燭台切光忠 2017-03-18 23:04:23 |
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(終始無言の状況が続く最中、休憩にと移動すればカフェの店内に入り奥の隅っこに三人で腰を掛け。少し人混みの中で不必要に言葉を発する事が出来ず、神経を使い過ぎて疲れたのか小さく溜め息を吐けば突然この沈黙を破るかの様に五条が口を開くが話の内容が分からない為に二人の方を見据え)
―ああ、本当だよ。確かに今僕は少しずつだけれど昔のことを思い出してる。でもそれと同時に何かを忘れていっているような気がするんだ。大切な、忘れてはいけない何か…それすら分からなくて…
(この静けさを打ち破るかのような五条の言葉をただ静かに聞いていては、こくりと頷いて。それに気が付いたのは最近のこと。まるでそれは何かの代償に思えて。同じような彼ならば同じことがあるかもしれないと聞きたかったようで)
五条)…そりゃ、笑えない冗談だ。残念だが俺はその様な事は起きていない、転生する際に何らかの支障があったのか…?
(長船の言葉を聞いては眉間に眉を寄せ、難しい表情浮かべ。自身の記憶をたどってもそのようなことは起きていない。そのため何も言えず、ただ憶測であることを述べて。「ただ、言えることはある。過去のことを思い出すような場所に近付かない事だ、君の場合美術館に行ってから思い出すようになった。それならばもうそこには近付くな、君が苦しむだけだ」と忠告するかのように告げて)
……っ。
(どうやら話の内容は彼の記憶の事。転生した際に前世の記憶を失い、共に過ごした仲間や自分の事、そしてここに居る自身達すらも存在を忘れた彼に、昔の事を思い出してもらうため以前この街を案内して欲しいと言う建前で美術館に連れて行って貰った事がある。あの日以来、¨燭台切¨の刀を見てから自身も協力して少しずつ記憶を取り戻してきているが、まさかそれが彼を苦しめる原因だと思っておらず。五条の口調はどこか自身にも忠告しているかの様に聞こえ、罪悪感を感じて視線を下に落とし)
っ…、でも、そんなの悲しいよ。過去があるから今の僕はいる、それなのに思い出すことがダメだなんて…
(確かに彼のいうように原因があるならばそこに近付かないことが賢明なのだろう。しかし自身はそこまで心は強くない。過去を知り、思い出せたらと思っていたそれが自身を苦しめていたとは思えずにいて)
五条)…ああ、悲しいだろう。でも、今の君を忘れることもまた苦しい事だ。君が選べばいい、昔を思い出し今を忘れるか…それとも昔を忘れ今を生きるか。
(苦しげな表情を浮かべる長船を見ては同じ時を生きた仲間として胸を締め付けられるような感覚もあり。だからといってここで甘やかし、その結果彼が苦しむ姿も見たくない、淡々とした口調でそう言って。)
(そもそも何も知らずに、過去の手掛かりとなる場所に誘導した要因は自身でいつか記憶が戻ったらと願った事が彼を苦しめる結果となれば後悔するも後戻り出来る状況では無く。罪悪感に苛まれるが彼はもっと苦しい立場に居て、そうしたのは紛れも無い己自身。「…長船。済まない、記憶が戻ったらお前が幸せになれると思って美術館に行ったのが間違いだった。…そうだとも知らず、俺の考えが甘いせいで本当はお前を苦しめていたんだな。許してくれとは言わない、ただ謝りたかったんだ」とここで何も言わずにいるのはその事実から目を背ける事に変わらず、顔を上げて彼の顔を視界に映せば言い訳染みた言葉だが自身の心情を伝えると眉下げ)
そんな、謝らないでよ。僕は…少しでも思い出せて幸せだった
(彼の性格上、今も罪悪感に苛まれているのだろう。どこか苦しげに見える表情を見ては自分が落ち込んでいてばかりではいけないと微笑み。自身が今ちゃんと笑えてるかなんて分からないが、彼の気持ちが少しでも軽くなればと思い。それから暫く黙り込んでしまい)
五条)…まあ、ゆっくり話せばいいさ。俺もまだ話したいことは沢山ある、続きは光坊の家でしよう。
(ここで長居するのも仕方が無い、それならば家に戻り周りの目を気にせずに話せた方が楽だろうと思い付いたようで。まるで自身の家にでも帰るような口調でそう言えば立ち上がり)
…そうか。その言葉を聞けて少し気持ちが楽になった
(此方に向けた微笑む表情を見れば無理して笑っている事が分かり、それも自身の気持ちを少しでも和らげる為の気遣いなのだろう。眉を下げたまま笑い返し今は彼の言葉で救われたと上記を述べ。暫し沈黙が流れるも、再びこの空気を破るかの如く五条の提案に対して「嗚呼、その方が俺も話し易くて助かる」と賛成の意を示せば自身も椅子から立ち上がり)
五条)ああ、そうだ。今日は君の家に邪魔させてもらうぜ、家に誰もいなくてな。
(ショッピングモールを出て帰り道を歩きながらそう言えば、元々今日は邪魔するつもりだったのだろう、準備はしてきていると笑みを浮かべて。自身も長谷部や長船への協力は惜しまないつもりのようで)
え?あぁ、いいよ。ゆっくりしてくれ。
(まさか自身の家に泊まるとは思っていなかったようで、驚きから目を瞬かせ。食材はまだ沢山あるし困ることもないだろうと頭の中で思い直しては今日はシチューでも作ろうかと献立を考え始めて)
(大型デパートからの帰り道、行きと変わらずに、二人の後ろを付いて行く形で歩いて行きながら自宅へ向かう途中、今日五条が彼の家に泊まると唐突に宣言し。当然自身と彼は驚くも許可を得た後なので何も言えないが普段は二人きりの為、目の前で会話する光景にむっと嫉妬の感情が渦巻き)
(自宅へと帰りつけば、ゆっくりしていていいと五条と長谷部に告げた後自身はキッチンへと向かい、手馴れた様子で料理を作っていて)
五条)…あの頃とぜんぜん変わらないように見えるな。少し小さくなったくらいか?
(ソファーに座り、何気なく料理を作る姿を見ていてはあの頃が懐かしく思えて微笑み。「なぁ、君。君がこの普通の暮らしを望むならそれでいいと思う。だが、先程も言ったようにこのままじゃ君はまた後悔する事になるんだぞ」と長船に聞こえない程度の声量で長谷部に告げて)
そんな事は分かっている。
(同じくソファーに座るように五条の横に腰を下ろし、背を預けては少し気が楽になって落ち着くのか溜め息をつき。隣から洋服屋の外で会話した話の続きをし出したので、このままの関係で満足出来る筈もなく上記を述べた後に「…いざ彼奴に自分の想いを伝えて、返事を聞くのが怖いんだ」と返答次第では今まで関係が一気に壊れると思い込んで珍しく弱音を吐き)
五条)ははっ、まるで女子のようなことを言う。…でもな、あいつだって君のことを少しは想っている事くらい分かるだろう?今のあいつはその感情が何かを忘れているかもしれないが、前世から君と同じでずっとその気持ちを抱えたままさ
(珍しく今日の彼はどこまでも気弱なようで。苦笑を浮かべてはあの頃から自身は気付いていたことを告げて。彼らは口に出すような者では無かった。しかしその分態度や仕草に見えていたもので。このまま言いそびれるのかどうかは彼次第、あとは任せてみようと思い)
お待たせ、光忠特製シチューだよ!
(二人の間で話されていた会話など露知らず、ニコリと笑みを浮かべ机へと並べていき。今日は二人とも疲れたであろうと思うと「お風呂も貯めてるから、食事を終えたら先に行ってきていいからね」と続けて)
…煩い。
(刀だった頃は経験すると思わなかったであろう、¨恋¨の二文字が自身の感情にあり横で女子だと揶揄る五条をじとりとした目で見て上記を述べ。どこか親身になって話してくれる上、自身の背中を押して応援してくれている様に感じては、いつまでもここで立ち止まる事を止めて彼に自身の気持ちを伝えようと告白する決意をつけ。漸く話も終えたタイミングで此方へと料理を運んでくる彼の姿に視線を向け、今日も今日とて美味そうな匂いが漂って続け様に発した言葉に「嗚呼、悪いな。感謝する」と)
ふふ、どういたしまして。
(感謝を述べられると悪い気はせずに何処かくすぐったく感じて。それから自身も席に着くといつものように挨拶をして、先程までの気まずさが嘘のように感じるほどに他愛ない会話を交わしながら食事を進め)
五条)うん、光坊の飯はいつも美味いなぁ!長谷部は毎日こんな料理を食べれて幸せ者だな
(久々に食べる長船の作った料理はやはり美味く感じて。何処か揶揄いの意味も含んだ言葉を言いながら長谷部の方をもやると悪戯っぽく笑い)
っ、…揶揄するな。お前は黙って食べろ、
(いつの間にかこの空間に気まずさが消えて他愛ない会話を交わせる程に雰囲気は良くなっており、食事を進めながら久しく彼の料理の味を食していない為か、又もや悪戯っぽい笑みを見せて自身を揶揄る五条に視線移すと再びジト目でそう言い返し)
もう、長谷部くんったら。仲良くしてあげてよ
(二人のやり取りは見ていてどこか懐かしく、そして面白いようで。クスクスと笑いを零しては二人のやりとりを楽しみながら食事を終えて。2人に順番に風呂に入ってきてもらい、最後に自身の順番になれば風呂場へと向かい)
五条)こうやって、久々に集まるのも楽しいもんだ。君の反応も面白いしな
(同じように食事を終えたら、先に風呂へと入らせてもらい。ゆっくりと湯船に浸かったお陰か先程までの疲れもなくなっていくように思い。長船が風呂場へと向かったのを見送ればもう自身の家のようにくつろぎながらそう言って)
…面白くない。
(食事を終えた後、順番に風呂へ入る事となり五条と入れ替わる様に入浴を済ませ。今日一日の疲れが癒されジャージ姿の格好でリビングに戻れば、最後に回った彼の番で同じくその背を見送るとソファーに座り。先程から何故か五条に揶揄されてばかりで溜め息混じりに呟き)
五条)まぁ、そう言うなよ。久々にこうやって出逢えたんだ、少しくらい揶揄いたくもなるさ。
(ため息混じりの声で面白くないと否定されると、こういう所も変わっていないと苦笑を浮かべて。しかし、学校以外でなければこうして多くの言葉を交わす機会も少ない為に仕方が無いだろうと上記を述べ)
(何だか今日は疲れたような気がして、ゆっくりとお風呂に入ればその疲れも飛ぶだろうと思っていたが心のなかはまだ整理がついておらず。自身の忘れてしまった何か大切な事はいつか思い出せるのか。そんなこともこの先は分からずにいて。らしくないがため息をついて。しかし自身が引きずっていてはあの二人に申し訳ないと気分を切り替えるかのように頬を叩きリビングへと戻ってきて)
まあ、そうだな。話すのは構わないが揶揄するのも大概にしろ。
(こうして五条と形はどうあれ再会出来た事に驚きを隠せなかったものの、あの頃の仲間に出逢えるというのは矢張り嬉しいもの。自身の性格上、素直な気持ちを伝える事は出来ず顔と口で表現しないが内心ではそう思っていて。言葉を交わす事に抵抗は無いにしろあまり揶揄い意味合いの含む表現を使うなと、左隣の五条を見て忠告し。丁度風呂上がりの姿で彼がリビングに戻って来たのを視界に捉え、「長船。少しは風呂に入って疲れはとれたか?」と当たり障りの無い言葉を選んで聞き)
あぁ、うん。おかげ様で
(リビングへと入った途端にこちらに視線を向けられ、何事かと思ったのも束の間。掛けられた言葉は労いの意味も含まれていて、ふと微笑むと自信も二人の傍に寄り座って。それから三人で色々と話たりしていると夜も更けてきていて。壁に掛けられた時計を見ては「そろそろ寝ようか。僕はこっちで寝るから五条くんはベッドで寝ていいよ」と笑み浮かべ)
五条)おいおい、いいのかよ。確かに俺は客かもしれないがそんな気を遣わなくていいんだぜ?
(少しは疲れが取れたらしいようで、微笑みを浮かべる長船を見てはこちらも笑みを返して。三人で笑い合いながら話していると時間もすぐに経ち、そろそろ眠る時間かと欠伸を一つして。長船の部屋を使っていいと言われると苦笑を浮かべやんわり断ろうとするものの色々とお世話になったからの一点張りで譲る気はないようで。礼を述べると「先に部屋に行っとくぜ」と長谷部に告げると部屋へと向かい)
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