主 2020-09-28 23:06:45 |
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> 月( >47 )
( やっぱり、この子、何かがおかしい。自分で望んでここに来たのならば、一生ここから出られないことも、得体の知れない町への恐怖も、全て覚悟の上で来たはず。それなのに、目の前の彼女は、まるでたった今そのことに気が付いたような反応をする。どこか抜けているところはあるようだけれど、話した限りではリスクを考えられないような頭の弱い子ではない。だとすれば、誰かに強制的に入れられたのか、それとも、おれのように正常な判断が出来ない状態なのか──。率直な印象だけで言ってしまえば、どちらも考えにくいように思う。しかし、人なんて見掛けに依らないもの。この町にいると良く分かる。何より、おれが一番そうだ。笑って、笑って、笑って、壊れるまで、笑って。あの日、泣きそうな顔をした兄さんに「逃げよう」と言われるまで、おれは自分が異常だなんて分からなかった。そんなおれの考えを証明するように、彼女の口から語られた移住理由は『分からない』。『分からない』けれど、『保護する必要があった』から、町役場は彼女を住民として認めたのか。自分の中で、何かが繋がったような感覚。とすると、あの色の違う住民証は仮のものというところか。もちろん、こんなのは単なるおれの想像にしか過ぎないけれど、一度辻褄が合うとそれ以外の可能性が考えられなくなってしまう。この子も色々なものを抱えているんだな、と、同情……と言うより、共感に近い感覚を覚える。今しがた駄菓子屋の値札を見て大声を上げている様子も、そう思うと何だか健気に見えてしまって、意地の悪い気持ちがすっと引いていく……ことは、さすがに無かった。悪びれもしない様子で、いつも通りのへらりとした笑みを浮かべる。 )
おれにとっては、誰かを騙すことも生き甲斐なんだけどなあ。
( / お返事が遅くなってしまってごめんなさい……! 通知設定をしていたのですが、調子が悪かったようで、気付くのが遅れてしまいましたという言い訳をさせてください……
キャラクター変更の件、承知いたしました。このまましばらくは來でお返事させていただきますね。 )
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