天使戦記桜ノ都

そして、私は飛び立ち空間の穴をこじ開けそこに入る。
「また、連絡してください。」

『はい。さようなら。』
手を小さく振りながら見送る。
（サエさんは天使だけど人間である私に優しく接してくれた。もしかしたら人間と天使はいつか分かり合えるのかもしれない。絶対に裏切らないでね…）

家…いわゆる寮に帰る。
一般天使たちはまだ帰ってこない時間だ。
フッと息をつき書類に目を通す。
天使…ね。
「はぁ、早く連絡来ないかな。」

『ここから連絡するのか、かけてみよう…』
ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾙ…

着信音が鳴り響く。
耳につけている通信機のボタンを押す。
「夜秋。」

『こんにちは。ダビンです。聞きたい事があるのですが…』
サエに電話をかけてみる。

「はい、なんでしょうか。」
と優しい声で言う。

上げます

（/塾行ってました。/)
『聞きたい事がいくつかあります。人間と天使はいつか分かり合い助け合う事はできると思いますか？』

迷いなく前をスッと向く。
「無理ですね…そもそも価値観が違う。」

『そうですよね…この戦争は永遠に続くのですね…』
遠くの街が争いにより燃やされているのを見ながら

「人間と天使の和解は簡単には行きません。何しろ数億の天使の命が弄ばれたのですから。」
人間を此方も殺した。
でも、あそこまで…。
っ…。

『天使って数億もいるんですね…一旦切ります。ここから避難するので。』
争いの声がすぐ近くへ聞こえてきたので、家へと帰る。

「はい、逃げ終わればまた連絡してください。まだ話したいことがありますので。」
と言い通信を切る。
ただただ、広い部屋に冷え切った空気が充満した。
「いつ終わるかわからぬ争い。いつか、若い頃のように私も戦争に出るんだろうな…。」

家へと逃げる。

『はぁ、すごい爆撃音だ…疲れたーっ。』
家に入り『ただいまー』と言うが父は軍隊に所属しているためしばらくは帰ってこない。そして母の写真の前で手を合わせるとすぐさま2階の部屋へと向かいサエに電話をかけ直す
ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ…

「はい、無事でしたか…。良かったです。」
と優しい声で言う。

『はぁ、無事ですよ…街は混乱してるようですが…』
疲れたような声で言う。

「この、戦争が始まって…、気を抜ける日は無くなりました。」
第八次天使大戦。
これは、18年前に始まった。

『学校も無くなってしまいました。毎日のように争いの声と銃撃音が聞こえます…しかし今日はいつもより声が激しいのです。』
不安そうな声で言う。

「私は…、そうですね。戦争をする方なので…。」
と、呟く。