大倶利伽羅 2018-03-29 19:10:42 |
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―っ?!
(カフェを出てからもあまり喋ることない様子の彼がやはり気になるようでくるりと後ろを振り向けば、視界の先に如何にも歩行者に気付いていない様子のスピード走ってくる車が見えて。目の前の彼は全く気付いていない様子、このままでは危ないと判断したのかやや強引に腕を引き車を避けるような形になり)
——?!ッ…う、
(猛スピードで此方へやってくるとは露知らず想いに浸っていれば、ぐいと前のめりで引かれ突然の事で体もついていかずバランスを崩し目の前の相手に倒れ込み軽く鼻をうってしまい。鼻に手を当て布越しに何事かと確認するべく横を見て見れば、猛スピードで車が横切るのが見えて。まさかアレに気付かなければこのまま俺は——ぞっとするような思いでいるも何故だ。この感じ…前にもあった気がする、と僅か乍頭痛を感じ表情を歪め。そのまま頭を押さえつつ顔を上げ「…す、すまない。俺がうつけていたせいで…あり、がとう…」と礼を言うと相手から離れようとし)
本当に大丈夫か、いつも以上にぼんやりしてる。
(強引に腕を引いたせいで、彼がバランスを崩しこちらへと倒れ込んで来て。猛スピードで過ぎ去る車に舌打ち零し、漸く彼を解放してやればやはり今日はいつも以上に気が抜けていると思ったようで。離れようとする彼の顔色が悪く見えると「…具合が悪いなら早く帰れ」と続けて)
平気だ。…少し立ち眩みがしただけですぐ治まる。
(相手にあまり心配をかけたくない想いで僅かにずれた布を直しては頭痛は少しあるもののこれくらいならすぐ治まる筈だと、ゆっくりとだがした歩き始め)
(それからというもの、沈黙が続く中マンションに辿り着き。彼も子供ではない、過干渉されるのは嫌だろう。部屋までついて行くことはせずに階段を上がっていき)
ッ…、
(三階まで何とか登りきるも頭痛は更に酷くなってきて。壁に体を預け力なさげにずるずると下がり駄目だ、これ以上は無理かもしれない。だけど相手に迷惑かけたくないとなんとか立ち上がろうとして)
(ふとポストを見るのを忘れていたと思い出せば4階へ続く階段を登り終える前に降りてきて。同時に視界にどう見ても辛そうな様子の彼が見えては駆け寄って膝をつき視線合わせるようにしては「おい、長義…!部屋はどこだ。嫌かも知れないがそこまで連れていく」と告げ肩を貸すような形になり)
…、…ッ…そ、うしゅう…?
(意識が朦朧としている中、どこかで聞き覚えがある声の主に顔を少し上げるも目の焦点が合わずぼんやりしているものの声は覚えているのもあってか問いかけるように相手の名前を呼び。相手に肩を貸しくれたおかげで何とか歩きつつ「…こ、こから…三つ目の、部屋だ」と弱弱しい声で教えて)
(ようやく彼の部屋の前へとたどり着けば鍵を受け取りドアを開けて。靴を脱ぎ室内へといけばソファーに彼を座らせてやり息をついて。それからまた視線を合わせるようにしては「おい、部屋に着いたぞ。飲み物飲むか?」と問い掛けて)
(ぼんやりしている間に自身の部屋に着いていたようでソファーに座らされたこの馴染み深い感覚に少々安堵して。相手の問いかけにこれ以上迷惑はかけられないと小さく首を振り「…いい。もう、大丈夫だから。あんたは部屋に戻ってくれ」と後はなんとかするからと眉を下げそう告げて)
そんな顔色の奴が大丈夫だと?どうしてお前はいつも…!
(これ以上は迷惑をかけると思っての行動なのだろう。彼は刀剣の頃から一人で抱え込むクセがあったが、人になってもそれは変わってなかったようで。どうして頼ってくれないのか、自身も人に言えたことではないがイラッとしては思わず胸ぐらを掴み「そんなに俺が頼りないのか?」と続けそれから離れては、余計な事をしたと背を向けては家から出ていこうと)
…ッ…、
(自分一人で大丈夫だと誰も頼らないで迷惑をかけずにやると決めてしまったのもあって一人で抱え込む癖は直らず仕舞い。甘え方が分からないというのもあってそれを知る親戚に言われた困ったら頼る、と言われても大丈夫、と一方的なのだ。相手が頼りないわけではないのにどうして自分は――。背を向け出ていく相手の腕を掴もうとした瞬間、その後ろ姿に見覚えがあってズキン、とまたも頭痛を感じてはその場から倒れてしまい)
(ここに居ても彼に迷惑だろう、本当はそばに居たいのだがそんなことを口にする性格でもないため出ていこうとしたら、背後でバタリと倒れる音。振り向けば彼が倒れており、引き返すと「おい、嫌かもしれんがお前が良くなる間ここに居る。とりあえず寝ていろ」と告げて。男を抱き上げるのは骨が折れるが仕方がない、彼を抱き上げてはソファーへ移動し横にさせて)
…少し思い、出した…あんたを待ってた。あんた—――大倶利伽羅、だろ。
(咄嗟に相手の服を掴んではゆっくりとした口調で話し始め。後姿で何もかも自身が折れた理由も相手の事も自身が刀剣男子だった頃も全部。少しずつ少しずつ思い出す度に頭痛もして体調も崩しがちだったがこれで少し頭痛も和らいでくると相手の刀剣男子だった頃の名を呼び)
――っ
(彼の口から、まさか自身の刀剣男士であった頃の名を聞くとは思ってもいなくて。驚きから目を見開き頷いて彼の目を見ては「ああ、そうだ。俺はずっとお前を探していた」と告げ、その名で呼ばれたことや彼が少し思い出したことに嬉しさから微笑んで)
…すまない。ここまで思い出すのに時間がかかってしまった。
(此方も小さく笑って前とは変わらない容姿も変わっていない相手に懐かしく感じ。相手の言葉に首を傾げ「…ずっと…?そこまでして何故、俺を?」と長い間相手は自身を探していたらしくそこまでしたのかと問いかけ)
(彼が記憶を無くしていたと分かった時、出会えた嬉しさと悲しみが綯い交ぜになった感覚を思い出していて。あの時は、思い出せなくても構わないと思っていたが、どうやら彼は思い出してくれたようで。しかし、どうしてずっと探していたのかと尋ねられると視線逸らし黙り込み。しかしずっと伝えないのも嫌で「それは…あの頃からお前を好いていたからだ。この思いを伝えようと、ずっと思っていた」と真っ直ぐな視線でそう言って)
……え?
(そう告げられた相手の言葉に徐々に目を見開き。あの頃から俺を…?と相手からの告白にどう言葉を返せばいいか分からず視線を逸らし)
(突然の告白に、しかも馴れ合いなどを嫌う自身かそんなことを言われたら誰だってそうなるだろう。驚きを隠せない様子の彼を見詰めては「だから探していた。無理にとは言わないし返事もしなくたっていい、ただ伝えておきたかった」と続け)
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