* nl 捨て猫 *

あのな、俺は自分の事だけで手一杯なんだよ。
(髪を乾かしながらとにかく面倒なんだと言わんばかりに返し。クスクス笑う相手の顔を今度は真上に向けさせれば覗き込むようにして顔を見合わせつつ「好きで焼いてるわけじゃねえよ、かといって放置しとけば手間が増えるだけだからな」と嫌味たらしく強調し)

んー、じゃあ風邪ひかない（普段の相手の大変さが思い浮かんだのかしゅん、としたように顔伏せて再びぐい、と顔を真上に向かされると「わかったわかった、」と聞き流す様に呟いてぐぐ、と両手を伸ばせば相手の首に腕をまわして顔の距離が近くなれば少し頬が赤くなるもそのまま見つめて)

（寂しー、

（今日は遅いなー、

あぁそうしてくれ。
(小さく笑み浮かべては、手間より何より心配しているという事をこいつはわかっているのだろうか、と頭の片隅で思いながら指先で髪をといて。相手の腕が首に回った事により縮んだ距離に目を細めては「…で？どうすんだこの先は」と、口元に笑みを浮かべながらじっと見つめ)

え...と、（この状態の先を考えていなかったのか相手と目が合うと苦笑いを零して「何でもないです。」と小さく呟きながら相手の首に回した腕をするり、と緩めて）

…せっかく綺麗な髪なんだからもう少し気遣っとけ。
(相手の腕が緩まれば薄い笑みを浮かべたまま小さく首を傾げ。一度上体を起こし、何処からか持ち出したドライヤーで髪を乾かしながら少々咎めるように告げて)

慧が褒めた（相手の意外なところに頬緩んでしまえば相手にばれないように口許を隠して「もう、大丈夫。ありがとね」髪が殆ど乾けば振り返ってドライヤーを持つ相手の手を降ろさせて）

たまには誉めとかねーと拗ねた時が大変だからな。
(クスリ笑いながら最後に髪に指を通し軽く整えてやればドライヤーを片付けて。風邪を引かないようにとブランケットを相手の膝元へと軽く放れば「風呂。眠けりゃ先寝てろ」と一言残しリビングを後にし)

何それ（相手の言葉に少し拗ねた口調で呟けば放られたﾌﾞﾗﾝｹｯﾄに視線移し「優し。」と一言だけ相手に聞こえないように呟き。「ん、行ってらっしゃい。」と片手ひらひらさせれば相手を見つめ）

(バスルームにて一通り洗い終え、湯船に浸かれば一日の疲れが長い溜め息となって。それでも今までとは違うこの充実感ともいえるものは彼女が此処に来てからだと改めて思う。と同時にふと気になるのは相手の素性や家を出た理由等で)
そういやあいつの事ろくに知らねぇな…
(浴室の天井をぼんやり眺めながらぽつり呟いて。彼女に関して深く干渉しないようにしている理由を考えてみては何処か自嘲めいた笑みが零れ)

慧ー。（一人取り残されたリビングで一気に静けさが襲ってくると相手の名前を呟いてみたりして「布団暖めてあげよ」と何か思いついたのか立ち上がると寝室へ向かい相手の布団の中に潜りこめば「早く出てこないかな」と嬉しそうに頬緩み）

蜜…？
(入浴後髪を乾かしつつリビングに戻ってくるがソファにいた筈の相手の姿はなく。名を呼んでぐるりと室内見渡すもしんと静まり返っているだけで。しかし直ぐに察しがついたのか寝室へと足を向けベッドを見やれば案の定の膨らみが。何やってんだか、と短く息をつくとベッドに近付き布団の中に手を忍ばせ「こら」と足を引っ張ってみて)

うわ、（相手の足音が聞こえてくるとくすくすと小さく笑って。いきなり足を引っ張られれば少し驚き布団捲って「慧。暖めておいた」と上体起こせば己の隣をぽん、と叩いて）

あぁ…ご苦労。
(偉そうにおどけたような言葉を返せばふっと笑い、指定された隣へと潜り込み。そのまま身体を倒し一人横になるも、「折角暖めてもそうしてたら寒いっつの」と上半身起こせば今度はぐい、と相手も巻き込んで再度寝転がり)

ん、どういたしまして（隣に入る相手を見つめれば少しスペース空けて端に寄るも己を倒されれば少し驚くも直ぐに目細めて「あったかい。」と小さく呟くと相手の方に身体向けて）

もっとこっち来いよ。
(端に寄る気遣いを見せる相手を此方に抱き寄せるとその温もりに頬が緩むが、不意に触れた足に「足冷てぇなお前」と暖めるように己の足を重ね)

だって、冷え性だもん（抱き寄せられると慣れてないのか頬赤くなり相手と顔を合わせない様に俯いて胸元に己の額を当てて「慧はあったかい。湯たんぽみたい」とくすくす笑うも申し訳無さなのか少し足を退ける様にして）

まぁ風呂上がりだからな。
(胸元に顔を埋めるようにされれば年甲斐もなくどきりと胸が鳴り。けれど態度は特に変える事なく、湯たんぽみたいだと笑う相手に当然だというように返せば「逃げんなよ」と小さく笑いながら今度は両足で相手の足を挟んでしまい)

...慧?（相手の胸元に額を当てているせいか微かに心臓の音が伝わると耳を当ててみて「緊張してるの、?」相手を見上げて呟けば意外な面に頬緩み。脚が挟まれると「慧が冷えちゃう、」と言うも退けようとはせず）