愛は太陽じゃない【非募集】

え？そ、そうなんだぁ～気づかなかったよぅえへへ…！
(渉に言われるまで昼休みだということに始めてきづいて速いなぁと少しびっくりしたと考えていると、 いつも作ってもらっている弁当が目に入りすぐに手にとるとチラッと渉を見てから弁当をじっと眺める。今まではあまり考えたことがなかったが、あらためて考えてみると、何で穂乃果にいつも弁当を作ってくれているんだろうと言おうとしたがさせっかく作ってくれた渉にそれを言うのは申し訳ないと思い言うのをグッとこらえ
「いつも弁当作ってくれてありがとうね」と恥ずかしそうに眼をそらしながら言う

別に構わないさ。好きだからな、俺は
（毎日のことだというのに律儀にお礼を言ってくる彼女へと小さく笑みを湛えながら、誰かの為に料理をしたり世話を焼いたりするのは好きだから気にしなくても大丈夫という意味合いでそう言ってのけるが、意図せずして主語を省略して言葉を伝えてしまい、捉え方次第では誤解を招きかねないような物言いとなってしまったが当然というべきか本人はまるでそのことには気がついていない様子で｢…ところで今日は誰かと約束してるのか？｣これから一緒に昼食をとるのもいいが、相手には相手の付き合いというものもあるだろうと考えてはお昼休みの予定を尋ね

穂乃果は特に予定はないよー？

(渉の言ったことに対して好きって言葉に対してもしかして告白かなと思いドキドキして胸元を押さえそうになるが、よくよく考えてみればそんなわけないと思い直し相手のお昼の誘いには喜んで行くと答え

そうか、じゃあ一緒に食べるか
（昼休みに特に予定のない者同士、一緒に昼食でもどうかと提案をしてみては自分の分の弁当箱も持ってきて｢どうする？教室で食べるのもいいけど天気もいいし屋上とか中庭へ行ってもいいな｣男女で昼食を共にするなんて長い付き合いの彼女とでもなければ教室などでは特に妙に意識してしまったり、周りの目も気になるところではあるが流石にもう何度となく昼食を共にしている相手とでは周りも今更敢えて此方を気にするようなこともなく、場所がどこであろうと自身も特に気にならなくなっており相手へと選択権を与えて

屋上に行こうよ！太陽の下で食べる弁当は格別だよ！
(渉に場所は何処にするか聞かれて真っ先に屋上に行こうよと言って、席を立ち早速屋上に行こうとするが肝心の弁当を置いて行きそうになり、渉に弁当を忘れてるぞと言われて慌てて弁当をうけとり、また渉の手を引きながらルンルン気分で屋上を目指し)

わかったわかった、わかったから慌てるなって
（いつものごとく落ち着きのない様子で肝心の弁当を忘れたりと、とにかくそそっかしい彼女に腕を引かれて前のめりになりながら後を追い、前を歩く相手の妙に上機嫌にも見える笑顔を眺めていると此方も不思議と楽しくなってきてしまい、己の頬も自然と緩んで歩みを僅かに早め、相手のすぐ隣に並ぶと手を繋いだ状態で隣り合って歩く構図になって

屋上ー！しかも穂乃果たちだけだよ！
(屋上に着いてかなりのテンションが上がって、楽しくなったのかつい軽く踊ってしまう。
それから端っこの段差の所に座り「渉君ー早くこっちに来てよー！」と、渉を呼び掛け

はいはい
（屋上に通じる扉を開けば太陽の光が差し込んで、眩しさに思わず目が眩み、少し目を離した隙にあっという間に先に行ってしまった相手に呼びかけられればやれやれといった様子で一つため息を零しながらも、そんなところも元気な彼女らしいなと感じられてフッと微笑み、少しだけ早足で隣まで行ってはゆっくりと腰を下ろし｢まだまだ冷えるな…ほら、これ膝にかけておけ｣春も少しずつ近づいてきたとはいえ、やはりまだまだ冬らしい寒さは健在で、スカートの彼女を気遣って上着を脱いで膝掛け代わりにかけてやり

ありがとう！けど渉君は大丈夫なの？
(渉の上着を膝の上にかけてもらって暖かいなぁと嬉しいとは思ったが、渉が上着を脱いでいたので、風邪を引かないか心配になり大丈夫かと訪ねる
そして、いつもと違う感覚がよぎり渉が近くにいるのか、凄く胸がドキドキしてきたが何がなんだか、どうすればいいか分からずその場でぼーっとして

ん、俺は大丈夫だ。足を冷やすのは身体に毒だからな
（最初の方こそ肌寒さを感じたのは確かだが、今日の屋上は風もなく日当たりが良いこともあってか寒さもそれほど気にならなくなっていて、ともすれば気になるのはやはりスカート故に起こり得る彼女の下半身の冷えで、自分は平気だからと告げては髪を撫でて｢それより昼ご飯を食べよう。あんまりのんびりしてると昼休みが終わるからな｣彼女の頭から手をどけて、思い出したようにそう提案をしては弁当の蓋を開けて

そうだね何が入ってるかな～
(渉が穂乃果のことを気づかってくれた事にたいしてと、頭を撫でられた所に手を当てては喜びを浮かべては、自分も弁当の蓋を開けて渉の弁当の中身と同じだったので「お揃いだね～！」と満面の笑みを浮かべ)

そりゃあ、まあ作ったのは両方俺だからな
（弁当箱を開けてお揃いだと無邪気に喜ぶ相手を横目で見やりながら作ったのは自分であり使った材料なども同じなのだから当然といえば当然のことなのだが、こうしたちょっとしたことでも日々感動出来る相手の感性の豊かさは見習うべきところがあるなと感じ、彼女のこんな表情を見たいからこそ毎日頑張れる部分もあり｢そのハンバーグ美味いだろ？実はな、それ中に刻んだピーマンが入ってるんだ｣弁当を食べ進めながらふと、相手がもう半分以上食べてしまっているハンバーグを指差してその中には彼女の嫌いなピーマンが入っていることを暴露し、そこまで何事もなく食べられたということは上手く誤魔化せたみたいだなと満足げな様子でいて

うぇぇえ！？そうなの？穂乃果の嫌いなピーマンが！？もぅ！
(半分以上食べたハンバーグを「このハンバーグ美味しいね！穂乃果いくらでも食べられそうだよ！」と自信満々で言ったあとに渉からそのハンバーグには刻んだピーマンが入ってると聞いて、びっくりして喉に食べものを詰まらせてしまい、急いで近くにあった水の入ったペットボトルをとり、それが渉の飲みかけと知らずに飲み、何とか落ち着いた。
そのあと子供扱いしないでよー！と言わんばかりの表情で渉をじっと見て

ほ、穂乃果！？それ、俺の…
（やはり彼女にとってこの告白は衝撃的で刺激が少し強すぎたようで、食べ物を喉に詰まらせるというなんともベタなリアクションを見せてくれていて、流石に間接キスはマズいと思ったのか苦笑混じりにこれまた持参していた水筒のキャップに水を注ごうとしたところで彼女にペットボトルごと奪われて飲まれてしまい自分の口をつけたペットボトルに容赦なく口をつける姿を見て、気まずそうに彼女から視線外し頬を掻いていて

え？あ…ごめん近くにあったから…
(片手に渉の飲みかけが入ってたであろう空のペットボトルを持ちながら全部飲んでしまったことを深く反省しつつ、渉の様子を伺うと、しばらくしてから渉が何故気まずそうにしてるのかを察してしまい、顔を赤くしあ「新しい水買ってくるね」といって屋上を出ようとし

え？あ、ああ、ごめんな
（正直言うと水のことなんて割とどうでも良かったのだが、このまま彼女と一緒に居るのは色々と気まずく、何よりも今の彼女を見ていると胸がうるさいぐらいに高鳴るような、そんな不思議な感じがしており、胸の内に芽生えつつある表現し難い感情を自分で抑えられないという危機感を無意識ながらに感じ、一人になって心を落ち着けるべく彼女には申し訳ないが後ろ姿を見送り

どうしたんだろう…穂乃果
(自分でも胸に過る気持ちが良く分からず闇雲に突っ走ってるのかなかなか結論にたどり着けずもやもやしていてそのモヤモヤが嫌で今の自分に渇を入れるように両手で両頬を叩き、水を買ってもう一度屋上に戻ると決意し)

…まあ、俺も穂乃果も少しは成長したってことか
（結論の全く出ない問答を自分の中で延々繰り返していれば、自分も相手もお互いに幼なじみという近しい間柄ながら少しは異性同士であるという認識は持てるようになってきたのだろうなと自分の中で今の感情についてそう結論づければ、むしろ年頃の男女にありがちな微妙な距離感のようなものが今まで殆ど無かった自分たちの方が異常だったのだと考えれば妙にしっくり来てしまい、ストンと腑に落ちて独り言のように呟いては屋上で彼女の帰りを待っていて

渉君まだいるかな…もうすぐ昼休み終わるし
(普段は多くのことを考えるということが無かったため、頭をぐるぐる巡ってくる細かい感情が自分が追いつけていなくそれでも渉のことを考えたいから考える。ふと思うと何で渉のことを無償に考えたくるのかを思ったがやっぱり結論に達することが出来ず、そんなことを考えていると屋上の入り口についたが、きのことを改めて意識するとやっぱり顔を会わせるとなると躊躇ってしまい入り口前で顔を覗かせる感じで渉を見て

…それにしても穂乃果遅いな…
（自販機に水を買いに行っただけにしては遅過ぎると腕時計で時間を確認するとそろそろ昼休みも終わろうかという時間で、一体どうしたのだろうと不安を感じ、いつもそそっかしくて危なっかしい彼女のことである、もしかしたらどこかで転んで怪我でもしているのではないだろうかという考えに至れば不安感がピークに達し、いてもたってもいられなくなってその場で立ち上がり彼女を探しにいくべく向こう側に相手が居るとは気がつかないまま勢いよく屋上の扉を開けて