着ぐるみパンダさん 2020-08-02 17:23:34 |
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そのまさかで、求められたのは「華々しい勝利」だ……それは今は無視する。
落とせるなら落としたいという気持ちはよく分かる、戦略上の有用さも。
【作業机の上に置かれていた資料を退かし、そこに巻き物を広げる】
【帝国と王国、両国の領土を描いた地図、そこには国境沿いを流れる巨大な河もしっかりと描かれていた】
【地図上を指して帝国領から王国首都の地点へと、ゆっくりと指を動かし始める】
「帝国領」から「王国の首都」へ至る最短距離が、ダウファール河を突っ切り王国領へ侵入するこのルートだ。
もしもこのルートをこちらの支配下に置くことが出来たなら、実質的に帝国は「敵国の首都にいつでもちょっかいをかけられる」という状態になる。
そうなればこの戦争は当然、帝国側の有利へ大いに傾く……。
【帝国領から王国首都を真っ直ぐに繋いでいた指の動きが、しかし河に差し掛かったところでピタリと止まって、そのまま地図上にバツ印を描いた】
……その間にあるのがダウファール要塞、ルート支配を目指すなら決して避けて通れない。
ついこの前、休暇の日に近くまで絵を描きに行ったんだ……これはまぁ、ボクの個人的趣味という点が大部分を占めてるけど。
直接目にして分かったのは……まず確実に「正面から正攻法でかかって落とせる様な場所じゃない」ということだった。
兵の数を集めれば良いとか、異能力者をより多く揃えれば良いとか、そういう問題じゃない。
【要塞の堅牢さもそうだが、なによりもその立地が王国にとって優位に働いている】
【王国首都への最短ルートということは、つまり王国首都「からの」最短ルートということでもある、補給路の確保や援軍の派遣も容易な筈だ】
【つまりここを正面から落とそうとするというのは、糧食の蓄えも十分で、続々と意気軒昂な援軍が送られてくる王国軍が立て籠もる巨大要塞と相対するということを意味する】
……今のを聞いて、戦わされるであろう兵士としての感想はどう?
【ため息が多分に含まれた声での問いかけだった】
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