龍と太陽

別に気にしなくていい、俺が好きにしているだけだ
(さて、食器を洗おうかと思った途端横にいた彼がどうやら手伝いたいらしくそこまで気にしなくていいのにとそう言って。それから、彼の顔がこちらに向くようにするとそのままキスをして「それに…礼ならこっちの方が俺はいいんだが？」と意地悪そうな笑み浮かべ)

だが…それではなっ――…っ､
(相手が気にしなくても己は退く気がないのかそちらへと顔をやれば不意にされたキスに目を見開いた途端､顔を真っ赤にさせ口はパクパク何もいえず逃げるようにリビングへ戻りかけるのだが､相手に礼をしたいのもありつつそれで嬉しいならと､キッチンへ戻り相手の名を呼んでは此方を向かせ「相州――」顔を近づけ触れるだけのキスを下して)

っ…、
(みるみるうちに顔を真っ赤に染め上げ、なにか言おうとしたもののリビングへと戻るのを見ては反応がいちいち面白いなと思っていると、こちらへと戻ってきて名を呼ばれ、何だと聞き返すよりも前にキスをされては僅かに耳を染めて)

――…さっきのお返しだ｡…ふっ､なんてな｡
(ぱっと口を離すと小さく笑みを浮かべ何処か悪戯染みた笑みで上記を言って｡なんて言うものの自身も相当恥ずかしいかったのか耳が分かりやすいほど真っ赤になりつつ逃げるようにその場から去ろうとし)

…あんた、物怖じしないというかなんと言うか…
(手早く食器を洗い終えると同時に逃げようとする彼の腰へ腕を回し、彼は変なところで見栄を張る様だなと真っ赤になった耳を見ながらそう言って。「相手が俺じゃなかったら、あんた今頃食われててもおかしくないぞ」と続け)

っ…?!
（仕返しなんてしなければよかった。自分自身が恥ずかしくなると今頃になって後悔し始めるもリビングへとすたこらと逃げようとするものの相手に簡単に捉まってしまい。地味に抵抗をしつつ相手の言葉にまたも違う意味で捉え「…は?!だからその食われる、食われると言われてもだな…!俺を食べても上手くないと何度言えばわかるんだ…っ」と抵抗をし続け）

襲われる、と言った方が分かるのか？
(彼は鈍感なのかそれとも純粋なのか。昔からそういう話をする事は無かったから仕方がないかもしれないがこの年になれば少しくらい分かるんじゃないかと思い、それならばと他の言葉で表してみて)

………えっ､おそ…?!
(今まで分からなかった言葉にやっと"食われる"の意味を理解してはいつの間にやら抗すらやめており)

やっと分かったか、安心しろ。あんたを襲うなんてことはしないからな
(ようやく本当の意味が分かったようで、其の反応を見てはクスリと微笑み。しかし、彼に手を出すなど以ての外。それだけはしないと言えば額にキスしてリビングへと戻り)

っ…、
（満足げに額へキスをされては恥ずかし気にその額へと手を添え。此方も遅くリビングへ向かいソファーに腰掛けぼんやりしており）

(後から戻ってきた彼はソファーに座るとぼんやりとしていて。どうしたのだろうかと思えば「おい、どうかしたのか」と聞き)

…あ｡いや､なにもない｡
(ハッと我に返り相手の方へ向くと首を振り｡このまま居座るのは相手に迷惑だと思い着替えて帰ることに決めソファーから立ち上がると､「…そろそろ俺は帰る｡昨日はありがとう｡」と礼を言えば寝室にある自身の着替えを取りに行き)

分かった、また来たらいい。
(どうやら彼はそろそろ帰るらしく、それならここに長居させるわけにはいかないと頷いて。しばらくして彼が帰る準備も終え玄関まで見送るとその後はゆっくりと過ごすかと再びリビングに戻り)

（相手と別れを告げその場から出ていくと、階段を下りていき自身の部屋へ辿り着くきポケットから鍵を取り玄関を開け中へ入り。真っすぐリビングへ行くと荷物を置きソファーへ座り昨日の彼との思い出を思い出しつつ一日のんびりと過ごして）

(翌日、いつものように目を覚ましてはゆっくりと朝食をとっては昼一限のみの授業をとっていたために昼に家を出てはいつもの道を歩いていて)

（昼からアルバイトということもあり朝からの授業を一限のみ受けそこから昼までアルバイトをやり終え欠伸を一つ漏らし帰り道でもよく使ういつもの道を歩いていれば向かいから彼の姿が。「…相州。今から授業か?」と相手の名を呼ぶとそう問いかけ）

ああ、あんたは今終わりか
(歩いていると、こちらへと近付いてきたのは彼で。恐らくバイト帰りか何かだろうと思えば彼の言葉に頷いて)

ん、バイト帰りだ。
（今から授業ということは一限目だけだろう。そうだと分かれば此方も彼の言葉に頷くと、少しだけ話しては「…じゃ、また」と相手と別れようとし）

(今から授業という事もあり、ここで長居は出来ないために一度別れるとそのまま大学へと向かい。運が悪いのか、授業が終わる頃にはこの時期ということもあり大雨が降っており。天気予報では晴れと言ってなかったか？とうんざりしながらも走れば何とかなるだろうかと家まで走る事にして)

…!っ、洗濯物…!
（テレビをつけたまま転寝している頃、遠くで雷の音がしたかのように感じパッと目が覚めれば、慌てて洗濯物を取りこしていれば大雨の中走る彼の姿が。急な雨なこともあり確か傘を持っていなかったことを思い出せば急いで洗濯物を適当に放り投げ大きめのタオルを持ち出すと慌てて部屋から出て階段を降ていき下で待っており）