語手 2020-05-16 15:04:18 |
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>>32 高崎さん
ん? …ああ、お客さんですね? いらっしゃいませ。ええ、中へどうぞ。
( 不意に凛とした声に顔を上げればそこには妙齢の中性的な──男性だろうか。それにしては肩幅が…とも思ったが他人の体格など特に気にすることでもないか、と特に警戒心を抱くでもなく、あくまで業務用の態度で控えめににこりと愛想良い笑顔を向け、腰掛けから立ち上がり表の引き戸を開けると「 どうぞ 」と客人を店内に迎え入れる。ついでに先程愛でていた短刀を刀掛けごと丁寧に抱え、店内のレジ台隣のテーブルの上に置きっぱなしの伝票や電卓、帳面や筆記用具諸々を肘を使って雑に端に寄せて作った空きスペースにそろりと置くと自分は邪魔にならないよう店の隅に移動して、この店では珍しい歳若い客人を改めてしげしげと眺めつつ、 )
いやしかし、お若いのに骨董品に興味を持ってくださるなんて珍しい…いや、嬉しいですね。どうぞご覧になってください。この店の物は皆『 無銘 』の作品ばかりですが、味わいや美しさは名のあるものにも負けていませんので。
( / 開幕勿体無いお言葉でこちらを褒め殺すおつもりでございましょうかお客様…! ひえぇ…ありがとうございます…ご期待に添えるよう震えながらも精一杯頑張りますので…あと正直に告白させていただきますと男装麗人、大変ドストライクゾーンです…ありがとうございます…お互い本来と"別の顔"同士の対面というシチュもおいしいです…こちらこそ狂犬27歳児共々どうぞよろしくお願いいたします~! )
>>33 獅童さん
この業界、隙あらば横から掻っ攫おうとしてくる輩がちらほらいるから自衛くらいできなきゃ危なくてやっていけなくてね。ボクなんてまだ可愛いものだよ。
( それは " 無闇に命を取らないだけ、まだ " という意味で。そしてやっと出会えた他の『 刀狩衆 』と呼ばれる人間。このご時世において刀を集めて回っているというのだからさぞかし刀のことを愛してくれているのだろう──と勝手な仲間意識を抱き、しかし笑顔で問うたその答えは『 破壊するため 』、というあまりにも予想外かつ理解のできないもので。破壊する? 何を?刀 ( かれら ) を? ──冗談じゃない。そう思った時には既に右の手が鯉口に指を掛けており、)
ボクが刀 ( かれら ) を集めるのはね、彼等を狭い場所から広い世界に連れ出す為だよ。美術品の中でも最高に美しい彼等を広く愛でてもらう為……でも…ふうん、そっか…そうなんだ…つまり、ボクはアナタと分かり合えないってことだね?
( 小首を傾げながらも口先からはたはだ淡々とした言葉だけが紡がれ、先程までの人懐っこい笑みは消え失せて、まるでつまらないものを見下げるような冷たい視線を目の前の相手に向けると左手の鞘からゆっくりと、焔を纏った薄紅の刀身を抜き、 )
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