大人の恋ってこんなモノ

左様ですか...まぁ、結香の素出したら引かれるもんな。控えめに言って、
( なるほどね、と納得した様に数回頷く。そして最後の自身以外とは付き合っていないの発言にぴく、と反応する。そうか、俺以外とは付き合った事ないのか..、何て少し嬉しそうに、ふーん、と機嫌良く頷く。そして弁当を食べ始める彼女を他所に、此方はスマホを出してイベントをこなす。暫くして、スマホから顔を上げると「 今はさ、彼氏欲しいとかそう言うんはないの？」と、唐突に尋ね始めて、)

…引かれるって傷付くんだけど。でも実際はそうなんだけどね。彼氏か…私だって恋愛したいよ？でも王子様とか言ってられない年齢だし。何より私の事を受け入れてくれる人がいればいいんだけどね。……朋也は彼女いるの？( 相手からのストレートな発言に少しムスッとし、じと見するもそれは自分でも分かっている事で受け入れて。高校から彼氏も作らずだったが一人の女性としては恋はしたいもので、オタクの自分を受け入れてくれる人がいればと希望を話し。そう言う相手の恋愛事情も知りたいのか、もし付き合っている彼女がいれば気になるのも確かでお弁当をパクパクと食べながら然り気無く聞いて )

ふーん...案外受け入れてくれる人何て近くにいるんじゃない？..俺はいないよ。いる訳ないじゃん、
( 彼女のネガティブな発言にそれとなくアピールをしてみるが、彼女の事だ。気付く訳など無いだろうし、そもそも自身に興味なんてないかも知れない。まぁ、それは置いといて、自身の恋愛事情何てある訳もない。スマホへと視線を戻すと表情一つ変える事なく答える。やはり互いに理解者を見つける事は出来ていない。働き始めてから出会いもない為に当然だろう。一度時計をちら、と視線を向けると椅子から立ち上がれば「 昼休み、後10分だから先戻るでござるよ。会社終わったら飲み行こうよ。色々話したいし、早めに仕事終わらせてね。」と言えば先にデスクへと戻って行って、)

…近くに？そんな人が居たらとっくに付き合ってるよー。朋也も居ないんだ…ふーん。( まさか自分の近くにいるのが相手とは気付かず手をぶんぶん振り苦笑い浮かべ。彼女が居ない事を知ると平然も装うも私以外と付き合っていなかった事に嬉しいような安心したような気持ちになり。「えっ！後10分！？つい話し込んじゃった。うん！行く！私も朋也と話したいと思ってたからさ。…なるべく早く終わらせまーす。」相手からの飲みの誘いに顔を綻ばせ返事をし入社して数日まだ慣れない作業に終わらせる自信が無く、泣く泣く手を振りながら相手を見送り自分もお弁当を食べ終えるとデスクに向かい午後の仕事を着々と始めると夕方終業時刻に差し掛かる時間になり、しかし作業が進まずPC画面と睨みッ子していて )

...さて..どんな様子ですかね。
( デスクに戻り、椅子に座ればあまりイベントを進められなかった後悔と彼女と久しぶりの再会にして、久しぶりに話せた事の嬉しさが混ざり合うよく分からないモヤモヤした感情に溜息を吐きながら午後の仕事をこなす。そして退社30分前になり、仕事も終わればPCの上から少し身を乗り出して彼女の方を見るともう終わりだと言うのに未だにPCと向き合う様子が視界に入れば呆れた様に溜息を再び吐く。PCの電源を切り、荷物を片手に、お先に失礼します、と挨拶をすれば彼女のデスクに近寄り第一声、「 何で終わってないの？」と相変わらずの冷たい一言を投げ掛けた。)

あっ……朋也。お、お疲れ様…。もう冷たいなぁ…終わらせようと頑張ってるのにー…だって入って数日だしこんなの慣れてないから終わらないよ。あともう少しだから待って！お願い！( 周りが次々と終わる中焦りを感じつつも相手から放たれた一言で何だか開き直り、キーボードをカタカタと打ちながら間違えないように資料と画面を見つめて残り僅かの所で両手を合わせ待ってもらえるようにお願いして )

ったく...結香の仕事だから手伝わないけど、待ってるから早くして。
( 何を開き直っているのかは不明だがあと少しの言葉を信じて、手を貸すわけではないが隣の席へと腰掛けると鞄からゲーム機器を取り出し電源を点ける。そして何時もの様にイヤホンを付ければゲームを始める。たまに、ちら、ちら、と彼女の様子を伺うように視線を画面、彼女、画面、彼女と交互に移して、)

そうだね…最後まで自分でやりますよーだ。( と言いつつゲームを始めた相手に"少しくらい手伝ってくれても良いのに"なんて横目に思うも直ぐにPC画面へと視線を戻し作業をこなしていき。それから数分漸く入力を終え強くenterキーを押せば両手を天へと上げ「終わったー！朋也！終わった！へへん…偉い？」なんてまるでご褒美を待つ犬みたいに笑顔で言っては続けて"早く飲み会に行こ！"と、PCの電源を落とし立ち上がり鞄を持ち )

...ん？ああ、じゃあ行くか。
( カチカチ、とスティック音を鳴らす中、彼女の仕事がどうやら終了した様子。何かを訴えかける様子で気付けばイヤホンを外し、ゲームを中断しては鞄の中に仕舞って。椅子から立ち上がると彼女の言葉にどき、と胸が高鳴るも「 はいはい、偉い偉い。」と軽くあしらうとぽん、と頭撫でる。会社を出れば何時も通う居酒屋へと向かい。

わっぁ…もう少し褒めてくれてもいいのにー。( 素っ気なくも頭を撫でられると言葉とは裏腹に心の中では恥ずかしさと嬉しさが入り交じり少しだけ頬を紅くさせ。その様子を隠しながら会社を出れば「あっ、何処に行く？この周辺のお店って知らないんだよね。朋也の馴染みのお店ってあるの？」と隣を歩きながら周りを見渡し良さげなお店がないか探しつつ訊ねて )

もっと褒めて欲しいなら時間内に仕事終わらせてくれませんかね。
( 此方の行為に彼女の頰が紅くなる事になんて気付くわけもないまま、彼女の質問に「 俺の行きつけに行く。ワインとかないけど良いでしょ？」と答え、暫く歩くと賑わう街の中、ひっそりと佇む建物の前に辿り着く。引き戸を開けて、暖簾をくぐると迎える店員さんに2名とだけ伝える。案内されるがままに席へと迎えば個室の一部屋に入り、座敷に座る。「 とりあえず生と..何飲む？」と、店員さんからの伺いに飲み物を頼もうとしては、彼女に問いかけて、)

うん、無くてもいいよ。朋也の行き付けなら私も行きたいし。( 一通り歩き相手の行き付けのお店へと着くと後に続き暖簾をくぐり"何時も此処に来てるんだ"と雰囲気の良い店内を見渡して。個室へと案内され向かいに座り何を飲むかと質問されメニュー表を見ながら「私も生お願いします。」と同じく店員に頼み。暫くして飲み屋がくればジョッキを持ち )──…よし！朋也！久しぶりに会えたんだし今日はとことん飲むよ！乾杯ー！

はい、乾杯。
( 此方の注文に対して、彼女は何か可愛らしい飲み物でも頼むのかと思いきやまさかの展開。まぁ、自身の前でもある。色々気を使う必要がないと思っての注文だろうが、女子力とか気にしないのかこの女。運び込まれてきたジョッキを受け取り、彼女の乾杯の音頭に二言で返せば一口飲んだ後に再び店員さんを呼び、適当につまみを頼んで。「 で、友達とかは出来た？」とお通しを食べながら尋ねて、)

( 乾杯の後に慣れ親しんだ相手に遠慮もせず勢いよくビールを飲み「最高ー！」と叫んでは上機嫌にジョッキを置き。同じくお通しを食べては質問に「友達？隣の佐藤さんとは仲良くなったよ。後は…あの人…渡辺君は資料の場所とかコピーの仕方とか教えてくれた。」とここ数日の間に話した人達の名前をあげてもう一度ビールを飲み。「朋也は？休日も部屋でゲームしてるの？」高校時代からゲーマーと知っているのか断定的に聞いては目を見つめて )

佐藤さん...嗚呼、眼鏡のあの人か。
( 言っては失礼だが、女らしさのカケラも、今の彼女には見当たらない。それもまた、自身の前だから見せてくれる一面だとは分かっているが、周りの目とか本当に気にしないんだな、なんて思って。彼女の口から出た名前にほわんほわん、と頭の中に顔が何となーく、ぼんやりと浮かべば特徴を述べるも多分人間違い。同期なんて碌に名前も覚えていないからだ。「 ん？まぁ...それしかする事ないし。結香は？休日は何してんのさ。」と此方からも質問を返して、)

眼鏡の人って…佐藤さんって髪がショートで目が大きい可愛くて良い子なのに。( 彼女が眼鏡の人だと思われていると呆れて自分の印象を伝えて。「休日は漫画読んだりゲームしたりしてるよ。朋也と変わらないかも。あっ、新作のゲーム買った？なかなかボスが倒せないんだよね。」相手がゲーマーだった事に今やってる某オンラインゲームの話をしては攻略方法を聞いて )

....そうだっけ？全然分かんないや。
( 此方の言い出した特徴とは全く違った特徴に視線を上にして考えてみるもやはり顔と特徴は重い浮かばずに。自身の興味ある人以外を覚えるのはやはり苦手だ。「 相変わらずの自堕落だな。ん？ああ、あれなら既に攻略済み。上位職のレベルもスキルもカンスト。ちなみにあのボスは背後に回って、傷痕を何度か攻めれば勝てる。」某オンラインゲーム。発売日に直ぐに購入し、金曜の夜から日曜日の朝までぶっ通しでやって既にクリア。嗚呼、なんて素晴らしいゲーマーの鑑。)

…私の隣の席だからちゃんと見ておくように！自堕落って朋也も人のこと言えないでしょー。って言うかクリアするの早くない？！…うーん…その背後に回るのが難しいんだよねー。攻略本でも買おうかな。( 他人の顔を覚えるのは昔から苦手なようで取り敢えず場所を教えれば見るようにと促し。自分の私生活なのにディスられた気分になり頬を膨らましガミガミと、攻略方法を聞くと相変わらずゲームに関しては師匠のような感じである意味尊敬しつつも口頭ではよく分からないのか攻略本を買おうか悩み )

お前なぁ、目の前に攻略本よりも攻略してる奴がいんのにそれ言うかよ。
( 何を怒っているのか理解出来ずに、と言うか、理解するつもりもなく取り敢えず彼女の怒りを無視して。攻略本、と言う単語を耳にすればぴく、と反応。箸を止めてじろり、と彼女を見ては半ば呆れ気味に言うと腕を伸ばし、額にデコピンを見舞いして、)

…いったーい！デコピンすること無かろうがー！だって、そんなに聞いたら迷惑かと思うじゃん。( 額にデコピン受け喚きヒリヒリと痛さ伝わり掌でおさえて。ゲーマーである相手に頼ろうとしたいがこれでも気を遣っていて涙ぐみながら呟き )