主 2015-08-19 00:19:11 |
|
通報 |
>アサミ
〝アサミさん〟かい。男にしちゃ随分と可愛らしい名前だな!この図体を見て分かる通り、オレは守護戦士をやってるんだ。
(円形に大きく膨らんだ金属の腹を〝ガンッ〟と叩き、豪快に笑う。「ソロ」と云う本来プレイヤーしか使わないであろう単語は、彼の抱く懸念を払拭するに足る言葉であった。今でこそギルドの外交を含めた総務を取り仕切るデスクワーク寄りの老獪な考え方をするようになって来てはいるが、元々現実世界では体育会系であったせいか、やはり他人の腹の内を探ったり、暗に過去を詮索したりと云った腹芸は性に合わない。男らしく、実直に聞いてみる事にした。)
…自分で言うのもなんなんだが、オレはこう見えてもギルドマスターからここいら一帯の実務的な統治を任されているんだ。もしアサミさんが〝危険な奴〟ならエミシに留まらせて置くわけにはいかない。その旅装から察するに、どうみても地元の住民ではないし、エミシのような無法地帯に態々足を踏み入れるようなタマでも無いと見える。そこで、正直に応えて欲しい。アンタ、此処に何をしに来た?〝他領のスパイ〟かね?
(2mを超える長身から腰を屈めて、ベッド上の青年の眼前にずいっと顔を突きす。冑に空いた無数の穴のひとつひとつから、蛇の様な縦に瞳孔の伸びた眼が、青年に鋭い視線を投げかける。セキは他人と争う事が嫌いで、キャラクター・ランキングや競争性のあるクエストには殆ど興味が無かった。ギルドメンバーとくだらない冗談を交わしながら、レベリングを楽しめていればそれで良かったのだ。その為、レベルの割には装備はそこそこのものに留まっているし、実はこの青年こそが日本サーバー第1位のトップ・プレイヤーであることに思い及ぶはずがなかった。後になって彼の素性を知った際、自身のこの威圧的な行動を後悔することになるのだが、この時のセキにはそんなことを知る由もなかった。)
| トピック検索 |