双黒(〆)

わかっているよ…。中也、料理上手だね。手際がいいね。

( 卵を一つめは綺麗に割れて順調に割れたので、調子よさげに割れると、ちらりと隣を見ながら野菜を刻む包丁裁きに上手だなと、感心をしたかのように、呟くと。ふっと、頭に浮かんだ言葉を口に出して「ね、卵を片手で割った経験あるかい？」尋ねてみて。)

　


有るには有るが……急に何だよ？（　何も口を挟む事無く見守っていたが矢張り何事に置いても器用にこなしてしまうのは元来の性質らしい、多少安堵し投げ掛けられた褒め言葉を作業片手間聞き流していると少々突拍子が無い様にも思える質問が飛び、不思議そうに視線を向けて。　）


　

特には、意味はないのだけれど…片手で割る人はかっこいいなんて、思ってね。＿＿殻が入らないように、するから一度やめてみてもいいかい？

( 片手割の経験が有る、彼を羨ましい気に見つめて。己も、ちょっとしてみたいなんて思えば、彼に承諾を得てからやろうと思い、小首を傾げながら、尋ねてみて )

　


ったく、仕様が無ェな。一度だけだぞ。（　格好良い、至極単純で分かりやすい理由を述べられ意外な答えに目を丸くすると、続く問い掛けの清さを無下にする気にはなれずに許しを出すと何と無しに挑戦の様を見守ってみたり。　）


　

ん、何度もやらないさ食材を無駄には出来ないからね。＿＿あ、出来ちゃたよ。

( 大事な食材でもある、卵を見つめつつ呟くと。相手から、許可の許しを貰えて片手での割かたを思い出しながら、挑戦をすると。見事に綺麗に割れてはどやあった顔で自慢気に、彼の事を見つめながら )

　


へェ、本当器用な奴だな。凄い凄い。（　存外あっさりと成す物だから素直に感嘆を零し、しかしあまりに自慢気な様子で此方を見てくるのが逆に褒めてやろうと云う気を削いで、適当にあしらうに留めれば「満足したなら卵混ぜとけよ。」と指示を置いて。　）


　

君なら、絶対に失敗すると思っていたんじゃないのかい？

( 卵割に、成功をしては褒めたような言葉を相手の口から出てくると、少しほんの少しだけ嬉しいかったのか、頬を緩ませて。次の指示を聴くと、卵を菜箸で混ぜ混ぜとかき混ぜて。 )

　


まあ、失敗したら笑ってやる心算だったが……、そういう所、無駄に要領善いよなァ、（　野菜を一通り刻み終えるとコンロに火を点け、火の通りが悪い物から先に炒めつつ相手の問い掛けには一つ頷いて、料理自体案外遣る気になればあっさり出来そうなものだと思いながら。　 ）



　

この、僕だよ？心配するはずないじゃないか。なんでも出来てしまうからね。

( 卵を良い感じにかき混ぜながら、彼の返事を自慢気に答えては混ぜ終わると、ちらりと相手の方に目線を向けながら「出来たよ、置いておくよ？」と伝えて )

　


ん、さんきゅ。（　得意げな返事に肩を竦めるに留めると手際良くケチャップライスを調理し、その間相手が作業を終えたのを確認すれば端的に感謝を述べ。「そうしたらもう少しで出来るから座っとけ。」と手伝いを確りと遣り遂げた事を褒める様に相手の頭を軽く撫でながら告げ。　）


　

どういたしまして。二人でやると、作業も早く進むからね。

( 珍しいく、己の事を褒める彼に少し驚けば目線だけ反らしてこくこく頷きながら上記を告げれば。次の指示はなんだろうなと、思っていると頭を撫でられて、恥ずかしいさが来ては「普段、やらないこといきなりやるのは反則じゃないかな。」と早口で呟けばさっさとリビングのソファーに倒れ込むように座りぶつぶつ )

　


……照れてんじゃねェよ、莫迦。（　ほぼ無意識だった行動にらしくない事をしたと自覚したと同時、早口で告げて逃げる様にリビングへ戻る様に此方まで気恥しさが連鎖して、相手の居ぬ台所でぽつり呟けば手元に集中し意識を紛らわす事として。出来上がったケチャップライスを取り分けると均一に混ざった卵に火を通し半熟の頃合を見て上から被せ、オムライスの乗った皿二つとケチャップを手にリビングへと移動し。　）


　

僕のせいじゃないよ？中也が…変なことするからいけないんじゃないかい。

( リビングのソファーにいたものの、オムライスの出来が気になり、彼に気づかれないように端で見つめていると、相手の呟きにぽつりと返事を返して。再びソファーに戻り、座っては。いい匂いに頬を緩ませながら鼻をくんくんと嗅ぐように、オムライスを見つめ)

　


ほら、出来たての内に食えよ。（　一度台所に戻り冷蔵庫から二人分のお茶を注ぎ、序に持ってきたスプーンと共に其々の前へ置けば自身も向かいの席に座り。嬉しそうに眺める相手に食事を促した後、此方も頂きますと手を合わせて。　）


　

オムライスは冷えても美味しい食べ物って知ってたかい？

( 入れてくれた、お茶を一口飲んでから。スプーンを手に持ち、オムライスを一口食べると。美味しいさに頬が緩み「中也は君は、料理上手いね…やっぱり」と美味しいさにスプーンが次々と進み、感想を告げて )

　


俺の料理についてだけは、素直に褒めるよなァ。（　これが胃袋を掴むと云う奴か、柔らかい表情で食べ進める相手を眺めながら思えば、これだけ喜んで呉れるのなら作り甲斐も有るものだと此方も自然と上機嫌に云って。続けて自分も一口、口当たりの良いとろとろの卵を味わい理想通りの火加減に内心満足し。　）


　

これは、褒めたくなる味だよね。中也はいい嫁行き出きるんじゃないかな。

(改めて美味しいさに、頷きながら食べれば。料理上手なら嫁行きも近いのではなんて、思いながら口に出して呟き。料理が得意ではない己の不甲斐なさにためいきをはくと。「僕も料理挑戦してみたくなったよ。」と言いながら、食べるのを再開し )

　


婿なら兎も角誰が嫁だ。第一、俺みたいなのを貰う物好きもそう居ねえよ。（　嫁、と云う相手の表現に引っ掛かり顔を顰めて抗議しつつ、勿論嫁に行く心算は毛頭無いが同時に貰い手もそう見付かるとは思えず肩を竦め。溜息と共に告げられた言葉にゆるりと顔を上げると「それなら今度教えてやろうか。」と視線を遣りながら問うてみて。　）



　

まーそうかもしれないね。中也は口も悪いしひねくれては…いないけど。昔馴染みの人なら、もらってくれるかもしれないね。

( 相手をまじまじと観察をしながら見つめると、クスクスと笑いながら、己が思う彼の印象を口に出して。彼が、自分に料理を教えると聞こえてくると、少し嬉しげな表情で「ほんとかい？…お願いしようかな」と一瞬悩むも、彼の教えなら丈達が早そうな気がして、己から頼みの言葉いい)

　


昔馴染み……つっても残念な事にそんなの手前位なもんだ。（　相手の評価に一瞬眉を寄せるも間違った事は云って居ない、反論の予知無しと悔しげに口を噤めば続いた言葉に軽く思惟するも心当たりは目前の人物に限られていて。素直に教えを乞う言葉を意外には思ったが指摘はせずに了承の意をもって頷くと「要は経験だ。筋は悪くねえし、慣れりゃすぐ出来るようになるぜ。」と先程の台所での戯れを思い出しながら告げてやり。　）