匿名さん 2018-06-10 12:20:27 |
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……!
(山賊の一人からなされた懇願に対し、相手がどう動くのかと思えば、まるで壁になるようにすっと前に立たれ。山賊の方に気を取られていたため、頷くところは見逃し、さらに今も立ち位置と姿勢から相手の表情は伺えず、見上げられるのは背中のみとなり。
正直、徐々に落ち着きを取り戻すにつれ、反比例するように、向けられている視線と騒然とした場の空気に意識が回り始め "居たたまれない" 感情が沸き上がってきていたので、このタイミングで視界を遮って貰えたのは有り難く。つい、自分の方からも相手の背に隠れるように一歩引いてしまい。
影から隠れ見るように視線をやれば、何人かの男が、相手を挟んで至近距離までやってきて、昏倒していた首領の介抱を始め。結果、途中で目覚めた首領は、こちらを視認するやひどい慌てよう。やったことからして仕方ないとは言え、むしろ、自身の行動によって血にまみれた顔でそうも怯えられては、さすがに心に痛むものがあり)
………………。
(……故意ではなかったからこそ、言葉が出てこず。加害者らしくない挙動ではあろうが、反射的にまた一層、相手の後ろに下がってしまい。位置的にそもそも見えないが、今は相手の表情を確認するのも相当怖く。ここで引かれていると分かったら、いよいよ "居たたまれなさ" がピークに達し、直ぐ様逃げ出してしまいそうだ。……そのような状態で、視線を斜め下方に落としていると、不意に視界の端で白刃が煌めき。
咄嗟に顔を上げては、そちらを凝視し「うわ!」と声を漏らしてしまい。地面に落ちていた首領の長剣を、手下の男が回収しようと持ち上げただけだったのだが、いっそ、あからさまな狼狽。そのリアクションに手下の男もびくりと肩を跳ねさせ、何かされるのかと怯えた様子でこちらを見返してきたが、こちらが強張った表情で見つめ返すと、恐る恐るといった雰囲気でゆっくり後退し、副首領のいる側へと戻っていき。
畜生、もう嫌だ、なんたって高々山賊風情があそこまで作りも手入れもやたらとしっかりしている上等そうな長剣を持っているんだ。……元騎士だからか、ふざけるな。様々な感情がないまぜになれば、次は心細さがピークに達し、ほとんど無意識の内にたまたま目の前にいた相手の腰回りにぎゅーっとすがりついて、表情も隠してしまい。
他方、副首領の方は最初こそ警戒ムードだったが、途中からは一連の動作をどこか興味深そうに見ており。だが、やがて地面に這いつくばる首領に瞳を戻すと、相手のこともちらちらと見ながら、口を開き)
「……カシラ、こいつらには出てって貰うってことでいいですね。なら、俺が出口まで案内しやしょう」
(/暴行犯は、怖かったら拒否されても大丈夫なので←/蹴り推奨)
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