『ジャスティスおねえさん』だけ。彼女には自分の培ってきた対人用のスキルが一切通用しなかった。何をしても、彼女は目を細めて、呆れたような表情で『そうかよ』と言うだけ。だから、自分は彼女のことが大好きなんだ─少年はアリシアを観察し、子供らしく振る舞うことに決めたらしく、アリシアの瞳を潤んだ大きな黒い瞳でじっと見つめ、「ねえ。おねえさん、もしかして…てんしさま?ぼく、てんごくにいきなさいっていわれたけど…よく、わかんないんだ。てんごくのどこにいけばいいの?おしえて、てんしさま」と拙い声で喋りながら、いかにも心配げな表情を浮かべ、アリシアの服の裾を掴んで小さく引いて)

  • No.82 by 見た目が良くて性格が終わっている天使(♀)  2023-07-17 13:28:05 



ッ、─── 。
そう。それは大変でしたね。怖かったでしょう。

( 無垢な瞳の美しい少年にワンピースの裾を掴まれた途端、ぞわり、と全身に泡肌が立つ。手違い?否。この子供は間違いなく地獄行きで合っている。…そんな確信を得ながらアリシアはそれをおくびにも出さずにただただ微笑む。何故自分にこの子の根底にある恐ろしさが理解できるのかアリシアには分からなかったが、恐らく、きっと、アリシアと彼が同じようなタイプだからこその同族嫌悪なのだろう。純粋そうな瞳で、にこにこと、蟻を潰すような。そんな恐ろしい黒い塊に彼が見えて仕方がなかった。「 …全ては主のお導きのままに。 」さくらんぼ色の唇からこぼれた言葉は、彼に告げると言うよりも自分に言い聞かせるようなそんな響きを含んでアリシアは彼の手を引いて〝保護課〟と天使たちの中で呼ばれる見習い天使たちを育てる場所へ連れていき。─── 保護課に連れて行けば、それはもう担当天使たちはこのおぞましく美しい少年にメロメロだった。〝 なんて美しい子なのでしょう 〟〝手違いで地獄に行っていただなんて可哀想に、ここで穏やかに過ごしましょうね〟 〝 共に主に仕え、学んでいきましょう。〟そんな風にさわさわと穏やかで上品な教官天使たちが蝶よ花よとでも言うように彼を取りかこめば、アリシアは一刻も早くこの黒く恐ろしい少年から離れたくて、「 では、よろしくね。 」と、見習い天使として今日から天界に置かれるであろう、地獄からのお客様ににっこりと微笑んで。 ─── 嗚呼、なんだかひどく、あの美しい赤い光がみたい。 )



  • No.83 by グラサンオールバックの悪魔(♀)  2023-07-17 13:59:30 

…アー、でもアリシアなら見抜いてるだろうなァ。
(また一匹天使を潰し、廃棄係に引き渡し、ようやく今日の分の天使を潰し終わったジャスティスは部屋の中で煙草の煙を揺らし、飽きたような態度でそう呟く。─あの柔らかなエメラルドグリーンなら、あのガキの艷やかな、大きい黒曜石の中に潜んだ底無しの闇が見えてもおかしくは無さそうだ。ジャスティスは呟いてから、喉で笑いを噛み殺した。相変わらず隣の部屋からは対象の悲鳴が引っ切り無しに聞こえてくる。…どうやら、拷問官の手際が悪いらしい。聞こえてくるのは全て、金属を引っ掻くような耳障りな悲鳴だ。ふと、煙草が切れていることに気が付いたらしいジャスティスはいつものように「煙草買いに行ってくるわ」と同僚に言い残すと地獄の門を片手で押し開け、地上へと煙草を買いに出ていった。
「…ありがとうございます、てんしさま」少年は礼を口にして子供らしく手を振ったが、去ってゆくアリシアの背に向ける瞳は、訝しげで冷え冷えとしている。─あの天使、自分の本性が見えていたのだろうか。警戒─ではないが、怯えている?訳でもない。何とも言えない、妙な態度を取られていたような気がする。…まあ、天使一人に本性を見透かされていようがいまいが、大したことではない。自分はただ、天使になれという『大好きなジャスティスおねえさん』からの頼みを遂行するだけだ─少年は教官天使たちの方に視線を戻し、その中でも一番自分が操りやすそうな老女の天使に的を絞ったらしい。その、気の良さそうな老女の天使の前に歩み出ると「えっと、これから…よろしく、おねがいします」と辿々しく口にして頭をぺこりと下げ)

  • No.84 by 見た目が良くて性格が終わっている天使(♀)  2023-07-17 14:38:21 



……問題はいつ始末するか。

( ぽそり、と言葉を吐いたアリシアの瞳には暗い感情が渦巻き、いつもの優しげな雰囲気は1ミリもなかった。ただ天国の内情を嗅ぎ回っているくらいならば別に気にすることもないが、内部を引っ掻き回そうとして天国に上がってきたのならば地獄にお帰り願わなければ。だがああいうタイプはそう大人しく帰ってくれるはずがないので、そうなったら始末をしなければならない。彼の狙いが分からない限りはどう動くことも出来ないので今のところは天国の中でも一番穏やかで人格者が多い天使が集まる場所に放り込んだが─── …マァそこで簡単に取り入れたと油断をしてくれるなら万々歳だ。鼻高々になっている所を始末してしまえばいい。アリシアは天国からいつものように暗い路地裏に降りたてば、美しい白い羽もそのままに細長い煙草を咥えれば慣れた仕草で火をつけて。 )


  • No.85 by グラサンオールバックの悪魔(♀)  2023-07-17 14:49:18 

…お、いたか。
(ジャスティスは普段の店で普段の煙草を買い終わり、地獄に戻ろうとしたが、気まぐれかそれとなくアリシアの姿を探してみる。─あァ、居た。アリシアはいつもの路地裏で、いつものクソ天使サマらしくない表情で、前に一度見た煙草を吸っていた。その雰囲気に妙なものを感じたジャスティスは極めて明るい調子を保ちつつ、「よォ、アリシア!」と手を振りつつ声を掛ける。そこから何か話そうとしたらしいが、先に例の子供の説明の方が先だと判断したらしい。「…アー、アリシアには説明しとくか…あのよ、ついさっき天界にガキが来ただろ?黒曜石みたいな目の、不気味なガキ。アイツ、オレのちょっとした知り合いなンだわ。ンで、アイツを天使サマに仕立て上げてよ、拷問はヤだの、責任者を出せだの下らねェことをゴネるクソ野郎共を鎮静化できねえかって話になってンだわ。責任者オレだっつーの。…ま、そういうことで。誤解させたンなら悪ィな、アリシア。飯でも何でも奢るから許してくれや」ジャスティスは少年の不気味な美貌を思い浮かべつつ、眼の前で不穏な空気を纒うアリシアに軽く謝罪した。余程ぼんやりしていたのか、普段の黒い相棒はどうやら、仕事部屋に置いてきたらしい。普段は不敵に輝く、赤く冴えたピジョン・ブラッドが、多少は申し訳無さそうにきゅう、と細まる。拒否されないか反応を伺うようにしつつも、足一歩分距離を詰めて隣で煙草の煙を揺らし)

  • No.86 by 見た目が良くて性格が終わっている天使(♀)  2023-07-17 15:54:34 



─── …ジャスティス。
ごきげんよう。

( 聞き慣れた耳馴染みの良い低音に、アリシアの大きな羽がぴく、と動く。声の主を呼ぶ声は幾分か明るくなり、そちらへ目を向ければ先程自分が無性に見たかった紅の光が目に入り少しだけ表情が和らいで。ひらり、と自分も同じように手を振り返せば、ふと彼女の口から語られたのはまさに今自分の悩みの種だったあの美しい少年の話題で。ぱちぱちと光の戻ったエメラルドグリーンの瞳を何度か瞬きさせながらその話を聞いていけば、なんと先程の少年を仕向けたのは彼女らしく、その少年の使い道も先日彼女が言っていたような拷問用に使う天使のように扱うらしい。彼女からの謝罪と、美しいピジョン・ブラッドの瞳が細まりアリシアは思わずふは、と笑ってしまえば「 そうだったの。……あの子、中身が真っ黒で驚いたわ。そういうことなら他の天使たちは気づいていないから、そのまま見習いとして置いておくわね。 」と、幾分かいつもの調子に戻った柔らかな笑顔と口調で地獄からのお客人を置いておくことを決めて。しかし矢張り先程の少年がおぞましかったのか、出しっぱなしにしていた大きな羽で彼女と自分を周りから見えないように包めば明かりが遮断された事により強調された彼女の瞳の光を見つめながら妖しく光るエメラルドグリーンで「 お礼とお詫び、1日貴女を独り占めする権利で手を打ってあげるわ。 」 と甘ったるい声でねだれば、そのあとにパッと羽をしまうことによって彼女を解放してはなんちゃって、と紫煙を纏いながら天使らしからぬいたずらっぽい笑みを浮かべ。 )


  • No.87 by グラサンオールバックの悪魔(♀)  2023-07-17 16:27:13 

…オーケー。取引成立だな、アリシア。
(ジャスティスはその甘ったるい声と笑みに呼応するかのように唇の端を歪め、尻ポケットから携帯電話を取り出すと何処かへ掛けた。電話をした相手は二人、一人は拷問課の、元天使の同僚─要するに「今日はもう仕事を入れるな、もし入れたらお前でも容赦なく潰す」という旨の一方的な連絡。そしてもう一人は、今教官天使たちに囲まれているであろう例の少年─事情を知っている天使が一人いるから、その一人は彼の対人スキルでも無駄だという報告。どうやら同僚からは何故急に、という困惑とまあお前だしな、という諦めの、少年からは「そうですか、わかりました」とのごく簡易な反応が返ってきたらしく、ジャスティスは通話を終了して携帯電話を切った。「ま、アイツなら天使サマでもそれなりの立場まで行けンだろ。アイツ、アリシアと同じで外面は良いからな」若干冗談めかしつつそう笑い、「…何なりとお申し付けを、アリシア?」うっすらと青年紳士の仮面を被ったジャスティスはアリシアの手を優しく取る。─まァ、金なら腐る程余っている。どんな高級ディナー、高級な品を要求されようと金ならある。…ま、『それ以外』でも高等悪魔の自分にとっては問題はない訳だが─さて何を言い出すか、とでもいうようにアリシアの様子をそれとなく伺ってみて)

  • No.88 by 見た目が良くて性格が終わっている天使(♀)  2023-07-17 17:27:16 



、……ほんとうにいいの?

( あまりにアッサリと時間を割いてくれた彼女に、思わずぱちりと目を見開いて確認をしてしまう。地獄はいつだって仕事に追われているイメージがあったのに、ともうすっかり短くなった煙草を慣れた動作で白いパンプスで潰せば、おそらく彼女の後輩になった元天使の彼とそれからさきほどの少年に連絡したのであろう姿をぼうっと眺めてしまう。なんやかんや本当に面倒見の良いというか、義理堅いなぁなんて思いつつ。と、電話が終わったらしい彼女の軽口に「 ま。失礼ね、私の方が可愛いでしょ。 」なんてぷく、と白い頬を膨らませてさくらんぼ色の唇を尖らせては恐らく指摘すべき事項は他にもあるだろうがちゃっかりとアリシアらしい点を指摘して見せて。─── …するり、と優しく自分の手を取った彼女の黒い革手袋の感触はもうすっかり慣れた、落ち着くような感覚すらも覚える。アリシアは彼女の青年紳士の仮面ににっこりと微笑めば「 何してもらおうかしら!、 」とご機嫌そうに彼女の瞳をじっと覗き込む。人間界の女や天使たちが花を愛でるのと同じように彼女のピジョン・ブラッドの瞳を見つめるアリシアの瞳は楽しげで、きっと放っておいたらずっと見つめていることだろう。この間拷問体験はさせてもらったし、別にお腹は空いていない。地獄だって案内してもらったし……と艶やかな唇をつん、と尖らせながら悩んでいるようで。 )

  • No.89 by グラサンオールバックの悪魔(♀)  2023-07-17 18:59:13 

ま、拷問課の責任者はオレだからな。
(アリシアの、珍しく驚いたような言葉を聞いたジャスティスは楽しげに笑い、「オレが一言『仕事入れンじゃねェ』って言ったら、逆らうヤツはいねェよ」と言いながらも、彼女もまたアリシアを連れて行く場所を決めあぐねているらしい。─前にコキュートスホールには連れて行ってやったし、地獄のブランドショップでは悪魔が好みそうな品ばかりで、お上品な天使様であるアリシアのお眼鏡に叶いそうな品は、想像する限りあまり見当たらない。─ジャスティスは世の紳士がそうするように、悩むアリシアの顔を辛抱強く眺め、特に何を言うでもなくアリシアが話し出すのを待っていた。そう言えば、最初に出会った時に連れて行ったカフェ。ああいう雰囲気はどうにも苦手だが、女を連れて行くならあいう場所がうってつけだろう。頭ではそう思いつつも口に出すことはなく、相変わらずアリシアの返答を待っており)

  • No.90 by 見た目が良くて性格が終わっている天使(♀)  2023-07-17 19:39:01 



─── …そうだわ!私のお気に入りに連れて行ってあげる!

( 暫く…といっても微々たる時間だが、突然パッと思いついたかのように表情を明るくすればアリシアは彼女の手をやんわりと握ってにこにこふわふわ微笑み。初めて会ったときに連れて行ってもらったカフェはとっても素敵だけれど、でも〝自分と彼女〟には少しばかりお綺麗すぎる。アリシアはぱちん、と1度だけ白魚のような指を鳴らせば彼女の美しい純白のドレスは女性らしい体のラインを強調させるようなタイトミニスカートドレスに黒いピンヒールに変わり。「 こっちよ。 」いつもの天使様の顔ではない、現世で遊ぶ時のようないたずらじみた妖しい笑顔を浮かべながら彼女の手を引けば、暫くして着いたのは裏路地にある人間界の薄暗いバーで。「 大きい音だから、気をつけてね。 」と慣れたように酷く落書きのされた扉を開けば、その中は耳を澄ませなければ隣の人の声すら聞こえないのではないかという爆音の音楽に露出したドレスの女たち、それから部屋の中を充満する酒とタバコの匂いという人間の欲を煮詰めたかのような空間で、アリシアは迷うことなく彼女の手を引きながらその中をスイスイ進んでけば何やらしっかりとした身なりの紳士と2,3言話した後にその中でも酷く上等な扉の中へとさらに進んでいく。─── ここはアリシアの〝遊び場〟。この店のVIPルーム。上等な赤いベロアの柔らかいソファにテーブル、豪奢なシャンデリア。おそらくこの後先程の紳士が上等なワインを持ってくるだろう。「 お気に召した? 」とくるり、とようやく彼女の方を振り向けば、ふふん、と自慢げににっこり笑って。 )


  • No.91 by グラサンオールバックの悪魔(♀)  2023-07-17 21:16:50 

へェ…アリシア、お前天界よりこっちの方が似合ってるぜ。
(何やら思いついたらしいアリシアに案内されたのは、いつの間にか着替えていた彼女よりも、自分の方が似合いそうな雰囲気を放つ路地裏のバーだった。地獄では悲鳴に置き換わっている、よく耳にするような─ここではジャズやらロックやらの─重低音の大音響が耳に響き、ヘビースモーカーを自負しているジャスティスでも噎せ返るような、濃い煙草の匂いと酒の匂いが店中に充満している。タイトなドレスを身に纏った美女に手を引かれてゆく、黒いスーツ姿の男とも女とも取れない自分に向けて物珍しそうな視線を投げかける女たちに片手を挙げて適当な愛想を振り撒き、手を引かれるがままに上等そうな扉の中へと入っていく。黒い革手袋を外し、少々病的にも見える青白い、多少の節は目立つもののしなやかな指で赤いソファの質感を確かめるとアリシアの横に腰掛け、部屋の内装をざっと見回してから「…あァ。オレの部屋と似てて、なんか落ち着くな」と笑いながら言葉を返した。─その言葉に、嘘はなかった─彼女の部屋はいつも夜色に染まっているが、確かに電気を点ければこのような内装であるらしい。尻ポケットから煙草を取り出すと火を点け、紫の煙を吐き出しながらアリシアの方に目線を送り、ゆるやかな怠惰に身を任せるようにソファに沈み込んでいて)

  • No.92 by 見た目が良くて性格が終わっている天使(♀)  2023-07-17 21:53:01 




うふふ、たしかに。
天界よりここの方が深く深呼吸できるわ。

( 彼女の揶揄う様な言葉に特に機嫌を悪くする訳でもなくにっこりと甘い語尾を滲ませながら其れを肯定すれば、普段着ている白いワンピースとは対象的な黒いタイトドレスのスリットから除く細い足をするりと組んで。それから彼女の部屋の内装に似ているという言葉にくすくすと笑えば「 本当?このお部屋、元々使ってなかったのを〝お強請り〟してこうして改造したの。 」と彼女のつけたタバコの火を先日と同じように拝借し、紫煙を吐き出しながらどうやらリラックスしてくれている彼女を見て嬉しそうにふわりと微笑んで。VIPルーム…もといアリシアの遊び場は、元々余っていた此の部屋をアリシアが適当に店主と寝て現世に降りた時の遊び場やら眠る場所として用意したのだが、いつの間にかVIPルームとして稀に使われていることもあるらしくこの部屋を使ったVIPたちがアリシアに使用料として適当な酒を献上していくのだ。と。コン、と軽いノックの後先程の紳士が上等なワインとグラスを持ってきたようで、にこやかに部屋に入ってきた紳士は机に置いた2つのワイングラスにワインを注ぎ、ご丁寧にしっかりとラベルをこちらに向けて立ち去っていく。─── アリシアがお気に入りの年代物のワインだ。アリシアは一つグラスを三本の細い指で持ち上げれば「 ワインはお好き? 」と行儀悪くソファの上にお姉さん座りをして、にっこりと天使様らしい純新無垢な笑顔で首をかしげ。 )

  • No.93 by グラサンオールバックの悪魔(♀)  2023-07-18 08:49:16 

恐ろしいこったなァ。
(アリシアの言葉を聞いたジャスティスは、然程思ってもいなさそうな態度でそう口に出し、ソファから─面倒そうではあるが─若干身を起こしながらまた紫煙を吐き出す。運ばれてきたワインボトルに赤い瞳を向け、「ま、それなりに?嗜む程度ならな」と社交辞令のように笑いながら、普段の彼女らしからぬ優雅な仕草でグラスに口を付けた。美味いとも不味いとも言わぬまま、グラスの中の揺れる液体を全て飲み下し、ジャスティスはグラスを一旦テーブルにことりと置く。そうしてまた煙草の煙を揺らし、「…悪くねェな、コキュートスホール以外で飲む酒も」と小さく呟いた。もう片方の手袋も外し、素手になった彼女は再び柔らかなソファに沈み込んでおり、室内のシャンデリアにその肌を透かしていて)

  • No.94 by 見た目が良くて性格が終わっている天使(♀)  2023-07-18 12:11:15 



美人が横にいるから、でしょう?

( 悪くない。隣の悪魔からその評価が聞こえれば自分も同じようにソファに深く背を預けながら冗談交じりに言葉と紫煙を吐き出して。初めて見た彼女の黒手袋の下に隠された手は、自分と同じ性を持っているはずなのに自分よりもなにだか美しく、節のあるしなやかな素敵な手に見える。くい、と1口煽ったワインは芳醇で、不思議といつもよりも甘く感じる。ワインの味を飲みやすいと評すのは失礼だと自分に教えたのは誰だったか、そんなどうでもいいことを考えながら少しだけワインが残ったままのグラスをテーブルに置けば「 ね、ジャスティス。こっちむいて。 」とせっかく二人きりなのだし彼女のピジョン・ブラッドを独り占めしたいとアリシアの中のわがままが囁くがままに彼女の方へいつもよりも体のラインがくっきり見える服で動きづらそうに体ごと視線を向ければにっこりといたずらっ子のように微笑んで。─── せっかくのお詫びとお礼だし、少しくらいは我儘を言っても許されるだろう。 )


  • No.95 by グラサンオールバックの悪魔(♀)  2023-07-18 12:33:21 

ハハッ、違いねェや。
(ケラケラと笑いながら、すっかり短くなった煙草を灰皿に押し付けたジャスティスは、名を呼ばれるがままにアリシアの方を向き、「どォしたよ?」と気の抜けたような甘ったるい声で問いかけながら、その白い頬を指先でするりと撫でる。彼女は赤い瞳をいつものようにきゅう、と細め、唇の端を緩やかに吊り上げた、爽やかな色気の中にも微かに、─気を付けなければ見えないほどの、本当に微かだが─理由の知れない悲哀を含んだような不思議な表情を浮かべており、手慣れた調子でアリシアの返答を待っていて)

  • No.96 by 見た目が良くて性格が終わっている天使(♀)  2023-07-18 18:04:24 



─── ん、

( 黒手袋に隠されていない彼女の手に頬を撫でられれば、ぴく、と小さく肩を跳ねさせたあとにその美しい手に重ねるように自分の小さな手を添える。…いつも自分が触れる彼女の手とは違う感覚だが、不思議と落ち着く。人肌に触れると落ち着くと人間の男はよく言っていたが、天使と悪魔でも其れは同じなのだろうか。アリシアはもっと触って、と言いたげに彼女の手に重ねた自分の手をきゅ、と力を込めたあとに彼女の宝石のようなピジョン・ブラッドと自分のエメラルドグリーンを交わせばふわりと穏やかにわらいながら「 貴女の瞳、きっと悲しいから綺麗なのね。静かな湖畔のようだけれど、たまに水面が揺れるの。……好きよ、私。 」といつものどろりとした甘さではなくふわふわとした羽のような口調でぽつりと言葉を零しては、そのままソファに両膝を立たせて彼女を見下ろすような姿勢に動く。─── 普段見上げている彼女をまるで絹糸のようなブロンドで閉じ込めているような気分だ。独占欲のようなぞわりとした不思議な感覚がアリシアの細腰を粟立たせ、するりと今度は反対に自分が彼女の頬を柔らかい両手で包めばアリシアは満足気に笑って。 )


  • No.97 by グラサンオールバックの悪魔(♀)  2023-07-18 19:59:33 

…ハッ。
(悲しいから美しい、自身の赤く冴えた瞳をそう評されたジャスティスは負け惜しみのように鼻でその言葉を嘲笑ってみせた。眼の前で美しく輝いている、柔らかなエメラルドグリーンに、自分の全てを見透かされたとでもいうような気がして、内心は穏やかで無いものの、反抗はせずされるがまま、彼女を見下ろすアリシアの健康的な白さの手に頬を包まれる。ジャスティスの青年めいた端正な顔立ちが、アリシアの絹糸のようなブロンドのカーテンに包まれる光景は、傍から見れば不思議と幻想的に見えた。「…ンで?この後は何してェんだ?買いモンでも、それ以外でも。何でも付き合うぜ、取引したもんな─ホントに、『何でも』、なァ?」ジャスティスは声だけでも相変わらずの軽薄な調子を保ったまま、顔をアリシアの耳元に近づけ、砂糖菓子に蜂蜜をたっぷり付けたような、どこまでも甘ったるく作った掠れ声でそう囁いてみせ)

  • No.98 by 見た目が良くて性格が終わっている天使(♀)  2023-07-18 20:34:58 




んふ、……そうね。なんでも。


( 甘い、どんな砂糖菓子よりも、蜂蜜よりも、ずっとどろどろとして中毒性のある掠れた声がアリシアの鼓膜を震わす。ぞわぞわと足元から頭のてっぺんまでを駆け巡った妙な感触と彼女のそのままの意味での悪魔の囁きにくす、と天使とはおおよそ思えない女の笑みを浮かべれば、彼女を自分のブロンドのベールに閉じ込めたまま皺ひとつない艶やかなぽってりとしたさくらんぼ色の其れと彼女の薄く形の良い其れをそっと重ね合わせ。ちゅ、と軽いリップ音の後に離れたアリシアの顔は悪戯の成功した子供のように楽しげで、キスとも呼べない子供がする挨拶のようなその行為はどうやら天使様のことがお嫌いな彼女への嫌がらせに近いようだった。「 ね、嫌だった?クソ天使様と唇を合わせて、今どんな気持ち? 」きらきらふわふわと正に天使様と評するに相応しい微笑みを浮かべながら彼女のピジョン・ブラッドを見詰めては、角度まで計算されているのではないかと思わせるほど完璧にこてりと首を傾げて見せて。 )



  • No.99 by グラサンオールバックの悪魔(♀)  2023-07-18 21:25:31 

…アー、よく分かんねェなァ?
(ジャスティスはしばらく全機能を停止して瞳を見開いた後、赤く冴えたピジョン・ブラッドの瞳と唇を引き歪めて楽しげに笑うと、青白い指先でアリシアの唇をなぞった。「分かんねェからよォ…もう一回頼むわ」悪戯っぽくそう言った後、彼女は自身の唇を眼の前の柔らかな唇に重ね合わせ、悪戯を思いついた子供のように片目を瞑ったかと思えば、彼女の瞳と同じように赤く肉厚な舌を這わせ、ワインを舐め取るように往復させる。暫くそうしていると飽きたのか、唐突に離れて自身の唇を舐め、「…御馳走さん。案外悪いもんじゃァなかったぜ」と口にしながら、猫でも可愛がるかのようにアリシアの顎先をするりと撫でた。片手で机の上のワインボトルを引っ掴み、自身のグラスに縁ギリギリまでなみなみと注ぎ、一気に飲み干しては満足したようにアリシアの束縛をすり抜けてしまい、再びソファに身を預けながら煙草を吸い始め)

  • No.100 by 見た目が良くて性格が終わっている天使(?? ♀)  2023-07-18 21:59:35 



、─── ん、ッは、……。

( てっきり。彼女はその美しい眉を顰めて、柔らかいくちびるから舌打ちを零して、それから美しいピジョン・ブラッドを嫌悪に染めてそこに自分を映すとばかり思っていたのだ。……そのはずだったのに、なぜだか先ほど離したはずの柔らかい唇はまた自分に噛み付いたままだし、更には彼女のとろりと赤く肉厚な舌がアリシアを弄んでいる。ぞくん、と今までの小さなそわそわとした優越感が嘘のように大きく突発的な快楽の波が体を襲えば、アリシアはそれに抗うように思わず彼女の服をちいちゃな手で掴んで。─── やだ、私がするはずなの。私が楽しむものなのに。いつもそうして男を美しい白魚の手で弄ぶアリシアにとって、彼女からのカウンターは想定外も良いところであった。暫くそうしていただろうか、アリシアにとっては永遠にも感じたその時間から唐突に解放されては満足気にアリシアの顎を仔猫を弄ぶ其れのように撫でてワインと煙草を楽しみ始めた気紛れな彼女にアリシアは「 っ、……思ってたのと違う!! 」と真白の頬を禁断の果実のように染めながらぷんすこと子供のように駄々を捏ねて。まだ発熱しているかのように熱い体と、それから唇を重ねる行為なんかで大きく自分の存在をアピールしている心臓が煩くてアリシアは「 嫌(や)!ジャスティスが焦ってるところを見たかったのに! 」と半ば八つ当たりのようにぽすぽすと柔らかなソファを掌で叩いてはそれでも満足しなかったのかグラスに残っていた生ぬるいワインを全て口内に流し込んで。 )


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