館の悪魔 2019-07-15 07:23:57 |
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( / はわ、左様でしたかッ … !私もそうとは知らずにおりましたし、中世ヨーロッパの知識には乏しくて … 。はい、そこはもう架空の亡国ということで、お話を進めやすいように、またあまり神経質にならずに、展開させて頂けたらと思います ! )
( 改めて彼をこうして間近に見ると、その立派な体格、そして全ての動作の節々に見られる品や威厳には圧倒されざるを得ない。ふと、祖国の懐かしい食卓の香りに鼻孔を擽られ、思わず視線はテーブルの上に並べられた色とりどりの料理へと。隣国との戦争が始まってからは、王家の生活もあっという間に貧しいものになってしまった。食事においても日に日に質素なものとなり、香辛料の効いた味に深みのある食べ物など長い間口に出来なかった。
その場に立ち尽くしたまま、今は亡き祖国に様々な想いを馳せかけたのもつかの間、パチンと軽快な音がしたと思えば、またも不可思議に現れた品の良い装飾の椅子。… 嗚呼そういえば、命を救われ初めて彼と話をした際に、その正体は代々王家に伝わってきた逸話の登場人物、メフィストフェレスなのだと告げられたのだっけ。様々な魔法を駆使して先祖の王妃を誘惑したらしいのだから、そうであればこの館で起こる数々の不思議な現象は、彼が存在する限りはなんら不思議な事柄ではないのであろう。
上記思考にぼんやりと溺れる彼女に、彼が内に秘める真意に到達することなど到底無理であろう。穏やかな呼び声に素直に応じるその瞳には、彼が見せる一つ一つの細やかな気遣いがゆっくりではありながら然し確実に、彼女の心臓に温かく染み込んで行く様がありありと反映されており。引かれた椅子に流れるように腰を下ろせば、彼が同様に食卓に落ち着くのを待ち、細い声で自身の疑問を投げかけて )
お心遣いを有難う御座います 、ご一緒にお食事を頂けるのは とても嬉しいです … 。けれど 、外出 、ですか … ? それは何方に … ?
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