【 指名制 】香撫町の住人。【 リメイク / 日常 / 考察 】

【 指名制 】香撫町の住人。【 リメイク / 日常 / 考察 】

管理人。  2021-01-29 15:12:00 
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 「 ようこそ、香撫町へ。
   歓迎するよ。たとえ、君が何者であっても。 」


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  • No.21 by 月  2021-02-10 22:20:47 




>18 來


……そっか。
( きっと深い、深い闇が広がっているのであろう。泣きそうな様子が、苦しそうな表情が。二人のことを思い出して、何も言えなくなる。ただ嫌いなわけではない。彼の中でのもやもやが形になっていく。そのまま心の霞がなくなっていけば良い。抱えているものがすっと溶けてなくなるなんて簡単なことではないけれど。ただ一言、肯定でも否定でもない言葉を発した。真っ向から受け止められるわけでないにしろ、そうして本音を口に出せる環境があるのは大切だと思う。安心して吐き出せる相手になれたら良い。会ったばかりの頃と同じ、それよりもより強く感じる。此処にいるとそう決めたから。深くつっこまず、あえて終了の言葉にも肯定の意を示す。「そうだね、もっと色々楽しみたいな」転がってゆくメダルを追い掛ける彼を見て、笑ってしまう。何だかんだで一枚一枚を大切にしているんだなあ、なんて。口に出したら文句を言われるだろうから、絶対に言わないけれど。メダルに対してわざわざ二人で行く必要もないから、待っていることにした。残りのメダルを使おうと、普通の大砲で景品を撃ち落としながら。すっかりハマってしまったのは彼のせいとしておこうか )


( / ご連絡有り難う御座います。睡さん待ちということで待機させて頂きますね。以前は名前すら聞かない状態で終わってしまったので、睡さんの名前を知っていて、かつ数度会ったことのあるということでお願いしたく思います。 )


  • No.22 by 睡 / スイ  2021-02-11 00:30:10 



>月


 【 冬 / ゲームセンター / >21 】


 ( コーヒーで身体を温め、店を出ると、もう雪は止んでいた。首にはワインレッドのマフラーを巻き、手には深緑の地に赤と色の線が入ったタータンチェックのマフラーを持つ。來が出てからまだそこまでの時間は経っていない。幸い、積もった雪で足取りも掴める。追うべきは、一番新しい足跡だ。隣の席に放置されたマフラーを発見したのがついさっき。忘れ物を届ける、なんて、いつ以来だろう。喫茶店から伸びる足跡を自分の足跡で上書きするように辿りながら、考える。しかし、思い出そうとすると眠気に襲われて、頭がぼんやりとしてきたので早々に諦めた。こんな雪の上で眠ってしまうわけにはいかない。雪に残る足跡は重ねてみると見事にぴったりで、性格も容姿も違えど、こういうところはしっかりと双子なのだと少し感心してしまう。……それにしても。自身の足が雪を踏みしめる音を聞きながら、思う。昨日は、確か一面の花畑だったような。この下にはあの花たちがいるのだろうか。足下へと目を落とす。もしそうだとしても、見えなければ、知らなければ、何も思うことはない。結局、足跡を追って辿り着いたのはショッピングモール。さすがにショッピングモールの中にまでは雪は積もっていないので、ひとつずつ店を見て回るしか方法は無い。骨が折れそうだ、と重い溜息。手に持ったマフラーを抱え直すと、店には入らずに、流し見しながら弟を探し歩いた。ゲームセンターを覗くと、弟とは違うものの、見知った背中を見つけて。吸い寄せられるように、そのまま声を掛ける。 )
 …………月?



  • No.23 by 景  2021-02-11 12:47:41 



(/参加させていただけること、本当に嬉しいです.!! 記憶喪失の設定を上書きしている為ご指摘等ありましたらお願い致します。/)



「 景...て日の光って意味もあるんだそうです..。私、何も無くて影みたいだから..自分自身への皮肉なんです。」

名前 : 景 / ケイ ( 偽名 )
性別 : 女
年齢 : 16


容姿 : 手入れされた黒髪は首元でふたつのお団子にされており、アーモンド型の黒い目は伏し目がちでも分かるほどに大きく年齢に見合った幼さがある。また影を落とすほどに伸びる羽のような睫毛は黒く妖艶な雰囲気を漂わせ、肌の色は白く、服装や外見も相まってそこだけ色彩が抜け落ちたかのような錯覚に陥るほどに血色が悪い。身長は160cmの痩せ型。
服装 : 袖にフリルのついた白のブラウスに灰色で脛ほどの長さの襟元にリボンのついたジャンパースカートを来ている。足元は白のソックスに可愛らしい白のパンプス。学生鞄は未だに使っている。若干ロリータ趣味にも見えるが本人は気に入っている。


性格 : かなりの優等生でなんでもそこそこに頑張れる出来のいい子だった。人当たりも良く好かれたが、八方美人と言われれば黙ることしかできない。また香撫町に来てからは表情の変化が乏しく花のような笑顔を見せることも苛立ち憤怒する様子も見せず常に下を向き悲しげな表情を浮かべている。元々自我が少なかった為なにか行動しろと言われなければ屍のように動かなくなってしまうことがしばしばあり、見目の不思議な雰囲気からか人形のようにも見える。


この町に来た理由 : ある事で苛烈ないじめが始まり、1度オカルト好きな父親から借りた本に乗っていた香撫町を鮮明に記憶しており、この無慈悲な世界から逃げる為の逃避行に向かった。睡眠不足で正常な考えが出来ずとりあえず森を進んでいけば..という考えでボロボロになりながらも辿り着いた。いじめの原因が自身の名前の為香撫町では偽名を使っている。心の傷が深く香撫町に来てからは、警戒心が強く会話ができないということは無いが本心をさらけ出す事はほとんど無い。

指名キャラクター : (/ トピ主様のお子様皆とっても魅力的で1人を選ぶことが難しいです.. お任せしても宜しいでしょうか...? /)


初回ロル :  【 2月下旬 / 図書館まで 】
( もうすぐ3月だと言うのに強く吹き荒れる風がまだ冷たく、冬が終わっていないことを報せる。
髪をまとめているお陰で邪魔になることは無いが完全に首元が無防備で冷たい風が諸に受ける。マフラーやカーデの1つでも持っておくべきだったと痛いほどに寒さで実感させられた。今更家に取りに戻るのも面倒になって足早に路面電車に乗り中央部まで向かう。中央部は東部ほどでは無いが小さい子供や自分と同じ位の学生達で賑わっていて、窓から見える景色はまるで御伽噺のネバーランドのようでもあった。それから5分程で目的地の場所についたことを車内アナウンスで確認する。降り立ったそこは先程とは打って変わって静けさに満ちていて、とても居心地が良かった。寒さに耐えながらも目前の図書館まで歩く。)
帰りはもっと寒いのかな.. 死んじゃう..

  • No.24 by 管理人。  2021-02-11 16:13:29 




>景ちゃん本体様

( / PFの提出、ありがとうございます。不備等ありません。また景ちゃんと絡めることを嬉しく思います、これからまたよろしくお願いいたします。
初回の相手なのですが、悩みに悩んだ末に結局決められず……シチュエーションから言えば 透 / 朔良 / 遊 / 瞳 の学生組、図書室で時間を潰している朝、変わり種として縋。幸も何か理由をつけて図書室近くに派遣することが可能です。半分ほどまでしか絞れていませんが、この中に好みのキャラクターがいらっしゃれば、また、こんな絡みがしたいという希望がありましたらお伝えくだされば出来る限りそれに添わせていただきます。ご参考までに、透は町の見回り中でマフラーをくれます。朔良は図書館からの帰りで景ちゃんの目の前で本を落とします。遊は急に現れて話しかけ、景ちゃんのことを幽霊だとか口走ります。瞳は散歩中で、たまたま見かけた初対面の景ちゃんへご挨拶。朝は図書館の前に佇んでいて景ちゃんにビビり散らかします。縋と幸は……考え事か何かしてます。たぶん。 )



  • No.25 by 月  2021-02-11 17:56:16 




>22 睡


( メダルを追い掛けていった來を見送って、数回ゲームで景品を撃ち落として。気付いたら手元に残ったメダルは少なくなってきていたようだった。來が来たらもう少しメダルゲームで遊んでから、他のゲームへと移ろうか。UFOキャッチャーも良いけれど、たまにはまったく違うこともしてみたい。太鼓を叩くのも良いかもしれない。そんなふわふわとした思考を止めたのは、待ち人とは違う知り合いの声だった。「……睡?睡だ、久し振り」振り返ってふんわりとした髪が揺れるのを見て、自然と声色も明るいものへと変化する。こうも偶然というものは重なるだろうか。気紛れで足を伸ばしたショッピングモールで知り合い二人に、しかも別行動をしているところで遭遇する確率は低いものであろう。憎しみの感情、感謝の思い。それらを聞いたところで会うとどんな顔をしたら良いのかわからなくなりそうではあったけれど、喜びがもやもやを上回るから単純だ。難しいことを考えるのは得意ではない。だったら本能のままに動くのが吉。きっとそれで良いだろう。「睡も遊んでいく?」ゲームセンター特有の喧騒の中、メダルの少量入った器を手にして問い掛ける。見たところ探し物があるようだから、引き留めるのは悪いかもしれないけれど。断られたらそのときはちゃんと見送るつもりで、ゆるゆると首を傾げてみて )



  • No.26 by 景 / 背後  2021-02-11 19:37:25 




          >管理人様

(/ とても悩みますが透くんとの絡みをお願いしたいです..! 景の方も指示がないと動けない子なので、難しいと思われましたら積極的に話しかけますので...!! また香撫町でお話が出来ること本当に嬉しいです...よろしくお願い致します./)



  • No.27 by 睡 / スイ  2021-02-12 00:40:55 



>月


 【 冬 / ゲームセンター / >25 】


 ……? 昨日も会ったけど。
 ( 振り返ったおれと同じチョコレート色の瞳が、嬉しそうにこちらを見つめている。会えて嬉しいのはおれも同じ。けれど、〝久し振り〟という言葉には首を傾げて。どれくらいを〝久し振り〟だと感じるのかは人それぞれではあるけれど、おそらく大半の人が一日会わないだけで久し振りとは言わない。見れば見るほど目の前の彼女は昨日花畑の中に居た女の子と同一人物で、間違えようがないし、謎は深まるばかりだ。「一面の花畑で……月が、宇宙人で……水素爆発……」昨日のことをよく思い出そうと、頭の中に残っている光景をぽつりぽつりと口に出す。記憶は断片的でぼんやりとしていて、結局何があったのかは分からなかった。しかし、一つだけ分かったことがある。「……ああ、夢か」声色すら変えないまま、そう結論付ける。夢と現実が混同してしまうことは、これまでにもよくあった。最近は少し落ち着いてきたと思っていたけれど、そうでもないらしい。メダルの入った器を見せて、月が一緒にどうかと誘ってくれる。彼女が今遊んでいたらしい機体を覗き見ると、懐かしい射的のメダルゲーム。少し困ったように眉を下げて、笑う。「ごめん。せっかくだけど、おれメダルゲームは……」幸せな思い出は、時に残酷な現実を突き付ける。もう今は手の届かない何もかもを受け止められる強さは、今も、昔も、おれには無かった。それに、いつまでもここに留まっていては來を見つけられない。月と遊ぶのはまた今度にして、とにかく今は來を探すことに専念する。 )
 そうだ、月。來を探してるんだけど、見てない? 忘れ物、届けないといけなくて。



  • No.28 by 透 / トオル  2021-02-12 01:17:50 



>景


 【 2月下旬 / 図書館前 / >23 】


 ( いつものように、町の中を歩き回る。この町の住人は何か事情があって移住して来ている人が大半だし、そもそも移住管理がしっかりしているから、香撫町は比較的平和な町だ。しかし、〝管理人〟という役割を与えられた僕には、何か異変があればすぐに報せるようにと指示が出ている。それは、今日のような冷たい風が吹く日でも例外ではない。この生活が、特別苦だとは思わない。そういうものだと決められているのなら、大人しくそれに従うだけ。反抗も意見も、するだけ無駄だ。図書館近くの見回りが終わって、次は西部かなと考えながら歩を進める。あそこはほとんど人の出入りが無いから見回る必要もあまり無いけれど、抜かりなくと指示されれば行くしかない。丁度塀で見通しの悪い曲がり角に差し掛かった瞬間、風に乗ってか細い声が耳に届く。何かの内緒話ならば身を潜めて様子を窺おうかと身構えるけれど、内容からしてどうやらそうではないらしい。その直後、塀から一人の女の子が姿を現した。首を縮めて歩く様に、なるほど、確かに寒そうだとひとり笑みを零す。独り言を聞かれてしまうというのは、人によっては些か恥ずかしい事ではあるかもしれないけれど、きっとどんな言い回しをしたって次の行動で悟らせてしまうだろう。それならいっそ、という思いで「それは大変だね」と返事のような言葉を彼女へと投げる。同時に、自分の首に巻いていたマフラーを外して差し出しながら。 )
 良かったらこれ、使って。



  • No.29 by 景   2021-02-13 01:36:00 




 【 2月下旬 / 図書館前 / >26 】



____透..さん...?
( 反射的に口に出した名前は自分でも意外なものでその後に困惑が広がる。どこから来たのだろうと見回せば高い塀の横に道が続いていた。この通路に私以外の人がいないのは周知の事実なのだが、"大変だね"なんて声が自分に向けられたことに気付くのには1拍遅れてしまう。実際ここに来る前までは私に向けての言葉なんてひとつも無かったんだと思うと最高に可哀想な自分しか残らなくていっそ笑えてしまえた。ほんの少しの出来事すべてをマイナスに、トラウマとして蘇ってしまうのは直そうにも直せない呪縛のようでもあって。顔見知り程度の彼の前でこんな恥ずかしい顔をしたくは無いし彼もそんな気まずい空気は御免だろう。悶々と考えているうちにまた俯いてしまっていたようで寒々しい首にマフラーが差し出された。余程羨ましそうな顔をしていたのだろうか..彼の首に納まっていたマフラーがみるみるうちにほどかれていく。本来なら良心に快く応えるべきなのかもしれないが自分にはハードルが高すぎた。たどたどしく言葉を紡ぐが上手く言葉に出来ず濁らせてしまう。 )
ありがとう..ございます....でも..悪いです....。ほとんど..初対面なのに...


  • No.30 by 景 / 背後  2021-02-13 11:14:34 



(/ 29にて記載したものは >28 様に宛てたものです... 分かりずらくなってしまい申し訳ありません.. /)

  • No.31 by 透 / トオル  2021-02-13 15:47:20 



>景


 【 2月下旬 / 図書館前 / >29 】


 ……実は、今日一日町の中を歩き回って少し暑いくらいなんだ。手に持って歩くのも荷物だし、受け取ってもらえると助かるな。
 ( 注意深く聞いていないと吹く風に掻き消されてしまいそうな声が、辿々しく言葉を紡ぐ。それがマフラーの受け取りを拒むものだと理解した瞬間、頭の中に現れるのはいくつかの選択肢。『僕がそうしたいからしてるだけ、気にしないで』、『僕はもう帰るところだから』、それとも有無を言わせず首に巻きつけてしまうか……僅かな逡巡の後、選択肢の中から一つを選び取り、口に出す。出来るだけ気を遣わせず、押し付けがましくないもの。きっと、これが〝最適解〟。こういう時、自分はひどく機械じみているな、と思う。決められた通り、教えられた通り。プログラムされた通りに動くロボット。〝最適解〟を導き出すのに、僕の意思なんてどこにも介在していない。この言葉で彼女はマフラーを受け取ってくれるだろうか。もし、受け取ってもらえなかったなら。大人しく差し出した手を引っ込めて、マフラーを手に持ったまま見回りを続けよう。今しがた吐いた小さな嘘に、勘付かせてしまわないように。口元には薄く笑みを浮かべ、威圧感を与えないよう気を配りながら、しかし意識は彼女にあることを伝えるように、柔らかでいて真っ直ぐな眼差しを彼女へと向ける。〝親切な管理人〟の顔。恐らく彼女が僕に抱いているであろうイメージを、そのまま再現する。透、なんて名前はオマケみたいなもので。文字通り透明で、あってもなくても同じ。大事なのはその上につく肩書きの方だ。だから、ほとんど初対面の彼女が、僕を〝管理人〟ではなく〝透〟と呼んだことに、本当は少し驚いていた。けれど、この話は彼女にはしない方がきっと正しい。理由は……よく、分からない。 )


( / アンカー間違いはあまりお気になさらず。私もよくやります。お互い様、ということで。 )



  • No.32 by 景   2021-02-13 21:19:51 



                    >透


 【 2月下旬 / 図書館前 / >31 】


( 断ろうにも拙く吐き出された言葉たちを全て汲み取ってくれた彼は緩く笑みを浮かべながら、あくまでも " 頼み事 " として私にマフラーを渡すのだ。罪悪感を感じさせず受け入れざるを得ない完璧な状況に逃げ場はなく、その機械的に並べられる言葉に関心と同時に多少の違和感が残るのは自身に植え付けられた猜疑心からなのか。そうなると彼の微笑みすら透き通るように綺麗で__..消えてしまいそうで、なんだかそれが酷く恐ろしかった。だんだんと顔が強ばっていくのを感じて申し訳ないと思いながら「 ..お心遣いに甘えてお借りします...。」と応え、その手からマフラーを受け取る。高校生の返答としては硬すぎたかもしれないが自分にしては緊張の中すらすらと出てきた言葉で褒めて欲しいぐらいに上出来だと思えた。マフラーにはまだ彼の体温が残っていたようで、悴んでキュッと結ばれた指先が温く解けていくようだった。不器用に首に巻き付けたそれをみて、人様からなにかを借りたのは久しぶりだと思った。いつも誰かに貸す側の人間だったから目の前の彼が見返りを求めて親切を行ったのではないと知っていながらもこの後何をもって感謝を伝えるべきなのか分からず思考が偏った。市販のチョコレートでも買ってきて渡そうと思ったが今は春にさしかかろうという時期。そんなイベントはとっくに終わっていることに遅れて気がつく。結局正解の選択は考えられなかった。図書館の前にいるのだから少し躊躇ってからぎこちない笑みで問いかける )
____えっと...透さんは、この後なにか予定とかって...


 (/ ありがとうございます..;; 以後気をつけます. /)


  • No.33 by 透 / トオル  2021-02-14 01:46:45 



>景


 【 2月下旬 / 図書館前 / >32 】


 ( おずおずと伸ばされた手が、ようやくマフラーを掴む。その動作は申し訳なさそうで、そしてどこか怯えているようでもあったけれど、ひとまず彼女の首にマフラーが巻かれたことにほっとする。他人の身に付けていたものを身に付けることに抵抗を覚える人は少なくない。もし彼女もその一人だったのなら、僕の行動は迷惑に他ならず、それは〝間違い〟だから。いつか、先生が得意顔で『道徳に正解はない』のだと説いていたことを思い出す。けれど、確実に〝間違い〟は存在するのだ。〝正解はない〟のに〝間違い〟はあるなんて、あまりにも理不尽だと思ったけれど、その時の僕はまるで感銘を受けたような顔をした。それが〝正解〟──否、〝最適解〟だと思ったから。寒い中長々と引き留めてしまうのも申し訳ないし、どうやら彼女は図書館に用があるらしい。目的は達したことだし、そろそろ見回りを再開しようか、というところで、今度は彼女の方から声が掛かる。「予定という予定は無いけど……何か困り事?」予想外の質問に、きょとんとしながらも答えを返す。見回りは残すところ人の出入りの少ない西部だけだし、少し時間を割くことくらいは何の問題も無い。それに、実際のところ、問題や異変のほとんどは香撫町のネットワーク上にある掲示板で報告されるため、そもそも見回りの必要もあまり無いのだ。彼女が何か問題を抱えたり異変を感じていたならば、聞くべきだろう。そうでなくとも、住人達とはある程度の信頼や親交を深めておいた方が良い。特に、まだこの町に来たばかりの彼女とは。あくまで、この町の〝管理人〟として。 )



  • No.34 by 月  2021-02-14 16:15:37 




>27 睡


……私は人間だよ、ちゃんと触れるし。でも、うん。夢の中で会ってたなんて面白いね。
( 聞くからにファンタジー色の強いそれが現実だとしたらそれはとても滑稽で、彼らしいと言えばそれまでだった。夢であることは理解しているようだから大丈夫だろうとは思うけれど。やんわりと手を伸ばしてぐーぱーと動かしてみる。本当に触れて良いのだと勝手に判断できる程、まだきっぱり仲良しだとは言えないから。目の前でわーわーと声をあげて揺れてみせるのが精一杯だった。「見たよ。見たというか、さっきまで一緒に……」來がメダルを追い掛けていった方向へと視線を向けるも、見慣れた青紫はどこにも見当たらず。いつの間にかじゃらじゃらと煩いくらいに鳴っていたメダルの音も聞こえなくなっていた。「あれ……來?らーいーっ」このままではただ嘘をついていると思われても仕方がない。どうしようかと声を出してみる。周りにいる人は少数で、皆ゲームに興じているから目立つことはなかった。目立たないということはその本人にも届かないということだから、良いのかどうか一概には言い切れないけれど。ゆるりと首を傾げては、うーんと唸る。「一緒にいたから、そう遠くまでは行っていないと思うんだ。探すの、手伝おうか?」食指をぴんと立てて、提案をしてみる。これはきっと乗り掛かった船。最後まで、なんて自己満足かもしれないが。選択は委ねることとしようか )



  • No.35 by 來 / ライ  2021-02-14 20:18:32 



>月


 【 冬 / ゲームセンター / >34 】


 ( 転がってゆくコインを追いかけた先。顔を上げると、入ってきた方とは別の出入り口の傍だと気付く。ゆるり、口角が上がる。そうだ、回り込んで、おれの様子を気にしているであろう月を驚かせてやろう。最初に月と会った方の出入り口付近へと近付くと、丁度おれを呼ぶ声が聞こえてくる。わくわくとした気持ちで、ゲームセンターの中へと足を踏み入れる。射的ゲームの機体の方を見ると、そこに居たのは、月と──よく知る背中。「……兄さん?」予想外のことに、思わず立ち尽くす。何で兄さんがここに。その理由は、振り返った兄さんが手に抱えている物ですぐに分かった。自分の首元に触れて、マフラーを持っていなかったことに今さら気付く。二人の方に近付いてゆき、兄の手からひったくるようにマフラーを受け取る。おれは、この人に対して、未だに態度を決められずにいる。許せないと思う気持ち、感謝の念、家族としての愛情、助けてくれと縋る思い。色々なものが綯い交ぜになって、結局、いつも現状維持を選んでしまうのだ。一層注意深く作った笑顔で、「ありがとう、兄さん。丁度これから帰ろうと思ってたところなんだ、助かったよ」と言葉を紡ぐ。口を挟ませないよう、少しだけ早口に。手に持ったメダルを「あげる」と月に半ば強引に押し付けると、マフラーを首に巻き、逃げるようにその場を後にした。 )



  • No.36 by 月  2021-02-16 22:18:00 




>35 來


え……あ、ちょっと來!
( 名前を呼んで探していたところで現れた來。再会出来て良かったと安堵する間もないまま、すぐに去っていってしまった。きっとまだ楽しい時間が続くはずだったのだから、言葉に含まれた嘘に気付かない方が無理というもの。しかし引き留めようにも事情を聞いた後では一緒に遊ぼう、なんて提案することもできない。結果としてただ見送ることしかできずに、ただ立ち尽くすだけだった。「睡……來のこと、追い掛けなくて良いの?」話を聞いたことを伝えたとしたら、きっと來がこれからも一緒にいてくれることはないだろう。睡からしても嫌かもしれないし、迂闊に口を出すべきでないことくらい、自分にもわかった。手元に残ったたくさんのメダル。これは一人で消化することになりそうだ。一枚手に取ったメダルをちゃりん、と音を立てて落とす。あくまでも自分から聞き出さないで、判断は委ねる。「行くなら、だけど……ちゃんと話してあげてね」これは他人が指図する問題でない。だからこそ、自分に出来るのは背中をそっと押すくらい。「……私はこれ、終わらせるまでやるつもり!」メダルの入った器を掲げてみせる。空いた手ではピースして、ちゃんと普通にしたつもりだ。)


  • No.37 by 睡 / スイ  2021-02-17 22:16:44 



>月


 【 冬 / ゲームセンター / >36 】


 ( おれに一言も喋る隙を与えないまま、足早に去ってゆく弟の背中を茫然と見送る。隣で月が追い掛けなくても良いのかと心配してくれたけれど、おれには、とてもそんなことは出来なかった。あんな……あんな、母さんに向けるような顔。おれは來を傷付けたりしない、信じて欲しい、無理に笑わないでくれ、と伝えたかったけれど、伝えてきたつもりだったけれど。きっと、來にとってはおれも母さんも一緒なのだ。自分のことしか考えていないエゴイスト。弱虫。裏切り者。あの時逃げてしまったおれの言葉では、もう何一つ届かない。今朝、あの子がおれを探しに来てくれたから、少しでも溝は埋まったのかと勘違いしてしまった。けれど、違う。あの子は、ただ、優しいだけで。憎むべき相手にも優しく出来るだけだ。メダルの器を掲げ、努めて明るく振る舞ってくれている月を見て、來が彼女と仲良くしている理由が分かる気がした。彼女の傍は安心するのだろう。おれだって、今、隣に彼女が居てくれることでどれだけ救われているか分からない。「いいんだ。來は……おれが居ない方が、まっすぐ歩けるから」目を伏せて、感情の無い声で零す。近付くことでまた來が壊れてしまうなら、おれを憎むことで少しでも楽になるなら、このままでいい。〝慈愛〟なんて言い方をすれば聞こえは良いけれど、結局は自分で何かを変えることを諦めた言い訳だ。何が優しさで何が正しいのか分からない。分からないうちは触れられない。毎日、思う。逃げてばっかりで、おれはあの頃と何も変わっていない。どうやら來から押し付けられたメダルを今日中に消化しなければならないらしい彼女に、一言「ごめんね」と声を掛ける。來が迷惑を掛けたこと、おれ達の問題に巻き込んでしまったこと、背中を押してくれたのに來を追い掛けられないこと。色々な意味の〝ごめん〟だ。せめてものお詫びに、と彼女が掲げるカップからメダルを一枚拾い上げる。 )
 おれも手伝う。……って、遊ぶだけだけど。




  • No.38 by 月  2021-02-19 20:28:43 




>37 睡


……そんなこと、言っちゃだめだよ。
( 双子の兄弟。きっと唯一無二の存在である片割れがいなくなった方が良いなんて、絶対に違う。だからちゃんと隣にいるべきだ。抱えている事情はほんの少ししか明かされていないから、どう声を掛けて良いかはわからない。それでも彼らがばらばらになってしまうなんて、考えたくもなかった。それぞれと仲良くなっているからかもしれないけれど。最初に会ったとき、放っておけないなと感じたことを思い出す。近くにいる存在でありながら信用できないなんて、辛すぎる。もう一度ちゃんと話すことができたら、少しは変わるのではないだろうか。「來だって、睡に対して感謝もしてる。だから、嫌いなだけじゃないよ。本当に嫌いだったら、睡のこと見て見ぬふりするんじゃないかな?」勘違いしたまま、お互いがすれ違って離れていくのは好ましくない。香撫町という土地の中で完全に決別するのが難しいとしても、だからといって肩を並べられないのはどうなのか。ずっと膠着状態が続いたなら、和解するのは難しいはず。「あはは、うん。いっぱいあるからゆっくりやろう!時間が許すまで、何ならメダルゲーム以外も制覇するくらいの気持ちでたっくさん!」メダルを持ったまま、様々な筐体を見回す。先程まではずっと射的に興じていたけれど、次はどれをやってみようか。どれをとっても久し振りなのだから、目に移るものは新鮮でしかない。優劣よりも楽しむことに重きを置けば気分も軽くなる。彼の手を引いては首を傾げてみて )
睡は何が良い?



  • No.39 by 睡 / スイ  2021-02-20 14:49:05 



>月


 【 冬 / ゲームセンター / >38 】


 ( 月の言葉に、何も答えないまま曖昧に微笑む。彼女の気持ちは嬉しい。言いたいことだって、分かる。でも、さっきの來の態度だって、見て見ぬふりみたいなものだ。おれと話す時、來は、いつも目を合わせない。おれじゃない何かを見て、喋って、笑う。面と向かって言葉を交わしているはずなのに、一人で虚空に話しかけているような気にさえなるのだ。おれの言葉と違って、彼女の言葉は、來に届くのだろう。だから、あの時託した。その判断は間違っていなかったようで、先程の様子を見るに、二人は上手くやれているらしい。「月は、來と普段どんなことを話してるの?」話題を切り替えたのだと分かるように、これまでとは違う、少し軽い口調で質問を投げ掛ける。來が自分以外の人とどんな話をしているのか、月が自分以外の人とどんな話をしているのか、そのどちらもおれは知らなかった。「……あ、言いたくないなら、無理に言わなくてもいいけど」他人の会話を盗み聞きしているような感覚になり、少し遅れて言葉を付け足す。大抵のことは寝て起きたら忘れている。けれど、心を揺さぶられるようなことはきっと忘れられないから、それなら最初から聞かない方がお互いのため、だ。月に手を引かれ、ゲームセンターの中を見回す。当てもなく彷徨う視線が留まったのは、沢山のメダルがぶちまけられたような、二段の前後に動く台。台が手前に引き出されている間にタイミングよくメダルを投入して、その後台が引っ込んでゆく動きによって押し出されたメダルが下の排出口へと落とされる仕組みだ。大量のメダルが積まれている様は壮観で、否が応にも目を引かれてしまう。子どもの頃には手が出せなかったけれど、來が置いて行ったメダルの量ならば少しくらい遊んでもいいかもしれない。その場で足を止め、その単純でいて魅惑的な動きをじっと見つめていた。 )




  • No.40 by 月  2021-02-24 21:30:58 




>39 睡


そうだなー……
( 彼の言葉に、少しだけ考え込む。今日、初めて核心に触れた。まだすべてを知っているわけではないにしろ、來の抱えているものについて、少しだけ知ることができた気がした。それ以外の会話といったら、他愛のないものばかり。「言えないようなことはないよ。ふざけて、笑いあって、それだけ!」軽く緩い笑みを浮かべて、ぴんと食指を立てる。言葉は当たり障りのない話題を選んだようにみえて、どれも本当。來といる時間は、楽しくて心地よい。ずっと続けば良いとさえ思う。初めて香撫町に来たときの金木犀の香りと、案内して貰ったお気に入りの場所。あのときのお菓子屋さんは今ではすっかり行きつけだし、平和に暮らせている。彼ら兄弟のおかげで馴染めたといっても過言ではないし、何だかんだ他の人とはあまり言葉を交わしたことがない。何ひとつ不自由ない生活のできる毎日が楽しくて仕方ないのだ。「んー……じゃあ、これやろっか?」その場でぴたりと足を止めたことに気づくと、メダルの入った器を席の前に置く。もうひとつの器を持ってきて大体半分こになるように調整して差し出す。自分の持っていたものと來の残したメダルを混ぜると、半分でも結構多く見える。元々長居する予定で買ったであろうたくさんのメダルであったが、本人が不在であるからには二人でどんな形で消費したとて問題ないだろう。「はいこれ、睡のぶんね!」半ば押し付けるくらいのテンションで渡すと、すぐ隣の席について台へと向き合う。単純な作業ではあるが、これが結構面白い。子どものとき少しやったくらいで止める程にタイミングが掴めなかったメダルゲームも、今時間も関係なしに没頭できるとあれば楽しめる。「わー、すご……」勢いよく吐き出されたメダルに思わずぽつりと呟いて )



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