To My Beloved　【非募集】

言い過ぎた私が悪いの。誰に嫌われても気に留めなかったのに貴方は違うみたい。それ以上無理しないで
(葛藤している中身が見えない内は下手な発言は出来ない。手で制し笑顔なのか泣き出すのかどちらとも言える表情を浮かべ。姿をくらました博士のようにやがては彼も姿を消す可能性はある、それまでは穏やかでいられるよう努力せねば。「迷子と無事再会出来て良かった」少し足早に歩き隣に並べば優しく腕絡めさすり続け)

俺だからとか俺は違うとか、そんな風に言って貰えるのは凄く嬉しい。
(彼女も自分の意に反した辛い生き方を強いられて来たのだろうか、表情を柔らかく変えカールを描く情熱的な色合いの髪に触れ。人間の腕に温もりを伝える手に機械の手を重ね「もう迷わないと約束するのは難しいが努力するよ」テーブルとソファが置かれただけのシンプルなリビングへと到着、そのまま手を引き並んで着席を促し)

まるごと鵜呑みにして。私はロシア出身で人を殺す技術を教え込まれた。普通じゃない分少なくとも貴方の痛みを理解してあげたいと思ってる
(伸びた髪と髭、草臥れたような服装の奥に在る色白で柔和な顔立ちの青年の姿が重なり目を細め。S.H.I.E.L.Dのエージェントとなってからはバートンと二人組で暗殺者カップルなどと呼ばれた経験もあるのだから全くの無知ではない。頬から首筋へと緩く撫で黒い靄を握り雲散するイメージ。「だから努力は要らない、無事なら何処だって構わないから」努力努力と繰り返すのは漠然とした不安感を紛らわさんが為の言葉なのだろう、ストンと隣に腰掛け一息)

そうか、君も辛い経験をしてきたんだな。俺を気に掛けてくれる理由が分かった気がする。
(重荷を背負っても真っ直ぐなスティーブとも違う哀しみに包まれた過去が共鳴し彼女に惹かれている、そう思えばもっと知りたいと貪欲に優しく触れる手に指を絡めて握り。「ただ確かな事を言うのが怖いだけなんだ。一人じゃないのが久し振りすぎて」身体を傾け肩でちょい触れ、僅かに触るだけでも全身に温もりが広がるような不思議な感覚に暫く瞼を下ろし)

世界は残酷よね。人を平気で殺人者に作り変えてしまう。私もよジェームズ、スティーブが貴方を見捨てない理由が今見えた
(誰もが正義とは何かの答えに辿り着けず悩み時に争う。スタークの言い分もキャプテンがサインしない理由も双方其々に譲れないものがある、然し本当は仲間内での争いは避けたかった。苦い言葉の次に握られた指へ流れる血に人としての思いやりを覚えじいと見つめ。「大丈夫。少しずつジェームズの中で見つけていけば光は必ず見えるから」逃亡生活でさぞや疲れたであろう身体を両腕で包み膝枕へ誘い、顔に掛かる髪を払い安らぎに満ちた表情の美しさを視線で愛で)

… ワカンダの王は俺を許してくれるだろうか。見捨てないでくれる人はスティーブだけじゃない、ナターシャもありがとう。
(自分の意思に反していようが結果として命を奪った人は大勢いる、いつだか自動車事故に見せ掛けて殺害した夫婦もそうだ。心に広がる闇は広いが光を与える存在の指先に口付けを。「今こんなに穏やかな気持ちでいられるのはナターシャが俺に光をくれるから」瞼を上げた先にあるのは美しい人の存在、右腕を伸ばしそっと頬を撫で)

面識がある、テロ現場に私もいた。ティチャラ王子が貴方を探すのは確実…だとしても必ず真犯人に辿り着ける。私好みの人で役得ね
(苦しい状況ではあるが真に問われるべき人物が他に存在するなら完全な濡れ衣であるのは相違ない。かつてもこうやって若い女性に囲まれていた色男軍曹は気障な仕草を身に付けているようだ、誰かと結ばれた経験が無いが彼はどうだろう。笑って挨拶を受け取り。庇護欲の上に突如生まれた感情を今は抑えるべき「誰かの光になれたのは初めて。少し休んだらバスルームに来て、髪と髭をなんとかしてあげる」勿論カラーコンタクトも用済みである旨を甘い声に乗せて囁き)

俺も真相を探らないと、洗脳を解く鍵になるかもしれない。
(仕組まれた罠であっても知らぬ存ぜぬでは済まされない事実。陰謀が明らかとなる時失われた自分を取り戻せるやも、空中を掴む手に力を込め。余裕たっぷりなレディと純情スティーブでは釣り合わない、過去の恋人ごっこに嫉妬する軍曹は未だ解放せず握ったまま。笑い方を忘れた兵士に自然な笑顔を取り戻してくれた「逃亡中とは思えない安らぎを感じる。ありがとう、君好みのスタイルにしてくれよ」ゆっくり身体を起こし日頃手入れをしない毛先を引っ張り)

貴方と貴方の親友の為に。亡くなったエージェントカーターの為に。多少のリスクは付き物。……そんなに私の事が好き？
(ジモの復讐劇とティチャラの仇討ちに挟まれ更に国連からの圧力を受けたアベンジャーズに大きな危機が訪れた。それもハルクとソーが留守の状態で。やるしかない。明日の方向へ一点集中。まだ解放されない手を一瞥して揶揄ってみたが此方もまた甘いマスクに惹かれているのも事実。「此処ではお互い一人の人間として過ごしましょ。整えたらそのままバスタイムを楽しんで」離れたタイミングで立ち上がりバスルームへご案内)

リスクは付き物でも例えば君やスティーブが犯罪者になるのは困る。そんなに好き、なぁ俺の事も好きになってくれて良いぜ？
(世界と友情を天秤にかけた時チームが真っ二つに裂ける事態は避けたい、そこまで思って貰える程には自我を取り戻せていないのだ。戦いから離れた空間でこそ元より備える色男らしさが復活、首を傾け引き抜いた手を上へ上へ最後に首からフェイスラインに向かって女性の柔らかな肌を堪能し。「軍曹だった頃に戻った気分だ。そうだな、お嬢さんと暮らすには汚れそ過ぎてる」草臥れたTシャツのほんのり汗臭さに苦い顔、続いて立ち上がり軽い足取りで進み)

私も世界によく喧嘩を売る女よ。スティーブはどうかしら、彼は彼の信念に従うだけ。試しにキスしてみて何か感じたらもっと踏み込んであげる
(スタークから見れば信用度最低レベルの己も結局は同等。更に操られたのではなく自分の判断で実行した件も多数、自嘲気味に笑い。腕を組み走り去ってきた方角を見つめぽつりと。首に腕回し唇に視線向け挑発する悪い女は此処に。「これも隠居生活には役立つはず。コンタクトを外して洗面台の前の椅子に座ってくれる？」簡易なヘアサロンの出来上がり、彼の肩にタオルを巻き湯加減を確認)

良いね、そういう自分の考えをハッキリ言う人には好感を持つよ。そんなに挑発して後悔しても知らないからな… いや、二人の気持ちがもっと大きくなる迄はお預けだ。
(悪の手から己を取り戻す事こそ信念、出来るなら本来のバーンズに戻り親友と共に戦いたい。細めた瞳で未来を捉え、自分を強く持つ人が羨ましかったり。腰に回した腕で更に距離を縮め、たところで吐息が掛かる程の距離にて寸土め状態。100歳近い老人には馴染みのない薄っぺらのレンズを回収「コンタクトって不思議だよな、よし取れた。じゃあお願いします」椅子にすとん、彼女好みの俺が出来上がるのを心待ちに)

生き残る術は力だけじゃなく口先も必要だって知っているから。残念、今の貴方は「誰でも良い」からキス出来るタイプじゃない事は分かった
(何かあればどんな手段を使っても、最悪二重スパイとなるにせよ、上手く立ち回らなければアベンジャーズに巻き込まれるであろう人物達の未来まで危うい。頬に張り付いた髪を避けやや下に視線移し。寸止め出来たお利口さんに褒め言葉を、薄くて己とは正反対のスマートな口元を人差し指でつん。「まず髪を洗うわ。熱かったら言って。トリートメント中に髭の方は剃る流れで行くから」櫛で丹念に解きたっぷり泡立てシャンプータイムの具合は如何)

女の子を口説く話術なら俺も得意な方だったり、なんてな。ナターシャだからキスしたい、だからこそ今はしない。
(自身を含め大勢の人を救うべく時には嘘を付き騙す事もあったであろう、落ちる視線が気掛かりで膝をぽんぽん口からは冗談を発し和ませるのは短時間でも人間らしさを取り戻した証拠。重苦しくはしたくないが大切にしたい人だからこそ遊びのキスはしない。唇への訪問者をぱくり、一言また一言重ねる度に嵌まる気持ちをどうするか。目を閉じリラックス「調度良いよ、髭を剃るのは久し振りだ」熱すぎない温度に流水音が子守唄効果を呼びうっとり夢見心地に)

遊び人って今一つ気に入らないけど貴方なら程々に遊び上手。そんな印象かも。私もそのつもりだった…って悪戯しないでジェームズ
(気に入らない遊び人とはまさに戦う実業家の事。バナー博士は奥手でアプローチしても壁を感じずにはいられなかった。その中間である彼をお試ししてみたい。リラックスモードに切り替わったのを感じ張り詰めた肩の力を抜き。指を食べられほくそ笑みつつもう片手の人差し指でノンノン。「髭もセクシーだけど写真で見た貴方のような素顔が見たいの」丁寧にトリートメントしてあげれば傷んだ髪も喜ぶ筈、剃刀で慎重に慎重に髭を剃り次第に可愛らしい素顔が見え始め)

今のが誉め言葉だとしたら光栄だ。白くて長い指が綺麗だから、つい。
(ナターシャにペギーに、親友と二人揃って芯のある女性に惹かれるようで。好きとかキスするとかの言葉遊びで終わらせるには勿体ない人には慎重な駆引きをすべし。指を開放して悪戯っ子の笑み、ちらりと舌先覗かせご馳走さま。「昔の写真？今と印象違うよな、それに若作りするみたいで恥ずかしい」帽子を斜めに被りもやしのスティーブと過ごした日々は懐かしく、刄のひんやりした感触にスタイリストのジャマをしないよう口を閉じ)

簡単に褒める時は完全に社交辞令。今のは含まれていないと言えば分かると信じてる。本当に上手ね色男軍曹さん
(職業柄本音とは真逆を演じ切るのはお手の物。ふんわりとうねる彼の髪が光を透かす度に美しくて触れたくなり。悪戯な表情にこれからの共同生活には新しい関係が生まれそうな予感をキャッチ、メタルアーム側の手を掴みこれで感触が分かるものならどうぞの視線を送り。「実年齢は兎も角見た目は私と変わらないじゃない」綺麗に剃れた跡に保湿クリームを塗り、トリートメントを流して痛んだ部分だけ髪を切ると現代風イケメンの出来上がり)

社交辞令に含まれない誉め言葉をどうも、俺が上手いんじゃなくてナターシャに言いたくなる魅力がある。触るなら右手にしてくれよ。
(お嬢さんのご機嫌取りがお手の物だったのも過去の話、今は硝子細工よりも繊細な女性の本当の姿に触れたい一心。残念ながらちっとも感触の伝わらない手じゃ不満足、右手をパーにこっちでお願いアピール。「確かに、起きてた時間だけを年齢に数えたら同じ位な。それにしても随分と垢抜けたな」頬のつるつる感は久し振り、更に鏡を見て目をぱちくり。操り人形だった頃とは大違いの洒落た髪型には大変満足で首を左右に方々を写して楽しみ)

それならソファーに押し付けた時点で手を出せば良かったのに。嘘よ怒らないで。さあどうしようかしら
(あれは警戒のサインであって戯れでは無いのは当然理解しているが揶揄いたくなる性分は変わらずで意味深な視線送り。流石にブラックジョークが過ぎたと即時に訂正。右手も取りじっくり思案するフリをして結局右手をチョイス。背の高さに見合うサイズの手の平に手を当て暫し楽しんでみたり。「髪質が良いからざっくり一つ結びにするのが似合いそう。後はセルフサービス、ごゆっくりジェームズ」着替えは既にカゴの中、同居人の顔立ちがベビーフェイスなのにはこっそり微笑みバスルームの扉を閉め)

それなら今夜早速ソファーじゃなくてベッドで、いやそれこそ冗談。意地悪な物言いがまた追い掛けたくなる。
(顔回りの髪を避け顎に手を掛けにんまり、警戒すべき相手でないと分かった今別の意味で身動きを封じてやろうか恋の駆引き兼ジョーク返し。大きさ比べしてでズルする子供の如く下をずらして俺の手はもっとデカイんだぞ、ふふんと鼻鳴らし。「結ぶ物があるなら後でそうしよう。それじゃ遠慮なく… の前に、スタイリストさんにお礼だぜ」柔らかくなった表情が合間って幾分か若返った元軍曹、一度閉まった扉を少し開けて感謝の気持ちを込め頬に口付けを)