匿名さん 2018-06-10 12:20:27 |
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…………!
(昼食の席で奴隷商らしい男が相手に仕掛けたのは露骨な商業的駆け引きで。しかし、男がどう言おうが、相手が "そんなにお得なら……" と自分を放り出すことはないだろうと思っていた。そこで放り出されるなら、とっくのとうに捨てられているだろう。だが、相手が自身を売却する意思がないことを示したのは想像できる範囲であっても "どれだけ高値がついても" という前置きがついたことは流石に予想外で。思わず、次は相手の方を見たが、相手は淡々としていながらも毅然とした物言いで、男に話を続けており。
正直、こいつ、本当にトレージャーハンターなのか?と疑ってしまった。いや、旅慣れていることは把握済みで、戦闘も臆せずこなし、度胸もあるところ、トレージャーハンターなのは間違いないのだろうが、その職業にはどうしても一攫千金を狙う冒険家というイメージがつきまとい。いくらモラルを持ち合わせているとはいえ、あっさりと、ある種多額のお金の価値を否定しているとも取れる発言をしたことは意外な気もしてしまって。
何はともあれ、その辺りで相手の態度に男は内心白けてしまったらしく。午前とは別人のような熱量で続けられた簡素な案内の後は、別れを告げることもなくいなくなっており、それに気付いた相手がおかしそうに笑えば、特に表情も変えないまま、食事以外では久々に口を開き)
……アルが変人だって気付いたんだろうな。
(ぼそりと地味に相手を貶しているような台詞を吐いたものの、先の男のような人間に同族と認定されるよりは、食えない奴だと思われた方が自分にとっても、そして多分相手にとっても心地いいだろう。続けて、魔道具屋に向かうことを提案されれば、ここまでで一度も拒否的な態度を示されていないのを良いことにさりげなく相手の手を取って、同じ方向に歩きだし)
* * * * * *
(諸々の出来事を経て、数日の滞在が決まれば、通りを抜け、今は街中の時計台や水が吹き出る石のモニュメントがあるやたらと大きな広場に辿り着いており。そう言えば、あの男が午前中に "この街のシンボルみたいなもので、待ち合わせ場所にもよく使われている" とか言っていたような。取りあえず、何やらぶつぶつと話していた相手に質問を振られれば、実のところ、慣れない音と匂いに満ちており、どことなく忙しないこの街中に大して魅力は感じていなかったのだが、断固としてとっとと静かなところで休みたいという気持ちがあるわけでもなく、相手の服の袖を改めてぎゅっと掴んで、誘いの言葉に他意もない肯定を返し)
アルが一緒なら、いいよ。
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