匿名さん 2018-06-10 12:20:27 |
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……! …………え、アル!?
(宿屋の並ぶ区画をうろうろしていると、不意に道の先に人の気配を感じ。灯りを携えているところ、憲兵の見廻りか、あるいは準備の良い酒場帰りの酔客か、何にせよ、多少警戒しつつ、方々の宿屋の窓から淡く漏れている薄い光源を頼りに、瞳を凝らすと、ぼんやりと視認できたのは見た覚えがある男性の姿で。だが、まさかこの時間に外を出歩いているとは思いがたく、他人の空似かと疑うが、そのタイミングで相手もこちらに気付いた様子であり。自身の名を呼んだ声も、駆け寄ってこられて改めて確認できた顔も、間違いなく相手。つい目を白黒させ、隠すこともなく驚いた表情になれば、軽く相手を指差し、こちらも名前を呼び返して。
すぐ手前までやってきた相手は、何やら言いつつ、自身の服についた砂埃を軽く払い。その間も無言のまま、自身よりも背の高い相手の顔を見上げては、呆気に取られ。……出会ってから今に至るまでを振り返り、この相手は、自分が幾らか自由に振る舞ったところで怒らないようだと思っていた。その上で今夜出掛ける前には "夜のうちに帰る" と告げてあり、現在はまだ暗いため、いつぞやのように "言っていた時間に帰らなかった" ということもないはずだ。
こちらが亜人だからと理不尽に当たり散らす奴とは全く思えないし、かといって、今回咎めを受けるような失態を犯したつもりはない……そうなると、どうして相手がこんな夜半に外にいるのか、理由が全く分からず。何か緊急の用事? いや、そこまで重大で急ぐ用事なら、バングルを使えば良かったはず。あるいは、自身の正体がどこかでばれて、逃げ出さないといけなくなったとか? ……それなら、表通りをこうも悠長に歩いているものだろうか。……駄目だ、分からない。しばし黙って相手を見つめつつ、思索を巡らせていたが、やがて、聞いた方が早いと結論をつけて。
一度相手を指差した手を下ろせば、山道の出入り口付近と比べればずっと明るいその場で、自分自身でも衣服を緩く掴み、ばさつかせて汚れを払い。さらにそれから、何処と無く鳥獣の毛繕いを連想させられるような流れで、直接手でも細かな埃を落とすと、軽く腕をほぐしながら、相手に視線をやり「……いや、ちょっと散歩してただけ」と返し。間を置かずに小さく首を傾げれば、ある種平常通りの自身の行動は棚に上げたような台詞を吐いて)
それより、アル、どうしたんだ? ……何かあったのか? こんな夜中に慌てたみたいな様子でさ。
(/テレグノシス、有用なのに忘れられていましたね← 一応拙娘は "用事もなしにうろつくのは不思議だ" という視点で物を言っているため、ブーメランのつもりがなく……メタ視が苦手なのは協調性のない人の特徴かもしれませんね…)
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