燭台切光忠 2017-03-18 23:04:23 |
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(課題をいくつか終わらせ、鞄の中にしまわれたままだった進路についてズラッと文字が並べられた用紙が出てきて。今はまだ1年だがこの春休みを終えると2年、周りもそろそろ考え出すのだろうと思い。しかし今のままで自身が進みたい道に行けるのかと考えた時に少しの不安もあり。うーん、と唸り机に突っ伏して)
――…入るぞ、
(小さな御盆に乗った淹れたてのコーヒーを両手で持ちながら部屋に移動し、扉の前まで来れば二回ノックをし一言断りを入れてから片手でドアノブを捻って開け。中に入ると机に突っ伏した姿勢の背を視界に捉え、ゆっくりと傍に歩み寄り「課題で忙しい所済まないが、コーヒーを淹れてきた。飲まないか?」と遠慮がちに問い掛け)
ああ、すまないね。ありがたく頂くよ
(部屋に入ってきたと同時に珈琲のいい香りが部屋に充満して。彼が入れてきてくれたのだろうと身体を起せばコーヒーカップを受け取り礼を述べて。「課題はもうある程度済んだよ、ただこれから先の事を考えると…不安になることもあって」と苦笑を浮かべ)
先の事…か。お前は何か目指しているものは無いのか?
(如何やら自身が来る前に課題はある程度片しているらしく、邪魔してない事に安堵の表情を見せ。コーヒーの礼を受け取り御盆を片手で持ち直すと突然今後の将来について不安があるのか悩み事を打ち明けてくれるも、彼の進む道を知らない為に先ずそこから聞いてみて)
うん、僕は何をしたいんだろう?って思った時にいくつかは思いつくんだ。でもそれが本当にやりたいことなのかは分からない
(先の事を聞かれるとまだ話せることは少ないよと前置きして。それから今自身が悩んでいることを述べると「僕は料理家の道を目指すために学校に入ろうと思う、でもそれだと今も賄ってくれてる父さんと母さんに申し訳ないのかなって」と続け苦笑し)
そんな事は無い。お前の決めた事ならきっと喜んでくれる筈だ。
(悩み事を真剣に聞けば先の事は話せずとも、確りと明確に自分の進路を決めてあり料理家と口に出した言葉に彼らしいと内心思いつつ。然し、どこか両親に対して遠慮気味な発言をする彼はきっと進学するにも金銭面で迷っているのが分かれば、否定する様に一度首を横に振って親というのはいつだって子供の味方だと告げてやり)
…そうだね、ありがとう長谷部くん。今度また母さん達にも言ってみる
(たしかに彼の言うように、いつでも親は味方。それは今でも分かっていることで。にこりと笑みを浮かべ少し冷めてしまったコーヒーを口にして)
ああ。俺で良ければ、相談ならいつでも聞くからな
(彼の言葉にこくりと頷いて喩え的確なアトバイスは言えずとも、悩み事を聞く事なら自身でも出来る上に、何か役に立てればと思ったこと優しい声色で口にし)
はは、頼りになるなぁ
(相談ならいつでも受ける、その言葉はありがたいものであって。それから、昨日の事について自身もいうことがあるようで「あの、さ…昨日の事なんだけど。相談とかじゃなくて言いたい事があるんだ」と告げ)
……なんだ?
(人通り話を終えた刹那、昨日の事で自身に言いたい事がある、そう紡がれた言葉を聞けば胸がどきっと高鳴り。正直昨日の今日で返事を貰えるとは思っておらず、何とか平静を装いつつ次の言葉を待ち)
…昨日長谷部くんに好きだと言われた時、すごく嬉しかったんだ。それと同時に、僕も思い出した。燭台切であった頃からこの気持ちをずっと抱えてたんだ。
(昨日、彼から愛の告白を受けその途端脳裏を過ぎった途切れ途切れな記憶。それは昔の自分が長谷部に対して持っていた感情。親愛などではない特別な感情。しかし、今の自身は付喪神などではなくただの人間。そう思った時に胸が苦しくなり。「…僕だって、長谷部くんが大好きだよ。でも、今の僕はただの人間。神様である長谷部くんとは決して相容れないものがある」と苦しげな表情で続け)
……。
(苦し気な表情で彼自身の想いを伝える姿を瞳に映し、此方が告白をした事でまた昔の燭台切であった頃から自身に対して特別な感情を抱えていた事と、はっきりとした言葉で好きだと伝えてくれるが、矢張り互いの間には¨人間と神¨という境界線が引かれたままでこれは自身もずっと悩んでいた事であり。然しあの時、五条の言葉があったお陰で想いを伝える決心がついた。でも彼は、誰にも言えないまま一人で抱え込んでいたのだろう。ふと、床に片膝をついて身を屈めれば彼を見上げじっと見つめ「確かに、人間と神では相容れない関係だろう。…喩え、立場が違うとしても好きになってはいけないのか?俺はそうは思わない」と真剣な表情で内心で思ったこと口に出して)
っ…、確かにその通りだよ。立場だけで諦めれる様なものじゃないんだ。
(彼の真っ直ぐな想いと瞳にぐっと堪えていたものが溢れたような気がして。ずっと一人で抱えていた想い、それは目の前の彼も同じでいて。彼の気持ちに応えたい、頷き途切れ途切れに言葉を紡いでいるとぽとりと自身の目から涙が落ちたことがわかり。必死に堪えようとしても一度流れてしまうと止まらなく。彼には無様に見えているのだろうかと思いながら嗚咽を洩らし「僕ら人間には終わりがある。その終わりが来た時に、長谷部くんをまた独りにするのが悲しくて…」と今まで踏み止まっていた理由を述べて)
いつかお前が、俺を置いて居なくなる事を考えると不安で怖くなる。でも…それでも俺は…お前の傍にずっと居たい。その時が来たとしても、俺は好きな奴と居れたらそれで幸せだ。
(途切れ途切れの言葉と共に、大粒の涙が彼の隻眼から溢れて頬に伝って落ちていく。それは一度とならず涙が止まることなく、嗚咽を洩らしながら泣き続ける姿に頭で考えるよりも先に身体が動いて優しく包み込むようにそっと抱き締め。人間にはいつか終わりが来る事など、二度も前主を失った経験を持つ自身は嫌と云うほど味わってきた。けれどその理由で彼の傍から離れてこの気持ちを諦める事はしたくない為、今まで踏み止まっていた理由を聞いては自身もゆっくりと言葉を紡いで)
うん…、ありがとう。君にはいつも助けられてばかりだ
(抱き締められると彼の体温の温かさと彼の動悸を感じながらそっと目を伏せ。ポツリと小さく上記を呟いて。いつの間にか涙も止まったようで、はぁっと深呼吸をしては彼の視線を合わせ「…それでも僕でいいのなら、どうかよろしくお願いします」と笑みを浮かべ)
ああ、お前じゃなきゃ駄目だ。此方こそ、宜しく頼む
(抱き締めた身体から離れて心臓がバクバクと煩い程に高鳴るも晴れて想い人の彼と恋仲関係になれば、視線絡ませ柔い笑みを浮かべて嬉しさのあまり背にぶわっと桜の花弁を舞わせ)
花弁…?
(離れてこちらも微笑み返すと不意に彼の背から桜の花弁が舞い出して。驚きからぽかんとした表情を浮かべるも「えっ、えっ…?!」と彼の背後へと周り。しかしそこにある訳もないが桜の木なども見つからず。どこから出てきたのか、このタイミングで?と頭の中は混乱し)
(自身の嬉々とした心境を表すかの如く桜の花弁が舞い散れば、驚きから背後に回る姿を目で追い掛け身体も向けると、誉を取った時の様に桜が舞う仕様で「…どうした?」等と声を掛け)
あ、いや…長谷部くんから桜がぶわって…
(桜の花弁が舞う時は彼ら付喪神が嬉々とした感情を示しているという意味を知らなければ、突然だった事に驚いて。しかし彼の様子を見ると動じていないということは普通のことなのだろうと思い)
これは、付喪神が嬉々とした感情を示している時に桜が出るんだ
(今の彼の前でこの現象が出たのは初めてで驚きを隠せないのも頷けて、簡潔かつ分かり易く説明すれば「…お前と恋仲になれて嬉しかったんだ」とどこか気恥ずかしそうに視線を逸らし)
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