裏表少年 ( BL )

..うっわ、馬路かよ。( 携帯の画面を見乍呟く。相手の気配には未だ気付いていないようで。然し相手の声が聴こえれば直ぐに振り返る。..やば、見られただろうか。「..あれ?、一樹君じゃん。さっき振り-。」へらり、と先程の無表情とは思えない程満面の笑みを相手に向けて。「どうしたの?、こんな所に。」と気付かれない様小首を傾げては質問を投げかける。折角休めると思ったのに。内心相手を睨んでいるつもり。勿論表には出さない。にこり、笑みを張り付けておこう。)

ちょっと気休めにね ( 変わらぬ表情を己に見せる相手。笑み以外の表情を見せない其の様子には、器用な奴だ何て思っていたりして。其の表情からは己を歓迎しているようにしか感じ取れなかったらしく、それに応えるようにゆるりと片手を挙げ。何をしに来たのかと問われても困る。だが適当に言葉並べてはにこりと表情返して。早く何処かへ行って欲しい、何て思ってはいるものの、そんな事言える訳が無い。｢ そう言う君はどうして此処に? ｣と質問投げかけてみて。 )

余り人混みは避けたいから..。( 遠まわしに本心を呟けば苦笑。人混みは疲れる、と本当は言いたいが。「僕が居たら休めないんじゃない?、」更に質問を投げつけるも小首を傾げては相手を見詰め。つか、自分も休めない。顔が吊る。然し相手がいるのなら別笑顔は絶やさない。他を探すか..。携帯をﾎﾟｹｯﾄに仕舞えばそろそろ行こうかな、という仕草を見せる。其の侭「んじゃ、御邪魔な僕は失礼しようかな。」なんて頬を吊り上げて述べれば相手に背を向け反対方向へ其の瞬間真顔になれば溜息を。)

..あれ、そういえば君、ﾊﾞｲﾄとか言ってなかったっけ? ( 質問投げかけられるとそんな事はない、とでも言うように首を横に緩く振って。邪魔に決まってんじゃねｰか。本当はそんな事を思ってはいたのだが。又しても相手から去ってくれる、という好都合な事に喜びがこみ上げてくる。と相手を見ると表情が段々歪んでいる事実に気付いて、勿論不思議に思って。しかし此で会話が終わるのならば、とｺｸﾘ一つ頷いては相手の背を見詰めるもふと気になった事が頭に浮かび、少し間を空けて上記問い掛けてみる。そんな自分に呆れながら。 )

今日は休み-。( 無表情の侭思わず振り返ってしまう。..まあいいか。上記を告げればふわり、と微笑んで。上記を伝えれば再び反対方向へ歩き出す。今日は遊ぶ気にもならないな-。家に帰って寝よう。己の家であるﾏﾝｼｮﾝの一室まで大学から何分だろうか。そんな事考えた事無かった。あ、ｺﾝﾋﾞﾆ行きたい。家の冷蔵庫を思い浮かべるなり何もない事に気づいては内心思って。はあ、と歩き乍小さく溜息。未だ相手の顔が頭の中に残っている。..最近の人でもあんなに人が良い人とか居るんだ。なんて内心考え。表で生きるのも飽きたな。可愛い系..ね。馬鹿らしい。己を自嘲するように心の中で呟いては真っ直ぐｺﾝﾋﾞﾆへと向かって。)

..あ..そう ( 振り向かれた相手の其の表情は正に無表情と言えるであろう。先程迄の表情はどうしたものか。内心凄く驚いた、こんな表情も見せるのだ、と。然しその後、直ぐに柔らかい表情視界に入り、まるで小悪魔のようだ何て思えば、納得したように上記を告げて。己も無意識の内に無表情になっていたようだが、もうどうでもいいやと開き直ってしまえばその場の壁に凭れ掛かり、空を見上げたりして。だが相手の後ろ姿をどうしても横目で見てしまう。どうやら彼奴に興味を持ったらしく、ﾆﾔﾘといった表情浮かべては再び空に視線を戻して。 )

...やっほ-、( ｺﾝﾋﾞﾆへ向かう途中、この間遊んだであろう男女数人のｸﾞﾙｰﾌﾟに出くわして。へらり、と何時もの様に笑みを張り付けては通り過ぎる。..面倒、誰だったっけ。最早名前など覚えていない。通り過ぎては己の頬を掴む。痛い、何だっけ..一樹君の名字。如何しても思い出せなかったのだろう。まあいいか、もう合わないかもしれないし。無意識の内に舌打をしていては我に返る。へらへら、一人で笑っている少年。周りに人が居れば凄い痛い視線を浴びるだろう。然し今居るのは自分のみ。ｺﾝﾋﾞﾆへと足を踏み入れては明るく「いらっしゃいませ!」なんて言ってくれる定員。にこ、と軽く笑みを零して。)

(/　済みません!　「合わない」×　「会わない」　でした-。orz、　　)

莉紅、か... ( そう少年の名を呼んで。今はもう相手は居ないからか呼び捨てで。君付けするのが面倒だという事も有ったからだろうか。それにしても静かだ。風の音が少し聞こえる位の静けさであり、退屈過ぎて欠伸を零してしまって。友達、いや俺にとっては下僕か。そんな奴等さえ裏口何かに来やしない。苛立ちを覚えながらも、己から行動する気力など今の己には無く、眠気に襲われて。ｶｸﾝ、と首が揺れてしまうのを我慢して、水道にでも眠気覚ましに顔洗いに行こうか何て考え巡らせるも面倒な為か結局其の場に佇んだ侭であり。 )

..ﾚｼｰﾄ要らないから-、( 取り敢えず酒と御飯を選べばﾚｼﾞへと。家に帰っても一人だし..あ、公園。そんな事を思いながら上記を云い定員に微笑んで、購入すればｺﾝﾋﾞﾆを出て。「..暇-、」なんて空を仰ぎながら呟くも近くの公園に辿り着けばﾍﾞﾝﾁへ腰を下ろして。人気の無い公園。こんな所に大学の人達なんて来ないだろう。先程の無表情を浮かべては大きく溜息を。「疲れた」と冷たい口調で呟く。知り合いに見られたら驚かれるだろう。何か面白い物は無いかと辺りを見渡すも素っ気無い公園だった為か遊具もﾌﾞﾗﾝｺと砂場ぐらいだろうか。呑気に欠伸を漏らしてはぐぐ、と背伸びを一回。)

さて、 ( 気合いを入れる一言を告げて、伸びをしてはやっと、家へ帰ろうと決心したようで。家に帰っても面白い物は何も無いが。有るのは精々ﾃﾚﾋﾞとかだろうか、そんな事を考えながら歩みを進ませる。まあ今日の夜もあの公園で酒でも呑むかと考え巡らせ。あの公園、それは己の家への帰り道に何時も通る道であり、よく餓鬼達が遊んでいる。幼少期の頃は何をするかなんて考えてもいなかったはずなのにと今更若返りたい何て願望が有って。偉そうにﾎﾟｹｯﾄに手何て突っ込んだりしては、大学から己の家は近いらしくそんな事を考えている間に公園間近になっていて。さて今日も餓鬼が居るのだろうか、何て思い覗けば其処にはまた先程の少年。一瞬うげ、とした表情浮かべては気付かないﾌﾘをしてその場を通り過ぎようと歩みを進めて。 )

( 此の侭寝てしまおうか。そんな事も考える。背凭れに凭れ掛かって今日何度目かの溜息。やっぱ一人が良い、なんてぼっち発言。内心苦笑しては己の前に現れた一匹の黒猫。人じゃ無いから別に素で構わないが「..如何したの?、」なんて表の口調で猫に話しかけてしまった自分が馬鹿だった。ﾐｬｰﾐｬｰと何かを求める様に鳴く猫。犬より煩くないから別に良いけどさ。相手の姿に気付く事も無く「..うっざいな、何なの?、餌でも欲しいの?」と猫を冷たい目で見て。..ま、餌なんて無いけど。動物相手に切れる自分に若干笑える。猫に向かってにこり、と笑みを浮かべるも目は笑っておらず。)

..は? ( 通り過ぎよう、そう思っていた。いやしかし、今までの可愛らしい少年から出たとは思えない程の発言に帰ろうにも帰れなくなって、瞳を丸くして声を漏らしてしまう。気付かぬ内に相手を凝視してしまっていたようで、此は絶対に気付かれると焦る気持ちが募るも、見ていないと己に言い聞かせれば未だ相手に気付かぬﾌﾘをして前方へと視点を変えて。絶対不思議だろうが今はそんな事を考えてはいられまいと先程より少し速度を速めた足取りにて、早く此の場を去ってしまいたいと言わんばかりに己の家へと向かって。 )

....?、( 不意に聞こえた声に瞬時に振り返る、と同時に舌打。誰かに見られたか、あ-俺の今までの演技はなんだったの、と自嘲。何か前にもこんな事があった。もしかして..、と思い小走りで公園の外へ。見える相手の背中。「..一樹く-ん?」と声を張って相手の名前を呼ぶ。問い詰めるしかないだろう。きっと相手が一人目、何時かは見られる時が来るだろうと思っていたがまさか初対面に見られるとは。にこにこ、と先程の表情とは全く違う表情を見せては大きく手を振る。相手はどんな反応を見せるんだろう。途惑うだろうか、手を振った侭そんな事を思っては思わずにやり、と笑ってしまい。)

( 後悔。其の二文字が相手に話し掛けられたことにより頭の中に浮かぶ。聞こえないﾌﾘをする手も有ったのだろうが、誰にでも聞こえそうなはっきりとした声色にて名を呼ばれるとそんな作戦通用しないと考え、小さく息を漏らせばゆるりと振り向いてｽﾏｲﾙ。｢ あ、莉紅君じゃｰん ｣と今更気付いたような口振りで告げて。どうだろうか、此の演技はﾊﾞﾚてしまうかと焦りが募っていって。先程声を漏らしてしまったのだからﾊﾞﾚても仕方がないという考えも有り。 )

...さっきね、声が聞こえたんだけど..一樹君かなって思って。( 笑顔の侭上記を呟けば小首を傾げる。まあﾊﾞﾚてもいいか、そっちの方が楽しそう。一樹ｻﾝならﾊﾞﾚてもいいや。知らず知らずにそんな事を考えては相手にゆっくりと近寄って。「..一樹君だったのかな?、」近くまで来れば問い詰める様に顔を近づけてみる。彼は嘘を云うのだろうか。予想的に見てない、なんて言いそうだが。後ろに手を組んで相手を見詰めては返答を待って。)

..俺だよ ( 己に近付いて来る様子に、どっか行け何て思っているようだが、表情には勿論出さず。顔を近付けてきたにも拘わらず一歩も引くこと無く目の前の相手を見据えていれば、問い掛けられた言葉に焦る。まるで己が犯罪でも犯したような緊張感が漂う中、どう答えるべきかと考え巡らせていて。もういいや、言ってしまおう。少し間を置けばｽﾗｯと上記を告げてみる。其の己の表情はもう笑顔何て見せる暇も無かったようで、無表情であり。 )

....な-んだ。( 相手が目の前に要るにも関わらず笑顔を消す。無表情、真顔の侭上記を呟けば詰らなさそうに眉を寄せて。此れから追いつめようと思ったのに。「んじゃ、見たんだ。..ま、いっか。」くす、と笑みを零しては直ぐに冷たい目になり相手と距離を取って。後ろに手を組んだ侭相手の表情を見れば同じく無表情。「..君もそんな顔するんだ-。」と相手の目を見ては告げてみて。左記を云った数秒後にこっ、と何時もの満面の笑みを向ける。勿論目は笑っておらず相手を見ていて。)

そりゃあ..俺だって何時も笑顔な訳じゃないよｰ ( 素直に白状してやったんだから感謝位しろよ。相手のつまらなさそうな言い種に、苛立ちが募る。己はこんなに短気だったのか、新たな一面がこんな状況で見付かるなんて。然し己の本当の姿は未だ出せずにいるが、笑顔は完璧に消えていて。そんな己から離れては笑みを向ける相手。いや、此は笑っていると言えるのだろうか。そんな事考えながら柔らかい口調にて上記告げると、あはは何て笑ってみて。其の己にｷﾓ、と内心告げる。 )

..そ-なんだ。( 何て興味が無さそうに上記を呟けばふ、と視線を落として。己の本性を広げられたら困るんじゃないか。なんて今頃の様に考えては相手を再度見詰めて「..俺の本性一樹ｻﾝにしか見られてないから誰にも言わないでね?、」と忠告のつもりで云ってみる。勿論、ﾊﾞﾚた時用の策は其れなりに考えていた。力づく、か相手の弱点を見つけるしかない。人間観察は得意な方だが、此れから大変になるだろう。何しろ本性がﾊﾞﾚてしまった時点でやばいのだが。)