匿名さん 2018-06-10 12:20:27 |
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…………!
(何分、背の翼や手指の爪、口元の牙の変化は無意識であったため、相手の発言で、自分の状態に初めて気付き。こんな話をしている時に、まさに怪物じみた本性を身体の表面にも出してしまっていたことを悟っては、バツの悪そうな表情を見せ、真っ直ぐ相手に向けていた視線を少し外すように斜め下方に落として。それでも、最早全く笑っていない相手が話を続ければ、ちらりと上目遣いに瞳をやり。
途中までは特に動きもなく黙って聞いていたが、相手がその中ではっきりと『お前は獣じゃない』と言えば、その瞬間だけ、他者の目線からでは認めるのが困難なほどに僅かであるが、動揺を映すかの如く青い虹彩が揺れ。さらに相手の言葉が『中身は俺とそんな変わらない人間』と続くと、遂にまた不思議なものでも見るような目で相手を真っ直ぐに見直し。だが、どことなく凜然とした雰囲気もそこまでで、相手が締めに述べた口上を聞き届けるや、間が抜けたみたいに崩れた顔立ちに変わり、牙も剥き出しに「はぁ!?」と一言。……あ、あれはッ! ……強者ゆえの余裕だ! という如何にも今、取って付けたような反論を返そうとしたものの、その刹那にノックの音が割って入ってきて。
反射的に口をつぐんで扉の方を振り向いている間に、相手は自然な仕種で音がした方向に向かって、何やら扉越しに誰かと話を始め。……生憎と聴覚はそれほど良くない。悪いというわけではないつもりだが、さっきまで多少興奮し、息を乱した所為もあってか、上手く会話の内容を聞き取れず。やがて、相手が戻ってきたかと思うと、何やら室内の棚から大きめのタオルを取り出し、また出て行こうとして)
……おい、どこ行くんだ?
(そう呼び掛けた声は、比較的静かなボリュームだったこともあってか、今度は相手の方が聞き漏らしたのか。放っておいたら何処かに行ってしまう、そう直感すると、とにかく自分も急いで扉から廊下に出て、少し遅れる形で相手についていき。しかし、宿の1階に下りて怪しい一室に入ると、何を思ったのか、相手は壁の方を向いてするすると衣服を脱ぎ出し。……聴覚にはやや鈍感だが、温度や湿度の変化には恐らく常人より敏感である。ようやく先にあるものを察すれば、トドメのように相手の口からも、その単語二文字が出てきて、途端に恐らくは怒りではない別の感情で真っ赤になると、すぐ隣にあった壁にドンと拳を打ち付け「……てめぇ、ふざけんな!人間だっつうなら少しは気を使え!!このバカ!!」と叫び、そんな状態で人目につくところを出歩くとまずいのではないかという感じに豪快に背から翼を生やしたまま、踵を返して、脱衣所だったらしい一室から高速の速度で退散してしまい)
(/まぁ、多分放っておいて大丈夫です--*←)
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