語り部 2013-09-19 21:17:44 |
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*僕について*
彼女は今日もくるくると、傘を回しながら歩いていた。
雨の中の水曜日、彼女の誕生日。
僕はプレゼントを持ってかけ上がる、少しだけ滑る石段を。
そう、少しだけ滑る、雨に濡れた石段を。
手を振る彼女、手には何時もの傘。
次の瞬間、傘が舞う。
空を、ワルツでも踊るように舞った傘を
彼女が拾うことは、なかった。
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昔は幼馴染み三人組の中でもしっかりしていていながら活発で、所謂中心的な少年だった。
現在はどちらかというとあいつやあの子に付いていく側の非常に大人しい、大人びた青年になった。
彼女を今でも好いている。
彼女が石段から転げ落ちた際に石段に来ており、その手を掴めないまま落ちていく彼女を見つめることしかできなかった自分を悔いている。
生き霊となった彼女が見える唯一の人間で大好きな彼女のために奮闘する。
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