匿名さん 2018-06-10 12:20:27 |
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……少し遅くなっちまったかな。
(時刻は夕暮れ時、東にはまだ僅かに陽光が残っているが、西の空は既に濃紺に染まり、一番星であれば目視できるほど。夕食には戻ると言ってあったが、あの宿屋の夕食は、いつも空が橙色のうちに出ていた気がする。そう振り返れば、もう視界に捉えている、ぽつぽつと客室の窓にも明かりが灯り始めた宿屋に向かって歩を早めながら独り言を呟いて。……相手と別れた後、最初は、街の外に出て森か、あるいは、街の中にも緑地区域があればそこで過ごそうと思っていた。しかし、先のキャラバンの広場に戻って、今の時点では動向が読めないネイビス商会がテントを張っているスペースには注意を張りつつ、近くにいた別の隊商の者を掴まえて訪ねたところ、この街の近辺に大きな森はなく、街中にも緑地帯はないとのこと。そうであれば、大人しく人の中で過ごすしかなさそうで。
かといって、他に良い時間潰しも思い付かず、そのまま商人に "なら、この辺りで人手が足りていなさそうなところや、日雇いで働かせてもらえそうなところはないか" と訪ねては、始め、なんだ、あんた、暇なのか?と少々訝しそうに尋ねられたものの、旅人や子どもが日銭を稼ごうとすること自体はそう珍しいことでもなく、丁度己の隊商の仕分けが人手不足だと告げられ。結局、その後は隊商のバックヤードで仕分け作業や検品を手伝い、それに段落がつけば、奴隷市でのビラ配りも任されて。……目立つ仕事は好きではないが、使ってもらっている立場の上に、ていよく断れる文句も思いつかなかったため、ビラ配りにあるまじきローテンションこそ平常通りながら、一応仕事をこなし。時間も経って余ったビラを返しに行けば、小銭を貰えたため、引き上げる。
……相手と離れて行動してみたが、体調不良や苦痛はなかった。テレグノシスについてはよく分からなかったが、通りでパン屋に立ち寄り、片手に紙袋を抱えてようやく道の先に宿屋が見えるところまで辿り着けば、何となく "宿屋の中に相手がいそう" という直感は働いて。これが効果なのだろうか? ただの勘な気もするが……。とにかく、建物に入って階段を上り、廊下を行けば、宿泊中の部屋の扉を見つけ、ノックしつつ)
アル? 帰ってきたけど、いる?
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